2013年05月24日

「名探偵マーニー」第40話「スーパースター」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第40話「スーパースター」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第40話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

マイルス・ダヴィッド:往年のスーパースター。謎の死を遂げた為に生存説あり。40話で登場。
和久部清貴:音楽事務所社長。何者かに殺害される。40話で登場。
日下香:マイルスファンクラブ日本支部の支部長。40話で登場。
真海陽一:鑑識課員。40話で登場。

毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話、24話、29話、38話、39話、40話で登場。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

その日、音楽事務所の屋上にて事務所社長である和久部清貴が他殺体で発見された。
この事件の捜査担当刑事は毛利。
被害者・和久部の手には犯人の物と思われる髪の毛が握られており、すぐに解決するかと思われたが……。

同日のマーニー宅、ロイドとマーニーの話題にマイルス・ダヴィッドが上った。
マイルス・ダヴィッドは往年のスーパースター。
親日派としても知られたが、数年前に謎の死を遂げた。
だが、その詳細が語られない為に生存説も囁かれている人物である。

マイルスについて熱く語るロイドだが、マーニーは世代が違うのかピンとこない様子。
そんなマーニーを見たロイドはまたもジェネレーションギャップを感じるのであった。

そんなギャップを埋める為か、マーニーとロイドは親娘水入らずで外出へ。
その途中、例の音楽事務所の前を通りかかり、見知った顔……すなわち毛利に出会う。
事件発生を知るロイドとマーニー、とはいえ民間人に何が出来るワケでもない。
毛利に挨拶だけ交わすとそのまま去ってしまう。
毛利はこの時点でも捜査の進展を楽観視していたが……。

翌日、毛利がロイドを尋ね事務所へとやって来た。
その顔色は浮かない。
それもその筈、奇妙な事態に陥っていたのだ。

和久部の手から回収された毛髪。
鑑識に分析を依頼したところ、マイルスのものと判明したのだそうだ。
つまり、死亡した筈のマイルスが和久部を殺害したことになってしまう。

もうワケが分からない。
どう対応すべきか悩んだ毛利はロイドに相談に訪れたのである。

普段からお世話になっている相手である。
マーニーは毛利を助けるべく調査を開始する。

まずは今回の事件の関係者について洗い出しを開始。
その確認は鑑識課の職員リストにまで及んだ。

次に、マイルスの専門家にあたる。
マイルスファンクラブ日本支部長・日下香を訪ねたマーニー。
香はマイルスは生きていると語るが、それは日本では無いと残念そうに呟く。
マイルスはアニメ好きで何度となく来日はしていたそうだが……。

此処で、マーニーは例のリストを香に見せる。
リスト中に、マイルスファンクラブの関係者が居ないかの確認である。
すると……。

毛利を呼び出したマーニーは真相を伝える。
「どんなにありえないことでも、最後に残されたものならばそれが真実です」
こう前置きしたマーニーは、この混乱の元凶となった人物の名を打ち明ける。

その名は真海陽一。
毛髪の鑑定を依頼した鑑識課の職員であった。
真海はマイルスの熱狂的なファン。
香が確認したリストにもその名前があったのである。

香によれば、真海もまたマイルス生存説を熱心に唱えている人物。
周囲にもマイルスの生存は確実で、その証拠を見せてやると豪語していたらしい。

つまり、真海は自説が正しいことを証明する為に、職業倫理や誇りなどのすべてを投げうち、マイルス生存の証拠をでっち上げたのだ。
毛髪自体はマイルス本人の物を以前から入手しており、和久部が握っていた真犯人の毛髪とすり替えたのであろう。

そんなことの為に……と信じられない毛利。
だが、マーニーはソレが起こったと断言するのであった。
真海にとって、マイルスの生存はそれほど重要なことだったのだ―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
コミックス1巻、2巻、3巻も発売中です!!

今回はその第40話「スーパースター」です。
人の価値観の違いに起因する優先順位の差が生み出した事件でした。
前々から機会を窺っていた真海は和久部の死体が犯人の髪の毛を握っていたことを利用し、自身が所持していたマイルスの毛髪とすり替えたのでしょうね。
真海にとって「捜査の正確性」や「真実」よりも「マイルスが生きていることを(たとえ自身の仕掛けた偽の証拠だったとしても)証明する」ことの方が重要だったのでしょう。
さらに、真海の動機が自説が正しいことを示す顕示欲よりも、本気で「マイルスが生きている」と彼自身が信じているゆえの行いでありそうなのが凄いですね。

マイルスは絶対に生きている。
だが、証拠がない。
なら、マイルスの代わりに俺が証拠を残せばいい。
真海のこんな思考法が手に取るように分かるようです。
そして、彼にとってこの行為は神聖なものであり、和久部殺害事件の真相を覆い隠すことよりも重要であった。

まさに、真海独自の価値観ゆえ。
「古畑任三郎」でも「古美術品」の回でありましたね。
「私にとって、ホンモノであるよりも人間国宝が私の為に作ったニセモノの方が価値がある」のアレです。
この話、管理人は大好きです。

その人にとっては大事な物でも、他人にとってはどうでもよかったり。
逆に、その人にとっては重要では無くても、他人にとってはとても重要だったり。
そういうことってありますよね。

例えば、日頃から「買物の後の散歩」をしている人が居るとして、他の人から見れば「買物」だけ「散歩」だけでも十分なんだけど、その人にとっては「買物と散歩」が揃うことに重要性を感じていたりとか。
たぶん、その人の気持ちを周囲が実感することはかなり難しいだろうなぁ。

かくも価値観の違いとは恐ろしいものよ。
時に価値観は対立を招く。
人命は何よりも重いとされながらも、信仰や信念をを重視するあまり人命を軽んじることさえある。
その瞬間、優先順位は覆る。
これにより、人は戦争さえも引き起こす。

ある意味、価値観こそがその人や人が所属するグループの歴史を示していると言えるのでしょうね。
それにしても、真海の行為が捜査の行方を迷走させましたが、本当の和久部殺害犯は捕まったのでしょうか?
気になります。

そして、今回も発端はマーニーとロイドのジェネレーションギャップからスタート。
11話「ブリット」や22話「ニセモノ」と同様に仲の良いマーニー親娘が見られました。
この物語のオープニング形式も、ほのぼのとしてて管理人は好きです。

「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第22話「ニセモノ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

ちなみに、マイルス・デヴィッド。
誰がどう見てもあの人ですね。
こういった遊び心も本作の魅力か。

うん、今回も面白かった。
マーニーはやっぱりイイ!!
次回も期待です!!

ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻、2巻が発売中。
そして、3巻も発売されました。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
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これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話、23話、24話、25話、26話、28話、30話、31話、32話、38話に登場。
前花:マーニーの友人。オカルトに造詣が深いらしい。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話、19話、21話で登場。
累:白鳥の友人。1話、22話、36話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話、21話、30話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話、20話、25話(25話は名前だけ)に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。27話にて趣味はロードレースと判明。17話、27話、28話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
波峰りあ:マーニーとゆりかの同級生。巻野という名の幼馴染で年上の彼氏が居るらしいが……24、38話に登場。
浜沢志乃:マーニーの同級生、不動産を多数所持する。「幽霊マンション」もそのひとつ。25話に登場。
枯野:目立とうとしない天才。マーニーも一目置く。26話に登場。
3人組:マーニーのファンたち。探偵団を結成しようとするが……。26話に登場。
万田:マーニーたちの通う学校の副校長。30話に登場。

【警察&探偵】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話、24話、29話、38話、39話、40話で登場。
武頼:ロイドの先輩。22話にて登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:ある特異な趣味を持った大学生。ゆりかと交際中。4話、23話、24話、28話、31話、39話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
雨畑:テレビ局プロデューサー。9話、32話に登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話、21話(名前のみ)に登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。病を患っていたが回復した様子。11、33話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
玄武:大学生。日本有数のセレブで白鳥の知人。19話より登場。
宝蔵院はるか:大学生。玄武のフィアンセ。玄武同様にセレブ。19話より登場。
町会長:マーニーとロイドが暮らす地域の会長。20話、33話に登場。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。20話より登場。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。20話より登場。
ラッキー:白鳥が保護した「首なし鶏」。21話に登場。
君津和臣:化粧品メーカーの重役。今回の依頼人。22話にて登場。
日出有吉:木ノ崎順也の功績はこの人物の物であった。22話にて登場。
武藤遊助:片岡のいとこ。国公立トップである東都大学のエリート学生。23話で登場。
メカニック:マーニーの宿敵。最凶最悪の愉快犯。29話、36話に登場。
佐賀瀬清:元特捜班刑事。ロイド、毛利の先輩。29話に登場。
久儀良太郎:巷で噂の少年探偵。32話、34話、37話に登場。
赤名日登美:女優。ある意外な秘密が。33話より登場。
町名葉香:良太郎の同級生。自称・良太郎の助手。34話、37話に登場。
如月アリア:誰もが知る芸能界の超有名人。36話で登場。
前川広大:良太郎のクラスメートの1人。お寺の息子で良太郎を嫌っている。37話に登場。
河原崎:良太郎のクラスメートの1人。太めな少年。37話に登場。
近衛兄妹:良太郎のクラスメート。双子の兄妹。37話に登場。
紫崎:良太郎のクラスメート。大人しそうな女子生徒。37話に登場。
波峰愛理:りあの姉、大学1年生。呪いの影響か体調を崩している。38話に登場。
波峰三重:波峰姉妹の母親。38話に登場。
丸山儀奨:愛理の幼馴染。愛理とは別の工学系大学に通う大学生。38話に登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11、33話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
はるかの母:はるかの母。健康志向であった筈だが……。19話より登場。
木ノ崎順也:『悪意の天国』で知られる往年の名監督。その正体は誰も知らない。
巻野大輝:波峰の彼氏とされる人物、誰も姿を見た者がいない。24話に登場。
古書泥棒:2人組、リーダー格は「LUCK」と指に刺青している。
大神:自転車のチューンナップを生業とする男性。27話に登場。
ゴーストレーサー:髑髏マスクに黒装束の怪人。その正体は……。27話に登場。
お腹の大きな猫:エリオットに連れられてやって来た猫。
高齢の女性:迷子になった息子を捜す老婦人。30話に登場。
本泉耕作:68歳男性。入院中。34話に登場。
葉香の祖母:68歳女性。34話に登場。
マリ子:葉香の母。34話に名前だけ登場。
瀬田:育恵の夫、入院中。35話に登場。
瀬田育恵:今回の依頼人、瀬田とは一回りほど年が違う。35話に登場。
郷里:瀬田が病床にて呼び続ける名前。友人らしいが……。35話に登場。
郷里利絵子:郷里の妻。故人。35話に登場。
鴻上有:幼児期のアリアの家庭教師をしていた。アリアの初恋の相手らしいが……。36話で登場。
牛男:牛の仮面を被った猟奇殺人鬼らしいが……。37話に登場。
墓場の君:霊園愛好家の中で話題になっている女性。39話に登場。
水原:サッカー選手。妻を亡くしていたが再婚話が持ち上がっているらしい。39話に登場。
宗谷美樹奈:水原の婚約者。ある秘密が……。39話に登場。
マイルス・ダヴィッド:往年のスーパースター。謎の死を遂げた為に生存説あり。40話で登場。
和久部清貴:音楽会社社長。何者かに殺害される。40話で登場。
日下香:マイルスファンクラブ日本支部の支部長。40話で登場。
真海陽一:鑑識課員。40話で登場。

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posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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