2013年05月20日

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 数字錠』第2話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 数字錠』第2話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
御手洗潔:言わずと知れた名探偵。彼はこの事件以来コーヒーを飲まなくなった。
石岡:御手洗の助手にしてベストパートナー。
竹越刑事:『占星術殺人事件』にも登場した刑事。御手洗を信用している。

吹田久朗:吹田電飾の社長。
北川幸男:吹田電飾の社員。看板描きが出来る。
石原:吹田に株で騙され、憎んでいた。
秋田:吹田電飾の若手社員の1人。
大久保:吹田電飾の若手社員の1人。
土屋:吹田電飾の若手社員の1人。
宮田誠:吹田電飾の若手社員の1人。少年。
吹田靖子:吹田の姪。寮で若手社員の世話を焼いている。

・前回はこちら。
『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 数字錠』第1話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

あの日以来、御手洗は別人のように吹田靖子のもとへと通い詰めた。
そして、靖子の弟のような宮田誠少年を交えて会話するのだ。
この際、普段の彼に似ず手土産を用意したこともあったぐらいである。
石岡にはすっかり御手洗が分からなくなってしまった。

そして12月24日、クリスマス・イブ。
引越しした御手洗を訪ね今度は宮田少年の方からやって来た。
宮田少年に手伝いを願い、引っ越し荷物を片付ける石岡たち。
一段落ついて、宮田少年が珈琲が大好きだと聞いた御手洗は、やはり普段の彼に似ぬ親しみを込めて石岡に珈琲を淹れさせるのであった。
石岡は、そこまでして吹田靖子の関心を買いたいのかと憤るのだが……。

其処へ竹越刑事が訪れた。
入替りに宮田少年は帰路に就いた。

竹越の来訪意図は明白である。
もう、これ以上は待てない。石原を逮捕するとの最後通牒であった。
事件解決に更に時間がかかるようならば、竹越の立場に関わる事態に発展するらしい。
これを聞いた御手洗は、真犯人は既に分かっていると告る。
だが、その人物を逮捕することがどれだけ残酷なことかあなた方は分かっていないと繰り返すのであった。

しかし、最終的に竹越を見捨てることも出来ない御手洗は行動に出る。
夜にも関わらず、宮田誠少年を訪ねたのだ。
在宅していた宮田少年を御手洗はディナーに誘う。
これを聞きつけた吹田靖子はクリスマス・ディナーという事実に重きを為して自身も参加したいと申し出る。
だが、御手洗は「また今度」とにべもないのであった。

御手洗、石岡、宮田誠少年の3人は靖子を置いて、フレンチレストランにやって来た。
御手洗は彼らに食事を奢る。
宮田少年は初めてのフレンチに涙を流して喜んだ。

食事を終えた御手洗たち。
次いで、御手洗は「夜はまだ長い」と宮田少年にさらなる行先の希望を尋ねる。
少年の答えは明快であった。

こうして、御手洗たちは東京タワーに上ることに。
眼下に照らし出された街灯りに感傷に耽る御手洗たち。
宮田少年は此処でも彼らしく無邪気に喜んでいた。

すると、其処へ竹越刑事が現れる。
北川幸男が吹田殺害の罪で出頭して来たので逮捕したとのことだったが―――3話(最終話)に続く。

<感想>

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録―』の第4弾。
今回、コミカライズ化されたのは短編集『御手洗潔の挨拶』に収録された『数字錠』。
その全3話中の第2話でした。
原作短編『数字錠』に興味のある方は、こちらをどうぞ!!

『数字錠』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔の挨拶』収録)ネタバレ書評(レビュー)

本作のテーマはトリックよりも、御手洗という人物の人となり。
其処に注目して読むと楽しめる筈。

今回コミカライズされたパートはほぼ原作に忠実でしたね。
異なっているのは喫茶店ではなく、東京タワー上で竹越が登場したことか。

此処は御手洗が珈琲を飲まなくなった理由にも関わるので、喫茶店の方が好ましく思いますが、次の2点によりコミック版の改変を支持したく思います。
まず、3話の内容で収める為に省略も必要であること。
次に、活字媒体ではなく画像媒体である以上、東京タワーの方が絵的により幻想的なものとなっていること。
以上、2点によりアリでしょう。
うん、メリハリが上手く効いています。

何より、ラストまで真犯人を明らかにすることを引っ張ったのは良かった。
やっぱり、ミステリとしては犯人判明は最終話の方が盛り上がるし。
ただ、残り1話となるとかなり駆け足になりそうなのが心配。
此の点をどう描くのか注目したい。

そして、いよいよ次回で最終話。
本話の醍醐味である「数字錠の壁」も解明されます。
詳しくは原作ネタバレ書評(レビュー)参照のこと。
次回にも注目です!!

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 数字錠』第1話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

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