<あらすじ>
日本を代表する画匠を父に持つ、売れっ子画家・九条美千代(矢田亜希子)の自宅アトリエで、アシスタントの峰岸百合子(吉田羊)が何者かに刺殺された。美千代の個展の準備のため、泊まり込みで作業をしていたところ、襲われたらしい。しかも、美千代は事件が起こった夜からどこかへ出掛けたまま、家には戻ってきていなかった…。美千代の行動をいぶかしがる月島中央署の面々。そんななか、被害者の鞄の中身を改めた糸村聡(上川隆也)は、意図的に折られたと思われる絵筆に注目する。画家のアシスタントがなぜ、大事な商売道具を折ったりしたのか…。気になって仕方がない糸村は、絵筆を鑑定にかけることに。
ちょうどそのころ、美千代が自宅に戻ってきた。森田宗介(西村雅彦)と横山恵一(波岡一喜)は急いで九条家へ。美千代によれば、彼女は事件当夜、百合子をアトリエに残して飲みに出掛け、そのまま近場のホテルに宿泊したという。話を聞きながら、美千代がはめている手袋と、何かを隠そうとしているような美千代の母・九条美紀(姿晴香)の態度が引っ掛かる森田。そんな彼に、事件の第一発見者で家政婦の長峰妙子(山口美也子)がこっそり、「気になる人物がいる」と告げ…!
月島中央署の面々はやがて、美千代と百合子の“知られざる関係”にまつわる噂を入手。美千代が犯人ではないか…との見方が強まるが、必ずしもそうとは言い切れない様々な証言や人間関係が次々と浮上し、捜査は困難を極めていく。一方、折れた絵筆から検出された物質と、百合子のアパートで見つけた“あるもの”の接点を見出した糸村は、事件の裏にある意外な事実に気付く――。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
とある大きな屋敷。
其処に勤める家政婦の長峰妙子は、この家の娘である美千代を捜しそのアトリエを覗き込み……悲鳴を上げた。
アトリエの中には、白い服を着た女性が背中から刃物を刺され死亡していたのである。
「お嬢様!!」
妙子は主人である美千代の母・美紀を呼びに走った。
数時間後、アトリエ内には月島中央署の面々が揃っていた。
被害者は日本を代表する画家であった故・九条実篤の娘・美千代―――ではなく、そのアシスタントである峰岸百合子。
後ろ姿が美千代ソックリだった為に妙子が見間違えたのだ。
当の美千代は自宅を抜け出し、バーを梯子した末にホテルに宿泊していた。
不審と言えばあまりに不審な行動に、容疑は美千代へ向かう。
一方、糸村はと言えば、百合子の鞄の中に意図的に折られたと思われる絵筆を見つけ興味を抱いていた。
何故、百合子は絵筆を折る必要があったのか?
こうして、糸村は独自の捜査を開始する。
相変わらずの糸村の行動に呆れつつも容認する水沢。
他のメンバーは、森田と横山、仙堂と遠山の2組に分かれ、こちらも捜査が開始。
と、同じ頃、署長の東がぎっくり腰で病院へ運ばれるとのアクシデントが起こっていた。
九条美紀、美千代親娘に聞き込みを行う森田と横山。
その帰路、妙子が森田に疑わしいと思われる人物について情報を告げる。
妙子が森田に告げたのは、美千代の婿である九条博明の名前。
彼は美千代ら九条家の人々に蔑視され、羽田翔子との浮気に走っていた。
今は離婚調停中だそうだ。
そんな博明が、どうも峰岸百合子にも言い寄っていたようなのだ。
だが、博明は百合子と美千代の秘密を知ろうとしていただけだとこれを否定する。
同じ頃、糸村は村木に折れた絵筆の鑑定を依頼。
拒否する村田だが、糸村を追って現れた水沢の手前もあり快諾してしまう。
その頃、仙堂と遠山は九条美千代の絵の取引を一手に引き受ける城田画廊のオーナー・城田に話を聞いていた。
城田によれば、美千代の絵が認め始められたのは、日本美術連盟で賞を獲った此処2年程のことらしい。
百合子宅を訪ねた糸村と水沢。
其処で、奇妙な紙粘土で出来た鉛筆立てのようなものを発見。
さらに、百合子が児童福祉施設「ムクドリの家」出身であることも判明。
加えて、百合子が補聴器を使用していたことも分かる。
森田たちが集まる月島中央署では、百合子が美千代のゴーストライターであった可能性が浮上。
森田は、この秘密の為に美千代が百合子を殺害したと推測する。
同じ頃、水沢と別れた糸村は「ムクドリの家」を訪れる。
責任者によれば、百合子は耳が悪く周囲ともコミュニケーションを取れていなかったそうだ。
百合子は孤独であった。
そんなある日、施設に多額の寄付をしてくれていた人物から子供たちにスケッチブックが贈られた。
そのスケッチブックを手に写生大会が行われた。
これと時を同じくして、百合子は何かを感じたように絵に打ち込むようになり人柄も明るくなったのだそうだ。
何かを感じる糸村。
翌朝、九条家のスキャンダルを狙っていた写真週刊誌により美千代のアリバイが成立。
美千代は自身の証言通り、バーを梯子していたのである。
横山は美千代ではなく、美紀の犯行を疑う。
だが、森田は美千代に疑いがかかるような方法を美紀が採る筈がないとこれを否定。
そんな中、糸村は狙われたのが本当に百合子だったのかと疑問視する。
犯人の目的は美千代だったのではないか?
百合子は殺害された当日、普段から使用している補聴器を修理に出していた。
だからこそ、背後から迫る犯人に気付けず殺害されたのではないか?
糸村のこの推測に沿って、森田たちが動き出した。
残された糸村は美千代に接触する。
折れた絵筆を持ち出した糸村は、それが美千代の所持品であると知る。
そんなに嫌だったのね……美千代は百合子に裏切られたと吐き捨てる。
美千代によれば、百合子とは隅田川沿いで出会ったと言う。
其処で百合子からアシスタントになりたいと必死に懇願されたらしい。
断りきれなかった美千代は百合子をアシスタントとした。
ある日、何の気なしに美千代は百合子に絵を描かせてみた。
その絵の出来は美千代のソレを超えていた。
それこそが、日本美術連盟で賞を獲った美千代の代表作である。
以来、百合子が美千代のゴーストライターとして絵を描いてきた。
そして百合子殺害の当日、美千代と百合子は衝突していた。
百合子が城田と接触していたことを美千代が知ったのだ。
自分を出し抜き、城田に売り込んだに違いない!!
美千代は百合子との関係を解消すると宣言した。
すると、百合子は泣きながら描きかけの絵を切り裂いたのだと言う。
その後のことは、家を出たので知らないと告げる美千代。
美千代によれば、美千代自身は利き手が動かなくなっており、画家生命の危機にあるらしいが……。
一方、水沢たちは美千代の周囲を調べるが行き詰っていた。
困り果てる水沢たち。
其処へ糸村に充てて、村木から報告が上がる。
どうやら、筆の柄に紙粘土が付着していたらしい。
ちょうどそのとき、東署長が来訪。
腰をコルセットで保護していると聞いた糸村は、何かに気付き慌てて飛び出す。
次いで、森田が重大情報を手に戻って来る。
ネット上で九条美千代の絵が買い漁られていたことが判明したのだ。
購入者は美千代の絵が高騰することを見越していたに違いない。
つまり、美千代が死ぬことを知っていたことになる。
購入者の名は―――博明の愛人・羽田翔子であった。
羽田について聞き込みに赴こうとする仙堂だが、水沢に止められてしまう。
代わりに遠山が向かうことに。
薄々理由を知るものの、認めるワケにはいかず「なんで……?」とぼやく仙堂。
一方、糸村は筆と紙粘土にどのような祈りが込められていたかに思い当たる。
さらに、百合子について調べた結果、ある事実が判明。
百合子は絵を描くことで救われたと常々語っていたそうだ。
百合子が中学生時代に行われた勝鬨橋での写生会こそが彼女の転機となったのだ。
任意の取り調べを受けた羽田翔子は九条博明が美千代の絵について電話で話していたと証言。
その相手は城田であった。
さらに、博明が城田のアリバイを金で偽証していたことが判明。
つまり、城田こそが犯人だったのだ。
絵が描けなくなった美千代を切り捨てた城田は、百合子に乗り換えるつもりであった。
城田は美千代が百合子の絵で受賞した時からカラクリに気付いていたのである。
其処で美千代を殺害しに出かけたのだが、誤って百合子を殺害してしまったのである。
こうして事件は解決した。
だが、糸村にとっては此処からが本番である。
隅田川に佇む美千代に近付く糸村。
「僕に3分時間を下さい」
例の台詞が飛び出し、百合子の想いが糸村の口から語られる。
あの紙粘土で出来た鉛筆立ては、美千代用の補助器具であった。
百合子は美千代の為に、筆を折り紙粘土に継ぐことで美千代が握ることが出来る筆を自作したのだ。
百合子は補聴器を利用しており、其処から得た発想であろう。
そして、百合子が城田に接触したワケ。
それは、百合子が城田に美千代の手について相談していたからであった。
休ませてやって欲しいと掛け合っていたのである。
何故、そこまで百合子が美千代の為に尽くすのか?
それは、百合子が美千代の姉であったからだ。
百合子の母は美大に在学中、そこで講師をしていた九条実篤と恋に落ちた。
だが、実篤には美紀が居た。
百合子の母は人知れず百合子を産み落としたのだ。
その後、百合子は「ムクドリの家」に預けられた。
そして、あの日の写生会。
周囲とのコミュニケーションに悩む百合子にある少女が話しかけた。
その少女の名は美千代。
そう、偶然にも美千代と百合子は過去に出会っていたのだ。
美千代は百合子に話しかけ、絵の楽しさを教えた。
美千代は覚えていないが、百合子にとっては重要な想い出であった。
その後、大人になった百合子は美千代の絵を目にしその苦悩を悟った。
其処で、今度は自分が美千代の力になるべくアシスタントを買って出たのである。
だが、それがゴーストライターに発展し逆に美千代を苦しめることになろうとは……百合子に分かる筈もなかった。
あの夜、それに気付いた百合子は絵を切り裂き新たな道を美千代に示そうとしたのだ。
美千代の手の病気は嘘であった。
百合子に敗北を認められなかった美千代の苦し紛れの抵抗だったのである。
百合子の深い愛も知らず、美千代はただただ甘えるばかりであった。
その事実を知った美千代。
1粒、涙が頬を伝うともはや止められなかった……。
数日後、再び絵筆を握る美千代の姿がアトリエにあった―――5話了。
<感想>
3度、我々の前に姿を現した「遺留捜査(2013年版)」。
その第5話です。
手堅いほどに手堅い作品だった印象。
逆に手堅過ぎた……かも。
ただ、これはコレであり。
1点、気になる点がありますね。
いつ、百合子は自身が実篤の娘であると知ったのか―――。
幼い日の美千代を妹だと理解していたようなので、初めから知っていたのだろうか?
あの後に知らされたとすると、出会った少女が妹だとは分からないだろうし。
だとすると、実篤と百合子は早期に親娘の名乗りを上げたことになるなぁ。
その上で、実篤は妻子があるから引き取れないことを伝えたことになるのだろうか。
幾ら、「ムクドリの家」に寄付してくれたとしても、これで納得は出来ないだろうなぁ。
なんだか、この九条実篤と言う人が、物凄く酷い人に思えて来た。
そもそも、責任もとれないのに学生だった百合子の母と恋愛してるし。
妻子があるにしても、生活できるように便宜は図るべきだと思うが……。
それにしても、百合子とその母は九条家の犠牲になったとしか思えないなぁ。
特に百合子。
母は妻子あるも画壇の巨匠として憧れの人と想いを遂げてそれなりに満足(学生だったことから実篤に騙されたとも言えそうだが……)だったとしても、結果である百合子は辛いことが多いなぁ……。
両親の関係上、表立って家族の愛は得られない(本来ならば、母の愛が得られた筈だが……)。
憎み嫉妬すべきであろう本妻の娘(自分の妹)を愛し、その憎悪と嫉妬を一身に受ける。
そして、本妻の娘である美千代を上回る才を持ちながら、影としてその一生を終えてしまったワケだし。
本来、憎んでも不思議ではない妹・美千代を思い我が身を犠牲にした百合子の献身。
ラストでその意志が糸村により美千代に伝えられ、些か報われたことだけが救いか。
そう言えば、美紀は百合子が実篤の娘であると知っていたのでしょうかね。
何やら隠していましたし、百合子にのみ当たりがきつかったし。
知っていたような気もしますが、美紀の性格上、知っていれば博明同様に追放されてそうな気も。
どうなんだろう……切ないなぁ。
今回もイロイロ考えてしまいますね。
ちなみに横山君。
公式HPの人物紹介には、彼の加入には何らかの意味があるらしいことが……。
さらに、佐久間と二宮が捜査一課に呼ばれたのも「ある事件の捜査」に関連してらしい。
森田の関わる事件こそが「ある事件」なのか……此処も気になる。
この「ある事件」が最終話になってしまうと、佐久間も二宮も最終話まで登場しないのかも……。
これらの謎に注目しつつ、6話に期待ですね!!
◆関連過去記事
・「遺留捜査(2013年版)」第1話「ハーモニカ」(4月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「遺留捜査(2013年)」第2話「ルビーの指輪」(4月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「遺留捜査(2013年)」第3話「赤の香水」(5月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「遺留捜査(2013年)」第4話「ふたつの茶杯」(5月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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