ネタバレあります、注意!!
第17話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。
藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。
朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜
「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?
矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜も加わって……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
藍澤渚は寛いでいた。
今は風呂上がり、緩やかな気分でコーヒー牛乳を一気飲みする。
これは葉子に教えられた地球人の憩いの取り方であった。
これが心地よい。
火照った身体を冷ますように、下宿先のベランダへと出る。
風が気持ちいい。
最高だ!!
興が乗った渚は、渚ボディから本体(ミニ渚)を外へと露出する。
うん、やっぱり直に風に当たる方が心地よい。
思わず出る伸び。
解放感が凄い。
と、其処へ隣人から声がかかる。
聞きなれた隣人の声に振り向く渚。
隣人の正体は……獅穂であった。
渚の隣家へ獅穂が引越して来たのだ。
(へっ……)
一瞬、間の抜けた声を上げかけた渚本体は必死にボディに戻ることに。
慌てた甲斐あって、どうやら獅穂には気付かれなかったようだ。
(それにしても……この人は苦手だ……)
渚は思う。
今も、獅穂はほぼ全裸でベランダに立ち尽くしている……不穏だ。
それに何より、獅穂に関わった為に渚ボディがバッテリー切れを起こし大騒動に発展したのだから(13話「冷静になろう!」参照)。
なんだか不安で居た堪れなくなった渚は、ちらりとバッテリーを確認し噴き出した。
またも残量ゼロ寸前だったのだ!!
「お隣さんになったんだし、こっちに来て話しよ〜〜〜よ」
軽く声をかけて来る獅穂の相手もそこそこに部屋へと逃げ込む渚。
充電はギリギリ間に合った……。
一方。
(嫌われてんのかな……)
話もそこそこに部屋へと逃げ帰った様子の渚を眺めつつ獅穂は思う。
確かにお堅そうな相手と獅穂の相性はすこぶる悪い。
(折角、お隣になったのに……)
溜息を吐きつつ、空を見上げた獅穂。
(しまったぁ〜〜〜)
と、心中にて叫び声を上げるがもう遅い。
そう、空には月が浮かんでいたのだ。
そして、獅穂が月を目にすると……。
渚は自宅で奇妙な光を目にした。
光源はどうやら獅穂の部屋のようだ。
まさか……何かあったのか?
もしかして、裸だった為に何者かに襲われたのか?
だとしたら捨て置くことは出来ない。
渚はボディを置き、本体のみで獅穂宅へ向かう。
光が収まった後、現れたのは獅狼。
獅穂がほぼ全裸だった為に、彼もまたほぼ全裸である。
「くそっ、またかよ……獅穂のヤロウ」
獅狼は毒づく。
彼の苦労は人知れず行われて来たのだろう……。
渚は目の前の男を見つけ驚いた。
女性のベランダに全裸の男が1人、何やら呟きながら立っている。
変態だ、明らかに変態だ。
見れば獅穂の姿は無い。
どうするべきか悩むが、全裸男は「獅穂」の名を口にしているようだ。
もしかすると、同棲相手なのかもしれない。
獅穂の性格からすれば、ふしだらではあるが不思議ではない。
様子を見るべきだと判断した渚は全裸男を尾行した。
「うあっ!!」
渚に監視されていることなど露知らぬ全裸男こと獅狼は部屋へ入るなり素っ頓狂な声を上げた。
部屋の中身は獅穂の趣味なのか、もうシッチャカメッチャカである。
その頃、葉子の父は獅狼への指令を思い出していた。
葉子を連れ戻すこと―――その使命は獅狼へと戻った今、果たされるのか?
いや、果たされなかった。
獅狼は何を思ったのか……部屋の掃除を始めたのである。
よほど、普段から獅穂の散らかしぶりに耐えかねていたのだろう。
その手捌きは素晴らしいモノがあった。
渚は愕然としていた。
全裸男が獅穂の部屋を物色し始めたのである。
これは明らかにマズイ。
(いざとなったら逃げるんだぞ!!)
兄がヤバい人たちと事故を起こした友人を見捨てて逃げたエピソードを思い出した渚。
だが、今回ばかりは兄の教えに背かなければならない。
意を決した渚は友を救うべく、自宅へ戻ることに。
ボディを回収すると、武装して改めるつもりなのだ。
掃除中の獅狼。
ふと外を見上げると、月が浮かんでいた。
「あああああああああああああああああっ」
後悔を含んだ声と共に部屋が再び光に包まれた。
ボディに乗り込み、フライパンを手に獅穂の部屋へとやって来た渚。
だが、其処に先程の全裸男の姿は無い。
代わりに獅穂が寝そべっているだけだ。
ほっとする渚。
そんな渚の様子を不思議に思った獅穂が問う。
「どうしたの?」
「いや、不審な男が居たんだ。友達として助けに来て当然だろう!!」
渚の返事に胸を熱くする獅穂。
とはいえ、その全裸男とは獅狼であり、すなわち獅穂なのだが……。
そして、胸を熱くした獅穂が次にとった行動とは!!
「よし、友情の証にパンツを交換しよう」との提案であった。
獅穂にとって、それはサッカー選手のユニフォーム交換と同じらしい。
もちろん、抵抗を見せる渚。
だが、獅穂に押し倒されて―――18話に続く。
<感想>
「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻の発売も決定とのことで、目出度い。
そして、本作かなり面白い!!
その17話です。
渚と獅穂(獅狼)回です。
互いに正体を知らない者同士のやり取りが面白かったですね。
そして、途中まで友情が確認出来そうなイイ話だったんだけどなぁ〜〜〜あのラストがなんとも獅穂らしい。
獅穂(獅狼)と渚の視点が互いに切り替わるストーリー展開も良かった。
そして、獅穂同様に獅狼も少し残念な子のようです。
何故、彼を選んだのか……葉子パパよ。
ひょっとして、選べるほど人が居ないのか……。
そんな獅狼ですが、家事スペックはとてつもなく高い模様。
ある意味、獅狼と獅穂とはそれぞれ家事(料理)も得意で性にも積極的(但し想った相手に一途)と男性が好むと言われる条件を満たしているんですね。
昼は獅狼、夜は獅穂だとこの条件を満たせるのか……実態はどうあれ、なんとも複雑。
一方、渚さんの友情への篤さも良かったですね。
上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。
コミックス1巻も発売決定とのことで、次回も注目です!!
もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
・「実は私は」第1話から10話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「実は私は」第11話「狼男がやってくる!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第12話「狼女がやってきた!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第13話「冷静になろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第14話「カレーを作ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第15話「検証しよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「実は私は」第16話「大人になろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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