2013年04月03日

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第119話「暗躍」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第119話「暗躍」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)です!!

三億円事件奇譚 モンタージュ1


登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<第119話あらすじ>

〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜

沖縄にて尋ね人・響子を捜し当てた大和と未来。
だが、泰成の義父・鈴木の介入などがあり、響子は真玉橋に逮捕されてしまう。
当の鈴木も命を落とし、3億円は泰成の手に落ちた。

一方、東京で沢田の調査を続ける水原は北海道に秘密があることを掴む。
これを沢田から聞いた大和たちは、響子を想うハリーの協力を得て北海道へ向かう。

既に死亡していた望月竜。
爆死したと思われていたが、実は生きていた川崎雄大。
横溝保の息子であったことが判明した泰成。

さまざまな思惑が入り乱れる事件の結末は―――。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

現在、東京都内にあるカフェ。
其処で鏡合わせにしたような2人が向き合い座っていた。
いや、鏡と言うには語弊があった。

2人の纏う雰囲気は同一。
だが、一方の男は額から右頬にかけて大きな火傷の痕を残し、右腕も失われていた。
そう―――2人の正体は関口欽一、二郎である。

2人の話題は当面の敵について。
死体が発見されなかったこと、爆弾がタイマー制御可能であり指向性を持ったものであったことなどから、雄大が生きているに違いないと断定する二郎。
とはいえ、雄大はいずれの敵で当面の敵ではない。

語りながらも、片腕の二郎は料理を上手く食べられず悪戦苦闘する。
そんな二郎に介添えする欽一。

2人の様子を眺める周囲の困惑も余所に、2人は雄大以外の敵への対処を考える。
其処で上がったのが水原である。
この排除を担当するは関口二郎。
二郎の体調を考慮し、欽一が代わりを申し出るが……二郎によれば始末する術は既に考えているらしい。

その頃、沖縄では収監された響子が静かに時を待っていた。
これに真玉橋は慎重策を取る。
所轄署の島袋と組み、取調を島袋に一任することで「調書に3億円事件について記録させない」との手段を選んだのである。
沢田を捕まえたい真玉橋は、その介入を避けるべく3億円事件について証拠が押さえられるまで、捜査を極秘裏に行うことを決意したのだ。

一方、父である横溝保の墓参りに現れた泰成は置き手紙を見つける。
差出人は川崎雄大。
泰成が保について誤解していると綴られ、真実を知りたければ電話して欲しいと電話番号が記載されていた。
これを目にした泰成は激しい怒りに囚われる。

そして、水原。
夏美から江の島に呼び出された彼はデートと思い込み、意気揚々とその場へ向かう。
ところが、当の夏美は何故か沈んだ様子で―――120話に続く。

<感想>


事態急転!!


新章スタートです(第1回)。
北海道へ向かった大和たちを余所に、4組の視点で物語が進展しました。

まずは、関口兄弟。
こちらは雄大生存に気付きつつも様子見。
敵を水原へと絞り込みました。

次に、真玉橋。
こちらは島袋とコンビを組み、沢田を追う。
大丈夫そうではあるが、島袋が本当に信用できるのかがポイント?

そして、泰成。
雄大によれば、保について何か泰成が誤解しているらしい。
泰成は3億円事件に関連し口封じ紛いに殺害されたと思っているようですが、まだ秘密がある?
電話番号が記載されていたことから、2人の対決もあり得るか?
ただ、泰成の憎悪は思った以上に深そう。

最後に、水原。
こちらは危険な匂いがぷんぷん。
本来の役割を真玉橋に持って行かれたところもあり、展開的に持て余し気味。
其処から、此処で再度関口の恐怖を知らしめるためのスケープゴートになっても不思議ではない状況。
加えて、想い人の夏美自身が母親を二郎に利用されており動けない。
当然、今回の夏美の呼び出しも二郎の指示だろうし、水原抹殺計画は既にスタートしたものと思われる。
こうなるともう四面楚歌、雄大なりの展開を引っ繰り返せるキャラの助けが無ければ危ういだろう。
北海道に辿り着いた大和と未来が、水原について謎の死の報道を目にするとの展開もあり得る?
果たして、水原はこの必殺の罠を乗り越えられるのか。

要注目です!!

さて、これまでの雄大関連の流れを推測と共にまとめてみましょう。
ただ、過去にも同様のことをしながら、割とブレた記憶もあるので、あくまで管理人の予想ということで。

鳴海鉄也が整形した川崎雄大かなぁ……。
年齢の差については戸籍を借りた際に詐称したことも考えられるし。
これで、関口の「今度はその顔」発言や、東海林の「3億円事件の犯人の息子」発言、響子の「鳴海鉄也は3億円事件の犯人ではない」発言との整合性もとれるか。

次に、武雄が施設出身と判明したことから、雄大と和子の子供は彼ではなかろうか。
鉄也が近付いたのもこのため?
ただ、武雄は事情を最近まで知らされていなかったと思われる。

そして、葉子が関口弘美の言う「ヨウちゃん」だとすれば、彼女の娘の可能性が高い。
葉子自身が施設出身との事実も、この推理を支持するだろう。
だとすれば、葉子は沢田と関口弘美の娘の可能性も……。

となると、自動的に未来の出自は当事者同然の立場になる。

で、大和はこれまでの爪を噛む描写から、雄大の血を引いていることが示唆されているので、鉄也の子で正解か。
こうなると、母親が気になる……。

ちなみに、沢田と雄大は過去に軍艦島で凄惨な体験をしている模様。

これを雄大視点でまとめると。

雄大は和子を亡くしショックを受けていたところ、沢田に誘われ事件に竜と共に参加。
ところが、沢田は須黒と組んでローラー作戦とそれに伴う利益を得ていた。
雄大と竜は利用されていた。
沢田たちの真の目的を知った雄大たちは激怒するも、口封じされそうになり、竜が殺害される。
雄大は地下に潜むことに。
追われる立場の雄大は鳴海鉄也と名を変え整形し、響子の近くに姿を現し見守りつつ竜を地蔵に弔った。
響子の安全が確保されていることを確認した雄大は、誰かとの間に大和を設ける?
その一方で、自身と和子の子・武雄を追い、これへ接近し親しくなる。
だが、何らかの事情(病気?正体がバレた?)で雄大に戻る必要が出来、死亡した振りをすることに。
その後、沢田と暗闘を繰り広げていた?

1つ気にかかっているのは、武雄と葉子の出会い。
そんな都合よく関係者の子供同士が出会うものだろうか?
誰かの作為があったのか―――これも気になる。

泰成の父・横溝保の死にも秘密がありそうだが……。

こんなところか。
ただ、この前提は現代編で登場した雄大が本物であるとの前提に基づいているので、其処が違ってくるとご破算です……。
結局、はっきりしたことはまだ分からないか。
ただひとつ、今後重要となりそうなのは鳴海鉄也の正体と、大和の母。
此処がポイントとなりそうな気がします。

変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?

@大和たち(水原含む)
A沢田たち(関口兄弟)
B雄大一派(単独?)
C泰成一派(仲間は居るのか?)
D真玉橋(島袋も?)

Aの沢田たちも関口兄弟と沢田の間には含みがある様子。

以上のように争いは3つ巴から5つ巴に。
更なる激化は間違いないか?

とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
120話に期待です!!

ちなみに「三億円事件奇譚 モンタージュ」最新第11巻が2013年4月5日に発売。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非!!

◆関連過去記事
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◆登場人物一覧

【現代】

鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中

鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
小田切武雄:未来の父、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
小田切葉子:未来の母、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。

鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……。104話にて横溝保の息子と判明。
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。

土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。

響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。

ハリー・スタンレー:元海兵の幹部。現在ではヘリコプター会社を営む。95話より登場。
ケニー:現役の海兵。キャサリンに想いを寄せる。

関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。

沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。

松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。

朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。

小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。

真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。105話で死亡する。
関口弘美:沢田と親しいらしい関口兄弟の養母。過去編で沢田が出入りしていた風俗店の店員か?
島袋:沖縄編で登場した刑事。真玉橋の部下。

森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。

【三億円事件当時】

川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?

健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。後に関口兄弟に殺害される。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。健同様、関口兄弟に殺害される。89話より登場。

須黒:当時の公安課刑事。強引ながらもかなりのやり手。108話より登場。

ジョージ・スタンレー:ハリーの父。裏社会と繋がり暗躍していたらしい。107話より登場。
ハリー・スタンレー:若かりし日のハリー。当時から響子を知っていた。

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