2013年07月08日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第76話「レース」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第76話「レース」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

ヒルダ:貴族の娘。アルバの姉。結婚を控えている。 
アルバ:貴族の娘。ヒルダの妹。
オズウェル:ヒルダ、アルバ姉妹の父親。謎の死を遂げた。
パット:オズウェルの弟。過去に射殺されたが……。

<ネタバレあらすじ>

森羅と立樹は、貴族のヒルダとアルバ姉妹に招かれ、彼女たちの自宅を訪れていた。
今回の依頼主はヒルダ。
ヒルダは近く結婚を控えており、その前にある事実を確認しておきたいのだそうだ。

その内容は父・オズウェルが叔父であるパットを殺害したかもしれないのでその真偽を確かめて欲しいとのものであった。

オズウェルは、つい先日、自身が所有するクルーザーに乗船中に発作を起こして死亡していた。
その際に、何故かクルーザーに火を点けていたのである。
結果、オズウェルの死体ごとクルーザーは海に沈んでいた。

だが、後に奇妙なことが判明した。
付近の海底を調べたところ、レースの刺繍が発見されたのだ。
それは、生前のオズウェルが大切に保管していた物であった。
どうやら、オズウェルがこのレースを燃やす為に火を点けたらしいことも判明。

そして何より驚くべきことに、レースにはオズウェルではない何者かの血痕が付着していたのである。
ヒルダには、この血痕に心当たりがあった。
数年前、オズウェルの弟・パットが深夜のオズウェル宅に侵入し警備員に射殺されるとの事件が起こっていたのである。
もしかして、オズウェルはその事件に関わる何かの発覚を恐れ、自身の死に際し証拠を隠滅しようとしていたのではないか―――。

「もし、そうだとすれば人を殺した父を許すことは出来ない」と主張するヒルダ。
罪から逃げたとすれば「ノブレス・オブリージュ(貴族の義務)」の精神に反するからなのだそうだ。
「ノブレス・オブリージュ(貴族の義務)」とは「高貴な地位にある者は地位相応に義務を負い、その責任を果たさなければならない」とのもの。
この心得もオズウェルからの薫陶らしいが……。

依頼を引き受けた森羅たちは、早速調査に乗り出す。
長男であり当主として慕われていたオズウェル。
反面、弟のパットは遊び人で責任と義務から逃げ回り、女遊びも激しかったらしい。
当然、金遣いも荒く、オズウェルに無心する機会も多かったようだ。

そんなパットがある晩、オズウェル宅に忍び込んだ。
金目の物を欲したのかオズウェルの書斎を物色しているところを、オズウェルと警備員に発見。
暗闇の中、相手がパットと気付かなかったオズウェルたちに射殺されたそうだが……。

ヒルダから生前のオズウェルについて話を聞く森羅。
オズウェルはヒルダとアルバの姉妹を分け隔てなく育てた。
それこそ、何かを買い与える際は必ず1人に1つずつ用意するほどの徹底ぶりだったそうだ。

森羅はそんなヒルダにオズウェルを疑うきっかけとなる事件があった筈と促す。
これに応じるヒルダ。

ある日、オズウェルに叱られたヒルダはこう洩らしたのだ。
「パット叔父さんがお父さんだったらいいのに……」
それは、「ノブレス・オブリージュ」を掲げるオズウェルの厳格さに、つい口をついて出た言葉であった。
パットの自由気儘な生活に憧れがあったのかもしれない。
だが、ヒルダのこの言葉を耳にしたオズウェルは凍り付いた。
その悲しそうな表情を目にしたヒルダは何かを感じ取ったらしい。

パットが射殺されたのはそれから少ししてのことであった。
だからこそ、ヒルダはオズウェルが意図的にパットを射殺したのではないかと疑っているのだ。

さらに、森羅はパットが死の直前にオズウェルと言い争いしていたとの情報を得る。
何でも、パットは契約を反故にすると繰り返していたらしいが……。

これに森羅はある結論を得る。
ヒルダとアルバの姉妹を呼び出した森羅は「驚異の部屋を案内します」との決め台詞を!!

まず、オズウェルの書斎の状況から、オズウェルが相手がパットであると認識しながら射殺したと断定。
だが、これには理由があったと続ける。

オズウェルとパットが契約について言い争っていたとの情報とパットの女遊びが激しかったとの情報から、ヒルダの実父はパットであったと告げる。

パットは気儘に遊び歩き、出会った女性との間にヒルダを作ったのだ。
だが、パットに生活力は無い。
そこで、兄であるオズウェルを頼った。

最初は困惑したオズウェルだが、姪・ヒルダに惹かれるものがあったのか……あるいは「ノブレス・オブリージュ」の精神が働いたのか、これを引き取ることに。
しかし、この際にヒルダの為にパットが実父であるとは明かさない旨を約束させた。
もしも、この約束を破ればパットは遺産を相続できないとの契約まで書面で結ぶ念の入れようであった。

ところが、パットは美しく成長したヒルダを目にし、父であると打ち明けようとしていた。
約束を反故にしようとしたのだ。
これにオズウェルは激怒し、契約を盾に考え直すように迫った。

ヒルダと親子になりたいが、財産も捨て難いパットは契約書類自体を盗み出し「無かったこと」にしようと決意した。
そこで、深夜にオズウェルの書斎に忍び込み契約書類を捜していたのだ。
ところが、見つからない。
苛立っていたところに、オズウェルと警備員がやって来た。

パットは苛立ちをぶつけるべく、燭台を手に襲いかかった。
そして、警備員に射殺されたのだ。
まさに、オズウェル側の正当防衛である。

パットがいくら探しても契約書類が見つからないのも当然である。
書類は契約を交わした直後に、オズウェルが「必要ないだろう」と焼き捨てていたのだ。
オズウェルはパットを信じようとしていたのかもしれない。

では、そんなオズウェルがレースを燃やそうとしたのは何故か?
答えは1つしかない。
レースに付着した血痕はパットの物。
そのDNAとヒルダのDNA情報を照合することで親娘であることが分からないように隠そうとしたのだ。

オズウェルは、その最期までヒルダを実の娘のように想っていたのである。

「パット叔父さんがお父さんだったらいいのに……」
あのとき、オズウェルが悲しい表情を見せた理由をヒルダは知った。
そして、実の娘・アルバと分け隔てなく育てることにオズウェルが拘ったことも理解した。
果たして、ヒルダの選んだ結論は―――。

ヒルダの中にはオズウェル譲りの「ノブレス・オブリージュ」が息づいていた。
ヒルダは血の繋がりのあるパットの娘ではなく、オズウェルの娘であったのだ。
彼女は父を誇りにし、結婚した―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2013年8月号掲載「76話 レース」です。

「ノブレス・オブリージュ」―――「高貴な者には立場に応じて義務が伴う」との言葉ですが、ヒルダはオズウェルからこの精神を受け継ぎ彼の娘になりました。
血よりも教えが彼ら親娘の絆になったワケですね。

なかなか良かったです。
次回も期待!!

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