ネタバレあります、注意!!
あの名作「MASTERキートン」の続編が「ビッグコミックオリジナル」に掲載されています。
今回で5話目です。
早速、その感想をお伝えするべくこうして記事にした次第!!
「MASTERキートン」をご存じの方はもちろん、ご存じない方も本作に興味を持って頂ければと思います。
<ネタバレあらすじ>
高齢者用集合賃貸住宅「銀の森」。
其処を訪れる1人の男があった……男を見つけた住宅の管理人は声をかける。
「あら、お久しぶり。太一さん」と。
そう、男の名は平賀・キートン・太一。
我らが主人公である。
今日の彼は「銀の森」に住む父・太平を訪ねたのであった。
ところが、太平は留守。
なんでも、仕事に出かけているらしい。
「仕事?」と訝しむキートン。
「あら、あなたのお父さん。マジシャンなんでしょ?」
何時の間にやら勝手にマジシャンを名乗っていたようだ。
しかも、普段からキートン以外に女性を連れ込んでいるらしい。
例の如く父が生活していることを知ったキートンは頭を抱えるのであった。
数十分後、バー「アフロディーテ」。
其処で若い2人の女性従業員相手にマジックの披露に励む太平の姿があった。
口からトランプカードを繰り出しつつ、鼻の下を伸ばす太平。
遠目にこれを確認したキートン大きくため息を吐く。
一方、息子の来訪に気付いた太平は裏口から脱出しようとするが、もう遅い。
こうして、太平はキートンに捕まってしまうのであった。
落ち着いて話が出来る場所ということで、コーヒーショップに移動する2人。
「銀の森」に女性を連れ込んでいるらしいことをやんわりと批判するキートン。
批判の矛先を躱すべく、百合子の近況について問う太平。
もちろん、百合子の離婚騒動を知ってのことである。
会えなかったことを打ち明けるキートンに「やっぱりなぁ」と洩らす太平。
どうやら、夫婦間にトラブルを抱えるのはこの一族の血らしい。
さらに重ねて、キートン自身の近況にまで話は及ぶ。
ドナウ文明の論文で博士号を取る予定であったキートン。
だが、学会がどうしてもキートンの発見を認めようとしないようだ。
最近ではキートン自身も諦め気味であった。
そんなキートンに太平はある依頼を持ちかける。
ある女性を助けて欲しいと言うのだ。
昔ながらの太平の依頼にキートンは呆れながらも応じることに。
太平が依頼したのはトレメイン直美という老女についてであった。
マンションに住む彼女を訪れたキートン。
直美はキートンを見るなり、まるで息子のように声をかける。
ヘルパーの女性によれば、直美は高齢による記憶障害に直面しているようだ。
直美の依頼内容は「サンダル」という名の彼女の飼い猫を守ること。
何でも、向かいの戸建て住宅に住む男性にサンダルの命が狙われているらしい。
だが、周囲の者は取り合ってくれないそうだ。
その依頼に真剣な物を感じたキートンは引き受けることに。
直美宅から向かいの住人の様子を窺うキートン。
向かいの住人は何やら温室で育てているようだ。
さらに、サンダルは温室に勝手に出入りしているようだが……。
数日が経過し、直美から「サンダル」の名の由来を聞くキートン。
彼女の亡くなった夫が「君は女神だ。そして女神と言えばサンダルだ」と名付けたモノらしい。
以来、直美の飼う猫はすべてサンダルと名付けられるのだそうだ。
そして「あれさえ、返すように私が言わなければ……」と洩らす直美だが……。
直美宅に滞在中、彼女の手料理に母の味を見出すキートン。
一方、事件の真相に辿り着きつつあった。
その夜、キートンがふと気が付くとサンダルが消えていた。
さらに、直美自身の姿もない。
慌てて、向かいの家に走り出すキートン。
向かいの家では騒ぎが起こっていた。
温室から飛び出したサンダル。
サンダルに向けボウガンを構える向かいの住人、射殺するつもりである。
間に割って入る直美。
だが、向かいの住人は引き金に手をかける。
まさに、危機一髪!!
そこへ、キートンが駆け付ける。
キートンは直美の部屋に飾られていた手斧を投げつけ、向かいの住人の動きを封じる。
そのまま向かいの住人は逮捕された―――。
後日、太平と共に直美宅を訪れたキートンは事件の概要を語り出す。
実は向かいの住人は不法なランの生産者であった。
原産地持ち出し禁止のランを温室内で秘密裏に生産していたのだそうだ。
サンダルはこの香りに惹かれ、温室に出入りしたことで命を狙われたのである。
そして、奇しくも向かいの住人が育てていたそのランの名こそ「パフィオペディルム」またの名を「パフィオペディルム・ナオミ」、通称「女神のサンダル」。
だからこそ「ナオミ」=「女神」であり、猫の名は「サンダル」となった。
それは、直美にとって悲痛な想い出と繋がっていた。
新婚当時、直美の夫・トレメイン卿は旅行先で「パフィオペディルム」の株を発見し持ち帰った。
この当時は原産地持ち出しが許可されていたのだ。
トレメイン卿の気持ちを喜んだ直美だったが、株自体は返却するように夫に申し出た。
妻の意志を尊重したトレメイン卿は自らの手で原産国に返却に赴き―――彼の地で内戦に巻き込まれ落命した。
「あれさえ、返すように私が言わなければ……」は「返却するよう言わなければ、夫は死なずに済んだ」との意味であった。
キートンが直美の料理に母の味を見出したことにも意味があった。
キートンの母・パトリシアが太平との暮らしに疲れ帰国した際、トレメイン卿を通じて知り合いであった直美が太平とキートンの世話をしていた時期があったのだ。
直美自身もトレメイン卿を亡くし傷心しており、互いに心の支えになっていたらしい。
直美にとってキートンは息子であり、キートンにとっても直美は母でもあった。
直美がキートンを息子のように語ったのも自然なことであったのだ。
もしかしたら、「パフィオペディルム」が直美の記憶を刺激したのかもしれない。
そう思うキートンに太平は告げる、当時のキートンは「諦めなければ夢は必ず叶う」と常々口にしていたことを。
幼き日の言葉を改めて噛み締めるキートン。
博士号取得に向けて諦めないことの大切さを思い出すのであった―――エンド。
<感想>
「Reマスター」第5話「女神とサンダル」です。
今回はナオミを通じて、キートンのルーツや諦めない心に触れられました。
キートン、学会で迫害されているんですね……ドナウ文明は革新的過ぎて異端視されているのか。
そして、遂に太平が登場です!!
旧シリーズファンには堪りませんね。
高齢の為に既にこの世を去ったかと思われた太平ですが、未だ健在でした。
しかも、昔さながらに人生の先達として息子であるキートンをさりげなく導くことも忘れない。
さらに、異性の目を意識し続けている点も良かった。
本当に魅力を失わない素敵なおじいさんですね〜〜〜。
ランを通じて、直美、キートン、太平、トレメイン卿の心が描かれたのも良かった。
やっぱり面白い!!
それにしても気になるのは百合子。
夫の基行との離婚騒動はどうなったのか?
キートンの妻のように登場しないがゆえに逆に気にかかる存在となっています。
そういえば、チャーリーも出てませんね。
こちらの登場もあるのか?
要注目!!
ネタバレあらすじでは本作の良さは伝えられていません。
是非、「ビッグコミックオリジナル」本誌をご覧になって頂きたい。
◆関連過去記事
・「MASTERキートン」続編決定!!タイトルは「MASTERキートン Reマスター」、舞台は20年後とのこと!!
・「MASTERキートン Reマスター」第1話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第2話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第3話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第4話「ハバククの聖夜」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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