2013年04月18日

【新章へのプロローグ】「薔薇十字館殺人事件」最終話(第14話)(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【新章へのプロローグ】「薔薇十字館殺人事件」最終話(第14話)(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

犯人は逮捕された。
だが、高遠は自身のルーツを追うことを止めない。
彼と金田一少年……平行線と評された彼らが交わることはあるのだろうか?
そして、舞台は次なる“館”に……!!


【「薔薇十字館殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

高遠遥一:ご存知「地獄の傀儡師」。今回に限っては犯人ではない。

白樹紅音:不動高校の教師、呪われし高校伝説に一役買いそうな予感。
佐久羅京:写真家。
祭沢一心:社長。第3の被害者に……。
冬野八重姫:フラワー・アーティスト。
月読ジゼル:歌人。
小金井睦:薔薇園経営者。第2の被害者に……。
禅田みるく:織物師。第4の被害者に……。
皇翔:第1の被害者。バラバラ死体で発見される。
毛利御門:薔薇十字館の執事を名乗る男。

ローゼンクロイツ:高遠に挑戦状を送りつけた怪人物。

<14話あらすじ>

・前回まではこちら。
【動機解明】「薔薇十字館殺人事件」第13話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

ジゼルの動機語りは続く。

ローズグランドホテルの火災により、母・蓮花を亡くしたジゼル。
その蓮花は死の直前に「皇翔」を示すダイイング・メッセージを残す。
だが、年若いジゼルにはどうしようもない。

数年後―――養家となった月読家で成長し、詩人として頭角を現したジゼル。
遂にあのときの真相解明に乗り出す。
亡き父から異母兄の資産として管理を委ねられていた「薔薇十字館」、その売却を餌に皇翔を呼び出したのだ。
彼の口から他の犯人の名を聞き出そうとしたのである。

ところが、皇は開き直るや逆上しジゼルを襲う。
揉み合ううちに皇は階段から転落、死亡してしまう。

人殺しになってしまった―――放心状態のジゼルはふらふらと公園へ。
これこそが、何かの導きだったのだろうか。

其処には道化師のマスクを被った男がマジックを披露していた。
“蜉蝣”という名の特殊な薔薇を用いた消失・出現トリックに感嘆する聴衆たち。

遠くからこれを眺めていたジゼルは、“蜉蝣”を持つ者が異母兄であると聞かされていたことを思い出す。
では、あれが私の異母兄さん……天涯孤独なジゼルは駆け寄りたい衝動を必死に抑えた。
その目の前で、道化師は無造作に、あまりに無造作にマスクを脱いだ。

その顔を目にしたジゼルは衝撃を受ける。
道化師は「地獄の傀儡師」こと高遠であった。
高遠が異母兄だと知ったジゼルは、自身の殺害が血によるものであると思い込む。

じゃあ、仕方がないじゃない。
行動に免罪符を得たジゼルは皇の死体を切断しつつ、復讐計画を決意する。
それこそが、ジゼルに流れる血の業なのだから。

そして、ジゼルは当時の宿泊客全員に脅迫状を送りつけた。
これに応じた者こそが仇なのだ。

白樹、佐久羅、毛利を見まわすジゼル。
「あなたたちも疚しいことがあるんでしょう?」

このジゼルの言葉に毛利が謝罪する。
毛利はローズグランドホテルの支配人であった。
スプリンクラーなど防火設備が整っていないことを知りながら、営業していたのだ。
ジゼルもこれを知るがゆえに、彼を執事として招いたらしい。

そして、高遠。
ジゼルは連続殺人の犯人役を彼に割り振ろうとしたのだ。

異母妹を殺せるか―――そう問いかけるジゼル。
だが、高遠は動じない。
自身を虚仮にした者には死を与えるのだ。
高遠の手にはナイフが握られていた。

「そう来ると思った!!」
ジゼルは懐に手を伸ばし、何やら対抗策をとろうとする。
しかし、高遠の動きはジゼルの予測を上回っていた。

「えっ!?」
目の前に詰め寄られたジゼルは高遠のナイフを胸に受けて倒れ込む。

「高遠っ!!」
叫ぶ金田一だが、高遠は表情を崩さない。
その視線の先には、倒れたジゼル……そして、何やらスイッチのようなものに刺さったナイフが。

高遠はジゼルを殺していなかった。
高遠はナイフをジゼルの胸元にあるスイッチに叩きつけることで気絶させたのだ。

ジゼルが所持していたスイッチは爆弾の起動スイッチであった。
「薔薇十字館」の構造上、トリックはすぐにバレる。
したがって、高遠が逮捕された後に館の各所の爆弾を起動させ、証拠を隠滅するつもりだったようだ。

「私ならそんなことはしません。彼女は私に似ていない」
それは高遠がジゼルを突き放したかのような台詞であった。
だが……異母兄として、妹を守ろうと言わせた台詞だったのかもしれない。

高遠の提案で、この仕掛けられた爆弾が用いれら毒薔薇が吹き飛ばされた。
こうして、脱出を果たした金田一たち。
高遠は約束通り逮捕されることになった。

数日後、不動高校。
金田一と美雪は今回の事件について語り合っていた。
逮捕された高遠だったが、予想通りあっさり逃げ出してしまったらしい。
何の為に苦労したのか……涙を流しながら大騒ぎする金田一。

しかし、騒ぐには時と場所が悪い。
白樹の授業中だったのだ。
金田一たちは廊下に立たされることに。

とはいえ、今度は邪魔も入らず話を続けることが出来る。
もしかして、白樹の配慮だったのだろうか?

そんな白樹は遂に兄と再会した。
白樹の兄は写真が好きで、白樹を良く撮影していた。
金田一は写真と言えば……と連想し、佐久羅の存在に思い至った。
この予想は大正解、佐久羅こそ白樹の兄だったのだ。

ローズグランドホテルの事故時、白樹は兄の面影を持つ少年の手を連れ逃げ出していた。
佐久羅は妹と思しき少女を見つけたが、写真を撮影しているうちに助けられなかった。

だが、今回の事件がきっかけで2人は兄妹として再会できたのだ。
もっとも、もう一方の兄妹にとっては悲劇的な結末に終わったが。

当の本人―――高遠は某所山深くに居た。
彼の目の前には新たな屋敷が。
此処に高遠のルーツに繋がるピースが存在するのか―――次のエピソードへ続く。

<感想&推理>

新シリーズ「薔薇十字館殺人事件」最終話(第14話)です。
20周年記念のラストを飾る作品ということで、今回も力が入りまくりでしたね。
なんといっても雰囲気がいいですね、やっぱり「館モノ」は偉大です!!

そんな最終話は高遠回でしたね。
「薔薇十字館殺人事件」、その真の主人公は高遠だったようです。
本話ラストでは、高遠父の遺産の1つと思われる謎の館が登場。
この館こそが、いずれエピソードの舞台となりそうです。

そして、奇しくも作中で高遠が認めた通り、「薔薇十字館」は爆破すれば犯行の痕跡を消せるようなトリック重視の館。
どうも、犯罪前提の館のような気がします。
さらに、高遠の父に繋がる館は「薔薇十字館」のようなトリックが秘められた匂いが……。
金田一が名探偵の孫であるように、高遠もまた犯罪コーディネーターの血族なのかもしれませんね。
だからこそ、母方ではなく父方のルーツが注目されているのか。
高遠は自分が仕掛けるのは良いけど、人に仕掛けられるのは嫌うタイプだから、血族故となると犯行を止めそうな気がする。
此処こそが金田一少年の最終回か。

それにしても、高遠がジゼルを自身に似てないと拒否したのにはどういった意味があるのか。
高遠の言葉通り、失望した故の拒否か。
あるいは、異母妹であるジゼルを自身の宿業に巻き込まぬが故の配慮か。
後者ならば、高遠なりの気遣いなのかもしれないなぁ。

そう言えば、白樹と佐久羅は兄妹と判明し良かったですね。
ただ、佐久羅は妹かもしれないと思った女性(妹ではありませんでしたが)を撮影を理由に見殺しにしてるのが怖いなぁ……。
妹かもしれない女性の遺族が居たら、十分に佐久羅殺害の犯行動機になりそうだ。
そして、毛利もまた大それたことをやってたんだなぁ。
ここら辺は触れない方がいいのかなぁ。

触れない方がと言えば、配膳用エレベータの角度の謎は最後まで謎として残り続けるようだなぁ……。

あと、禅田の着物の袖を見せつける為に挙げた悲鳴が「白樹先生のような声」だったことにはどんな意味があったのか……。

ちなみに、危険な館ということでローズグランドホテルもまた危険な建築物。
あれにも高遠パパの意向が入ってたりして……。
そして、「(異母妹には)死ななければ会えない」みたいな高遠パパの発言の意味は何だったのか?
もしかして、「普通人としての高遠が死亡し、犯罪コーディネーターと生まれ変わらなければ会えない」みたいな意味があったのか?

幾つか謎が残されましたね……気になります。

さて、「薔薇十字館殺人事件」自体の感想を。
「犯人当て」と「トリック当て」は「トリックを解明することで犯人が特定出来る」からこそ相性も良くまた醍醐味でもあるワケですが、これが特に関連しないのならば思い切って倒叙形式で犯人を早期に明かし「トリックのみ(ハウダニット)」特化で物語にした方が映えた気はしますね。
「薔薇十字館殺人事件」のトリックならばそれが可能なだけのポテンシャルは秘めていたと思う。
これに「犯人当て」要素を加えたことで、逆に猥雑化してしまっており、現状では20周年ラストとしては少し弱い気がします。

とはいえ、最終話で次回に繋がる締めとなっており、この点は良かったですね。
次のエピソードに期待!!

ちなみに「香港九龍財宝殺人事件」が2013年1月12日土曜日にドラマ放送されました。
ドラマ版について詳しくはこちらをどうぞ!!
ドラマ版はブルーレイ、DVDも発売とのこと、興味のある方はアマゾンさんのリンクを下記に用意したのでどうぞ!!

ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

さらに「リアル脱出ゲーム」さんとコラボすることも判明。
タイトルは「からくり館からの脱出」とのこと。
さらに「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」イベントも開催予定。
こちらも注目です!!

超イベント開催判明!!「金田一少年の事件簿×リアル脱出ゲーム『からくり館からの脱出』」とは!?

「金田一少年の事件簿」ファンは鳥取へ向かえ!!「若桜町ミステリーウォーキング 〜消えた金田一少年を追え!!〜」が2012年11月3日、4日開催予定!!

◆「薔薇十字館殺人事件」関連過去記事
「薔薇十字館殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【トリック予想開始】「薔薇十字館殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第1回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第2回犯人予想】「薔薇十字館殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【薔薇密室のトリックに挑戦!!】「薔薇十字館殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第4の殺人トリック予想】「薔薇十字館殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【犯人を絞り込みました!!】「薔薇十字館殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【いよいよ佳境】「薔薇十字館殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【遂に結論!?】「薔薇十字館殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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【3つの失言の正体!!】「薔薇十字館殺人事件」第12話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【動機解明】「薔薇十字館殺人事件」第13話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「薔薇十字館殺人事件」は2012年12月26日より「週刊少年マガジン」にて連載開始!!

「金田一少年の事件簿」20周年記念最終エピソードのタイトル判明、その名も「薔薇十字館殺人事件」!!遂に「あの人」も登場!?

◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)

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◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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