2013年06月27日

「C.M.B.番外編 M.A.U. “ブラック・マーケットの魔女”の事件目録 箪笥の中の幽霊」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B.番外編 M.A.U. “ブラック・マーケットの魔女”の事件目録 箪笥の中の幽霊」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
マウ・スガール:「ブラック・マーケットの魔女」と呼ばれる少女。
エバート:マウの部下。

レイン姉:降霊会の最中に何者かに殺害される。
レイン妹:姉とコンビを組み、降霊会を開いていたが……。

<ネタバレあらすじ>

その日、欧州の片田舎に「ブラック・マーケットの魔女」ことマウ・スガールの姿があった。
もちろん、バカンスではない。
彼女の狙いは、ある箪笥にあった。

マウお目当ての箪笥―――それはレイン姉妹の降霊会に用いられる儀式用の箪笥である。
マウの部下・エバートによればかなり価値があるものだそうだ。
とはいえ、お調子者のエバートの言うことで何処まであてになるやら……。

そんなマウの予感は的中。
実はエバートは箪笥の正確な価値を理解していなかった。
最近になり、母の手術費用が必要になり「なんとなく良さそう」との理由でボーナス目当てにマウに紹介しただけだったのだ。

無駄足になったかもしれない……とげんなりするマウ。
だが、もう遅い。
既に箪笥を巡るオークションに参加してしまったのである。

マウの目の前では、オークションの余興としてレイン姉妹による箪笥を用いた降霊会が開始。
どうやら、箪笥の中に入った人物に霊を降ろし、外で通訳を介して会話するとのモノのようだ。

レイン姉が両手を縛ると猿轡を嵌め、箪笥の中に入る。
これで、レイン姉は喋ることが出来ない。
姉の入った扉を、長い鎖つきの南京錠で施錠するレイン妹。
南京錠に加え、鎖により2重に封鎖されたのだ。
こうして準備は整った。

早速、箪笥の中に向けて話しかけるレイン妹。
これに応じるように、箪笥の中からは「グググ……グ……グ」と奇妙な音が響いた。
レイン姉は喋ることは出来ない。
だとすれば、誰が喋っているのか?
その音をレイン妹が会話に置き換え、オークション参加者に伝え始めた。
雰囲気は抜群である。

固唾を呑む参加者たち。
と、唐突に部屋の灯りが消え、真っ暗闇に包まれた。
驚きから上がる悲鳴に場の空気は最高潮に。

すると、天井から「ドーン、ドーン、ドーン」と3回破裂音が!!
「ラップ音だ!!」
参加者たちがどよめく。

やがて、破裂音が止み、明かりが戻って来た。
どうやら、降霊会は終わりを迎えたようだ。
レイン妹は再び、箪笥の中に呼びかけるが反応がない。
慌てたレイン妹が鍵を開けると……中から刺殺されたレイン姉の死体が転がり出てくる。

箪笥は密閉されていた。
当然、誰にも殺害は不可能な筈である。
そう、幽霊でもない限りは!!

再び上がる悲鳴、そして歓声。
予期せぬ事態により、降霊会は奇跡の場となったのだ。

こうして、殺人事件が発生した。
当然、警察による捜査が開始されるワケだが……。

担当警部はオークション参加者を調べ始めることに。
これは脛に傷持つマウにとっては非常にマズい事態であった。
一刻も早く逃げ出したいが、逃げれば最有力容疑者だ。
かといって、次の仕事も控えている……時間が無い。

焦るマウはエバートに調査を命令。
「幽霊の仕業に違いない」と怯えるエバートだったが、マウは幽霊よりも怖い。
渋々、犯行現場へ潜入する。

すると、意外な事実が判明。
現場の屋根裏に、奇妙にほつれたロープが3本と同数のボウリング球を発見したのだ。
エバートは破裂音の正体に思い当たる。

一方、マウは箪笥の中に櫛が落ちていたことを思い出していた……。

翌日、マウはエバートがレイン姉を降霊し真相を明かすと吹聴する。
こうして、犯行当日の関係者が一同に集められた。

箪笥の中に入るのはエバート。
外で通訳するのはマウだ。

つまり、レイン姉の役割をエバートが。
レイン妹の役割をマウが演ずることになる。

エバートを箪笥の中に入れ、あの日と同様に施錠するマウ。
これもあの日と同様に、そっくりそのまま「グググ……」と同じ音が聞こえ始める。

そして部屋の灯りが消え、3度の破裂音が鳴り響き……不意に明かりが灯された。
すると、箪笥の前にはナイフを手にしたレイン妹とこれを捕まえたマウが立っていた!!

そう……犯人はレイン妹だったのだ。

レイン妹の犯行を説明するマウ。

まず、破裂音の正体はロープで吊るされたボーリング球が落下した音であった。
ロープの長さを調節し横回転させることで、落下時間を調節していたようだ。

そして、霊の声の正体は櫛を弾く音であった。
レイン姉は箪笥の中で、櫛を弾いていただけだったのだ。

これがレイン姉妹による箪笥を用いた降霊会の真相であった。
このトリックをレイン姉は出版社に暴露しようとしていた。
金に換えようとしたらしい。

レイン妹はこれに激怒。
トリックを利用して殺害することを思い立つ。

トリックの要は南京錠についた長い鎖にあった。
実は鎖は何の役にも立っていない単なる偽装に過ぎなかったのである。
箪笥を施錠していたのは南京錠、それのみだったのだ。

当然、鍵はレイン妹が所持している。
開けることは造作ない。

後は如何に音を立てないか、だ。
レイン妹はこれを3度の破裂音に紛れ込ますことでクリアした。
暗闇に動揺する参加者たちは音に気を取られ、レイン妹の行動を看過してしまったのだ。

こうして、レイン妹はマウの罠に嵌り逮捕された。
マウはようやく解放されたのだ。

去り行くマウ。
これを見送るエバートに朗報が。
箪笥の売買は成立しなかったが、マウから特別ボーナスが出たのだ。
これでエバートの母は救われるだろう。

マウは嘯く。
「また、適当な情報で踊らされても困るもの」と―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン+ 2013年6号」に掲載された「C.M.B.番外編 M.A.U. “ブラック・マーケットの魔女”の事件目録 箪笥の中の幽霊」です。
タイトルにある通り「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」のスピンオフ作品になっています。

いや、良かった〜〜〜。
マウの組織のボスとしての本領が遺憾無く発揮されていました。
マウファンには堪らない一篇になりましたね。

トリック的には視覚的な錯誤を利用したモノなので、是非本編をご覧になって確認いただきたい。
それにしても、このスピンオフもシリーズ化しないものかなぁ……。

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2013年6月発売「C.M.B.森羅博物館の事件目録(23) (月刊マガジンKC)」です!!
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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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