2013年03月22日

「名探偵マーニー」第32話「少年探偵」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第32話「少年探偵」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第32話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話、23話、24話、25話、26話、28話、30話、31話、32話に登場。
雨畑:テレビ局プロデューサー。9話「モンスター」にも登場している。
久儀良太郎:少年探偵。今回の依頼人。帽子がトレードマーク。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

ゆりかが何かに興奮している。
またどうせ碌でもないことなんだろうなぁ……と思いつつ、気にかかるマーニーはついつい何に盛り上っているのか尋ねてしまう。
これも探偵の業だろうか。

ゆりかが盛り上がっているのは、テレビで人気の少年探偵・久儀良太郎。
年に似合わぬ洞察力を持ち、数々の難事件を解決しているらしい。
その久儀良太郎が近所の小学校に通っていることが分かったのだ。

早速、様子を見に行くと騒ぐゆりか。
マーニーもそのペースに巻き込まれて、同行することに。

少年探偵の影響力は凄まじく、ゆりか以外にも多数のファンが学校を取り囲んでいた。
其処に現れたのは件の久儀良太郎少年。
トレードマークの帽子をかぶり、愛らしい笑顔を振り撒いている。

これには少し心惹かれたマーニー。
と、その背後から声をかける人物が。

その人物は、9話「モンスター」事件に登場したテレビ局プロデューサー・雨畑であった。
何でも、少年探偵・久儀良太郎のプロデュースを手掛けたのも彼らしい。
もともとは、マーニーをモデルとした企画で、実際の事件解決は良太郎を支えるスタッフたちによるものだそうだ。

思わぬ裏事情を知ってしまい少しガッカリするマーニー。
そんなマーニーに、何故か久儀良太郎が興味を示す。

良太郎に呼び出されたマーニー。
マーニーが自身のモデルであると知っていた彼は、ある謎の解決を依頼したいと申し出る。

役者であること以外は普通の小学生である久儀良太郎。
当然、学校にも毎日通っており、クラスメートともそれなりに上手くやっているらしい。
ところが、最近になってクラスメートたちから急によそよそしい態度を取られるようになったのだそうだ。
特にその理由も思い浮かばないと言う。

良太郎は「何故、クラスメートが自分によそよそしくなったのか突き止めて欲しい」と依頼したのだ。
彼の不安そうな顔に胸を締め付けられたマーニーは一も二もなく引き受けることに。

翌日、登校途中の良太郎はマーニーの指示に従っていた。
彼の所持する携帯電話は常に通話状態で待機。
其処から拾った音をマーニーが録音する手筈だ。
一方で、トレードマークの帽子には周囲を撮影できるようカメラが仕掛けられている。
これで視覚的にも聴覚的にも情報を拾い、マーニーがそれを分析するのだ。

登校した良太郎。
その周囲をクラスメートが取り囲む。
良太郎は此処でも人気者のようだ。
人柄も良いらしく、マーニーが見たところ特に嫌われる要素は無い。

ところが、よくよく注視してみるとクラスメートは良太郎に隠れて何やら行動しているようだ。
その言葉に何か引っ掛かりを覚えたマーニーはある仮説に辿り着く。

その放課後。
良太郎と合流したマーニーは、彼のクラスメートを尾行することに。
と、クラスメートはある洞窟に消えて行く。

これが良太郎が疎外感を感じた原因らしい。
クラスメートが帰ったことを確認し、中へと突入するマーニーと良太郎。
其処で彼らが目にしたモノは!!

なんと、花で飾られた女性の死体であった。
死体はかなり前のものらしいが、洞窟内の気温と環境から死蝋化していた。
死体は、此処で永遠を過ごすであろうある種の美を備えていたのである。

これを発見した良太郎のクラスメートたちは少年少女特有の感覚を以てこれを讃えた。
花で飾り、彼らだけの秘密にしたのだ。

では、良太郎が疎外されたのは何故か?
それこそ、彼が「少年探偵」であることにあった。
クラスメートはこう考えたのだ。
「少年探偵が死体を発見すれば、事件を解決してしまう」と。
そうすれば、「死体は彼らの前から消えてしまう」。
だから、クラスメートは良太郎には徹底的に隠し通したのであった。

クラスメートと同じ想いを死体に対し抱いた良太郎。
そんな良太郎に通報するよう勧めるマーニー。
この死体にも家族があり、彼女の安否を気にかけている存在がいるかもしれないのだ―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
コミックス1巻も発売中です!!
2巻も3月に発売開始されました!!

今回はその第32話「少年探偵」です。

ゆりかは導入役としても優秀ですね。
登場人物一覧を見ても分かる通り登場回数も圧倒的です。
それだけ使いやすいキャラであり、マーニーにとって相棒とも言えるキャラなのかもしれません。

それにしても、久儀良太郎って杉良太郎さんを意識してのネーミングなのかな。
気になりますね。

おっと、本題。
今回の物語についての感想となりますが。

なかなか良かったですね。
少年探偵とは言え、久儀良太郎は虚像に過ぎず、実態は等身大の小学生であった点も良かった。
良太郎自身は死体発見時に同級生と同じ反応を示します。
やはり、年齢相応の感性の持ち主だったということなのでしょう。
それに対し、マーニーが年長者の分別を発揮し、被害者にも遺族があることを指摘した点も良かった。
ある種、師弟のような感じでしたね。

そして、名探偵に必要なのは少年探偵団。
マーニーに良太郎君がクラスメートと共に協力する回はありそうだなぁ。
また1人、マーニーの心強い仲間が増えたのかもしれません。

マーニーはやっぱりイイ!!
次回も期待です!!

ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻、2巻が発売中。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話から30話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「名探偵マーニー」第31話「秘密のゆりかちゃん」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)

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「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)

「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)

これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話、23話、24話、25話、26話、28話、30話、31話、32話に登場。
前花:マーニーの友人。オカルトに造詣が深いらしい。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話、19話、21話で登場。
累:白鳥の友人。1話、22話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話、21話、30話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話、20話、25話(25話は名前だけ)に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。27話にて趣味はロードレースと判明。17話、27話、28話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
波峰りあ:マーニーとゆりかの同級生。巻野という名の幼馴染で年上の彼氏が居るらしいが……24話に登場。
浜沢志乃:マーニーの同級生、不動産を多数所持する。「幽霊マンション」もそのひとつ。25話に登場。
枯野:目立とうとしない天才。マーニーも一目置く。26話に登場。
3人組:マーニーのファンたち。探偵団を結成しようとするが……。26話に登場。
万田:マーニーたちの通う学校の副校長。30話に登場。

【警察&探偵】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話、24話、29話で登場。
武頼:ロイドの先輩。22話にて登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:ある特異な趣味を持った大学生。ゆりかと交際中。4話、23話、24話、28話、31話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
雨畑:テレビ局プロデューサー。9話、32話に登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話、21話(名前のみ)に登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
玄武:大学生。日本有数のセレブで白鳥の知人。19話より登場。
宝蔵院はるか:大学生。玄武のフィアンセ。玄武同様にセレブ。19話より登場。
市長:マーニーとロイドが暮らす地域の市長。20話より登場。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。20話より登場。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。20話より登場。
ラッキー:白鳥が保護した「首なし鶏」。21話に登場。
君津和臣:化粧品メーカーの重役。今回の依頼人。22話にて登場。
日出有吉:木ノ崎順也の功績はこの人物の物であった。22話にて登場。
武藤遊助:片岡のいとこ。国公立トップである東都大学のエリート学生。23話で登場。
メカニック:マーニーの宿敵。最凶最悪の愉快犯。29話より登場。
佐賀瀬清:元特捜班刑事。ロイド、毛利の先輩。29話に登場。
久儀良太郎:少年探偵。23話に登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
はるかの母:はるかの母。健康志向であった筈だが……。19話より登場。
木ノ崎順也:『悪意の天国』で知られる往年の名監督。その正体は誰も知らない。
巻野大輝:波峰の彼氏とされる人物、誰も姿を見た者がいない。24話に登場。
古書泥棒:2人組、リーダー格は「LUCK」と指に刺青している。
大神:自転車のチューンナップを生業とする男性。27話に登場。
ゴーストレーサー:髑髏マスクに黒装束の怪人。その正体は……。27話に登場。
お腹の大きな猫:エリオットに連れられてやって来た猫。
高齢の女性:迷子になった息子を捜す老婦人。30話に登場。

「名探偵マーニー(1) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
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