薔薇十字館に彷徨える、抹殺されし魂よ。
汝らを彼方の世界へ追いやった、館の主人が遂に明かされん。
鍵はその名にあり、ベニネ、ミカド、ミヤコ、ジゼル……如何にしてこれを突き止めんや。
これを知る少年の瞳が輝きしとき、主人の罪が浮かび上がる(詠み人知らず)
【「薔薇十字館殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。
高遠遥一:ご存知「地獄の傀儡師」。今回に限っては犯人ではない。
白樹紅音:不動高校の教師、呪われし高校伝説に一役買いそうな予感。
佐久羅京:写真家。
祭沢一心:社長。第3の被害者に……。
冬野八重姫:フラワー・アーティスト。
月読ジゼル:歌人。
小金井睦:薔薇園経営者。第2の被害者に……。
禅田みるく:織物師。第4の被害者に……。
皇翔:第1の被害者。バラバラ死体で発見される。
毛利御門:薔薇十字館の執事を名乗る男。
ローゼンクロイツ:高遠に挑戦状を送りつけた怪人物。
<11話あらすじ>
・前回まではこちら。
【結論の結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第10話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
金田一少年はローゼンクロイツを罠にかけ、冬野を今まさに殺そうとした現場を取り押さえた。
さらに自身が何故、その人物を疑ったのか―――理由の1つとして名前が仲間外れになっていることを指摘する。
冬野八重姫が「八重姫」。
白樹紅音が「紅音」。
佐久羅京が「京(ミヤコ)」。
毛利御門が「帝(ミカド)」。
1人、月読ジゼルのみが「ツキヨミ」と「ジゼル」の2種類の薔薇を名に含んでいるのだ。
そう、犯行現場を押さえられたローゼンクロイツの正体は「月読ジゼル」であった。
だが、ジゼルは「そんなことに何の意味があるのか」と反論。
さらに、「冬野を殺すつもりはなく、歌を詠むつもりだっただけ」と主張する。
そもそも「祭沢」と「禅田」殺害は自身には不可能だと主張するジゼル。
ところが、金田一はこのトリックも解明済みであると宣言する。
まず、小金井殺害に遡る。
此処で皇の死体を利用し、薔薇を強調することで小金井の恐怖心を刺激し毒薔薇へ突っ込ませ自滅に追いやった。
同時に、この殺人中に標的を絞り込む作業も並行していた。
風呂に蓮花を浮かべたことで、入浴出来ないものを炙り出した。
具体的には事前に招待客ごとに柄が記されたタオルを配布。
使用後にタオル回収ボックスを確認し、未入浴者を特定したのだ。
そこで祭沢、禅田、冬野が暴かれた。
まずは祭沢。
金田一が犯人を突き止めたと嘘を教えて呼び出すと、後ろから抱きつくようにして胸を刺し殺害。
その後、祭沢の死体を円形の部屋の中央に動かすと杭を打ち込んだ。
部屋のカーペットの端には幾つかの紐を通して置き、部屋の扉を閉めた後に扉の下の隙間から紐を手繰り寄せることでカーペットを回転させて敷き詰められた薔薇が扉を塞ぐように移動させたのだ。
杭は回転軸を示していたのである。
次は禅田殺害のトリックが暴かれる―――12話に続く。
<感想&推理>
新シリーズ「薔薇十字館殺人事件」第11話です。
20周年記念のラストを飾る作品ということで、今回も力が入りまくりでしたね。
なんといっても雰囲気がいいですね、やっぱり「館モノ」は偉大です!!
遂に犯人が明らかにされましたね。
ローゼンクロイツの正体は「月読ジゼル」でした〜〜〜。
管理人は前回で「冬野を除く全員の中の誰か1人が犯人である」との荒業(命名:全ベット)を用いたので、佐久羅でも、ジゼルでも大当たり確定。
よって、今回のジゼル犯人も当てたも同然だよ。
ワ〜〜〜イ、ワ〜〜〜イ、犯人当てたよ、ヤッホ〜〜〜イ!!
ヒャッホ〜〜〜イ、イェ〜〜〜イ。
言ってて恥ずかしくなってきた。
ふぅ……超虚しい。
と言うワケで敗戦の弁を。
「9話時点での印象を優先させれば良かったなぁ……」この1言に尽きる。
9話のネタバレ批評(レビュー)をご覧頂ければお分かりのように「ジゼル説」も有力だったんだよなぁ。
管理人は「銀の矢」以外でジゼルを犯人と想定する術を持たないが、それでもあれは大き過ぎた。
・【遂に結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
それにしても、今回の展開にはいろいろとモヤモヤが残る。
まず、名前の仲間外れ。
「月読ジゼル」が2つの薔薇の品種を含む名前ならば、「佐久羅京」も「サクラ」と「京」で同様の気がするのだけど。
なんで、こちらは放置なのかが謎だ。
次に、祭沢殺害についてジゼルが高遠の犯行を主張したこと。
あれは高遠だろうが犯行が即可能という類のトリックではない。
どちらかと言えば密室である限り不可能犯罪に類するトリックなワケで、そもそもジゼルが無理にあれを実行する必要があったかどうか自体が疑問だ……。
あのトリックは解明されれば次の禅田殺害トリックを連想させかねない危険なものだし。
次のターゲットである禅田を油断させる為とはいえ、これもまた謎と言えるだろう。
この謎が気になって仕方が無いことだけは此処に記しておく。
とはいえ、11話で判明した事実により残された謎は……。
・禅田殺害のトリック(6、7、8、9話時点で推理した通りか)。
・ジゼルの3つのミス(「銀の矢」はあるね)。
・高遠の妹問題(もう故人な気がするなぁ)。
・高遠の去就(どうも金田一に対して態度が柔らかいような……何か考えてる?)。
・白樹の兄問題(これがどうなるのか……)。
・ホテル火災の原因。
・ジゼルの生死(高遠の様子がどうもおかしいので生存する可能性もある?)。
こんなところ?
ちなみに「月読ジゼル」が「月読」と「ジゼル」と2種類の薔薇を指すとのことで、「美咲蓮花」もまた1人の名前である可能性が高まりましたね。
そして、佐久羅自体にも何か秘密がありそうな気もするけど……。
さらに、高遠の異母妹は既に故人のような気がしますね。
父の発言「死ぬまで会えない」=「死ななければ会えない」ということか。
これがローズグランドホテルの火災に絡むのか、そもそも全く関係ないのか。
此処も注目!!
さて、まだ最終話ではないので些か早いですが「薔薇十字館殺人事件」自体の感想を。
「犯人当て」と「トリック当て」は「トリックを解明することで犯人が特定出来る」からこそ相性も良くまた醍醐味でもあるワケですが、これが特に関連しないのならば思い切って倒叙形式で犯人を早期に明かし「トリックのみ(ハウダニット)」特化で物語にした方が映えた気はしますね。
「薔薇十字館殺人事件」のトリックならばそれが可能なだけのポテンシャルは秘めていたと思う。
これに「犯人当て」要素を加えたことで、逆に煩雑化してしまっており、現状では20周年ラストとしては少し弱い気がします。
とはいえ、まだ数話ある筈なので此処からの意外な展開にも期待したり。
11話は此処まで。
以上を踏まえつつ、12話に期待!!
ちなみに「香港九龍財宝殺人事件」が2013年1月12日土曜日にドラマ放送されました。
ドラマ版について詳しくはこちらをどうぞ!!
ドラマ版はブルーレイ、DVDも発売とのこと、興味のある方はアマゾンさんのリンクを下記に用意したのでどうぞ!!
・ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
さらに「リアル脱出ゲーム」さんとコラボすることも判明。
タイトルは「からくり館からの脱出」とのこと。
さらに「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」イベントも開催予定。
こちらも注目です!!
・超イベント開催判明!!「金田一少年の事件簿×リアル脱出ゲーム『からくり館からの脱出』」とは!?
・「金田一少年の事件簿」ファンは鳥取へ向かえ!!「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」が2012年11月3日、4日開催予定!!
◆「薔薇十字館殺人事件」関連過去記事
・「薔薇十字館殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【トリック予想開始】「薔薇十字館殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第1回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第2回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【薔薇密室のトリックに挑戦!!】「薔薇十字館殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第4の殺人トリック予想】「薔薇十字館殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【犯人を絞り込みました!!】「薔薇十字館殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【いよいよ佳境】「薔薇十字館殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【遂に結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【結論の結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第10話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「薔薇十字館殺人事件」は2012年12月26日より「週刊少年マガジン」にて連載開始!!
・「金田一少年の事件簿」20周年記念最終エピソードのタイトル判明、その名も「薔薇十字館殺人事件」!!遂に「あの人」も登場!?
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
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◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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