2013年05月06日

「電波の城」(細野不二彦作、小学館刊『週刊ビッグコミックスピリッツ』掲載)1話から214話「日はまた昇る」までネタバレ批評(レビュー)

「電波の城」(細野不二彦作、小学館刊『週刊ビッグコミックスピリッツ』掲載)1話から214話「日はまた昇る」までネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

天宮詩織はローカルラジオ局のアナウンサーを辞め、キーテレビ局のアナウンサーになるべく上京して来た。
一時栄華を誇りながら今は寂れた鯨岡の芸能プロダクションに所属した彼女は早速、行動に移す。

本城律子や立花哲人など「電波の城」に住まう怪物相手にも、一歩も退かない詩織。
さらには、度重なる危機を類稀なる才知と胆力により、幾度となく乗り越えた結果、立花の死に伴い番組を引き継ぐまでに。

一方で、記者の谷口ハジメと知り合い、今は病床に臥す父・天宮理一に似た彼に惹かれて行き、遂に関係を持つに至った。

公私ともに順風満帆に思われた詩織。
だが、彼女の出生に纏わる闇は直ぐそこまで迫っていたのである。

実は詩織は「聖レムリア教団」の生き残りであった。
しかも、「聖レムリア教団」の姫・朱雀院ひな子だったのだ。
「聖レムリア教団」は過去に謎の集団自決を引き起こし壊滅していた。
だが、詩織こと朱雀院ひな子はその直前に脱出していたのである。

母方に引き取られた後、天宮理一のもとで養育された詩織。
実は詩織は理一の実の娘であった。
親娘の名乗りを上げた彼らは2人で暮らし始めるが……。

「聖レムリア教団」には他にも生き残りが居たのだ。
生き残りは「聖レムリア教団」を再建すべく詩織擁立を目論み、これを奪回しようとする。
だが、理一の必死の抵抗に遭い失敗、落命する。
しかし、理一もまたこの際の後遺症で病床に臥すことに。

実は理一は事あるを予期し、実弾入りの拳銃を用意していた。
ところが、これを見つけた詩織により実弾を摩り替えられており肝心な時に役に立たせることが出来なかったのである。
これに責任を感じた詩織は、理一の夢である日本を代表するジャーナリストを目指すようになったのだ。

そして、その夢実現まで迫りつつあったのだが……。
此処に来て、詩織の出生の秘密に辿り着く者が現れた。
谷口ハジメの先輩ジャーナリストの三隅である。
三隅はジャーナリストとして、詩織の過去を出版しようとする。

一方、詩織は理一が自身を守る為に犯した殺人を隠すべく、三隅の排除を決意する。
その手にはあの時、撃てなかった拳銃が握られていた。

密かに三隅との会談の場を設けた詩織。
遂に彼女自身の手で発砲し、三隅を殺害してしまう。

だが、既に三隅に続き詩織の秘密に近付きつつある者がいた。
他ならぬ……谷口ハジメであった。
この事実を詩織は知らない―――続く。

<感想>

これまでのサクセスストーリーから一転、破滅へと舵がきられた214話。
そのサブタイトルが「日はまた昇る」なのも、因縁を感じさせますね。
作中にて幾度となく引用された、後の谷口ハジメの手記からこうなることはある程度予測出来てはいましたが、やはり驚きでした。

それぞれの住む世界が違い過ぎたのでしょうか。
修羅場をくぐって来た詩織と、理想を追い続けた三隅では相容れない。
三隅は本当の修羅場を知らなかったのでしょう。
ゆえに、命を落とした。

だが、詩織もまた知らない。
同じく理想を追い続ける谷口が立ちはだかったときにどうすべきかを。
何より理想を追う者というスタイルこそ、彼女が憧れを抱き続けてきた父・理一に重なるものであることを。
これを知るとき、詩織もまた命を落としそうな予感がします。

遂に佳境に突入しつつある『電波の城』、今後の展開に要注目です!!

◆関連過去記事
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「ダブル・フェイス」(細野不二彦著、小学館ビッグコミック連載)が遂に最終回&ネタバレ批評(レビュー)

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