犯人は“あの人”だった。
だが、“あの人”の足掻きは続く。
これに止めを刺す、あの人物。
そして、明らかとなる動機の内容とは……。
【「薔薇十字館殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。
高遠遥一:ご存知「地獄の傀儡師」。今回に限っては犯人ではない。
白樹紅音:不動高校の教師、呪われし高校伝説に一役買いそうな予感。
佐久羅京:写真家。
祭沢一心:社長。第3の被害者に……。
冬野八重姫:フラワー・アーティスト。
月読ジゼル:歌人。
小金井睦:薔薇園経営者。第2の被害者に……。
禅田みるく:織物師。第4の被害者に……。
皇翔:第1の被害者。バラバラ死体で発見される。
毛利御門:薔薇十字館の執事を名乗る男。
ローゼンクロイツ:高遠に挑戦状を送りつけた怪人物。
<13話あらすじ>
・前回まではこちら。
【3つの失言の正体!!】「薔薇十字館殺人事件」第12話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
唯一の頼りであったトリックも看破。
さらに、自身の失言が原因で犯人として断定されたと知ったジゼル。
だが、未だ決定的な証拠は存在しないと粘りを見せる。
これに対し、高遠は禅田殺害のトリックに用いた袖を回収したと嘯く。
そんな馬鹿な、アレはここに……動揺したジゼルはスカートに隠した右袖を確認しようとし、ハタと気付く。
だが、既に遅かった。
ツカツカとジゼルに歩み寄った高遠はジゼルのスカートから禅田の右袖を回収する。
高遠が見せたのは禅田の左袖であった。
すべては罠だったのだ。
ジゼルが袖を持っていたことで犯人である動かぬ証拠となった。
こうして、ジゼルは犯行を認め動機を語り出す。
自身の名を「美咲ジゼル」であると明かすジゼル。
月読は養父母の姓だそうだ。
月読の姓を名乗る前までは母1人娘1人ながらも幸せに暮らしていたらしい。
そして、母の名こそ「美咲蓮花」であった。
これを聞くや悲鳴を上げる冬野。
金田一の推理通り、過去にローズグランドホテルで行われた「青薔薇の発表会」が事の発端らしい。
青薔薇を完成させ発表した美咲蓮花。
ところが、お披露目会場となったローズグランドホテルの警備はまるでザル。
不安を覚えた蓮花は様子を見るべくジゼルを置いて部屋を出た。
その頃、お披露目会場。
蓮花の不安は見事に的中。
皇を筆頭に、小金井、祭沢、冬野、禅田の5人が会社経営に行き詰まり、青薔薇に前途を見出そうとしていた。
もちろん、蓮花の了承は得ていない。
非合法な手段のもと、盗み出そうと考えたのだ。
彼らにとっては都合がよく、蓮花にとっては都合の悪いことに、ホテルの警備はほぼ機能していない。
皇たちは青薔薇を盗む為に、ケースを割ってしまう。
しかし、彼らは此処で発覚後のことについてふと考えた。
ケースが割れる理由が必要だ。
此処で皇が「燃やしてしまえばいい」と言い出した。
燃やすことで、スプリンクラーが起動し水圧でケースが割れたことにすればよいとの主張である。
ついでに忍び込んだ形跡も、水が洗い流してくれるだろうとの目算もあったようだ。
こうして、いざ火を点けてみたが……スプリンクラーが全く起動しない。
焦るうちに、火は燃え広がる。
もはや、止められそうにもない。
肝心の青薔薇も燃えてしまっている。
慌てて逃げ出す皇たちだが、其処を蓮花に目撃されてしまった。
またも皇が蓮花の口封じを思い立つ。
気絶させると、火の中に放置したのだ。
なんてことを……口々に批難する金田一たち。
佐久羅は「妹かもしれない人が居たかもしれないのに!!」と叫ぶ。
これに反応を示す白樹。
一方、ジゼルはいつまでたっても戻って来ない母に不安を覚えていた。
其処へ火事の発生である。
慌てて蓮花のもとへ向かうが、扉は焼けており到底開けられそうにない。
中からは蓮花のものと思しき「あの5人にやられた」との呻き声が聞こえて来る。
必死に扉を開けようとするが、ローズグランドホテルはこんなところだけは頑丈であった。
そうこうしているうちに、ジゼル1人が助け出されることとなったのである。
その後、蓮花の遺体が収容された。
遺体は5種類の薔薇を抱えていたと言う。
これを目にしたジゼルは薔薇こそが蓮花のダイイングメッセージであると気付く。
だが、4つは焼けてしまい判別が不可能であった。
残された1つこそは皇翔。
これに思い当たったジゼルは復讐を誓う―――14話に続く。
<感想&推理>
新シリーズ「薔薇十字館殺人事件」第13話です。
20周年記念のラストを飾る作品ということで、今回も力が入りまくりでしたね。
なんといっても雰囲気がいいですね、やっぱり「館モノ」は偉大です!!
遂にジゼルが犯行を認め、動機が語られました。
それにしても、読者の推理する余地のない物証(袖)でジゼルの犯行が成立してしまいました。
ちょっと、残念かなぁ……。
でもって、「美咲蓮花」がジゼルの母であったことも判明。
此処は推理通り。
一方で、佐久羅と白樹先生の兄妹フラグが立ちましたね。
これで白樹先生の兄問題は解決か。
そして、ローズグランドホテルの警備がザルだったことや、スプリンクラーを停止させていたのは毛利の仕業かな?
でないと、毛利の意味がないし。
それにしても、不可解なのは皇たち5人の青薔薇盗難の動機。
てっきり、青薔薇を得て大金ゲットが狙いかと思いきや、どちらかと言えば現状(会社)を維持する為に欲していたとは。
でも、それならば、5人とも青薔薇なしで現状維持出来てんじゃん。
これだったら下手に手出ししない方が安全だったのでは……モヤモヤ。
そして、警備はザルなのに扉と閂だけは頑丈なローズグランドホテル。
薔薇十字館同様に誰かを殺害する為に建てられた建物なのか……恐るべし。
そう言えば、薔薇十字館の所有者はジゼルでいいの?
さらに、ジゼルが父の顔を知らないことも判明。
これが高遠の妹に繋がるのか、それとも繋がらないのか。
どちらに転んでも、より良い展開に貢献するとはちょっと思えない……。
あと、禅田の着物の袖を見せつける為に挙げた悲鳴が「白樹先生のような声」だったことにはどんな意味があったのか……。
とはいえ、13話で判明した事実により残された謎は……。
・高遠の妹問題(もう故人な気がするなぁ)。
・高遠の去就(どうも金田一に対して態度が柔らかいような……何か考えてる?)。
・白樹の兄問題(13話の描写で佐久羅か)。
・ジゼルの生死(高遠の様子がどうもおかしいので生存する可能性もある?)。
こんなところ?
さて、まだ最終話ではないので些か早いですが「薔薇十字館殺人事件」自体の感想を。
「犯人当て」と「トリック当て」は「トリックを解明することで犯人が特定出来る」からこそ相性も良くまた醍醐味でもあるワケですが、これが特に関連しないのならば思い切って倒叙形式で犯人を早期に明かし「トリックのみ(ハウダニット)」特化で物語にした方が映えた気はしますね。
「薔薇十字館殺人事件」のトリックならばそれが可能なだけのポテンシャルは秘めていたと思う。
これに「犯人当て」要素を加えたことで、逆に煩雑化してしまっており、現状では20周年ラストとしては少し弱い気がします。
とはいえ、まだ数話ある筈なので此処からの意外な展開にも期待したり。
13話は此処まで。
以上を踏まえつつ、14話に期待!!
ちなみに「香港九龍財宝殺人事件」が2013年1月12日土曜日にドラマ放送されました。
ドラマ版について詳しくはこちらをどうぞ!!
ドラマ版はブルーレイ、DVDも発売とのこと、興味のある方はアマゾンさんのリンクを下記に用意したのでどうぞ!!
・ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
さらに「リアル脱出ゲーム」さんとコラボすることも判明。
タイトルは「からくり館からの脱出」とのこと。
さらに「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」イベントも開催予定。
こちらも注目です!!
・超イベント開催判明!!「金田一少年の事件簿×リアル脱出ゲーム『からくり館からの脱出』」とは!?
・「金田一少年の事件簿」ファンは鳥取へ向かえ!!「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」が2012年11月3日、4日開催予定!!
◆「薔薇十字館殺人事件」関連過去記事
・「薔薇十字館殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【トリック予想開始】「薔薇十字館殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第1回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第2回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【薔薇密室のトリックに挑戦!!】「薔薇十字館殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【第4の殺人トリック予想】「薔薇十字館殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【犯人を絞り込みました!!】「薔薇十字館殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【いよいよ佳境】「薔薇十字館殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【遂に結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【結論の結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第10話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「薔薇十字館殺人事件」は2012年12月26日より「週刊少年マガジン」にて連載開始!!
・「金田一少年の事件簿」20周年記念最終エピソードのタイトル判明、その名も「薔薇十字館殺人事件」!!遂に「あの人」も登場!?
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
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