ネタバレあります、注意!!
第42話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話、23話、24話、25話、26話、28話、30話、31話、32話、38話、42話に登場。
波峰りあ:マーニーとゆりかの同級生。巻野という名の幼馴染で年上の彼氏が居るらしいが……24、38、42話に登場。
金城あつ子:マーニーとゆりかの中学時代の友人。通称“嘘吐きあっちゃん”。42話に登場。
暗闇に包まれた少女:その正体は……。42話に登場。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
「私、妊娠したみたい……」
ゆりかに打ち明けられたマーニーは絶句した。
父親は片岡さん?産むの?産まないの?
いや、そもそも私は友人としてどうすればいいの?
混乱するマーニー。
誰にも相談することが出来ず、休み時間も1人「う〜〜〜ん、う〜〜〜ん」と唸っていた。
そんなマーニーの様子を目にした波峰りあ。
何やらマーニーが悩み込んでいるようだ……と不安な様子。
そして、其処に通りがかったゆりか。
りあからマーニーの様子を聞かされ呟く。
「あれ、マーニー言わなかったんだ」
これを耳にしたマーニーが「へっ?」と顔を上げる。
「いや、あれ嘘。普段から守秘義務のこと口にしてるから本当かどうか試し……」
ゆりかは最後まで言えなかった。
マーニーがゆりかの首を絞めていたからである。
うん、これは仕方が無い。
数分後、りあが間に立ち、ゆりかは命を取り留めた。
とは言え、その姿に反省の色は見えない。
平然と「いや、金城あつ子を思い出して」と開き直る。
「ああ、嘘吐きあっちゃん」
これに反応を示すマーニー。
金城あつ子はマーニーとゆりかの中学時代の友人らしい。
りあは高校に入ってからの友人なので、あつ子のことは知らない。
りあに説明するようにマーニーはあつ子について語り出す。
金城あつ子。
通称「嘘吐きあっちゃん」。
彼女がよく嘘を吐いた為につけられたあだ名だ。
だが、彼女の嘘は人を傷付ける物では無かった。
曰く「薬物の取引現場を目にした。撃ち合いにまで発展したので驚いた」。
曰く「UFOが下りたのを目撃した。宇宙人が乗っていた」。
曰く「私は病気の為に余命が短い」。
曰く「モナコ王室の血を引いている」。
曰く「虎が放し飼いになってて、追われた」。
などなど。
それぞれ他愛の無いものである。
その為か、あつ子は嘘を吐くのだが皆から慕われていた。
男子生徒からもモテていたようだ。
だが、告白されても「星に帰らないと」と、いつもの嘘で躱していたようである。
中学時代は親しかったマーニーとゆりか。
しかし、もともとあつ子は自宅を執拗に隠すなど何処か近寄りがたい雰囲気もあり、高校に入ると疎遠になってしまった。
懐かしがったゆりかは自身の嘘から話を逸らす為もあってか、マーニーにあつ子と会いたいと依頼する。
自身も気になるマーニーはゆりかの狙いを察しつつ、これを引き受けることに。
早速、調査を開始したマーニーだが、あつ子の自宅も知らない以上、なかなか手掛かりがない。
中学時代の同級生などを当たるが、これも特に成果が上がらない。
どうやら、あつ子が距離を置いていたのはマーニーたちだけではないらしい。
こうなると、古典的だが足で稼ぐしかない。
周辺を歩き回ったマーニーは、ふと虎の人形を見かける。
どうやら、薬局の販促用らしい。
そう言えば……マーニーはあつ子の言葉を思い返した。
「虎が放し飼いになってて、追われた」との嘘が無かったか。
ふと思い出したマーニー。
その視線に「UFO」をモチーフにしたらしい看板が載った鉄塔が見える。
そう言えば「UFOが下りたのを目撃した。宇宙人が乗っていた」との嘘も無かったか。
まさか……と思い立ったマーニーは慌てて周囲を見回す。
すると、あった。
スナックモナコが!!
「モナコ王室の血を引いている」とはこのことだったのだ。
そう、あつ子は零から嘘を吐くのではなく、もともとある物を膨らませて嘘を吐いたのだ。
撃ち合いも、UFOも、虎も、モナコもすべて其処に存在したものを膨らませたのだ。
では、告白を断る際に語っていた「星に帰る」とは……。
数日後、マーニー、ゆりか、りあはとある病院を訪れていた。
ある病室の入院患者を訪ねる為である。
其処に居たのはあつ子であった。
彼女の嘘は「もともとある物を膨らませたモノ」。
そんな中に、すべて真実のモノが1つだけ含まれていた。
「私は病気の為に余命が短い」である。
あつ子は病魔と闘っていたのである。
だからこそ、周囲を遠ざけていた。
そして、その厳しい現実が嘘になるように他の嘘に交えて口にしていたのである。
痩せ衰えたあつ子の姿を目にしたマーニーとゆりかは涙ながらに気付けなかったことに謝罪の言葉を述べる。
そんな2人にあつ子は微笑みながら告げる。
「大丈夫。暗闇に閉ざされた少女に救われたの。彼女は超能力を持っているの」と。
また嘘だ……とマーニーとゆりかはあつ子の気遣いにさらに涙を流す。
その頃、あつ子と直接的に面識のないりあは廊下で1人立っていた。
3人の様子を眺めるりあの頬にも涙が伝っている。
その後ろを、少女がすっと風のように通り抜ける。
少女を目にしたりあが心のうちで呟く。
あれ……この娘、目が見えないんだ。
少女はそのまま廊下を進んで行く。
マーニーたちは知らないであろう。
その少女こそ、あつ子が語る「暗闇に閉ざされた少女」。
そして、我々読者は知っている。
彼女は超能力を持つヘレンであった―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
コミックス1巻、2巻、3巻も発売中です!!
今回はその第42話「うそつき」です。
あつ子の嘘は現実に絶望した故の悲しい嘘でした。
あつ子は病気を嘘に変える為に嘘を吐き続けました。
ですが、ラストのあつ子は既に嘘吐きではない。
感動的な物語、そのラストにてまさかのサプライズでしたね!!
あつ子の現状と「超能力」のくだりで涙腺がうるっと来ていたのですが、ラストのヘレン登場で度胆を抜かれました。
ヘレンをご存じない読者の方にご説明させて頂くと、ラストに登場した盲目の少女は木々津先生が以前に『週刊少年チャンピオン』に連載していた『ヘレンesp』の主人公・ヘレンでした。
彼女は目が見えないのですが代わりに超能力を持っており、その力で関わった多くの人々を精神的に救うのです。
毎回、ネタバレ批評(レビュー)記事の最後に紹介しているあの作品ですね。
そんなヘレンが登場したことにより、あつ子もまたヘレンに救われたことが分かります。
つまり、あつ子が口にした「超能力」は嘘ではなかったのです。
あつ子は既に嘘を吐かなくとも、現実と向き合える精神状態にあると言えるでしょう。
今のあつ子は嘘吐きではない。
過去にあつ子が吐いた嘘は彼女が現実に潰されかけたゆえのもの。
現在、マーニーたちが辿り着いたその場でも「超能力」と嘘らしき言葉を口にする。
未だ、苦悩の中にあるのか……と思いきや、ヘレンが登場したことで「あつ子が嘘を吐くことから解放された=精神的に救われたこと」を明かす。
いや、素晴らしい構成でした。
うん、今回も面白かった。
マーニーはやっぱりイイ!!
次回も期待です!!
ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻、2巻が発売中。
そして、3巻も発売されました。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話から40話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「名探偵マーニー」第41話「勉強ブルース」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話、23話、24話、25話、26話、28話、30話、31話、32話、38話、42話に登場。
前花:マーニーの友人。オカルトに造詣が深いらしい。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話、19話、21話、41話で登場。
累:白鳥の友人。1話、22話、36話、41話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話、21話、30話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話、20話、25話(25話は名前だけ)に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。27話にて趣味はロードレースと判明。17話、27話、28話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
波峰りあ:マーニーとゆりかの同級生。巻野という名の幼馴染で年上の彼氏が居るらしいが……24、38、42話に登場。
浜沢志乃:マーニーの同級生、不動産を多数所持する。「幽霊マンション」もそのひとつ。25話に登場。
枯野忠明:目立とうとしない天才。マーニーも一目置く。26話、41話に登場。
3人組:マーニーのファンたち。探偵団を結成しようとするが……。26話、41話に登場。
万田:マーニーたちの通う学校の副校長。30話に登場。
【警察&探偵】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話、24話、29話、38話、39話、40話で登場。
武頼:ロイドの先輩。22話にて登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:ある特異な趣味を持った大学生。ゆりかと交際中。4話、23話、24話、28話、31話、39話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
雨畑:テレビ局プロデューサー。9話、32話に登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話、21話(名前のみ)に登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。病を患っていたが回復した様子。11、33話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
玄武:大学生。日本有数のセレブで白鳥の知人。19話より登場。
宝蔵院はるか:大学生。玄武のフィアンセ。玄武同様にセレブ。19話より登場。
町会長:マーニーとロイドが暮らす地域の会長。20話、33話に登場。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。20話より登場。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。20話より登場。
ラッキー:白鳥が保護した「首なし鶏」。21話に登場。
君津和臣:化粧品メーカーの重役。今回の依頼人。22話にて登場。
日出有吉:木ノ崎順也の功績はこの人物の物であった。22話にて登場。
武藤遊助:片岡のいとこ。国公立トップである東都大学のエリート学生。23話で登場。
メカニック:マーニーの宿敵。最凶最悪の愉快犯。29話、36話に登場。
佐賀瀬清:元特捜班刑事。ロイド、毛利の先輩。29話に登場。
久儀良太郎:巷で噂の少年探偵。32話、34話、37話に登場。
赤名日登美:女優。ある意外な秘密が。33話より登場。
町名葉香:良太郎の同級生。自称・良太郎の助手。34話、37話に登場。
如月アリア:誰もが知る芸能界の超有名人。36話で登場。
前川広大:良太郎のクラスメートの1人。お寺の息子で良太郎を嫌っている。37話に登場。
河原崎:良太郎のクラスメートの1人。太めな少年。37話に登場。
近衛兄妹:良太郎のクラスメート。双子の兄妹。37話に登場。
紫崎:良太郎のクラスメート。大人しそうな女子生徒。37話に登場。
波峰愛理:りあの姉、大学1年生。呪いの影響か体調を崩している。38話に登場。
波峰三重:波峰姉妹の母親。38話に登場。
丸山儀奨:愛理の幼馴染。愛理とは別の工学系大学に通う大学生。38話に登場。
両儀征彦:大前新太郎の息子。41話に登場。
金城あつ子:マーニーとゆりかの中学時代の友人。通称“嘘吐きあっちゃん”。42話に登場。
暗闇に包まれた少女:あつ子が「彼女に救われた」と語る少女。その正体はヘレンであった。42話に登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11、33話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
はるかの母:はるかの母。健康志向であった筈だが……。19話より登場。
木ノ崎順也:『悪意の天国』で知られる往年の名監督。その正体は誰も知らない。
巻野大輝:波峰の彼氏とされる人物、誰も姿を見た者がいない。24話に登場。
古書泥棒:2人組、リーダー格は「LUCK」と指に刺青している。
大神:自転車のチューンナップを生業とする男性。27話に登場。
ゴーストレーサー:髑髏マスクに黒装束の怪人。その正体は……。27話に登場。
お腹の大きな猫:エリオットに連れられてやって来た猫。
高齢の女性:迷子になった息子を捜す老婦人。30話に登場。
本泉耕作:68歳男性。入院中。34話に登場。
葉香の祖母:68歳女性。34話に登場。
マリ子:葉香の母。34話に名前だけ登場。
瀬田:育恵の夫、入院中。35話に登場。
瀬田育恵:今回の依頼人、瀬田とは一回りほど年が違う。35話に登場。
郷里:瀬田が病床にて呼び続ける名前。友人らしいが……。35話に登場。
郷里利絵子:郷里の妻。故人。35話に登場。
鴻上有:幼児期のアリアの家庭教師をしていた。アリアの初恋の相手らしいが……。36話で登場。
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マイルス・ダヴィッド:往年のスーパースター。謎の死を遂げた為に生存説あり。40話で登場。
和久部清貴:音楽会社社長。何者かに殺害される。40話で登場。
日下香:マイルスファンクラブ日本支部の支部長。40話で登場。
真海陽一:鑑識課員。40話で登場。
大前新太郎:征彦の父、大物芸能人。41話に登場。
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