<あらすじ>
橘竜太郎(吉田栄作)が交通誘導員として働く工事現場の近くで、ひき逃げ事件が起きた。目撃情報を求めて竜太郎に近づいてきた警察からの情報によると、被害者は中山宗雄(蔵本康文)。その名前を聞いて目の色を変えた竜太郎は、急いで中山の入院先に向かった。被害者の中山という男は、14年前、弁護士だった竜太郎が担当した夫婦毒殺事件の被疑者に間違いなかった。しかし、中山は何も語ることなく息を引き取った。
当時、殺害された被害者夫婦と関係のある人間には皆アリバイがあり、殺された妻と不倫関係にあったという証言から中山に容疑がかかった。しかし、中山は一貫して無罪を主張。駆け出し弁護士だった竜太郎も冤罪を信じて、同じ事務所で働く砂村英一(鶴見辰吾)とともに中山の疑いを晴らそうと力を尽くした。一度は無罪の判決を受けた中山だが、検察が控訴。今度は「有罪率99%の検事」大貫義郎(加藤剛)との闘いで敗北して中山の有罪が決定し、そのことが原因で竜太郎は弁護士を廃業したのだった。
出所してからも中山がずっと真犯人を探していたと聞き、竜太郎はもう一度弁護士に戻って事件を洗い直そうと決心する!
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)。
中山宗雄が殺害された。
過去に彼の弁護を担当していた橘は、事件に疑問を抱き調べ始める。
橘は中山の事件に苦い思い出を抱いていた。
その事件により、橘は恩師を奪われ、弁護士を辞めていたのである。
中山の事件とは14年前の柳原順次、悦子夫妻殺害事件。
一升瓶に入った毒物による殺害であった。
中山は悦子と不倫の関係にあり、容疑者にされたのだ。
しかも、一升瓶の蓋からは中山の指紋も検出されていた。
この弁護を担当したのは湯川忠助。
敏腕で知られており、橘の恩師であった。
当時の橘は弁護士になったばかりの駆け出し。
弁護士を目指していた事務所の先輩・砂村と共に湯川を支えたのだ。
結果、一審で無罪判決を勝ち取った。
ところが、検察側に湯川のライバル・大貫が立ち、中山を控訴した。
苦戦を覚悟した湯川。
矢先、吉村美香なる人物から耳寄りな情報を告げる電話が入った。
事務所のある2階に居た湯川、橘と砂村が階下でそれを待っていた。
そして数分後、橘たちの目の前に湯川が降って来たのだ。
砂村にコンビニへ電話を入れに行くよう指示された橘が席を外している間に湯川は息を引き取ってしまう。
湯川の死は事故として処理された。
こうして、二審には駆け出しの橘があたることとなった。
しかし、相手は大貫である。
橘は到底かなわない。
焦った橘に、吉村美香なる人物から証拠品として写真が送られて来た。
これがあれば事態を引っ繰り返せる!!
橘は写真を証拠品として提出するが、これが捏造写真であったことから逆に止めを刺されてしまった。
結果、中山は罪に服すこととなったのだ。
だが、罪を償い終えた中山は事件を未だに調べ続けていたらしい。
橘は雪辱を果たすべく、中山の遺志を継ぎ調べ始める。
結果、殺害された柳原順次の兄・柳原栄造が浮上する。
さらに、栄造の周辺を調べた橘はある事実に気付き、砂村を呼び出す。
あれから14年、砂村には妻が居た―――。
今は2人で生活しているらしい。
橘は砂村に調査結果を告げ、柳原栄造が真犯人であること。
その秘書こそが共犯であり、吉村美香を名乗り橘を罠に嵌めた張本人であることを語る。
栄造は順次の財産を狙っていた。
だが、順次の妻・悦子が生きている限り奪うのは難しい。
其処で2人を一度に殺害することとし、悦子の不倫相手・中山の犯行に偽装することとした。
栄造は、中山家の納屋から一升瓶の蓋を盗み出した。
これを現場に残したのだ。
実はこの数日後、中山は納屋で頭髪を拾っていた。
だが、不倫相手の悦子の毛髪と思い込んだ中山はこれを隠した。
ところが、後に栄造の毛髪であると気付きその犯行を知ったのだ。
そして、栄造の秘書であり吉村美香を名乗った人物こそ、実は栄造の実子であった佐伯朝子。
今は砂村朝子を名乗っていた。
そう、朝子は砂村の妻であった。
つまり、砂村もまた栄造に加担していたのだ。
14年前、中山の事件を調べるうちに朝子と親しくなった砂村。
栄造の犯行であると知り、彼に協力することとなった。
其処で砂村の手引きで事務所に忍び込んだ栄造が湯川を突き落としたのだ。
次いで、砂村の指示で橘をコンビニに走らせている間に、栄造を逃がしたのだ。
此処まで語り終えた橘の前に、隠れていた栄造と朝子が現れる。
証拠が無いと犯行を否定する栄造。
「鍬に付着した頭髪など証拠にもならん!!」とまで言い切った。
だが、これを耳にした橘は「それこそが証拠だ」と断言する。
橘は納屋と言ったが、鍬に付着していたとは言っていない。
何故、鍬だと分かったのか……それは犯人だからだ。
こうして、栄造は罪を暴かれた。
中山殺害も彼の犯行であった。
中山は過去の事件で栄造を脅迫していた。
脅迫に耐え兼ねた栄造が中山を殺害したのだ。
砂村は湯川と橘を恨んでいた。
湯川が後輩の橘を可愛がっていたからである。
だからこそ、栄造と組み犯行を重ねたのだ。
橘は砂村たちのおかげで鍛えられたと礼を告げるのであった。
中山宗雄の無罪が明らかになった。
橘は弁護士に復帰することにした―――エンド。
<感想>
「特捜弁護士・橘竜太郎」シリーズ1作目。
原作は姉小路祐先生『特捜弁護士』(光文社刊)。
興味のある方は下記にアマゾンさんへのリンクを用意したのでどうぞ!!
では早速、ドラマ版の感想を!!
これは無いなぁ……全体的にごちゃっとしてる割には中身が薄い印象。
特に内容が錯綜している割には、実態はシンプルだったりするし。
ネタバレあらすじでは、この点を簡潔にまとめてみました。
たぶん、ドラマ通りに活字に起こすと時系列などでいろいろ混乱すると思う。
無理に煩雑にしないでもっとシンプルに構えてもいいと思うけどなぁ。
特にテーマの「雪冤」をもっと重要視しても良かった筈。
もともと情を揺さぶる内容でもあるし、その方が力強く視聴者の情に訴えられたのでは?
ドラマ版は全体的に小手先に感じられちゃったかなぁ……。
特に湯川弁護士殺害の説明が割とくどい。
砂村が手引きしている以上、実際はどうとでもなるんだし、あれにシーンを割くなら中山殺害の説明に力を入れるべきだろうなぁ……。
ちなみに、橘はコンビニではなく事務所の電話を使うべきだろう。
明らかに2階の方が近いし。
その時点で、砂村が不自然過ぎる。
咄嗟の事で、当時は気付かなくとも、数日して落ち着けば気付いても不思議ではないと思うが……。
そして、最後まで橘に感情移入出来なかったなぁ。
物語が錯綜しているのもその理由だけど、鍛えられたからとお礼を伝えたのも理由。
大人物ぶりを表現したいのだろうか?
流石にあれはやり過ぎだと思う。
ラストで「この経験が自身を鍛えた」的な独白だけならまだ分かるけど、お礼は駄目だと思うなぁ。
どうにも納得出来なかった。
そもそも橘の立ち位置が、ハードボイルド系なのか、人情系なのかも曖昧だったし。
そして、捏造証拠ということで『逆転裁判4』を思い出したなぁ。
でも、あちらの方が良く出来てたなぁ。
それにしても、捏造証拠が罠だったとはいえ、弁護士に復帰出来るものなのだろうか……。
「逆転裁判」と言えば、最新作「逆転裁判5」の発売も近いですね!!
・「逆転裁判5」体験版発表!!早速プレイしてみた!!
でもって、主人公に反目されつつ教え導く立場を加藤剛さんが演じていたことで「刑事の証明」を思い出した。
・水曜ミステリー9「森村誠一サスペンス 刑事の証明5〜人間の十字架 疑惑の殺人に泣く女!華麗なセレブの秘密と不在証明の謎 辞職覚悟の逆転逮捕(恋人を殺された疑惑の女…三体の猿が暴く3つの殺人!)」(2月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
2013年6月11日追記:
1日経過して気付いたのですが、本ドラマの原作を手掛けられた姉小路祐先生は、小林桂樹さん主演「弁護士・朝日岳之助シリーズ」の原作者でもあるんですよね。
つまり、橘を人情派弁護士主人公として見るならば「朝日先生の正当後継者」とも言えるワケですね。
管理人は「朝日岳之助シリーズ」が大好きでした。
今回こそ肌に合いませんでしたが、次回を楽しみに待ちたいと思います!!
追記終わり
◆「姉小路祐先生」原作ドラマ関連過去記事
・水曜ミステリー9「刑事長〜デカチョウ 現場一筋の男が挑む血の迷宮殺人トリック 疑惑写真密売に巨悪の影!執念の逆転捜査(連続殺人を結ぶ密売写真!アリバイの壁)」(4月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「街占師〜北白川晶子の事件占い 夫が殺人!?女心を裏切る悪徳美容詐欺の罠!!開運夫婦が暴く人気女優の秘密(死を招く手相!?美容悪徳商法に人気女優が!?和ちゃん逮捕で晶子が奮闘!!)」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
橘 竜太郎:吉田栄作
大貫義郎:加藤 剛
岸本亜優美:岡野真也
砂村英一:鶴見辰吾
砂村朝子:秋本奈緒美
藤尾義三:頼三四郎
湯川忠助:中野誠也
中山宗雄:蔵本康文
柳原栄造:伊東達広
柳原雅枝:執行佐智子
柳原順次:志村史人
柳原悦子:小澤英恵
市ノ原辰夫:松澤一之 ほか
(公式HPより、敬称略)
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個人的には、なかなか面白かったです。 シリーズ化してほしいかなって感じですかね!
人情派弁護士の2サスって最近ご無沙汰だったので、それもあるのかも!!
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
1日経過して、改めて自分で書いた感想を読んでみるとかなり感情的に書き込みしてますね……反省。
ただ、本作はトリックより情を重視すべき作品のように感じちゃったのが、この感想に繋がったのかなぁ……。
期待出来る作品だったからこそ、これだけ不満点が出たのかもしれません。
そう言えば、確かに一時期に比べると人情派弁護士物の2サス自体が減っちゃってますね。
小林桂樹さん主演の「弁護士・朝日岳之助シリーズ」とか懐かしいなぁ……と思ってたら、あちらも本作と同じ姉小路祐先生原作作品でした。
とすると、橘はある意味「朝日先生の後継者」でもあるワケか。
これはシリーズ化ありそうな感じ……いや、して欲しいですね。
今回こそ肌に合いませんでしたが、次回を楽しみに待つことにします(^O^)/!!