<あらすじ>
望月幸平(高嶋政伸)は、東京駅遺失物係、通称“お忘れ物預り所”に勤務するJR職員で、上司の嶋田福男(北村総一朗)の家に下宿している。嶋田の妻・満江(高橋ひとみ)は東京駅の助役で、普段から嶋田は妻に頭が上がらないのだが、浮気がバレて以来、この夫婦は別居状態にある。
幸平と同僚の村尾由希子(櫻井淳子)は、嶋田夫妻と共に大井川鉄道のSL列車に乗車する。大の鉄道ファンである幸平が、大井川沿いのケアハウスに入居している知人・殿山末雄(山本學)を訪ねるという嶋田夫妻の旅に同行を申し出たのだ。殿山は嶋田の大先輩、かつてはSLの機関士を務めたバリバリの鉄道員だった人物だった。
SLの中で、幸平たちは車内に土産の袋を置き忘れそうになった柴田美奈子(宮本真希)と知り合いになる。美奈子は奇しくも殿山が暮らすケアハウスで働く介護福祉士で、現在、研修を受けるために都内に滞在しており、その日はケアハウスに一時帰宅する途中だったらしい。
ケアハウスは、園長の森崎静代(松原智恵子)が自らの資産をつぎ込んで運営されており、殿山や元看護師の宮本康子(赤座美代子)ら入居者たちにはそれぞれに持ち場が与えられ、生き生きと生活していた。また美奈子たちスタッフも親身な介護をしているのが印象的だった。だが、この園は大手のケアハウスグループによる買収のターゲットにされ、グループ幹部の正岡和也(菅原大吉)は幾度となく静代のもとを訪ねては、半ば脅迫まがいに話を持ちかけていた。
翌朝、園近くの雑木林を散策していた幸平と由希子は、介護スタッフの村川吾郎(大熊ひろたか)の死体を発見! 静岡県警の五十嵐貞夫警部(片桐竜次)たちは殺人事件とにらんで捜査を開始するが、帰京した幸平たちの元に静代から電話が入る。なんと美奈子が五十嵐たちに連行され、取り調べを受けているという。被害者の携帯電話の履歴から、事件の直前、村川が美奈子に2度電話していることが判明したのだ。実は、美奈子には15年前に補導歴があり、ケアハウスの入居者で当時刑事だった加東秀治(寺田農)に救われたという過去があった…。
そんな中、美奈子がケアハウスで入居者に虐待を働いているというデタラメな記事が週刊誌に掲載された。正岡らが仕組んだものと思われたが、静代たちのことが心配になった幸平は、釈放された美奈子と共にケアハウスに向かう。ところが、その夜、正岡が転落死する事件が発生して…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
東京駅忘れ物預り所に勤務する望月幸平。
上司の嶋田夫妻と共に、鉄道マンの大先輩・殿山を彼が入所している「ケアハウスいえやま」に訪ねた。
その途中、「いえやま」で働く介護福祉士・柴田美奈子と出会う。
美奈子に好意を抱く幸平。
美奈子によれば「ケアハウスいえやま」は入居者と職員が互いに助け合う理想的な場所らしい。
実際、殿山や元看護師の宮本康子、元刑事の加東秀治などがまるで家族のように生活していた。
ところが、「ケアハウスいえやま」には経営の危機が訪れていたのである。
「ケアハウスいえやま」は園長の森崎静代が私財を投げ打って運営していたのだが、それが限界に近付きつつあったのだ。
しかも、大手ケアハウスグループ「シルバーキャッスル」から買収攻勢を受けていた。
「シルバーキャッスル」の幹部・正岡は脅迫紛いの手まで用いて「ケアハウスいえやま」を追い込んでいたのである。
矢先、「ケアハウスいえやま」の職員の1人・村川が何者かに殺害されてしまう。
村川の携帯の発信履歴から、この容疑が美奈子にかかってしまった。
なんとか、美奈子の無実を証明したい幸平。
一方、康子に男の子を駅に捨てた過去があることが判明。
幸平は彼女が母親では……と期待を寄せる。
だが、残念ながら状況が合致せず、母親ではないと分かる。
肩を落とす幸平、涙ながらに幸平に謝罪する康子。
康子自身も子供を捨てたことを後悔しているらしい。
これを傍で聞いていた美奈子も貰い泣きする。
なんと、美奈子もまた過去に駅で捨てられたのだと言うが……。
直後、正岡が謎の転落死を遂げる。
やはり、何者かに殺害されたようだが……。
こうして「ケアハウスいえやま」の関係者に容疑が向かうことに。
加東にはアリバイがあったが……。
ところが、その加東の忘れ物が預り所に届く。
それは「こだま号」の窓際に置き忘れられていたらしい。
加東自身の供述が事実ならばありえないことである。
つまり、加東のアリバイは偽物だったことになるのだ。
幸平は悩んだ末に、この事実を五十嵐刑事に伝える。
五十嵐は加東のアリバイをつぶさに調査し、タクシー移動でアリバイ工作を行ったと考えるように。
また、正岡の殺害現場付近の駅から加東の指紋のみが付いた切符も発見される。
加東に容疑が集中するが……。
当の加東が村川と正岡の殺害を認める遺書を遺し自殺してしまう。
事件は終わりを告げたかに見えた。
だが、幸平は加東が殺人を犯したことが信じられない。
最中、加東に右半身マヒがあったことが判明。
そんな状態で正岡を転落死させることが出来るだろうか?
さらに、加東がアリバイ工作の為に出入りしたとされる駅の改札映像を確認したところ、右手で切符を改札に通していることに気付く。
真相を察した幸平は「ケアハウスいえやま」へ。
其処では騒ぎが起こっていた。
美奈子が消えたと言うのだ。
半狂乱の康子と共に美奈子を捜す幸平。
美奈子は……いた。
彼女は「私を庇った所為で加東さんが死んだ」と告げ、その責任から自殺しようとしていた。
そう、村川殺害は美奈子の犯行だったのだ。
村川は「ケアハウスいえやま」を見限り、正岡の「シルバーキャッスル」に寝返っていた。
これに逆上した美奈子が揉み合う内に、村川を殺してしまった。
ところが、康子が犯行直後の美奈子を発見。
放心状態の美奈子から村川を殺害したことを聞き出した。
これを知った加東と殿山は美奈子を庇うことにした。
病気で余命幾許も無い加東がスケープゴートになることとなった。
しかし、正岡は美奈子の犯行に気付き、静代を脅迫し始めた。
これを知った加東と殿山は正岡抹殺を決意する。
だが、加東は右半身マヒで犯行は不可能。
其処で、殿山が実行犯を引き受けた。
加東が思わせぶりに動き、視線を集めた。
その後、殿山にバトンタッチしたのである。
殿山は加東から切符を受け取ると加東を演じつつ改札を抜けた。
この際、接着剤を指先に塗り自身の指紋を消した。
そして、こだまの忘れ物である。
もちろん、これも加東に目を向ける為のトリックであった。
こうして、加東に注意を引きつつ、実際の犯行は殿山が行った。
だが、幸平は改札の映像から、正岡殺害を実行した人物が右手の不自由な加東ではないと見抜いたのである。
そして、極めつけは加東の自殺。
彼が生きている限り、このトリックが露見する可能性は付きまとう。
そこで、加東はケアハウスを救うべく自殺したのであった。
これを聞き、加東と殿山に涙ながらに礼を述べる康子。
そんな康子に幸平は「もう、嘘はいいでしょう」と告げる。
そう、康子が捨てた子供とは男の子ではなく、女の子であった。
美奈子こそが康子の子供だったのだ。
康子は捨てた美奈子が気にかかり、その行方を追いケアハウスに入所し見守っていたのだ。
実の親であった康子はもちろん、加東も殿山も美奈子を娘のように想っていた。
そして、美奈子もまた彼らを家族のように慕っていた。
だからこそ、事件が起こってしまったのであった。
「俺たちは忘れられたのかもなぁ……」
ぽつりと呟く殿山。
「人は忘れものじゃない。そんなことは絶対にありません」
力強く断言する幸平であった。
美奈子と殿山は逮捕された。
だが、静代や康子たちは彼らの帰宅を待つのだそうだ。
こうして、事件は解決。
お忘れ物預り所に日常が戻るのであった―――エンド。
<感想>
「東京駅お忘れ物預り所シリーズ」第6弾。
前回は2012年7月7日に放送されているので、ほぼ1年ぶりの新作となりました。
過去にネタバレ批評(レビュー)していますね、過去記事をどうぞ!!
では、ドラマ本編の感想。
物凄く豪華でした!!
レギュラーの面々に加え、赤座美代子さん、松原智恵子さん、山本學さん、寺田農さん、片桐竜次さんといぶし銀の役者さんが出演。
皆さんが遺憾なくその魅力的な演技を見せました。
真犯人判明からのクライマックスは真骨頂でしたね。
特に、寺田農さんと山本學さん―――良かったです!!
幸平の出自に関わるかと思わせる演出も見事。
それが康子と美奈子親娘2人のストーリーの根幹に関わったのも良し。
トリックも、鉄道トリックとしてはよく見かけるものを囮に用いるなど、なかなかに凝っていたように思います。
さらに、トリック自体(落し物を拾わせる)に落し物預り所である必然性もあったので大満足です。
ただ一点、事件は解決しましたが「ケアハウスいえやま」の経営難は未だ改善されていない筈なのですが、大丈夫なのでしょうか。
これだけが気にかかりました。
次回にも期待!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「東京駅お忘れ物預り所5 滋賀しがらき〜登り窯に殺意の炎!!狙われた女相続人…髪留めに母の秘密!?」(7月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「東京駅お忘れ物預り所4 全長6400メートル銚子電鉄殺人ルート!!すり替ったお守り袋に15年間の殺意の秘密」(7月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
望月幸平:高嶋政伸
村尾由希子:櫻井淳子
嶋田満江:高橋ひとみ
嶋田福男:北村総一朗
柴田美奈子:宮本真希
宮本康子:赤座美代子
森崎静代:松原智恵子
殿山末雄:山本 學
加東秀治:寺田 農
五十嵐警部:片桐竜次 ほか
(公式HPより、敬称略、順不同)
なんで忘れ物をしてしまうのか?そんな謎に真っ向から挑んだのが本書。
「失敗のメカニズム―忘れ物から巨大事故まで (角川ソフィア文庫)」です!!
失敗のメカニズム―忘れ物から巨大事故まで (角川ソフィア文庫)
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