ネタバレあります、注意!!
第15話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。
藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本:教師。
朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜
「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?
矢先、実は宇宙人であった委員長・渚と狼男で肉食系女子な獅穂も加わって……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ブッッ……!!」
その日、朝陽は葉子を見るなり噴き出した。
なんと、葉子の透き通るような白い肌が真っ黒く染まっていたのである。
「ちゃうよ、日焼け止めを忘れたなんてこととちゃうよ!!」
朝陽に問われる前に、自ら真相をそれと知らずに暴露する葉子。
(ああ、やっぱり……)
深く納得した朝陽だが、ふと考える。
牙や羽に比べれば、日焼けくらいならそう正体は分からないよな……と。
ほっと胸を撫で下ろしつつ「そんな分かり易いのが居る筈ないよなぁ」と呟く朝陽。
と、その目の前を頭から立派な角を2本生やした幼げな容姿の女子生徒が歩き去っていく。
(ええ〜〜〜〜〜っ、居たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)
心のうちで叫ばざるを得ない朝陽。
そんな朝陽の心中に気付かず、少女に興味を示す葉子。
そんな2人の様子を知ってか知らずか、少女はお菓子を抱えて陽気に廊下を歩いている。
「白神、あれって……」
葉子の知り合いの可能性に思い至った朝陽だが、当の葉子は「可愛ええねぇ」と目がハートマークになっている。
どうやら、愛くるしい少女を気に入ったようだ。
つまり、葉子の知り合いではないらしい。
獅狼のときのこともある。
どう接していいものやら悩む朝陽。
だが、葉子は如何にして彼女とお近付きになり、頭を撫でるかしか念頭にない様子だ。
葉子、おそるべし―――朝陽は再認識したのだが、その感想は些か早かった。
何時の間にやら、葉子は少女に歩み寄るとにこやかに話しかけていたのだ。
(白神っっっっっ!!)
朝陽の心労は無駄であった。
心の中で叫びつつ、慌てて駆け寄る朝陽。
その間には、葉子は少女と親しげに話を始めていた。
しかも、葉子は彼女の頭を撫でながら、肩に手まで回している。
可愛いモノには目がないようだ。
少女は自身を紅本茜と名乗った。
どうやら、教師の紅本の親戚らしい。
茜と距離を縮めた朝陽。
見れば見るほど、茜の幼げな容姿と立派な角がそぐわない。
(角っ……角が……)
それが気にかかって仕方がない朝陽だが、指摘することで相手に迷惑をかけるのではと口にできない。
茜はそんな朝陽の様子に気付いたのか「おっしゃりたいことがあるんですよね」と告げる。
こくこくと頷く朝陽。
すると茜は……。
「制服を着ているが、とても高校生に見えないことでしょ。よく言われるんです」
などと、朝陽の知りたいことの斜め上の返答を寄こす。
葉子は聞いているのかいないのか、茜にべったりでうんうんと頷いている。
(違う、それじゃない。それじゃないんだ)
心中で繰り返し叫ぶ朝陽の表情を見た茜、続けて。
「ああ、お菓子ですね。私、食べても太らないんです」
またも、主旨と異なる答えを返される朝陽。
その隣で、葉子は茜の答えに「ズルイ」と洩らしている。
(白神はともかく―――どうにも、答えをはぐらかされている)
朝陽が気付いた瞬間、茜の気配が歪なものへと変容する。
周囲の空気がピンと張り詰めて……。
「ああ、この角ですよね」
警戒する朝陽の前で、茜は角へと手を伸ばし……あっさりと取り外してしまった。
「アクセサリーなんです」
まるで朝陽をからかうようにきゃらきゃらと笑うとそのまま通り過ぎようとする茜。
だよね〜〜〜流石にそれはないよね〜〜〜と納得しかけた朝陽の目にまたも異様な光景が飛び込んで来る。
なんと、茜の下半身から、にゅっと突き出た尻尾が揺れているではないか!!
(ブッッ……!!)
またも噴き出す朝陽、葉子に注意を促そうとして、再度、茜の下半身に目をやるが……其処には尻尾は無い。
「ない、尻尾がない……」
うわ言のように繰り返す朝陽。
「尻尾がないって……当たり前やん」
何が起こっているのか、全く理解していない葉子が突っ込む。
後方の朝陽と葉子の様子を窺いながら「プクク……面白い」と邪悪な笑いを浮かべる茜。
背後を気にするあまり、前方への注意が疎かになった。
どん、と誰かにぶつかってしまう。
「あ痛ててて、気をつけ……」
口にしかけた茜が硬直した。
その前には紅本が立っていたのだ、しかも憤怒の表情で。
「私の生徒にまたやりましたね」
言葉少なに立ちはだかる紅本。
「えっ、いや……」
言い淀む茜だが……紅本に角を握られ吊るし上げられてしまう。
これを見て止まる朝陽と葉子。
「角っ、角は止めて……痛い、抜ける!!」
「取り外しできるんでしょう?」
「いやっ、あれ嘘っ、嘘だから。幻覚見せただけだから」
「幻覚なんて見せたんですか?」
「いや、でも仕方がないでしょうが、悪魔なんだから。人を騙すのが本質なんだし」
茜と紅本のやり取りに、朝陽と葉子が反応する。
その額を伝わるのは冷や汗だろうか。
「だからってね。そんな格好でうろうろするひいひい祖母ちゃんを持った私の身にもなってください!!」
どうみても、紅本の妹にしか見えない茜が「ひいひい祖母ちゃん」!?
驚愕の台詞を耳にした朝陽と葉子の汗の量が増えた。
ぎこちなく首を互いの方へと動かすと、今聞いた内容が聞き間違いではないか目を見合わせる。
だが、そこに聞き間違いは存在しなかった。
朝陽と葉子の汗が滝のようになる―――16話に続く。
<感想>
「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻の発売も決定とのことで、目出度い。
そして、本作かなり面白い!!
その15話です。
紅本先生の「ひいひい祖母ちゃん」の登場です。
とはいえ、その容姿はむしろ幼いほど。
しかも、角がついてて悪魔っ娘のようです。
属性多っ!!
彼女もまたヒロイン候補……なのでしょうか?
まったくもって想定外の新ヒロインの登場と言えそう。
ホント侮れないな……「週刊少年チャンピオン」読者のニーズは(管理人もその1人なんだけどさ)。
これでまたストーリー展開の幅が広がったな。
それにしても、紅本の「ひいひい祖母ちゃん」が悪魔であった以上、紅本はその血を引いている純粋な人間ではないということか。
紅本の意外な出自判明ですね。
そして、それを朝陽と葉子の前でバラしてしまったが、これは良いのか?
意図してなのか、意図せずなのか……それによっては、よもや、次回は反省会再びなのか?
注目ですねぇ……フフフ。
でも、吸血鬼に宇宙人(兼人造人間=フランケン)に狼男に悪魔か。
この学校に彼らが居ることは、実は公然の秘密なのではないかとさえ思えて来た。
それこそが、もっとも大きな「実は……」の秘密だったりして。
ちなみに、前回のあらすじが「カレー・ハザード」だったのには笑った。
上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。
コミックス1巻も発売決定とのことで、次回も注目です!!
もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
・「実は私は」第1話から10話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「実は私は」第11話「狼男がやってくる!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第12話「狼女がやってきた!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第13話「冷静になろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第14話「カレーを作ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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