登場人物一覧は本記事下部に移動しました。
<第126話あらすじ>
〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜
沖縄にて尋ね人・響子を捜し当てた大和と未来。
だが、泰成の義父・鈴木の介入などがあり、響子は真玉橋に逮捕されてしまう。
当の鈴木も命を落とし、3億円は泰成の手に落ちた。
一方、東京で沢田の調査を続ける水原は北海道に秘密があることを掴む。
これを沢田から聞いた大和たちは、響子を想うハリーの協力を得て北海道へ向かう。
既に死亡していた望月竜。
爆死したと思われていたが、実は生きていた川崎雄大。
横溝保の息子であったことが判明した泰成。
そして、活動を再開した手負いの虎・関口。
矢先、関口の罠により水原が海へと消えた……。
さまざまな思惑が入り乱れる事件の結末は―――。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1998年、関口二郎は刑事になっていた。
職務に邁進する日々、そんな折にも彼の脳裏に浮かぶのは過去に殺した母・真理の姿。
二郎は刑事になり過去の資料を調べ、彼が真理から愛されていたことを知った。
もっとも、それは現場に遺されたメッセージカードの存在からのみ窺えたモノであったが。
これに二郎はショックを受けていたのである。
真理を刺した感触が掌に蘇る二郎。
どう思えば良いのか、彼には分からない。
と、街ゆく人々の中に真理の面影を強く残す女性を見かけた。
女性は周囲に若い男衆を引き連れて、のし歩いている。
どうやら、闇社会の人間のようだ。
興味を惹かれた二郎は女性を凝視する。
彼の心は母を求めるソレであった。
だが、相手にそれが分かる筈もない。
ジロジロと見られたことを侮蔑と感じた女性は二郎を捕まえるよう男衆に命じる。
だが、二郎を容易く捕まえられる筈もない。
男衆は叩きのめされ、二郎本人の同意を得て事務所へ連れて行くのがやっとであった。
もちろん、二郎がこれに従ったのは真理似の女性が居たからに過ぎない。
事務所を訪れた二郎。
組長は二郎が刑事だと知ると、血相を変えもてなした。
だが、その間も二郎は真理似の女性を眺め続けている。
「舐められてたまるか!!」
業を煮やした女性は激情のまま、ドスを二郎の肩に突きたてる。
二郎は無表情でそれを受け入れた。
彼の脳裏に、真理を刺したあの夜が浮かぶ。
しかし、事はこれで終わらなかった。
二郎がドスを刺されたことで、恐慌状態に陥った事務所内。
なにしろ、傷害事件である。
明るみに出れば、組は終わりだ。
焦った男衆が拳銃を持ち出し、口封じを図ろうと二郎に銃口を向ける。
しかし、その先に二郎は居ない。
視線を自身の腹部に落として、男衆は驚いた。
其処に二郎は居た。
二郎の手には肩に埋まった筈のドスが握られており、男衆の腹に刃を突き刺していた。
二郎は肩に刺さっていたドスを抜き、驚異の早業で男衆に突き刺したのだ。
悲鳴を上げる男衆。
だが、その悲鳴が終わる前に、二郎のドスが相手の咽喉元を引き裂く。
男衆から拳銃を奪った関口は、周囲に乱射する。
血の雨が降った―――。
銃声が止み、沈黙が訪れた。
立っているのは二郎と、真理の面影を持つ女性のみ。
他は全員が射殺されていた。
死屍累々に修羅が1人。
女性は恐怖に慄き、命乞いする。
「お腹の中に赤ちゃんが居るの……」
だが、この言葉は二郎にとって無意味であった。
「あんたに育てられるくらいならねぇ」
ニコヤカに引き金を引く二郎、面影の中の真理が弾け飛んだ―――127話に続く。
<感想>
修羅の始まり
新章「移動編」の第8回にして「関口過去編」第2回です。
今回は1998年当時の関口二郎が描かれました。
二郎が如何にして本格的な修羅となったか、そんなエピソードです。
真理の真意をメッセージカードを通じて知った二郎。
母の愛情に飢えていた彼にとって、それは自身の行いを問うに十分な物でした。
あのとき、とった行動は正しかったのか……。
思い悩む関口の前に、喪われた真理を思わせる女性が現れた。
二郎は思った筈です、彼女は真理なのではないか―――と。
でも、そんなことがあり得る筈はありません。
また、相手に二郎の求めるモノが理解できる筈もありません。
結果、相手にドスで刺されるまでに否定された二郎は修羅となることに。
これ以降、二郎は母の愛を求め続け彷徨っていると言えそうです。
あり得ないことですが、あのとき、真理似の彼女が二郎を癒す……あるいは積極的に二郎に関わらず放置しておけば二郎は修羅にならなかったのかもしれませんね。
それにしても二郎さん、本当に強い……。
こんな二郎さんから腕を奪ったのだから、雄大物凄いなぁ……。
そんな雄大と軍艦島で壮絶な体験をしたと云う沢田。
一体、何があったのか気になる。
一方、常に二郎にのみ汚れ仕事を押しつける欽一。
彼の真意も気になる。
次回にも注目!!
さて、これまでの雄大関連の流れを推測と共にまとめてみましょう。
ただ、過去にも同様のことをしながら、割とブレた記憶もあるので、あくまで管理人の予想ということで。
鳴海鉄也が整形した川崎雄大かなぁ……。
年齢の差については戸籍を借りた際に詐称したことも考えられるし。
これで、関口の「今度はその顔」発言や、東海林の「3億円事件の犯人の息子」発言、響子の「鳴海鉄也は3億円事件の犯人ではない」発言との整合性もとれるか。
次に、武雄が施設出身と判明したことから、雄大と和子の子供は彼ではなかろうか。
鉄也が近付いたのもこのため?
ただ、武雄は事情を最近まで知らされていなかったと思われる。
そして、葉子が関口弘美の言う「ヨウちゃん」だとすれば、彼女の娘の可能性が高い。
葉子自身が施設出身との事実も、この推理を支持するだろう。
だとすれば、葉子は沢田と関口弘美の娘の可能性も……。
となると、自動的に未来の出自は当事者同然の立場になる。
で、大和はこれまでの爪を噛む描写から、雄大の血を引いていることが示唆されているので、鉄也の子で正解か。
こうなると、母親が気になる……。
ちなみに、沢田と雄大は過去に軍艦島で凄惨な体験をしている模様。
これを雄大視点でまとめると。
雄大は和子を亡くしショックを受けていたところ、沢田に誘われ事件に竜と共に参加。
ところが、沢田は須黒と組んでローラー作戦とそれに伴う利益を得ていた。
雄大と竜は利用されていた。
沢田たちの真の目的を知った雄大たちは激怒するも、口封じされそうになり、竜が殺害される。
雄大は地下に潜むことに。
追われる立場の雄大は鳴海鉄也と名を変え整形し、響子の近くに姿を現し見守りつつ竜を地蔵に弔った。
響子の安全が確保されていることを確認した雄大は、誰かとの間に大和を設ける?
その一方で、自身と和子の子・武雄を追い、これへ接近し親しくなる。
だが、何らかの事情(病気?正体がバレた?)で雄大に戻る必要が出来、死亡した振りをすることに。
その後、沢田と暗闘を繰り広げていた?
1つ気にかかっているのは、武雄と葉子の出会い。
そんな都合よく関係者の子供同士が出会うものだろうか?
誰かの作為があったのか―――これも気になる。
泰成の父・横溝保の死にも秘密がありそうだが……。
こんなところか。
ただ、この前提は現代編で登場した雄大が本物であるとの前提に基づいているので、其処が違ってくるとご破算です……。
結局、はっきりしたことはまだ分からないか。
ただひとつ、今後重要となりそうなのは鳴海鉄也の正体と、大和の母。
此処がポイントとなりそうな気がします。
変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?
@大和たち(水原含む)
A沢田たち(関口兄弟)
B雄大一派(単独?)
C泰成一派(仲間は居るのか?)
D真玉橋(島袋も?)
Aの沢田たちも関口兄弟と沢田の間には含みがある様子。
さらに、欽一と二郎間にもいろいろありそうだが……。
以上のように争いは3つ巴から5つ巴に。
更なる激化は間違いないか?
とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
127話に期待です!!
ちなみに「三億円事件奇譚 モンタージュ」最新第12巻が2013年7月に発売。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非!!
◆関連過去記事
・「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第1話から第120話(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第121話「絶望」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第122話「水月」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第123話「郷愁」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第124話「衝動」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第125話「白濁」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
◆登場人物一覧
【現代】
鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中
鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
小田切武雄:未来の父、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
小田切葉子:未来の母、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……。104話にて横溝保の息子と判明。
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。
土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。
響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。
ハリー・スタンレー:元海兵の幹部。現在ではヘリコプター会社を営む。95話より登場。
ケニー:現役の海兵。キャサリンに想いを寄せる。
関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。
沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。
松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。
朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。
小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。
真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。105話で死亡する。
関口弘美:沢田と親しいらしい関口兄弟の養母。過去編で沢田が出入りしていた風俗店の店員か?
島袋:沖縄編で登場した刑事。真玉橋の部下。
森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。
【三億円事件当時】
川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?
健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。後に関口兄弟に殺害される。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。健同様、関口兄弟に殺害される。89話より登場。
須黒:当時の公安課刑事。強引ながらもかなりのやり手。108話より登場。
ジョージ・スタンレー:ハリーの父。裏社会と繋がり暗躍していたらしい。107話より登場。
ハリー・スタンレー:若かりし日のハリー。当時から響子を知っていた。
全巻セットはこちら。
「代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]」です!!
代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
「代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]」です!!
代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
◆渡辺潤先生の作品はこちら。
【関連する記事】
- 『スーサイド・パラベラム』第9話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2016vo..
- 「実は私は」第1話から第160話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオ..
- 「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(..
- 「実は私は」第160話「藍澤渚と藍澤渚E」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」最終話(第35話)「事件の先に」..
- 「実は私は」第159話「藍澤渚と藍澤渚D」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第107話「いつかの文学全集」(加藤元浩作..
- 「黒霊ホテル殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連..
- 「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チ..
- 「実は私は」第158話「藍澤渚と藍澤渚C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第34話「真犯人」(作画・星野泰..
- 「実は私は」第157話「藍澤渚と藍澤渚B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第106話「動く岩」(加藤元浩作、講談社刊..
- 「実は私は」第156話「藍澤渚と藍澤渚A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第33話「真相」(作画・星野泰視..
- 「実は私は」第155話「藍澤渚と藍澤渚@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「実は私は」第154話「勘違いしよう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 【エピソード最終話】「黒霊ホテル殺人事件」最終話、第6話(「金田一少年の事件簿R..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第32話「二重人格」(作画・星野..
- 「ビーストコンプレックス」最終話(第4話)「カンガルーとクロヒョウ」(板垣巴留作..
真理に似たあの女性を殺害したことで、関口の中にどす黒い「何か」が生まれたのでしょうか……
ところで、来週は巻頭カラーのようですね。北海道編が始まり、重大発表もあるとか。
話の内容も重大発表も気になりますね。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
まさに「修羅誕生」!!
関口は「真理への想いを抱えかねている」と言った状態ですね。
それゆえに、此処が彼にとっての結末に関わるのかなぁ……。
「欽一の裏切りにより死を迎えた二郎、その目の前に真理の幻影が……その正体は夏美であった。彼は面影を求めていたのだ」的な展開もありそうだなぁ。
巻頭カラー楽しみですよね!!
エピソード的には北海道篇ということで、新章突入。
大和たちの現状が気になる……。
そう言えば、雄大と泰成、欽一にもイロイロありそう。
そして、重大発表。
こちらも内容が気になりますね〜〜〜。
むぅ、発売日が待ち切れない(^O^)/!!