ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
都成詩紋:又居の絵のモデル。絶世の美男子と褒め称えられる。
<ネタバレあらすじ>
モノローグ「都成詩紋の死―――彼には感謝の気持ちしかありません」
私立イスカリオテ学園中等部。
蓮出留津(はすでるつ)は転入生の1人として、その学園にやって来た。
緊張する留津。
そんな留津に、担任教師の鞠吾(まりあ)は学園を案内しつつ美術部に所属しないかと持ちかける。
留津自身は芸術に興味はない。
だが、人に嫌われることを怖れるあまり断りきれず引き受けてしまう。
(まただ……)
そんな自分を嫌悪する留津。
実は留津が転校したのもコレが原因であった。
転校前の学校でも同じように人に言われるがままに引き受けていくうちに、八方美人と批判されいじめられるようになったのだ。
(今度こそ、変わらなきゃって思ったのに……)
後悔する留津だが、何かを気にかけている様子の鞠吾は気付かない。
どうやら、転入生はもう1人居るのだが、未だに現れないらしい。
洗い場付近で溢れ出す水音を耳にした留津はそちらへと目をやった。
と、其処で留津の目に驚くべき光景が飛び込んで来る。
なんと、洗い場には水が浴槽のように貯められており、その中に人が沈んでいたのである。
どうやら、女生徒のようだ。
まさか……死体!?
留津に続き気付いた鞠吾も慌てて、中から女生徒を引き上げることに。
なんとか女生徒は生きていた。
それどころか、誰かに強要されたり襲われたのではなく、自分で進んで水に沈んでいたらしい。
鞠吾は女生徒を阿嵩小杖(あがさこずえ)と呼んだ。
どうやら、彼女もまた鞠吾のクラスの生徒の様子。
何故、こんな危険なことをしていたのか……興味を抱く留津に阿嵩は歌うように告げる。
自分は探偵であり「ここで、殺人が行われていたのよ」と。
阿嵩によれば、洗い場の排水口が落ち葉により塞がれていたそうだ。
だからこそ、誰かが此処で殺害されたらしい。
飛躍し過ぎた発想についていけない留津だが、阿嵩はお構いなしである。
それどころか、鞠吾から転入生が1人消えたことを聞くや、その人物が被害者だとまで主張する。
留津は自分とは正反対な阿嵩に少しずつ惹かれ始めるのであった。
此処で、鞠吾が朝礼が行われる時間になったことに気付く。
慌てて、体育館へと向かう鞠吾、阿嵩、留津。
体育館では朝礼が既に行われていた。
遅刻を窘められる鞠吾たち。
その目の前で、美術部期待の星とされる女生徒・又居が表彰を受けていた。
又居は、絶世の美男子とされる男子生徒・都成詩紋をモデルに多くの作品を世に送り出していたのだ。
そして、その最新作が全校生徒の前でお披露目されることに。
演台の幕が上がり現れたのは、張り付けにされた人。
何やら顔が潰され、血らしきものも流れている。
芸術とは言え、前衛的過ぎる表現にたじろぐ生徒たちの前で又居が悲鳴を上げる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ、詩紋!!」と。
此処で呆然としていた教師陣が動いた。
朝礼は大混乱の中、解散を告げられることとなった。
しかし、いち早く檀上に駆け寄った者が居た。
阿嵩である。
彼女は張り付けにされた人物が既に絶命していることを確認。
さらに、顔が潰されているにも関わらず、何故、詩紋であると判別出来るのかと又居に問う。
これまで何度となくモデルにしてきたからこそ、指1本でも分かると応じる又居。
その表情は凍り付いている。
この返答に満足した様子の阿嵩は外へと流れ出る生徒の波に乗った。
留津もこれについて行く。
数分後、何やら考え込む様子の阿嵩。
そんな阿嵩に寄り添う留津。
2人は体育倉庫付近を歩いていた。
「助けて……くれ」
すると、体育倉庫から男子生徒のものと思われる声が届く。
慌てて、倉庫の扉を開けた2人。
そこで見たものは両手両足を拘束され、芋虫のように転がされた男子生徒の姿であった―――2話に続く。
<感想>
「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その第1話です。
1話完結ではなく、続き物になりました。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品ですね。
その特徴的な固有名詞に注目してみましょう。
既にお気付きの方も多いと思いますが、どうも聖書に関連する語句がもとにされているものと思われます。
まず「イスカリオテ学園」の「イスカリオテ」。
調べてみたところ、これはヘブライ語で「カリオテの人」ということでその出身である12使徒の1人「ユダ」その人を指し示すそうです。
次に「阿嵩小杖(あがさこずえ)」。
こちらはおそらく「聖アガサ(アガタとも)」から来ているものか。
守護聖人の1人だそうです。
そして「担任教師・鞠吾(マリア)」。
「聖母マリア」でしょうか。
続いて「又居」。
12使徒の1人「マタイ」ですね。
そして「都成詩紋」。
同じく12使徒の1人「シモン」ですね。
ただ「蓮出留津(はすでるつ)」だけが分からない。
もしかして12使徒の1人「バルトロマイ」からかとも思ったが、余りに違い過ぎるか。
明らかに名前に意味がありそうなのですが、これが調べても出て来ない。
アナグラムも考えてみたけど、どうにも意味のある言葉にならないし……。
気になるところ。
これらの名前に出典同様の意味があるのか、あるいはモチーフのみに留まるのかが気になりますね。
もしも意味があるのならば、今後も「杏出玲(あんでれ)」とか「与羽(よはね)」と言った登場人物が出て来そうです。
でもって、上記登場人物名に意味があるとして内容に触れると。
12使徒の「シモン」は2人居るので「又居」がモデルとした「都成詩紋」も2人存在する可能性がありますね。
1話ラストで発見された生徒が鍵を握るのは間違いないと思われますが。
いろいろ気になりますね、次回にも期待!!
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