2013年05月08日

「遺留捜査(2013年)」第4話「ふたつの茶杯」(5月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「遺留捜査(2013年)」第4話「ふたつの茶杯」(5月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

ある日の深夜――。カリスマ数学教師・安西俊明(北見敏之)が勤務先である名門女子高の講師室において、鋭利な刃物で切りつけられて絶命。そばには凶器と思われるカッターナイフが落ちており、財布からは現金が抜き取られていた。しかも不可解なことに、灰皿には紙を燃やしたような灰が残っており、被害者の手にも微量の灰が付着していたのだ。

そんな中、現場を検証した糸村聡(上川隆也)は、部屋の一角に目を留める。そこには、被害者の持ち物である中国茶用の茶碗が2つ置いてあった。だが、室内にコーヒーはあったものの、中国茶の茶葉は見当たらない。コーヒー党と思われる被害者が、なぜ中国茶用の茶碗など持っていたのか…!? 理由が気になって仕方がない糸村は、フリースクールの教師をしている被害者の息子・安西和也(黄川田将也)に茶碗を見せることに。だが、和也は見覚えがないという。なんでも大学受験に失敗して以来、エリート育成のみに価値を見出す俊明に切り捨てられ、絶縁状態だったそうだ。

一方、入校者名簿に目を通した森田宗介(西村雅彦)は、生徒の保護者・大橋良一(山中敦史)と教科書の販売業者・久保栄司(少路勇介)が最近、何度も俊明を訪問していた事実を掴む。時を同じくして、俊明が良一の娘・大橋香菜(荒井萌)と頻繁に携帯電話で連絡を取っていたことも判明。良一が“あること”で俊明と揉めていたことも明らかになる。しかも、香菜は事件当日から謎の失踪を遂げており…!?

月島中央署の面々が香菜を重要参考人として捜索する中、糸村は相変わらず茶碗に固執。東奔西走の末、雨宮玲子(森脇英理子)が経営する店で購入した品であることを突き止める。しかも、その店を訪れた糸村は、意外な人物と鉢合わせになり…! さらに、改めて事件現場を検証した糸村は思わぬ場所から、捜査の方向性を決定づける“重要な証拠”を見つける――。
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

エリート教育で知られる青葉女子学園の教師・安西俊明が頸動脈をカッターナイフで刺され死亡した。
犯行現場は青葉女子学園講師室。
凶器のカッターナイフも発見され、安西の死体の前には何かの紙を焼いたと思われる灰が残されていた。
安西の財布からは現金が無くなっており、物盗りの犯行と思われたが……。

糸村は講師室に置かれた2杯の中国茶碗に注目する。
被害者は珈琲党だったようなのに、何故!?
こうなれば止まらない!!
糸村は携帯や灰を調べるように提言すると、自身は中国茶碗を追うことに。

糸村のことは仕方が無いと諦めている水沢たちは、糸村へのお目付け役に横山を付けると捜査を開始。

安西がその息子・和也と仲が悪かったことが判明。
安西和也はフリースクールの教師になっていた。
父・俊明に捨てられた反動だと和也は語るが……。
なんでも、和也はサッカー選手の夢がありながら、安西に否定されたことでその夢を諦めていた。
以来、ほぼ絶縁状態になっているらしい。

さらに、父兄の1人・大橋良一と帝国出版の久保が安西のもとを何度となく訪れていたことが判明。

大橋は娘・香菜の落第について撤回を求めていたのである。
安西は、どんな理由があれど自身の授業で3回欠席すると落第を課していた。
大橋は新学期から一度も登校しておらず、それが理由のようだが……。

一方、帝国出版の久保によれば、新教科書のガイダンスを求められたとのことだが……。

同じ頃、糸村はと言えば独自の捜査を貫いていた。
ネット上の好事家を経由して、俊明が所持していた中国茶用の茶碗を販売している店を突き止めることに成功したのだ。
「いとむらさぁ〜〜〜ん」
この間、お目付け役の横山は振り回されっぱなしである。

犯行現場付近の防犯カメラ映像を解析した結果、大橋香菜の姿が確認される。
落第を恨んだ香菜が復讐したのではないか……森田は香菜が犯人だと断定し、手配をかける。

そんなことは一切気にしない糸村は突き止めた雨宮玲子の経営する店へ。
ところが、其処で香菜が働いて居たのである!!
まさに瓢箪から駒、思わぬ形で香菜の身柄が保護された。
しかし、糸村はそれに興味を持たず雨宮から事情を尋ねていた。

その一方で、森田は糸村が安西宅から持ち帰った雑誌に興味を示していた……。

その頃、水沢は意外な事実を香菜から聞き出していた。
落第は香菜が望んだ結果だったのである。
3回休んだら落第との安西のルールだが、期末テストで及第点をとれば免れるのだ。
ところが、香菜はこれを拒否した。
香菜にはパティシエになりたいとの夢があった。
だが、両親はこれを無視していた。
そこで、香菜はフランス留学の手筈まで自身で整えていたのである。
その為に退学したがっていた。

当初、香菜の言葉を理解できない様子の安西だったが、香菜の意志を尊重したようである。
そしてあの日、香菜に話があると呼び出したのだそうだ。

だが、香菜は安西が大橋と通じている可能性を考え、ギリギリで引き返していたのだ。
殺していないと主張する香菜。

だが、防犯カメラには香菜しか映っていない。
犯人は何処から犯行現場に侵入したのか……。

灰の鑑定が終了し、意外な事実が判明。
なんと、灰の正体は財布の中の現金だったのだ。
さらに、遺体発見現場から本物の凶器と思われるカッターナイフが発見される。

その頃、侵入経路について調べていた仙堂、遠山は、遅刻した女子生徒から塀を乗り越えれば防犯カメラ映像に残らないことを知る。

週刊誌をきっかけに過去の安西を調べ始めた森田。
安西は成績優秀者を優遇するあまり、ある事件を隠蔽していた。
なんと、吉岡ら優秀者複数による万引きを1人の生徒の責任に転嫁していたのだ。
責任を押し付けられた生徒の名は……。

本物の凶器と判明したカッターナイフから安西自身の指紋が確認される。
さらに、レモンオイルの成分も検出。
どうやら、安西自身が凶器を隠したようだ。

其処へ森田が登場、容疑者を指摘する。

容疑者とされたのは久保であった。
安西の自宅にあった雑誌、其処には「エリート官僚の収賄を特集した記事」が掲載されていた。
このエリート官僚こそ吉岡だったのだ。
そして、久保こそ過去に起こった吉岡による万引き事件の罪を押し付けられた生徒だったのだ。
久保は万引き事件後、イジメを受け退学していた。

久保の趣味はギターであった。
その手入れにはレモンオイルを用いる。
さらに、青葉女子学園の塀から久保の指紋が発見されたのだ。
久保が安西を殺害した犯人だったのだ。

高校退学後、仕事に苦労しつつ漸く帝国出版に契約社員として雇われた久保。
必死の努力の甲斐あって、正社員として雇われることとなった。

矢先、安西と再会した。
安西は久保を全く覚えていなかった。
それはそれで腹は立ったが、現在の関係上はむしろ良かったのかもしれないと自身を納得させた。
仕方が無かった。

ところが、安西は急に帝国出版との契約を見直したいと主張し出した。
学力至上主義ではなく、違う景色を見たいので教科書選定を考え直したいと言い出したのである。

もしも、これが通ってしまえば、久保の正社員話どころか契約社員自体もクビになってしまう。
久保は追い詰められた。

久保は自身が過去の安西の被害者であることを打ち明け、撤回を訴えた。
ところが、安西は契約破棄を譲らない。
一度ならず、二度までも……屈辱に震えた久保は安西を刺し、逃亡したのである。

久保は逮捕された。
そして、和也のフリースクールを訪れた糸村は、最後の安西の想いを伝える。

久保に刺された安西。
自身の罪の重さを悟った安西は、久保を庇おうと考えた。
3ヶ月前、安西が久保の代わりに庇った生徒が汚職で逮捕されたとの記事を目にしたことで安西の信念は揺らいでいた。
自身の教育に疑念を抱いたのだ。
そして、香菜と出会い、彼女の姿に別の教育を見た。

香菜は雨宮から夢を応援されていた。
その雨宮はある人物に夢を応援され、今の自分があると語っていた。

そのある人物こそ―――安西の息子・和也であった。
雨宮は和也のフリースクールでの教え子だったのだ。
そう、安西は初めて息子・和也の言葉に心を動かされたのだ。

安西は和也が中国茶が好きだと知っていた。
きっと、認めた息子と2人で息子の好きな物を飲みたかったのであろう。
だからこそ、4杯1組の中国茶碗を2杯だけ購入したのだ。

「遅い、遅すぎるよ……オヤジ」
これを伝え聞いた和也は泣き崩れる。

香菜はと言えば、夢を掴む為に逃げることなく大橋に挑むことに。
どうなるかは分からない。
だが、後悔することはないだろう―――4話了。

<感想>

3度、我々の前に姿を現した「遺留捜査(2013年版)」。
その第4話です。
前後編になりましたね。

コレですよ、コレを待っていたんですよ!!
まさに、「遺留捜査」らしい物語でした。
個人的に大満足です。

糸村の遺留品への執着。
振り回される横山君。
同じく、振り回される村木さん。
水沢は糸村を放任しつつ、要所で手綱を握る。
そして、仙堂と遠山ネタは鉄板だなぁ。
でもって、今シーズンより加わった森田が真犯人をすっぱ抜く。
雑誌という事件のキーを糸村が発見している点も、ポイント高し。

まさに、「遺留捜査」らしさの集大成と言える回でしょう。
そして……被害者の不条理も存在。
これまた「遺留捜査」らしさ。

安西は自身以外の教育的価値観の存在を知ったがゆえに、命を落とすこととなった。
しかも、その命を奪ったのは過去の安西の価値観の被害者・久保。
つまり、安西は過去の自分に殺害されたことになるワケですね。

贖罪の意味でも、久保の要望を今回限りは呑んでも良かった気もしますが……それが出来ないのが安西だったと言うべきか。
久保の要望を呑めば、さらに1年ほど授業に使用することになり、自身の価値観の犠牲者が増えると思ったのかもしれない。
でも、そもそもその被害者が目の前に居るワケだしなぁ……。

これは同時に安西が新たな教育的価値観に囚われたことを示しています。
これまで「成績至上主義」であった安西は「個人自由主義(夢重視)」の正当性を認めました。
そして、「個人自由主義(夢重視)」を尊重した。
極端ですね、あまりに極端です。
教科書は「成績至上主義」だとしても、指導自体は「個人自由主義(夢重視)」でも大丈夫だと思うのですが……。
あるいは双方の良い所どりを目指すとの発想はなかったのか……「中庸」という言葉はこのときの為にあるに違いないのに!!
さらに、此処へ来ての価値観の変節はこれまでの教え子を裏切ることになるのでは!?
そもそも「成績至上主義」が悪いのではなく、安西が「過去に万引きの罪を1人の生徒に押し付け切り捨てた」ことが問題なのに……。

ある意味、久保は何処までも安西の犠牲者だったか……。
タイミングか相性か、それともその両方か……安西と久保は水と油だったのでしょうねぇ。

加害者ではなく被害者にこそ不条理がある。
それもまた人間らしさなのか。
そして、その人間らしさを伝えることこそが糸村の役割なのでしょうね。
良かったです!!

ちなみに横山君。
公式HPの人物紹介には、彼の加入には何らかの意味があるらしいことが……。
さらに、佐久間と二宮が捜査一課に呼ばれたのも「ある事件の捜査」に関連してらしい。
森田の関わる事件こそが「ある事件」なのか……此処も気になる。
この「ある事件」が最終話になってしまうと、佐久間も二宮も最終話まで登場しないのかも……。

これらの謎に注目しつつ、5話に期待ですね!!

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