2013年04月23日

『狼と兎のゲーム(最終回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)

『狼と兎のゲーム(最終回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

超豪華執筆陣の「超」最新作!
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

我孫子武丸先生『狼と兎のゲーム』連載最終回です。

第1回から第4回まで主張し続けた“あの説”がまさかの正解。
第5回の茂雄の心象描写からアレはないと判断したのですが……よもやですね。
第5回の描写はどうやら、ガイアではなく今回判明したあの人を埋めたことを指していたのか。
なるほど、ミスリードでしたね。
こんなことなら、自説を押し通せば良かったなぁ……。

一方、ラストには衝撃が―――この結末は予想しなかった。
ただ、作品的な完成度を上げる為の衝撃よりは、意外性を狙った衝撃のような印象。
そう言えば、アンナ先生の存在も茂雄の残虐性を強調するに留まっており、少し勿体ない気もします。

そして、タイトル『狼と兎のゲーム』ですが「狩る者と狩られる者の逆転」ではなく「兎とされていた筈の1人も実は狼であった」との意味合いだったと言えそうです。

本作『狼と兎のゲーム』ですが、一冊の単行本になるとのことでまとめて読むとさらに印象が異なるかもしれませんね。
こちらも期待!!

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

父親・茂雄から虐待を受け続けるコスモとガイア。
コスモと友人であった智樹は彼から助けを求められる。
だが、子供である智樹には何も出来ない。

そんなある日、ガイアが死亡。
智樹とコスモは、その死体を埋める茂雄を見てしまう。
死体遺棄現場を目撃された茂雄は口封じの為に智樹を追う。
コスモは茂雄から逃れる為にその母のもとへ、これに智樹も付き添うことに。

コスモの母を追った2人は成美と出会い、生きている証拠とされた母からのハガキが茂雄の偽装であると知ることに。
これに智樹は戦慄する。
何故ならば―――工作する必要があるということは茂雄が妻をも手に掛けているに他ならないからである。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

智樹とコスモを追う茂雄は、コスモがハガキを手掛かりに母親のもとへ向かったと推測。
だが、ハガキは茂雄自身が成美を利用しその住所を書かせた偽物である。
コスモの母は既にこの世に無い―――茂雄により殺害されているからだ。
従って、智樹たちが辿り着いた先は成美のもとに違いない。

こう考えた茂雄は成美の住所を調べるべく、成美と出会った店を訪ねる。
店長を騙し、住所を手に入れた茂雄は兎を狩るべく狩猟場へ。

一方、成美宅でお世話になった智樹とコスモ。
次なる目的地はないが、その場を去ることに。
これが功を奏した。

入替りに茂雄が現れたのだ。
この姿を目撃した智樹たちはホッと胸を撫で下ろす。
だが、智樹は正直困り果てていた。
もはや、コスモを助けるべき人が誰も居なくなってしまったのだ。

タッチの差で智樹たちに逃げられた茂雄は苛立ちをぶつけるように成美に暴行。
倒れた成美はピクリとも動かなくなってしまう。
茂雄は証拠をすべて消すと、その場を逃走する。

同じ頃、今後について頭を抱える智樹にコスモは地元へ戻ることを希望する。
茂雄が居ないうちに、良く知る土地に戻りたがったのだ。

とはいえ、これで何かが変わるワケではない。
やはり、悩み続ける智樹。
そんな智樹にコスモは茂雄殺害を持ちかける。
茂雄に母を殺害されていた事実がコスモに決断させたらしい。

しかし、相手は屈強な男。
其処には、まさに大人と子供の差がある。
コスモはこの差を埋めるべく、棒に包丁を括りつけた即席の槍を作ることにする。

こうなると包丁を手に入れなければならない。
智樹はコスモに誘われるままに、彼の自宅へ。
茂雄の先回りを警戒する智樹だが、コスモは妙な度胸を発揮し退こうとしない。
嫌な予感を抱く智樹。

この予感は的中。
茂雄は手ぐすね引いて待ち構えていた。

遂に狼に捕まった兎たち……智樹は茂雄がガイアの母とコスモを殺したと主張する。
だが、茂雄はこれをせせら笑う。

実は、ガイアを殺害したのは兄であるコスモであった。
ガイアが茂雄のパソコンを壊してしまった。
当然、これを知った茂雄はコスモかガイアか原因となった者を怒りに任せ虐待するだろう。
ガイアはコスモに罪を着せようとした。
そんなガイアの態度に逆上したコスモは、これを殺害してしまったのだ。

帰宅した茂雄はガイアの死体を発見。
表沙汰にすれば自身の過去の罪も問われると思い、妻の隣にガイアを埋めたのだ。
コスモは自らの罪から逃れるべく、智樹を利用し茂雄の犯行に偽装したのである。
こうして茂雄はコスモの罪を責め、見逃す代わりに智樹を殺せと迫る。

まさか、そんなことは……コスモを眺める智樹だが、コスモの目には暗い光が灯っていた。
包丁を手に智樹へと迫るコスモ。
と、其処へ何者かが飛び込んできて……。

数日後、入院した成美の前に智樹が居た。
あの日、店長は茂雄を不審に思い成美を気にかけ自宅を訪問。
瀕死の成美を発見し通報した。
此処から茂雄の悪事が露見し、ギリギリでの逮捕劇に繋がったのだ。
飛び込んで来たのは、通報を受けた警官だったのである。
茂雄はその場で逮捕された。
そして、コスモは……。

成美は智樹にコスモについて尋ねる。
智樹は泣きじゃくりながら応じる。

あのとき、智樹が救出されたあのとき。
コスモは自らの首をその手にした包丁で突いたのである―――エンド。

2013年7月29日追記

単行本版『狼と兎のゲーム』、読みました。
連載時に比べ、ラストに追加が為されています。

単行本版では連載時のラストの後に、次のような内容の描写が加えられました。

「茂雄宅から妻とガイアの遺体が発見された。
茂雄は妻殺害は認めたが、ガイアについてはコスモの犯行であると否定した。
これについて、詳細は智樹が知っていると供述したのである。

だが、智樹は何も知らないと主張。
結果、茂雄は妻とガイア殺害の容疑で罪に問われ、無期懲役の判決を受けた」

この描写が加えられたことで、友人の死を契機とした兎が最後の最後に狼に対し一矢報いたと言えそうです。
それと「あとがき」によると本来は「ミステリーランド」に向けた作品だったとのこと。
なるほど、それで主人公が智樹だったのか。
こうしてみると、本作のテーマは「友情」だったんだなぁ……。

追記終わり


◆関連過去記事

「狼と兎のゲーム(第1回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

「狼と兎のゲーム(第2回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第3回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第4回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第5回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

・[速水三兄妹シリーズ]
「8の殺人」(講談社)ネタバレ書評(レビュー)

『夏に消えた少女』(我孫子武丸著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『里親面接』(我孫子武丸著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ

『狙われた病室(監禁探偵2)』(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)まとめ

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(我孫子先生担当の「盗まれたフィギュア」について推理)

2013年7月25日発売予定!!
単行本化された「狼と兎のゲーム」です!!
狼と兎のゲーム





最終回が掲載された「メフィスト 2013 VOL.1 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2013 VOL.1 (講談社ノベルス)





『狼と兎のゲーム(第5回)』が掲載された「メフィスト 2012 VOL.3 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2012 VOL.3 (講談社ノベルス)





「監禁探偵2 ~狙われた病室~」です!!
監禁探偵2 ~狙われた病室~





我孫子先生が原作を担当したコミック「監禁探偵 (マンサンコミックス)」です!!
監禁探偵 (マンサンコミックス)





我孫子武丸先生の「殺戮にいたる病 (講談社文庫)」です!!
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同じく「弥勒の掌 (文春文庫)」です!!
弥勒の掌 (文春文庫)





◆我孫子武丸先生のその他の作品はこちら。


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