<あらすじ>
ある日、北海道警察大通署管内のマンションで爆発事故が発生した。被害者は道警本部の女性巡査。現場に急行した大通署刑事課の佐伯(鈴木一真)と渡辺(松田悟志)は道警本部の刑事部長・杉田(川ア麻世)から捜査は本部だけでするから所轄は手を引けと恫喝される。
翌日、杉田は大通署の署員を集め、容疑者は道警本部の津久井(池田政典)だと発表した。生活安全課の百合(財前直見)は津久井を擁護するが課長の長沼(高田純次)に止められる。誠実な津久井が殺人などするはずがない。思いをめぐらせる百合に後輩のサキ(松本莉緒)が声を掛けた。児童養護施設に不審者が出没したと通報が入ったという。施設を訪れた百合の携帯に公衆電話から着信が。その電話は津久井からだった。津久井は無実を主張するものの詳細は話せないという。百合は同級生の早苗(北原佐和子)が女将をしているホテルで落ち合うことに。その頃、道警本部に呼び出された長沼は、道警本部の統括部長・石岡(新井康弘)から百合の動向を監視しろと命令されていた。
ホテルに現れた津久井から百合は衝撃的な事実を知らされる。津久井は明後日の午前10時から開かれる百条委員会に証人として出席するというのだ。さらに交通事故で他界した津久井の兄は道警の裏金の実態をジャーナリストの村沢(松尾貴史)と共に告発する準備を進めていたという。津久井は兄の事故と自分への濡れ衣は道警幹部が裏で糸を引いているに違いないと主張する。真犯人を捕まえなければ津久井は委員会に出席できない。百合は佐伯を半ば強制的に協力させ、道警本部と戦うことを決める。百条委員会の開会まであと48時間・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
小島百合は剣で知られる名うての婦警である。
今日も今日とて、その姿は道場にあった。
階級上の上司でありながら、弟子でもある佐伯と共に鍛錬に励む日々。
そんなある日、同じく婦警の水村朝美が殺害された。
容疑者とされたのは津久井刑事。
津久井は1ヶ月ほど前に、上層部の不正を告発しようとしていた兄を謎の事故で亡くしていた。
同時に、津久井は百合にとって剣のライバルであった。
彼が殺人を犯す筈がない……津久井の人柄を知る百合はそう考え、彼の無罪を証明しようとする。
直後、津久井本人から連絡が。
津久井によれば、兄の遺志を継ぎ上層部の不正を告発すべく、ジャーナリストの村沢と共に百条委員会に出向く予定だったそうだ。
ところが、追われる身となった為に苦境に立たされているらしい。
どうやら、津久井の証言を怖れる者が彼を罪に陥れようとしているようだ。
津久井を助けようとする百合だが、統括部長の石岡の圧力により思うように動けない。
部長の杉田や直接的な上司である長沼にも監視されることに。
困った百合は佐伯に捜査協力を依頼する。
一方、児童福祉施設・つくしの園から不審者が出没するとの届け出が。
これを捕まえるべく張り込む百合たちだが、不審な人物には逃げられてしまう。
石岡に隠れて捜査を続ける百合と佐伯。
すると、朝美の殺害現場に糸鋸をグラインダーで削った物が残されていたらしいことが分かる。
紛うことなきピッキングの道具だ。
何者かが朝美宅へ侵入していたようだ。
ピッキングを手掛かりに容疑者を絞り込む百合たち。
過去に同じ犯行手口で逮捕されていた野川三郎や三浦聡が浮上する。
矢先、三浦聡が殺害されてしまう。
その現場には津久井の警察手帳が残されていた。
津久井への追及は激しさを増すことに。
そんな中、百合は村沢に接触しその協力を得る。
さらに、長沼を説得し味方につけることに成功する。
野川に明菜という娘が居ることが判明。
明菜は「つくしの園」に預けられていた。
野川から最近貰ったとお守りを大事そうに抱える明菜。
近頃、出没していた不審者の正体は野川だったのだ。
直後、今度は野川が殺害されてしまう。
現場には津久井の警察手帳と「大」と書かれた血文字が。
どうやら、野川のダイイングメッセージのようだ。
百合は、野川と三浦が朝美宅に窃盗に入り、犯人に繋がる証拠を入手した為に殺されたと推測。
さらに、朝美の交際関係を調べていたところ、石岡と不倫関係にあったことが判明する。
百合は石岡が「大貴」という名前であることから、石岡こそが野川を殺害したと考える。
だが、石岡に先手を打たれ軟禁されてしまう。
長沼と佐伯の力を借りて脱出した百合。
「大」という字が「札幌鎮魂神社」の「神紋」であると気付いた百合は明菜のお守りに注目する。
お守り袋に入っていたのは「SDメモリーカード」であった。
その中身はなんと……。
その頃、村沢が津久井を殺そうとしていた。
津久井は村沢に拘束されていたのである。
村沢は津久井にすべての罪を着せて殺害するつもりらしい。
其処へ駆け付けた百合と佐伯。
今回の事件の真相は次のようなものであった。
村沢は水村朝美に「石岡大貴の汚職について証拠を渡したい」と呼び出され睡眠薬入りの酒を飲まされてしまった。
その上で、まるで村沢が朝美を襲っているような動画を撮影されてしまったのだ。
これこそがSDメモリーカードの中身であった。
朝美は石岡の命令で村沢の弱味を握るよう動いていたのである。
だが、ギリギリで朝美は個人的な脅迫に切り替えた。
いずれにしろ、村沢にとっては身の破滅に繋がりかねない。
そこで村沢はメモリーカードを取り戻そうとしたが、朝美にバレてしまった。
争いになった末、村沢は朝美を殺害してしまう。
遂に人を殺してしまった村沢。
此処までしてしまったが、肝心のメモリーカードは見つからない。
テレビでは、そんなことになるとは知らない過去の村沢が「百条委員会」の開催を視聴者に訴えていた。
メモリーカードは見つからなくて当然である。
既に窃盗に入っていた三浦と野川に盗み出されていたのだから。
こうして、脅迫して来た三浦と野川を津久井の犯行に偽装し殺害することに。
すべて、村沢の犯行だったのである。
真実を突きつけられた村沢は、銃を手に百合たちを牽制するとその場を逃げ出す。
百合が津久井を保護し、佐伯が村沢を追う。
百合は百条委員会に津久井を連れて行くことに。
一方、佐伯により村沢が逮捕された。
同じ頃、石岡は津久井の百条委員会への参加を阻止すべく会場である庁舎付近に総力を投入。
発砲許可を出し、鉄壁の布陣を敷く。
これに苦い顔を見せる杉田。
其処へ、長沼から連絡が。
百合が正面玄関に向かったと言うのだ。
石岡は正面玄関へと総員を差し向ける。
周囲を取り囲まれる中、一台の車がやって来た。
中には百合が……だが、津久井の姿は無い。
その頃、通用口には長沼と……津久井の姿があった。
長沼の虚報により、通用口の警戒を解かせることが目的だったのだ。
ところが、目の前に杉田が現れる。
此処までか……諦めかける津久井たちだが。
杉田は石岡のやり方に反発を抱いていた。
彼らを見逃すことに。
一方、石岡と対峙する百合。
百合は石岡が村沢を脅迫し、津久井を殺害しようとしていたことを告発する。
村沢が朝美を殺害したことを悟った石岡はこれを脅迫し手駒に変えていたのだ。
これを衆人環視のもとで暴露された石岡は頭を抱えて跪くのであった。
百条委員会が開催。
そして、津久井の告発が行われた。
後日、津久井の兄殺害も石岡の指示であったことが明らかになった。
津久井は百合に語る。
「お前なら周囲に流されず正義を貫くと思っていた」と―――エンド。
<感想>
ドラマ版「北海道警察シリーズ」第2弾。
原作は佐々木譲先生『笑う警官』。
『笑う警官』は「道警シリーズ」の第1弾で、過去には映画化もされています。
そんな原作のあらすじはこちら。
<あらすじ>
札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。調査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが……。北海道道警を舞台に描く警察小説の金字塔、「うたう警官」の文庫化。 (解説・西上心太)
(角川春樹事務所公式HPより)
前回ドラマ化された『巡査の休日』は原作シリーズでは第4弾にあたり、「道警シリーズ」には他に『警察庁から来た男』、『警官の紋章』、『密売人』、『人質』があります。
変則的なドラマ化が為されたワケですね。
これは同時にドラマ化出来る原作ストックが他にも存在していることを示しています。
ドラマ版・原作ともに『巡査の休日』は過去にネタバレ書評(レビュー)してますね。
興味のある方は過去記事リンクをどうぞ!!
ちなみに佐々木譲先生は『廃墟に乞う』(文芸春秋社刊)で第142回直木賞を受賞された実力派。
その著作『警官の血』も、既にドラマ化されていますね。
・速報!!第142回「直木賞」&「芥川賞」発表される!!
では、ドラマ版感想を。
原作は未読です。
その為か急展開に次ぐ急展開で、なかなか面白かったですね。
朝美殺害時に犯行に手を染めてしまった失意の村沢の目の前で、そんな事態に陥っているとは露知らぬ過去の村沢が正義感から百条委員会の開催を訴えるニュースが流れるシーンはゾクリと来ました。
此処は良かったですね。
それと、庁舎前の攻防はクリント・イーストウッドさんの映画「ガントレット」を思い浮かべました。
あれは凄かった。
鉄板で覆われたバスが蜂の巣だもんね。
もっとも、『笑う警官』では一斉射撃は無かったけどね。
ただ、納得出来ない点も幾つかありました。
まず、ミスリードとは言え「大」が「大貴」の「大」かも……は無いわ。
ダイイングメッセージで下の名前は無いでしょ。
どんだけ被害者と親しかったんだよ……と。
そんな下の名前で呼び合うほどの間柄か、と。
普通は苗字の「石」でしょ。
幾らミスリードでもやり過ぎ、流石に閉口した。
そう言えば、SDメモリーカードをビデオと呼ぶのも違和感。
動画じゃ駄目だったのか。
そして、村沢……銃を手に圧倒的有利なのに何故逃げる?
さらに、村沢の弾は追って来た佐伯に当たってたよねぇ……。
それと、公式HPのキャスト一覧のところで村沢が沢村になってますね……。
とはいえ、ドラマ前作に比較すれば格段に良くなった気がする。
これは原作未読だったことも奏功したのかも。
シリーズ次回にも期待!!
◆関連過去記事
・『巡査の休日』(佐々木譲著、角川春樹事務所刊)ネタバレ書評(レビュー)
・月曜ゴールデン「北海道警察 巡査の休日 札幌で発見された白骨死体…北海道に舞い戻った指名手配犯…YOSAKOIソーラン祭りで何かが起きる!直木賞作家が送る至極ミステリー」(10月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
小島百合:財前直見
○
佐伯宏一:鈴木一真
○
大塚サキ:松本莉緒
○
杉田 昭:川ア麻世
沢村邦明:松尾貴史
○
津久井 卓:池田政典
町田早苗:北原佐和子
○
石岡大貴:新井康弘
渡辺秀明:松田悟志
○
長沼行男:高田純次 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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