<あらすじ>
北見志穂(松下由樹)は、警視庁捜査一課の刑事。自ら“おとり”となって事件の渦中に飛び込み、同僚の袴田刑事(蟹江敬三)の協力を仰ぎながら、数々の難事件を解決してきた。
スナック経営者の女性が殺害された事件を追っていた志穂たちは、容疑者の前妻・保科カズエ(鮎ゆうき)を張り込むことに。フラメンコ教室で講師を務めるカズエに、志穂は入会希望者を装って接近。狙いどおり、接触してきた容疑者を逮捕することに成功した。
その数日後、都内の雑木林で奇妙な女性の死体が見つかった。ロープで胴体を木に縛りつけられた挙句、まるで挙手でもしているかのように右手首まで木にくくりつけられていたのだ。奇怪なポーズをとらされた、その遺体の顔を見た志穂はビックリする。先日の潜入捜査中、カズエがダンサーとしてステージを担当するスペイン料理店に寄った際、相席になった女性・桜木美由紀(松尾れい子)だったのだ。
美由紀の死亡推定時刻は前夜23時頃で、死因は頭部損傷による失血死。死後30分以上経ってから、木に縛りつけられたことがわかった。使用されたロープは、現場から徒歩10分ほどの植木店から盗まれたものらしい。犯人は殺害後、ロープを調達して再び現場に戻り、遺体を木に縛りつけたのか…!? 誰かに見つかるリスクを冒してまで、なぜそんなことをしたのか、志穂たちは釈然としない。また、美由紀の携帯電話がどこにも見当たらず、犯人が持ち去ったものと思われた。
美由紀の夫・洋一郎(片岡暁孝)は、IT関連会社の社長で、妻に2億円の生命保険をかけていたことが判明。前夜は23時前に大阪出張から帰宅したと証言するが、捜査の結果、深夜1時を過ぎて帰宅したことがわかる。取り調べに対し、洋一郎は新幹線で隣席に座っていた荒川ミドリ(吉井怜)という女性と意気投合し、ドライブの末、彼女を六本木のマンションまで送ったと白状する。しかし、調べたところマンションには該当する人物は住んでおらず、洋一郎が嘘をついているのか、謎は深まるばかりだった。
その後、美由紀の通話データを調査した志穂たちは、彼女が頻繁に連絡を取っていたスペイン料理店のオーナー・奥山奈緒子(原沙知絵)と会う。奈緒子は美由紀の高校時代の同級生であり、スペイン料理店のほかにホテルやレストランも経営している実業家で、将来を期待されるフラメンコダンサーの弟・吉田優也(三浦涼介)と暮らしていた。奈緒子によれば、半年ほど前に美由紀が偶然スペイン料理店にやって来て20数年ぶりに再会、時折たわいもない話を交わすようになったが、さほど親しい関係ではないという。
そんなとき突然、美由紀の携帯電話の電波がキャッチされた…! 犯人が電源を入れたのか、と色めき立つ志穂たち。まもなく、都内の公園の茂みの中から、美由紀の携帯電話を発見! 最後にアクセスされた投稿サイトに「大切な家を食い荒らすメスのシロアリを退治した。まもなく2匹目のシロアリを退治する」という不気味な書き込みがされているのを見つける。これは犯行予告なのか…!? その直後、美由紀とまったく同じポーズをとらされたスペイン語講師・遠藤麻里(塩山みさこ)の死体が見つかって…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
スナック経営者殺害事件の被疑者を追い、その前妻・カズエに接近した志穂。
結果、犯人逮捕に成功する。
直後、桜木美由紀が殺害される。
美由紀は夫と離婚寸前であった。
さらに、携帯が持ち去られていたが……。
美由紀の通話記録から、スペイン料理店のオーナー・奈緒子が浮上する。
奈緒子は美由紀と高校時代の同級生。
奈緒子には将来を嘱望されるダンサーの弟・優也が居た。
消えた美由紀の携帯電話の電波がキャッチされた。
早速、回収したところ「大切な家を食い荒らすメスのシロアリを退治した。まもなく2匹目のシロアリを退治する」との不気味な書き込みを発見。
直後、美由紀と同じ格好でスペイン語講師・遠藤麻里の死体が発見される。
やはり、何者かに殺害されたらしい。
そして、麻里の携帯も消えていたのである。
翌日、麻里の教え子である順子が志穂たちに保護を求めて来た。
自分も狙われていると主張したのだ。
なんと、先に殺害された美由紀も麻里の教え子だったのである。
袴田たちはスペイン語教室の関係者が殺害されていると考えるが……。
美由紀と麻里を調べた結果、荒川ミドリという女性の存在が浮上。
なんと、美由紀と麻里は夫から慰謝料を搾り取り離婚するべく、ハニートラップを仕掛けていたのだ。
これにより、荒川ミドリ経由での殺害動機も考えられることに。
ところが、美由紀、麻里、順子を調べたところ、もう1つ共通項が発見される。
3人共に10年前にスペインに旅行しており、直後に大金を手にしていたのである。
しかも、奈緒子もまたこの旅行に同行していた。
奈緒子、美由紀、麻里、順子4人に共通項が存在したのだ。
「10年前、スペイン、大金」の3つのキーワードから、東和銀行スペイン支店の行員・田中誠の事故死がクローズアップされる。
当時、田中は80万ユーロもの大金を運んでいたが、金は消えてしまっていた……。
さらに、田中に恋人が居たことも分かる。
矢先、麻里の携帯が発見された。
其処には「3匹目を殺害する」との予告が……。
順子か奈緒子が危ない。
奈緒子の行方を追う志穂たちだが、秘書の柳下も彼女の行方を知らないと言う。
優也も同様であった。
順子の身柄が保護された。
さらに、順子が奈緒子を脅迫していたことが判明。
順子は10年前の真相を明かす。
10年前、スペインのシェリー酒の蔵元を巡っていた奈緒子たち。
彼女たちは途上で、田中誠の事故現場に行き合わせる。
田中は既に絶命しており、その傍には80万ユーロが放置されていた。
此処で彼女たちに悪心が生じた。
奈緒子たちは80万ユーロを奪うことに。
これをシェリー酒の樽に隠し日本に持ち込んだのだそうだ。
その金を2500万円ずつ分配したらしい。
10年後、美由紀たち3人は使い切ってしまったが、奈緒子だけが成功したのである。
其処で、美由紀たちは奈緒子を脅迫し1人1億の支払いを強要したのだ。
だが、美由紀と麻里は次々と何者かにより殺害されてしまったのである。
さらに美由紀は、奈緒子に関する「もう1つの重大な秘密」を押さえていたそうだが……。
カズエが田中誠の恋人だったことが判明。
一連の事件は、田中の復讐かと思われたがカズエにはアリバイが。
さらに、奈緒子の両親が心中していたことが分かる。
なんでも、奈緒子の母の不倫に憤った父の無理心中だったそうだ。
しかも、奈緒子と優也に血の繋がりがないことも分かる。
互いの両親の連れ子だったのだ。
袴田は無理心中事件こそが「もう1つの重大な秘密」では……と主張。
奈緒子は世界に羽ばたこうとしている優也の為にスキャンダルの芽を摘んだのではないか。
こうして、奈緒子に容疑が集中することに。
果たして、奈緒子が犯人なのか?
順子が奈緒子を脅迫し、金を受け取る約束をした日が近付く―――ここに志穂は順子に成り済まし、囮となることを決意する。
順子に成り済ました志穂。
暗闇の中で、奈緒子を待ち受けるが……。
矢先、奈緒子の携帯に電源が入る。
電波を追った捜査員たちは、其処に眠りこけた奈緒子を発見する。
犯人は奈緒子では無かったのか?
一方、志穂の前には謎の人物が。
謎の人物は志穂に襲い掛かる。
ところが、目覚めた奈緒子が犯行を自供してしまう。
混乱する捜査員たちの隙を突いた謎の人物は志穂をバールで殴りつける。
飛び込む袴田は、謎の人物に掴みかかった。
そして、明らかになった謎の人物の正体は―――優也であった。
こうして、奈緒子と優也が連行された。
奈緒子たちはすべてを語り始める。
美由紀に脅迫された奈緒子。
揉み合う内に美由紀は気絶してしまう。
奈緒子はその場を逃げ去った。
其処へ優也が現れた。
彼は奈緒子を護るべく、美由紀に止めを刺した。
そして、混乱させるべくポーズをつけさせたのである。
美由紀を殺害したことで、残り2人の脅迫者も殺害しようと決意した優也。
こうして、麻里も殺害したのだ。
最後には順子を殺害しようとし、逮捕されたのである。
優也は姉・奈緒子に心から感謝していた。
何故なら、奈緒子の母を殺害したのは優也の父だったのだから。
にも関わらず、奈緒子は優也への愛を惜しまなかった。
だからこそ、どうしても奈緒子を脅かす美由紀たちが許せなかったのだ。
そして、奈緒子は奈緒子で優也を護ろうと自身が犯人であると偽証したのである。
互いが互いを想うが故の犯行だったのだ―――エンド。
<感想>
土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂」シリーズ17作目。
前作は2012年6月9日に放送されているので、ほぼ1年ぶりの最新作。
シリーズのいくつかは過去記事でネタバレ批評(レビュー)してますね。
興味のある方は過去記事をどうぞ!!
では、ドラマの感想を。
シリーズの恒例であるとは言え、今回は流石に無意味に盛り過ぎだろう。
追加情報が出しっぱなしで処理し切れておらず、かといって視聴に差し支えるモノでもない。
つまり、不要な情報が多過ぎた。
これはネタバレあらすじをご覧頂ければお分かりになる筈。
本ドラマの内容を必要箇所だけでまとめれば10行程度でまとまりそうなのが怖い。
なんでも「盛ればいい」という物ではないと思うなぁ……。
特に、荒川ミドリのシーンなんて時間稼ぎとしか思えないし。
他も、ミスリード以外にも無駄なシーンが多過ぎではなかろうか。
そして、何より優也は「蟻食い」として連続殺人事件であることを主張する必要があったのか。
美由紀と麻里の殺害はそれぞれ別の事件に偽装した方がメリットがあったような。
捜査攪乱目的のポーズも携帯も果たして意味があったのか?
連続殺人にした時点で、すべてに意味が無い気がするが……。
なにしろ、連続殺人にしてしまったことで被害者間の関係性が注目されてしまうし。
結局、順子が殺害されれば遠からず奈緒子にも辿り着く筈。
どう足掻いても、奈緒子にも迷惑がかかるだろうに。
わざわざ真相をバラしていたようなものではなかろうか。
何故、それぞれ別の事件に仕立てなかったのだろう?
そして、おまけのような囮。
あれ必要だったのだろうか……。
他に気になったのは、北見志穂役の松下由樹さんの声が少し枯れてたことか。
モノローグのシーンで特に感じられました。
風邪なのかもしれない……撮影は冬だったのかな。
やっぱり、健康は大切ですね。
などなど。
まぁ、全部含めて「このシリーズらしいと言えばらしい」気もします。
何故か許せてしまうんだよなぁ……そんなこんなで結構楽しめました。
17本目は伊達じゃない!!
ちなみにドラマ原作は「神狩り」で知られる山田正紀先生の「女囮捜査官(おとり捜査官)」シリーズ。
シリーズは「女囮捜査官 1 触覚」などのように「タイトル+五感」となっておりシリーズはきちんと5冊(触角、視覚、聴覚、嗅覚、味覚)発行されている。
もし仮に原作で次があるとすれば(ないだろうが)、「女囮捜査官 第6感(直感)」となるのだろうか?
あるいは「女囮捜査官 共感覚」かも……。
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官・北見志穂 婚カツ美女連続殺人 狙われる女性警察官!婚活シート男女176人の容疑者…」(6月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂 口をふさがれた美女連続殺人!似合わない白いハイヒールを履いた美女の謎」(4月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂 獄中女に間違われた女刑事!銀行襲撃犯が殺される理由…消えた拳銃と2300万の謎」(8月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「共感覚」といえば思い浮かぶのはこれらの作品。
「臨床真理」(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
「キョウカンカク」(天祢涼著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
<キャスト>
北見志穂:松下由樹
袴田刑事:蟹江敬三
奥山奈緒子:原 沙知絵
吉田優也:三浦涼介
保科カズエ:鮎 ゆうき
井原主任:小木茂光
佳代:赤座美代子
安達刑事:渋江譲二
桜木美由紀:松尾れい子
松原順子:中島史恵 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
◆「おとり捜査官」シリーズ関連書籍です!!
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