禅田殺害トリックが遂に暴かれました。
そして、犯人の3つの失言も判明。
果たして、金田一と高遠は如何にして“あの人”を犯人と断定したのか?
推理の過程が明かされる!!
【「薔薇十字館殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。
高遠遥一:ご存知「地獄の傀儡師」。今回に限っては犯人ではない。
白樹紅音:不動高校の教師、呪われし高校伝説に一役買いそうな予感。
佐久羅京:写真家。
祭沢一心:社長。第3の被害者に……。
冬野八重姫:フラワー・アーティスト。
月読ジゼル:歌人。
小金井睦:薔薇園経営者。第2の被害者に……。
禅田みるく:織物師。第4の被害者に……。
皇翔:第1の被害者。バラバラ死体で発見される。
毛利御門:薔薇十字館の執事を名乗る男。
ローゼンクロイツ:高遠に挑戦状を送りつけた怪人物。
<12話あらすじ>
・前回まではこちら。
【犯人の正体判明!!】「薔薇十字館殺人事件」第11話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
ローゼンクロイツ、その正体は月読ジゼルであった。
そして、金田一の口から禅田殺害のトリックについて明かされる。
まず、金田一はあのとき自身が置かれていた状況を再現。
ローゼンクロイツの指示に従った金田一は薔薇のアーチを抜けると南端の部屋へ向かった。
其処で悲鳴を聞きつけ、確認してみたところ中から禅田の袖らしきものが確認できた。
禅田が危ないと考えた金田一は、地下1階の螺旋階段から部屋へ向かう為にアーチを戻り館内へ。
まず、1階ホールで白樹、次いで地下ホールで毛利、其処へ階上から冬野とジゼルが合流した。
部屋へと続く地下1階の螺旋階段に辿り着くと、高遠が居たのである。
そして、事後に佐久羅が現れた。
これがあのときの状況だ。
次いで、金田一はあのときと同じく地下1階から南端の部屋へ。
室内はあのときのままで保管されている。
だが、この部屋が禅田の悲鳴を聞いた部屋ではないとする金田一。
この部屋は南端の部屋そっくりに作られた離れだったのだ。
試しに外へと続く扉をぶち壊した高遠。
確かに其処から見える光景はあのアーチではない。
なんと、薔薇十字館は1階と地下1階の間に30度のズレが存在していたのである。
螺旋階段で方向感覚を狂わせていたのだ。
金田一は窓から差し込む影の角度でこれに気付いたそうだ。
ジゼルはこれに気付かせないように、事後にアーチを塞いだのだ。
アーチを塞ぐ薔薇は無毒のモノであろうと予測する金田一。
これに基づくとジゼルの動きは次のようになる。
地下1階螺旋階段を経て、離れに禅田を呼び出したジゼルはこれをボウガンで射殺。
その後、袖をちぎり取ると南端の部屋へ移動する。
実は南端の部屋の外へと通じる扉は鍵で施錠されているに過ぎず、鍵があれば自由に出入りできた。
中で呼び出し状の時間まで待機。
金田一たちがやって来たことを見計らい、悲鳴を上げるとちぎった袖を目撃させた。
驚いた金田一たちは館内へ、人が居なくなったことを確認し扉から後を追うように館内へ。
指定時刻通りに冬野が出て来るのを待ち、これと合流すると何食わぬ顔をして金田一たちのもとへ向かったのだ。
これでジゼルにも犯行可能であることが証明された。
だが、それはジゼルにも犯行が可能であることが証明されただけで犯人とは断定できない。
金田一は此処でジゼルが犯人であると断定出来た3つの失言について語り出す。
1つ、禅田殺害時に金田一と合流した直後のジゼルの台詞。
「あら、金田一さん、七瀬さん」
そのとき、其処には金田一と七瀬以外に白樹と毛利も居た。
にも関わらず、2人しか呼ばなかった。
これは袖を目撃した2人を意識し過ぎた結果だと言うのだ。
2つ、男湯に「蓮花」が浮かんでいることを知っていたこと。
ジゼルが男湯を覗いて居ない限り、ローゼンクロイツ以外に知らない情報らしい。
3つ目は高遠の指摘である。
禅田の死体はテーブルの陰に隠れ、全く状態が分からなかった。
ところが、ジゼルは禅田のことを「ニオベの娘」として詩にしたのだ。
これは禅田の袖がちぎられていたことから、ローマ国立博物館所蔵の「ニオベの娘」を意識したに違いない。
だが、先に述べた通りテーブルに隠れ見える筈がない。
殺害を実行した犯人と、死体を確認した金田一、高遠以外は知らない事実なのだ。
追い詰められたジゼルの表情が変わる―――13話に続く。
<感想&推理>
新シリーズ「薔薇十字館殺人事件」第12話です。
20周年記念のラストを飾る作品ということで、今回も力が入りまくりでしたね。
なんといっても雰囲気がいいですね、やっぱり「館モノ」は偉大です!!
「禅田殺害のトリック」はほぼ推理の通りでした!!
やったね!!
もっとも、ズレた角度は30度でしたが……。
でも、いいんだよ。
2話時点で推理していた「螺旋階段により方向感覚を奪う殺害現場誤認トリック」は当たってたんだから。
うん……せめて自分は自分を褒めてやりたい。
・【トリック予想開始】「薔薇十字館殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
それにしても、この禅田殺害時のトリック。
金田一と美雪の2人を証人にする必要があったのか……。
あの場で金田一が残り、美雪1人が人を呼びに行ってれば相当シュールなことになってましたね。
ジゼルは閉じ込められたまま外へ出られない。
そのうちに、南端の部屋ではなく離れで禅田の死体が発見。
ところが、ジゼルも消えたまま……危うく意味不明な人間消失事件に発展しかねないことになっていたのか?
後からひょっこり出て来ても、怪しさ大爆発。
すぐに殺害現場誤認に気付かれ、トリック自体もおじゃんになってしまう。
そんなリスクがあるのにも関わらずトリックの要の目撃者役に2人も配置するなんて……ジゼルさん、半端ねぇ!!
1人で充分だろうに、肝が据わってるぅ!!
そして、皇の死体を運搬した配膳用エレベーターの角度はどうなっているのだろうか……と呟いてみたり。
でもって、3つの失言。
1.他のメンバーが居たにも関わらず「金田一と美雪」しか名前を呼ばなかったこと。
2.女湯に蓮花が浮かべてあったからと言って男湯にも浮かべているとは限らないが、それについて口にしたこと。
3.テーブルで禅田の死体の状況が確認出来ないにも関わらず、腕のないニオベの娘と例えたこと。
以上の3つでした。
3は意外性があって良かったですね。
テーブルが死体を覆うように配置していた以上、意味はある筈ですし。
9話でも振り返られていましたからね。
読者に注意を促していました。
てっきり、わざわざ狭い室内でボウガンで犯行に及んでいたので矢に意味があると思っていましたが、サプライズでした。
でも、残る2つは微妙かなぁ。
1は実生活でもよくあるけど、その場に居る人の全員の名前なんてわざわざ呼ばないよね。
かといって「皆さん、どうされたんですか?」と言うか言わないかも自由だし。
特に漫画だと主人公とヒロインがクローズアップされるのは当然で、他は黙殺されることもよくある。
それだけにこれをミスとするのは違和感があるなぁ。
次いで2について。
もっとも納得いかないのはこれかなぁ。
女湯に蓮花が浮かべられていたら、男湯にも浮かべられていると想像する方が自然だと思うんだけど。
むしろ、何も浮かべていないと考える方が不自然。
少なくとも「見ても居ないのに男湯に蓮花が浮かんでいると口にした」ことをミスと言い切るならば、同じ程度に「そう考えても不思議ではない」との意見もありうると思う。
正直、3にこそ仕掛けが施されていることは理解できたが、残りの2つは論拠として弱いかなぁ……。
そう言えば、禅田の着物の袖を見せつける為に挙げた悲鳴が「白樹先生のような声」だったことにはどんな意味があったのか……。
とはいえ、11話で判明した事実により残された謎は……。
・高遠の妹問題(もう故人な気がするなぁ)。
・高遠の去就(どうも金田一に対して態度が柔らかいような……何か考えてる?)。
・白樹の兄問題(これがどうなるのか……)。
・ホテル火災の原因。
・ジゼルの生死(高遠の様子がどうもおかしいので生存する可能性もある?)。
こんなところ?
ちなみに「月読ジゼル」が「月読」と「ジゼル」と2種類の薔薇を指すとのことで、「美咲蓮花」もまた1人の名前である可能性が高まりましたね。
そして、佐久羅自体にも何か秘密がありそうな気もするけど……。
さらに、高遠の異母妹は既に故人のような気がしますね。
父の発言「死ぬまで会えない」=「死ななければ会えない」ということか。
これがローズグランドホテルの火災に絡むのか、そもそも全く関係ないのか。
此処も注目!!
さて、まだ最終話ではないので些か早いですが「薔薇十字館殺人事件」自体の感想を。
「犯人当て」と「トリック当て」は「トリックを解明することで犯人が特定出来る」からこそ相性も良くまた醍醐味でもあるワケですが、これが特に関連しないのならば思い切って倒叙形式で犯人を早期に明かし「トリックのみ(ハウダニット)」特化で物語にした方が映えた気はしますね。
「薔薇十字館殺人事件」のトリックならばそれが可能なだけのポテンシャルは秘めていたと思う。
これに「犯人当て」要素を加えたことで、逆に煩雑化してしまっており、現状では20周年ラストとしては少し弱い気がします。
とはいえ、まだ数話ある筈なので此処からの意外な展開にも期待したり。
12話は此処まで。
以上を踏まえつつ、13話に期待!!
ちなみに「香港九龍財宝殺人事件」が2013年1月12日土曜日にドラマ放送されました。
ドラマ版について詳しくはこちらをどうぞ!!
ドラマ版はブルーレイ、DVDも発売とのこと、興味のある方はアマゾンさんのリンクを下記に用意したのでどうぞ!!
・ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
さらに「リアル脱出ゲーム」さんとコラボすることも判明。
タイトルは「からくり館からの脱出」とのこと。
さらに「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」イベントも開催予定。
こちらも注目です!!
・超イベント開催判明!!「金田一少年の事件簿×リアル脱出ゲーム『からくり館からの脱出』」とは!?
・「金田一少年の事件簿」ファンは鳥取へ向かえ!!「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」が2012年11月3日、4日開催予定!!
◆「薔薇十字館殺人事件」関連過去記事
・「薔薇十字館殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【トリック予想開始】「薔薇十字館殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第1回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第2回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【薔薇密室のトリックに挑戦!!】「薔薇十字館殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第4の殺人トリック予想】「薔薇十字館殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【犯人を絞り込みました!!】「薔薇十字館殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【いよいよ佳境】「薔薇十字館殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【遂に結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【結論の結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第10話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「薔薇十字館殺人事件」は2012年12月26日より「週刊少年マガジン」にて連載開始!!
・「金田一少年の事件簿」20周年記念最終エピソードのタイトル判明、その名も「薔薇十字館殺人事件」!!遂に「あの人」も登場!?
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
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◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。
◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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