2013年07月13日

「実は私は」第23話「ケーキバイキングに行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第23話「ケーキバイキングに行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第23話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。
朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

此処は教室、朝陽は葉子を前に緊張していた。
桜田から「ケーキバイキングに行くのだが、葉子も誘ったらどうか」と助言を受け、今まさに誘ったところだったのだ。

「ケーキバイキング……」
その言葉を口にする葉子はどこかうっとりとした表情をしていた。

(これはイケる!!)
内心、確信する朝陽だが、葉子は何故か拒否の言葉を口にする。
どうやら、桜田たちとバイキングを共にすることでキバが見られることを怖れているらしい。
朝陽に迷惑をかけることも気にしているのかもしれない。
しかし、同時に葉子のお腹が「く〜〜〜っ」と悲鳴を上げた。
腹の虫は正直であった。

気を取り直し、再度、拒否を口にする葉子。
しかし、同時に葉子のお腹が「く〜〜〜っ」と悲鳴を上げた。

再び気を取り直し、拒否を口にする葉子。
しかし、同時に葉子のお腹が(以下略)。

結果、葉子は涙ながらに桜田の誘いに乗り、ケーキバイキングに参加することとなった。
葉子としては嬉しいのだが、同時に自身の不甲斐なさを恥じているのだろう。
この様子を目にした桜田は誘って良かったのやら戸惑うのであった……。

ケーキバイキングの会場にやって来た。
先程までの涙は何処へやら、嬉々としている葉子の姿にほっとした様子の桜田。
今回の参加メンバーは、朝陽、葉子、岡田、桜田、嶋田の5人である。

好みのケーキを皿に乗せ、つつく葉子の姿は微笑ましい。
肝心のキバも、会話しながら口元を手で覆い隠すことでクリア出来たようだ。
葉子は純粋にケーキバイキングを楽しんでいる。

そんな葉子の様子を目にした朝陽は内心で良かったと胸を撫で下ろす。
朝陽としては、葉子の正体を秘密にすることも重要だが、それと同じくらい学生生活を謳歌することも重要だと考えていた。
そんな中で、このイベントはまさに趣旨に適していたのだ。
しかも、これを機に岡田たちともより親交を深めてくれれば、それに越したことはない。

と、安心しかけた朝陽だが甘かった。
ふと見れば、確かにキバは隠れているキバは。
だが、背中から小さな羽がパタパタと踊っていたのだ。

岡田たちからは幸い死角になっているようだが、これは大いにマズイ。
何とかして葉子に注意を促したい朝陽だが、迂闊に口にすれば岡田たちに怪しまれてしまうだろう。
どうしよう……ダラダラと汗を流す朝陽だが、その気も知らず葉子は快調に皿の上のケーキを平らげて行く。

「ん、白神さん、それ美味しくなかったの?」
岡田が葉子の様子を見て声をかけた。
確かに、それまでのケーキに比べて葉子の顔色は何処か冴えない。

そして、朝陽は気付いた。
葉子の羽もまた勢いを失っていることに。
まるで犬の尻尾のようだ……感想を思い浮かべる朝陽。
しかし、いずれにしろ事態は解決していないのだ。
焦る朝陽の携帯にメールが……。

相手は嶋田だ。
目の前に居るのに何で……と思う朝陽。
その文面は如何にも嶋田らしいものであった。
「ここの店員さんのスカート丈短くね!?」

嶋田を見れば、店員のスカートを指で促している。
どう応じるべきか悩む朝陽だが、これはありがたかった。

朝陽は自身の携帯に「白神、羽が出てる!!」と咄嗟に打ち込むと、これを葉子に見せた。
携帯画面を目にしたまま硬直する葉子。
どうやら通じたようだ。

一方で、嶋田は朝陽が自身の送った文面を葉子に見せたと勘違い。
葉子が露骨に引いたと考え、1人で落ち込んでいた。
こうして葉子を救う為に、1人の青年のメンタルが死の危機に瀕したのだが……それはこの際関係ない。

葉子はと言えば、キバに加え羽を押さえつつケーキを楽しんでいるようだ。
今度こそ良かったと胸を撫で下ろす朝陽だが、窓の外を見て顔色を変えた。
周辺から途轍もない数の蝙蝠が集まって来ていたのだ!!

慌ててカーテンを下ろし、周囲の目から蝙蝠を隠す朝陽。
ほっとしたが……。

メンタルに傷を負った嶋田が起死回生とばかりに葉子にプレゼントを持ちかける。
渡そうとしたのは十字架のキーホルダー!?

ええっ、十字架ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
戸惑う朝陽だが、葉子はそれを目にするとあからさまに不機嫌な表情に。
そう、葉子は十字架を見るとイラッとするのだ……それだけであった。
しかし、その一方でさらに葉子の機嫌を損ねたと誤解した嶋田のメンタルが……(以下略)。

その間にも、岡田がケーキではなく別のバイキングにチャレンジ。
すると、葉子が「目がシバシバする……」と呟く。
岡田が手にした皿に乗って来たのはペペロンチーノだ。
ペペロンチーノと言えば、ニンニクである。
通常ならば大きな弱点だが、葉子には玉ねぎと同じ感覚である。

良かった、この程度で本当に良かった……今度こそ胸を撫で下ろす朝陽。
ふと気付いた……アレ、白神って特に弱点らしい弱点ないんじゃぁ。

しか〜〜〜し、この認識は甘かった。

なんと、見知った人物がウェイトレスとして働いていたのだ。
その正体は……みかん!?

「あんた、私がバイトしてるの知っててこの店にしたわね〜〜〜」
岡田に詰め寄るみかん、どうやら図星のようだ。

みかんと葉子の組み合わせはイロイロとマズイ―――滝のような汗を流す朝陽。
しかし、流石のみかんもバイト中では無理もしないだろうと思われたが……。

当のみかんはトレードマークの眼鏡をかけて居住まいを正すや、葉子に向けて「ロシアンシューZ」が完成したと告げてしまう。
これに興味津々の葉子。

マズイ、これは本当にマズイ。
過去、ロシアンシューを口にした葉子は2度とも人事不省に陥っている。
渚に正体が露見したのもその為だ。
これは何としてでも阻止しなければ!!

悲痛な覚悟を固めた朝陽は葉子をその場に残し「ロシアンシューZ」に挑む。
これにみかんと、何故か嶋田も加わり、3人は変顔大会を開始することとなった……。

残された葉子、岡田、桜田の3人。
岡田たちは「朝陽が何かを一生懸命に守ろうとしていることを知っている」と葉子に告げる。
そして「それを応援したい」と。
これを聞いた葉子は「朝陽のことを憎からず思っている」と応じる。

(おっ、脈ありじゃん。両想いだな朝陽)
岡田と桜田は喜ぶが……。

「だから、その恩返しに委員長との仲を全力で取り持とうと思って!!」
葉子の口から続いて出た言葉は、岡田たちの想像を裏切るモノであった。

(あーっ、この鈍さと朝陽のヘタレで絶妙なバランスが成立してるのか)
納得する岡田。
(報われないなぁ……)
朝陽の苦労を思い、同情を寄せる桜田なのであった。

その奥では、当の朝陽が「ロシアンシューZ」と死闘を繰り広げているのである―――24話に続く。

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻も重版出来とのことで、目出度い。
2巻も発売予定で、表紙は委員長こと渚ですよ!!
そして、本作かなり面白い!!

その23話。
今回も物凄く良かった!!
朝陽と葉子に岡田、嶋田、桜田にみかんが絡む回は鉄板の面白さだなぁ……。
そう言えば、これに渚と獅穂を加えたプール回も良かったな。

「実は私は」第18話「泳げるようになろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

普通、多数のキャラが出るとキャラごとの描写が必要になり勢いが失われることがあるけど、本作はその逆で勢いが乗るのがその理由かも。
それぞれのキャラがきちんと仕事しているからだろうか!?

内容的には、王道回。
葉子の正体露見の危機が連続して起こりつつ、これを朝陽が回避。
朝陽の献身が描かれ、読者が朝陽を応援したところで、それに応じるように葉子が朝陽を認めるのだけど……ラストは「実は私は」十八番とも言える「葉子にぶちんオチ」で綺麗に締める。
うん、鉄板です。
そして、これまで小出しにされていた葉子の弱点総まとめ的な回でもありました。

それにしても、みかんのギャップが凄いな。
外道クイーンの筈なのに、プール回では弟思いの姉だったし。
今回は、きちんとバイトしている。
やっぱり、生計を助ける為にバイト代を家に入れているとかの苦労人設定があるのだろうか……。
みかんの「実は私は」は2話や3話でも語られていたけど「外道を演じているが健気である」なんだろうなぁ。

そして、眼鏡で公私の区別をオンオフしているらしいのも見逃せないな。
メンタル的に眼鏡に依存して「外道クイーン」を演じているものか。
これ、みかんエピソードが本格的に始まったら相当な破壊力がありそうだな。
そして、みかんに対し好意を抱いている様子の岡田にも注目。
今回も、岡田の発案だったようだし。

次回も要注目です!!

そう言えば、コミックス2巻も発売予定。
表紙は1巻の葉子に続き、渚です。
これだと3巻は獅穂、4巻は茜の順かな?
あれ、みかんは……。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第20話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

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「実は私は」第22話「男同士の話をしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)





こちらはキンドル版「実は私は(1)」です!!
実は私は(1)





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