ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
2010年冬、都内で無差別通り魔事件が発生した。死者4名、重軽傷者15名にも及ぶ凄惨な事件だったが、現行犯逮捕された波多野(柄本佑)は精神鑑定の結果、心神喪失とされ無罪に。大切な家族を失った被害者遺族たちは、行き場のない思いにかられることになった。
その事件から2年。弁護士の高村、精神科医の加古川が相次いで殺害される事件が発生した。警視庁刑事部鑑識課検視官の倉石(内野聖陽)と部下の留美(松下由樹)、永嶋(平山浩行)は、2つの事件で検視作業のために臨場。倉石は遺体の状況から、同一犯の犯行の可能性があると考える。
一方、警視庁捜査一課の管理官・立原(高嶋政伸)も、倉石同様、2つの事件が同一犯によるものではないか、と考えていた。被害者の2人は2年前の通り魔事件で波多野を無罪に導いていた。ということは、通り魔事件の遺族による犯行か?捜査本部の指揮を執る神奈川県警捜査一課の管理官・仲根(段田安則)は、被害者遺族の犯行と決めつけ、捜査員たちに指示を与える。
しかし、倉石は違った。
「俺のとは違うなあ」。
倉石が遺族の犯行に疑問を抱く理由とは、いったい…!?
通り魔事件で娘を殺害された直子(若村麻由美)が、波多野の措置入院先の病院に包丁を持って潜入、身柄を確保された。高村、加古川殺害の容疑者となった直子は、仲根の執拗な取り調べを受けることになってしまう。
一方、立原は高村と加古川が関わった神奈川管内の事件に着目していた。通り魔事件とは別の遺恨を生み出していた、8年前の事件とは?
そんななか、「鑑識の人間が捜査に口を挟む権利はない」と言われようと、真実を究明しようと独自の捜査を続ける倉石。
「まだ根こそぎ拾えてねえ」。
死者の声を拾い尽くすという倉石の執念は、どんな真実を浮かび上がらせるのか?
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
2年前、波多野による無差別通り魔事件が発生した。
死者4人、重軽傷者15人を出した事件にも関わらず、弁護士・高村、精神科医・加古川により波多野は心神喪失が適用され無罪となった。
娘・好美を波多野に殺害された関本直子はこの結果に強く不満を抱いていた。
そして現在。
弁護士・高村、精神科医・加古川が相次いで殺害された。
事件は合同捜査となり、立原と仲根、2人の管理官の指揮の下で捜査されることとなった。
仲根は被害者遺族の直子による犯行と断定し、これを執拗に付け狙う。
当然、直子はこれに反発するが……。
一方、立原は高村と加古川が関わった他の事件に注目。
それは8年前に起こった女性殺害事件。
犯人は浦部翔太という青年。
彼は無実を訴えていたが聞き入れられず、高村と加古川により心神喪失にされてしまった。
結果、絶望した翔太は自殺してしまう。
翔太の父は現職の警察官・浦部謙作。
つまり、彼の復讐殺人が疑われたのだ。
しかも、この事件の捜査担当者こそが仲根であった。
そんな中、病に苦しむ倉石は仲根の捜査方針に疑問を抱いていた。
彼自身の嗅覚により、司法解剖を担当した安永医師を疑うことに。
高村、加古川ともに死亡推定時刻を誤認させるトリックが用いられていたことに気付いたからである。
死亡推定時刻は直腸内温度から推測される。
高村の場合は氷、加古川の場合は消毒用アルコールを用いることで冷却し、死亡時刻を誤魔化していたのだ。
これが出来るのは専門的な知識を持つ安永しかいない。
安永は過去に妻を亡くしていた。
それは仕事にかまけて、妻を顧みなかったゆえの自殺だったそうだが……。
さらに、倉石は安永が病気で余命幾許もないことに気付く。
だが、それは倉石も同じであった。
倉石は捜査途中に倒れてしまう。
こうして入院することに。
矢先、容疑をかけられたと知った浦部がそれまでの鬱憤を爆発させた。
浦部は何故か、安永の勤める病院に入院中の波多野にその復讐の矛先を向けたのだ。
銃を持ち出した浦部は波多野に発砲。
手傷を負わせるも病院内へ取り逃がすことに。
安永は波多野を浦部から匿うと、注射をしその意識を奪う。
さらに、心神喪失は偽装されたものと弾劾するとこれを殺害しようとする。
高村と加古川殺害は安永の犯行だったのだ。
其処へ、入院していた筈の倉石が現れる。
一方、波多野を護ろうと現場へ向かった仲根の前に、浦部が立ち塞がる。
浦部は息子の復讐の為に、波多野を狙ったかのように見せかけ隙を突いたのである。
仲根に向け放たれた銃弾、それは仲根の足を貫いた。
だが、命を絶つまでには至らない。
其処へ事態を察した立原たちが駆け付ける。
取り囲まれた浦部は復讐を執り行おうとするが、立原に説得され自殺してしまう。
同じ頃、安永と対峙する倉石。
2年前、安永は波多野の通り魔事件、その現場に居た。
其処で波多野に殺害された人々を目にすることに。
彼らは皆が安永の妻であった。
だが、安永は恐怖に震え、逃げ出してしまった。
そして、最近になって安永は自身の病気を知った。
もはや、先は無い。
残る命をどう費やすか悩み、波多野事件の裁判を傍聴したことを思い出した。
其処ではある騒ぎが起こっていた。
「病人ならば人を殺してもいいのか!!」
波多野の無罪を聞いた直子が立ち上がり、批判したのだ。
期せずして騒動が巻き起こった
そんな中、波多野は薄く笑った。
何故、波多野は笑ったのか?
もしかして、心神喪失は詐病ではないか……。
高村弁護士と加古川医師を訪ねた安永。
ところが、2人は自身の行いに責任を感じるでもなく「だから?」と嘯いた。
彼らは売名の為に波多野の無罪を仕組んだのだ。
安永は正義を汚した彼らを罰した……と主張する。
そして、波多野も罰する必要があるとも。
だが、これを倉石は真っ向から否定する。
それは死を目の前にした安永の逃げに過ぎない、と。
倉石は生きている人間として精一杯足掻くべきだと語る。
死んだ人間に顔向けできる生き方を貫くべきだ、と。
これに信念を揺さぶられ頷きかけた安永。
ところが、倉石の背後から目を覚ました波多野が迫る。
その手にはナイフが握られていた。
波多野は本性を現したのである。
倉石を庇った安永はそのまま刺殺されてしまう。
次いで、倉石もまた……波多野に刺されてしまった。
刺された倉石は渾身の力を振り絞り、波多野のナイフを握り締める。
満身創痍の筈の倉石の気魄に押される波多野。
病気の所為なんだと口にする波多野に、倉石の鉄拳が飛ぶ。
波多野の身体は宙を舞った。
その夜、倉石は放心状態で街を彷徨う直子と擦れ違う。
「この街に娘さんの声が残っているかもしれない……」
倉石の呟きにも直子は無反応である。
そのまま歩を進めて、とあるシャッターの前で立ち止まる直子。
そこには好美が遺した絵があった。
直子は好美の声を聞いた。
そんな直子の姿を確認すると、倉石は雑踏の中へと消えて行く―――エンド。
<感想>
横山秀夫先生原作『臨場』(光文社刊)のドラマ版「臨場」―――その映画版の地上波公開版です。
では、この地上波版の感想を。
う〜〜〜ん、テレビドラマ版に比べると物語が上手く処理し切れていない印象。
どちらかと言えば、雑多な感あり。
特に説明不足な点が多い気もする。
かと言って視聴者に考えを委ねるタイプの作品とも言い難い。
まず、安永がアリバイ工作した理由が分からない。
そして、浦部が仲根を誘き出す為に波多野を襲った理由も分からない。
普通に、仲根の隙を突いてはいけないのか?
どうにも、必然性が薄く、物語上の要請としか思えない。
あと、倉石の後継者として、留美、イチ、永嶋が描かれたと思うんだけど、だったら、彼らに事件解決を委ねるべきではないだろうか。
実際は、安永の指紋採取までで、以降はほぼ活躍していない……。
それと倉石の安否。
倉石は病気もあるし、波多野に刺されたからおそらく何処かで落命している筈。
直接描かないまでも、ラストは倉石不在で、留美たちから匂わすだけで良かったと思うなぁ。
そして、肝心のラストだけど、波多野に刺された倉石が直子と街で会えるとは思えないから、あれはイメージで良いんだよね、たぶん。
なんだか、倉石が街の妖精みたいになっちゃってたのが少し納得いかないかなぁ……。
あれを視聴者にその後を委ねるラストと呼ぶにはちょっと雑かも。
正直、テレビドラマ版よりもストーリーをまとめきれていない印象があった。
一応、ラストは倉石の安否が明示されていないので、さらっとテレビシリーズで続編欲しいなぁ……。
2013年6月11日追記:
コメントにて「違いますよ」さんからご指摘を頂きました。
劇場公開版と地上波版とでは編集により、内容がかなり異なっているとのこと。
ですので、上記の感想はあくまで「地上波版」に対してのものとなります。
「違いますよ」さん、教えて頂きありがとうございました(^O^)/!!
追記終わり
◆関連過去記事
・横山秀夫先生、前橋でのトークショーにて小説観を語る!!
・横山秀夫先生7年ぶりの新作『64』、文藝春秋社より2012年10月27日発売決定!!
・【速報】横山秀夫先生『臨場』が映画化決定!!キャストはドラマ版と同じ!!
・「横山秀夫サスペンス」DVD-BOX、2010年10月27日発売!!
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理由はテレビ放映ということで、かなり内容がカットされているからです。特にショッキングなシーン(しかし話の根幹に関わる部分)を中心にカットされているようです。
冒頭も中盤もラストも、カット祭りでした。
ネタバレ防止の為に詳細は省きますが、地上波放送だけで判断しないでください。
ぜひ、DVDレンタルなどで確認してみてください。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
なるほど……「日曜洋画劇場放送版」はかなりカットされていて「劇場版それ自体」とは別物みたいになってるんですね。
だとすると、確かに現状から判断するのは早計です。
そして、今回の感想は「日曜洋画劇場放送版にのみ限る」と言えそうですね。
それにしても、編集前と編集後に其処まで差異があるとは勿体ないですね……。
危く誤解してしまうところでした。
ご指摘、ありがとうございます(^O^)/!!