2013年04月26日

「名探偵マーニー」第37話「キャンプフィーバー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第37話「キャンプフィーバー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第37話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

久儀良太郎:巷で噂の少年探偵。32話、34話、37話に登場。
町名葉香:良太郎の同級生。自称・良太郎の助手。34話、37話に登場。
前川広大:良太郎のクラスメートの1人。お寺の息子で良太郎を嫌っている。37話に登場。
河原崎:良太郎のクラスメートの1人。太めな少年。37話に登場。
近衛兄妹:良太郎のクラスメート。双子の兄妹。37話に登場。
紫崎:良太郎のクラスメート。大人しそうな女子生徒。37話に登場。

牛男:牛の仮面を被った猟奇殺人鬼らしいが……。37話に登場。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

この日、マーニーの姿はキャンプ場にあった。
その傍らにはマーニーを師匠と慕う良太郎の姿もある。

今回の依頼人は良太郎であった。

なんでも良太郎と仲間たちの間で、キャンプ場で泊りがけの冒険をしようとの企画が持ち上がった。
だが、子供たちだけで一泊が許される筈もない。
其処で、気心の知れた大人に保護者になって貰おうとの意見が出たのである。
結果、良太郎の推薦でマーニーに白羽の矢が立ったのであった。

依頼料が支払われれば既に依頼人だ。
マーニーはあまり気乗りがしないものの、依頼を引き受けることに。
そして、キャンプ場に居るのである。

このキャンプに参加したメンバーはマーニーを除けば次の7人。
まずはグループのリーダー・良太郎。
そして、その助手にして恋人・葉香。
大人しそうな女子生徒・紫崎。
男女の双子である近衛兄妹。
気の良さそうな巨漢・河原崎。
そして、お寺の息子である前川広大。

どうも前川は良太郎に良い感情を抱いていない様子。
ことあるごとに突っかかる。
これを大過なくまとめなければならず、マーニーの気苦労は絶えない。
折角、ロイドに借りた釣り道具一式も日の目を見ることはなさそうだ。

そんな中、前川からキャンプ場付近にある廃病院探検が提案される。
乗り気になるメンバーたち。

もちろん、保護者としては了承できる筈もない。
だが、彼らの熱意を押し留めることもマーニーに出来る筈がない。
結局、病院前で写真を撮影して終わるのならと条件付きで許すことに。

そして夜―――廃病院前にマーニーたちは現れた。
思わぬ冒険に興奮気味の彼らはマーニーが止めるのも聞かず院内へと入ってしまう。
条件付きで許可したことを後悔するマーニーだが、もう遅い。
仕方なくマーニーも後を追うことに。

廃病院内は寂れた空気に覆われていた。
特に人の出入りがあった様子もない。
前川は「牛男」の物語を始める。

この廃病院が未だ営業していた頃の話である。
医者か患者か正体不明の牛の仮面を着用した男が斧を手に暴れまわり、多数の死傷者を出したのだそうだ。
男はひとしきり殺戮を尽くすと、キャンプ場近くの湖に消えたらしい。

保護者として子供たちを危険に曝すわけにはいかない。
ヤキモキするマーニーをよそに盛り上がる一同。
こうなれば、さっさと済ませてしまう他ない。
マーニーは全体図を把握すると、最短ルートを巡ることにする。

と、途中で妙な悲鳴と誰かの足音が……。
子供たちを其処に待機させつつ、様子を窺うマーニー。

すると、其処には―――牛男が居たのである!!
しかも、ご丁寧なことに噂通りの斧を手にしている。

驚き慌てるマーニー。
だが、マーニーは危機管理にも精通したプロである。
子供たちのもとへ戻ると、自身が残ると告げると彼らに逃走ルートを提示する。

だが、前川はこれに不満な様子。
「寺の息子として、霊力で牛男を倒す」と主張する。
「遊びじゃないぞ!!」前川を一喝したマーニーは牛男と対決するべく元の場所へ。

数分後、マーニーに教えられたルートから脱出した良太郎たち。
ところが前川が欠けていることに気付く。
言いつけに背いたのか……戸惑う彼らだったが。

その頃、マーニーの足元には牛男が転がっていた。
マーニーの策に嵌まったのである。

マーニーは廃病院という立地を活かし、廊下にテグスを巡らせたのだ。
マスク越しの為に視界が狭いことと、暗さの為にテグスが見えない牛男はこれに絡めとられ、逃げようともがいた結果、テグスの先にあった棚に押し潰されたのだ。

「大丈夫ですか?」
だが、何故かマーニーは牛男を助け出そうとしている。
同時に後ろの気配に声をかける。

「前川君だね?」
マーニーの声に現れたのは消えた前川であった。

実は牛男は前川の狂言であった。
牛男を演じたのは前川の祖父。
「孫に頼まれまして……」前川の祖父は、マーニーに助け起こされながら額をかく。

前川は葉香たちのグループの元リーダーであった。
ところが、良太郎にその座を奪われてしまった。
さらに、当の良太郎は葉香と恋人になってしまう。
日に日に仲間内の評価は高まるばかり。

これに嫉妬を抱いた前川は自身の権威を高めようと自作自演の芝居を打ち、「霊能力探偵」としてグループのリーダーに復帰しようとしていたのである。

「それはリーダーのやるべきことじゃないよ」
マーニーの指摘を受けた前川は俯くのであった―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
コミックス1巻と2巻も発売中です!!
3巻も5月に発売予定!!

今回はその第37話「キャンプフィーバー」です。
32、34話に続き、良太郎君、3度目の登場です。

ホラー映画を意識した展開でしたね。
「キャンプ場」に「廃屋探検」、「マスクと斧を持った男」と、いかにもな感じで面白かった。

今回の真相自体も伏線が張られていてフェアでしたね。
前川君だけキャラ紹介に「寺の息子」とあったことや、「牛男」のエピソードを切りだしたのが彼であったこと、他のメンバーが動揺しているにも関わらず1人冷静であることから、狂言自体は分かり易かったと思います。
動機も良太郎君とのやり取りを見れば推測できましたね。
良かったです!!

内容的には「リーダーの責任」などが関わるのかな。
リーダーの器としても「仲間が冒険を望んだ為にこれを実現させようとマーニーを呼ぶなど努力した良太郎」に比べ、「自身のリーダーに返り咲きたいとの欲望のみを追求した前川」では勝負は見えていたか。

とはいえ、前川はまだ幼い。
むしろ、良太郎が子役として大人の世界で揉まれているからこその差と言えるでしょう。
頑張れ、前川広大。

それにしても、この後をどう取り繕ったかが気になりますね。
「場を盛り上げる為に前川が用意したサプライズだった」とでも誤魔化すのかな。
上手くまとまるといいなぁ。

内容的にエグイ筈なのに、割とほのぼのしたエピソードのように思えました。
これも作風なのでしょうか。

マーニーはやっぱりイイ!!
次回も期待です!!

ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻、2巻が発売中。
3巻も5月に発売予定。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話から30話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「名探偵マーニー」第31話「秘密のゆりかちゃん」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話、23話、24話、25話、26話、28話、30話、31話、32話に登場。
前花:マーニーの友人。オカルトに造詣が深いらしい。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話、19話、21話で登場。
累:白鳥の友人。1話、22話、36話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話、21話、30話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話、20話、25話(25話は名前だけ)に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。27話にて趣味はロードレースと判明。17話、27話、28話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
波峰りあ:マーニーとゆりかの同級生。巻野という名の幼馴染で年上の彼氏が居るらしいが……24話に登場。
浜沢志乃:マーニーの同級生、不動産を多数所持する。「幽霊マンション」もそのひとつ。25話に登場。
枯野:目立とうとしない天才。マーニーも一目置く。26話に登場。
3人組:マーニーのファンたち。探偵団を結成しようとするが……。26話に登場。
万田:マーニーたちの通う学校の副校長。30話に登場。

【警察&探偵】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話、24話、29話で登場。
武頼:ロイドの先輩。22話にて登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:ある特異な趣味を持った大学生。ゆりかと交際中。4話、23話、24話、28話、31話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
雨畑:テレビ局プロデューサー。9話、32話に登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話、21話(名前のみ)に登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。病を患っていたが回復した様子。11、33話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
玄武:大学生。日本有数のセレブで白鳥の知人。19話より登場。
宝蔵院はるか:大学生。玄武のフィアンセ。玄武同様にセレブ。19話より登場。
町会長:マーニーとロイドが暮らす地域の会長。20話、33話に登場。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。20話より登場。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。20話より登場。
ラッキー:白鳥が保護した「首なし鶏」。21話に登場。
君津和臣:化粧品メーカーの重役。今回の依頼人。22話にて登場。
日出有吉:木ノ崎順也の功績はこの人物の物であった。22話にて登場。
武藤遊助:片岡のいとこ。国公立トップである東都大学のエリート学生。23話で登場。
メカニック:マーニーの宿敵。最凶最悪の愉快犯。29話、36話に登場。
佐賀瀬清:元特捜班刑事。ロイド、毛利の先輩。29話に登場。
久儀良太郎:巷で噂の少年探偵。32話、34話、37話に登場。
赤名日登美:女優。ある意外な秘密が。33話より登場。
町名葉香:良太郎の同級生。自称・良太郎の助手。34話、37話に登場。
如月アリア:誰もが知る芸能界の超有名人。36話で登場。
前川広大:良太郎のクラスメートの1人。お寺の息子で良太郎を嫌っている。37話に登場。
河原崎:良太郎のクラスメートの1人。太めな少年。37話に登場。
近衛兄妹:良太郎のクラスメート。双子の兄妹。37話に登場。
紫崎:良太郎のクラスメート。大人しそうな女子生徒。37話に登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11、33話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
はるかの母:はるかの母。健康志向であった筈だが……。19話より登場。
木ノ崎順也:『悪意の天国』で知られる往年の名監督。その正体は誰も知らない。
巻野大輝:波峰の彼氏とされる人物、誰も姿を見た者がいない。24話に登場。
古書泥棒:2人組、リーダー格は「LUCK」と指に刺青している。
大神:自転車のチューンナップを生業とする男性。27話に登場。
ゴーストレーサー:髑髏マスクに黒装束の怪人。その正体は……。27話に登場。
お腹の大きな猫:エリオットに連れられてやって来た猫。
高齢の女性:迷子になった息子を捜す老婦人。30話に登場。
本泉耕作:68歳男性。入院中。34話に登場。
葉香の祖母:68歳女性。34話に登場。
マリ子:葉香の母。34話に名前だけ登場。
瀬田:育恵の夫、入院中。35話に登場。
瀬田育恵:今回の依頼人、瀬田とは一回りほど年が違う。35話に登場。
郷里:瀬田が病床にて呼び続ける名前。友人らしいが……。35話に登場。
郷里利絵子:郷里の妻。故人。35話に登場。
鴻上有:幼児期のアリアの家庭教師をしていた。アリアの初恋の相手らしいが……。36話で登場。
牛男:牛の仮面を被った猟奇殺人鬼らしいが……。37話に登場。

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