<あらすじ>
鉄道警察隊東京駅分駐所の巡査部長・清村公三郎(小林稔侍)は巡回中、駅前の一角でハーモニカを吹く青山善行(本田博太郎)に出会う。
翌朝、東京駅のホテルの客室で医療関係会社社長・富永聡美(大竹一重)が遺体となって発見される。
部屋は荒らされ被害者の荷物がなくなっていたが、イスの下から1枚の写真が発見される。そこには二人の男性が写っていた。
客室の外で警備をしていた清村は、廊下に落ちていた金属片に気付く。その様子を見ていた本庁の刑事・曳舟乃里子(村井美樹)は、その男が、いつも事件に首を突っ込み始末書を書かされてばかりいる清村だと分かり、一度会いたかったと感激する。
その後、写真の人物は虎ノ門医科大学の胸部外科・芦田教授(榎木孝明)と循環器内科の小田島教授(今井朋彦)と判明。また業界内では、聡美がかなりの情報通で、ライバル会社に不利な情報を流し仕事を奪っているという噂が流れていたことがわかる。
乃里子は清村を誘い捜査を開始。聡美の会社で社員に聞いたところ、芦田と小田島は次期学長の座を争うライバル同士で、小田島は会社創立時からの大切な客だったことも判明。
聡美が学長選挙で小田島側に立ち、ライバルの芦田に不利な情報を集めていたことを知る。
次に二人は虎ノ門医科大学へ。小田島にはアリバイがあったが、芦田はアリバイ証言について堅く口を閉ざす。
乃里子は、不利な情報を握られ、聡美を邪魔に思った芦田が殺害したのでは…?と推測するが、その後の調査で、芦田はその時刻、アメリカから極秘に来日していた世界的企業の創始者の手術中で、秘密保持契約のため黙っていたことが分かり、これで芦田のアリバイも成立する。
一方、清村は独自の捜査を開始。ホテルから東京駅につながる出入り口の防犯ビデオを片っ端からチェックしていると、以前東京駅で出会った青山に似ている男の姿を見つける。
さらに、調べてもらっていた金属片がハーモニカの一部だったとわかり、清村たちは青山の行方を追うことに。
青山がSLに乗ってきたばかりだと話していたことを思い出した清村は、乃里子を誘い、ほぼ毎日SLが走る静岡県の大井川鉄道に乗ることにする。現地での聞き込みから、青山が千頭駅近くにある診療所の医師であることをつかんだ清村たちは、診療所へ向かうが…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
ある日、清村は青山善行と出会う。
青山は無医村で医師をしており、後任不在に悩んでいるらしい……。
翌朝、医療関係会社社長・富永聡美がホテルの一室から死体で発見される。
聡美は虎ノ門医科大学の学長選挙の影で暗躍していた。
虎ノ門医科大学では、胸部外科の芦田教授と循環器内科の小田島教授が学長の座を争っていた。
どうやら、聡美は小田島側につき、芦田の弱味を探っていたらしい。
だが、小田島と芦田ともに聡美殺害のアリバイが成立することに。
矢先、防犯カメラの映像から聡美殺害の容疑者として青山が浮上。
ところが、当の青山が吊り橋から転落死してしまう。
その診療所から遺書が発見されたことで、聡美殺害を悔いての自殺かと思われたが……。
青山が無免許医だったことが判明。
さらに、青山の診療所から持ち主不明の万年筆が発見される。
清村は青山が自殺に偽装され殺害されたと考え、芦田の犯行を疑うことに。
だが、芦田には青山殺害の直前に教授室で仕切り越しに藤原医師を会話していたとのアリバイがあった。
しかも、仮に芦田の犯行だとしても、犯行時刻から現場からでは教授会に間に合わないことも判明。
まさに鉄壁のアリバイが清村の前に立ち塞がったのだ。
だが、清村は聡美が芦田を盗聴していたことを突き止める。
その録音は「芦田と、後任の推薦を彼に依頼する青山の会話が吹き込まれており、芦田が青山を兄さんと呼んでいた」のである。
何がどうなっているのか……アリバイに新たな謎が加わるが、清村は捜査を続行。
一方、学長選挙は芦田優位に進む。
芦田は自身を裏切り小田島側についた原口医師に退職を勧告する。
その頃、遂に清村は真実に辿り着く。
芦田を呼び出した清村。
青山殺害が芦田の犯行であると指摘する。
青山の本名は芦田直行。
失踪宣告により書類上、死亡したとされている芦田の兄であった。
青山は過去に事件を起こし、芦田と母を捨て逃げ出していたらしい。
だからこそ、書類上で青山と芦田を繋ぐ線が見えなかったのだ。
仕切り越しに会話したアリバイの正体は、姿が直接見えないことを利用した「マネキンとパソコンのテレビ電話」による偽装工作であった。
そして、犯行現場から教授会までの時間短縮の正体は「弓なりに配されている大井川鉄道・新金谷駅からJR・島田駅の間を自転車で短縮する」とのショートカットであった。
青山の診療所に残されていた万年筆は芦田が青山の遺書を偽造した折、母の遺影に線香を上げ落とした物であった。
「あいつは母と私を捨てた。しかも、今更人殺しだと!?殺されても当然だ!!」
青山殺害を認め、罵声を浴びせる芦田。
どうやら、聡美を殺したことを相談され、学長選の障害になると判断し殺害したらしい。
そんな芦田に盗聴データを聞かせる清村。
青山が聡美を殺害したのはコレが理由だったのである。
もしも、無免許医師が兄だと知られたら芦田は破滅である。
聡美は小田島を捨て、データがある限り言いなりになる芦田を利用するつもりであった。
これを知った青山が激情に駆られ聡美を殺害したのである。
芦田はこの事実を知らなかった。
さらに、清村は転落から死に至るわずかの間に青山が行った工作についても明かす。
青山はある写真をビリビリに引き裂き川に遺棄していた。
証拠隠滅の為である。
その写真は、青山が肌身離さず身に着けていた大切な物だったそうだ。
其処には幼い芦田と青山が写っていたのだのである。
だが、芦田を庇うべく青山が破棄したのだ。
弟に突き落とされながら、薄く微笑みつつ写真を処理する兄。
彼の願いは弟の幸せである。
これを聞いた芦田は幼い頃に抱いていた兄への愛情を思い出す。
「折角、再会出来たのに……何時の間にか憎しみに囚われていたのか」
自身の行為を恥じた芦田は誤りを認めるのであった。
こうして、芦田は逮捕された。
青山の後任医師には原口が赴任することとなったそうである―――エンド。
<感想>
「鉄道警察官 清村公三郎」シリーズ第10弾。
前作は2012年11月8日に放送されており、実に8ヶ月ぶりのシリーズ新作となりました。
前作などについては過去記事がありますね。
興味のある方はリンクよりどうぞ!!
ちなみに、この「鉄道警察官 清村公三郎」シリーズは、島田一男先生「鉄道警察隊」シリーズ(徳間書店刊)が原作。
原作に興味のある方は、本記事下部にあるアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!
では、ドラマの感想をば。
「遺留捜査」最終回からの視聴となりましたが、こちらも良かったですね。
内容自体は割とテンプレなんですが、ラストの怒涛の勢いが視聴者の感情をグイグイと揺らすんだよ。
これがイイ!!
まず、このシリーズのメインは鉄道を利用したアリバイトリック。
今回も健在でしたね。
ただ、何処かで見たような物だった点は不満かな。
とはいえ、それ以外が物凄く良かった。
何と言っても芦田と青山の兄弟間の感情の動きが良し。
演じている榎木さんと本田さんが素晴らしかった。
キャストが秀逸。
そして、この兄弟間を示すエピソードがまた上手かった。
特に本田さんが大切にしていた写真を引き裂くシーンは胸を突かれました。
弟に突き落とされながら、薄く微笑みつつ写真を処理する兄。
あれがもうすべてを持って行ったな!!
もう、シナリオ勝ちだよ!!
あれだけで今回のドラマを視た甲斐があったよ!!
その後に榎木さんによる過去回想と独白。
これまた、構成勝ちだよ!!
これもまた、今回のドラマを視た甲斐があったよ!!
もう……「遺留捜査」に続いてウルッと来たわ。
本当に良かったと認めざるを得ない!!
こうなると、シリーズ次回にも期待すべきだろう!!
◆関連過去記事
・水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎9 九州殺人紀行 特急ゆふいんの森と新幹線さくらを結ぶ完全犯罪トリック!謎の忍錠と女刑事が堕ちた罠!!(特急ゆふいんの森号九州大分殺人ルート犯人射殺事件の裏に隠された闇!蝶だけが知る鉄壁のアリバイ)」(11月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「鉄道警察官清村公三郎8 鎌倉・江ノ電幻の600系追憶の殺人事件花嫁人形が謎解く女の哀しい夢!時刻表の罠を暴く執念の捜査!!(鎌倉・江の島・幻の600系追憶の殺人事件 花嫁人形が暴く記憶を失くした女の謎!時刻表に秘めた黒い罠!!)(鎌倉・江の島〜追憶の殺人〜記憶を失くした女の謎!江ノ電だけが知っている湘南の海に消えた純愛!!)」(2月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「復活シリーズ第一弾!!鉄道警察官清村公三郎 秩父長瀞殺人レールSLの汽笛は弔いの響き…第二の人生の夢が消えた!幻の列車が暴く悲しみの不在証明(秩父・長瀞連続殺人SLを愛す定年の重役殺しを鉄警が暴く!)」(10月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜シアター9「鉄道警察・清村公三郎最後の捜査線『北海道SLニセコ殺意の汽笛エリート官僚の堕ちた罠!小樽〜東京1100キロ幻列車の正体を暴け』(鉄道警察官 清村公三郎6 SLニセコ号 殺意の汽笛)」(3月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
清村公三郎:小林稔侍
芦田貴彦:榎木孝明
青山善行:本田博太郎
清村市子:丘みつ子
橋本玲子:根岸季衣
曳舟乃里子:村井美樹
原口俊二:梶原善
富永聡美:大竹一重
谷田部陽一:不破万作
羽場義雄:小宮孝泰
立石勝:斉藤清六
小田島辰雄:今井朋彦
金子優作:斉藤慶太
白井文男:江藤漢斉
藤原郁世:長澤奈央
山崎萌:小林千晴
清村あずさ:内田もも香 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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いつものように、感想を。
(感想)
1、今作は、役者の方々演技が、素晴らしかったです。特に、榎木さん・本田さんの演技に引き込まれました。特に、ご指摘の通りの表情や写真を2つにちぎるシーンなど、細かい描写の部分でも、それを見る事が出来て、良かったですし、今作のように、演技で見る側を引きこんでしまう、清村シリーズもいいですね!
2、おなじみの鉄道トリック、「どこかで見た様な」感じが、一瞬、私も思いました。そして、それが何か、思い出しました。同じ鉄道シリーズ、テレ朝の華村万里子シリーズで、真岡鉄道のSLに追いつくために、JRとバイクを用いたトリックの回(何作目だったかは忘れましたが)と似てるなと…。
しかしながら、今作の清村の真骨頂は、決定的証拠として、大井川鉄道特有の、「荷物用の切符」を登場させた事でしょう。
今までの清村シリーズのトリックの凝り方を考えると、もう少し凝って欲しかった気がします。
このところ、水曜ミステリー9は、茶屋次郎・清村、そして、篠宮先生と毎週楽しみな作品が続いていますね。ただ、驚いたのは、清村が10作目に対して、篠宮先生は、今度のが13作目だという事。清村の方が作品数多い気がしていましたが…。
いずれにしても、清村シリーズ、良作が多いので、自作が今から待ち遠しいですね!
こちらこそ、ご無沙汰してます!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
1.本作、役者さんの演技が良かったですよね。
仰る通り、榎木さん、本田さんは特に秀逸でした。
感想でも取り上げましたが、あの写真のシーンはまさにそう!!
グッと来ました!!
2.ショートカット繋がりということで、2012年5月5日に放送された「鉄道捜査官シリーズ」の第13弾「殺意の豪華SL密室パーティ〜殺人者は犯行予定の列車に乗り遅れた…!?上り線下り線のダイヤトリック」ですね。
個人的に野川による「さと〜〜〜さん!!」の回として記憶に残っています。
そして、確かに今回の清村は旅券を加えてましたね。
ネタバレあらすじでは省略しちゃいましたが……なかなかでした。
先週放送された茶屋シリーズ最新作は見逃しちゃいましたが、次回には監察医篠宮葉月シリーズも控えているので楽しみです!!
そして、確かに清村の方が放送回数が多いような印象でした。
調べてみると、「水曜ミステリー9」が始まって以降だと、清村の方が放送間隔が短いようです(清村4回、篠宮3回)。
おそらく、そのイメージからかもしれません。
もちろん、清村シリーズ最新作も楽しみに待ちたいですね(^O^)/!!