ネタバレあります、注意!!
<ネタバレあらすじ>
天宮詩織はローカルラジオ局のアナウンサーを辞め、キーテレビ局のアナウンサーになるべく上京して来た。
一時栄華を誇りながら今は寂れた鯨岡の芸能プロダクションに所属した彼女は早速、行動に移す。
面接で児島君子を蹴落した丸の内テレビのお天気キャスターを皮切りに、とんとん拍子で出世していく詩織。
本城律子や立花哲人など「電波の城」に住まう怪物相手に一歩も退かない。
さらには、度重なる危機を類稀なる才知と胆力により幾度となく乗り越えた結果、立花の死に伴い番組を引き継ぐまでに。
一方で、記者の谷口ハジメと知り合い、今は病床に臥す父・天宮理一に似た彼に惹かれて行き、遂に関係を持つに至った。
公私ともに順風満帆に思われた詩織。
だが、彼女の出生に纏わる闇は直ぐそこまで迫っていたのである。
実は詩織は「聖レムリア教団」の生き残りであった。
しかも、「聖レムリア教団」の姫・朱雀院ひな子だったのだ。
「聖レムリア教団」は過去に謎の集団自決を引き起こし壊滅していた。
だが、詩織こと朱雀院ひな子はその直前に脱出していたのである。
母方に引き取られた後、天宮理一のもとで養育された詩織。
実は詩織は理一の実の娘であった。
親娘の名乗りを上げた彼らは2人で暮らし始めるが……。
「聖レムリア教団」には他にも生き残りが居たのだ。
生き残りは「聖レムリア教団」を再建すべく詩織擁立を目論み、これを奪回しようとする。
だが、理一の必死の抵抗に遭い失敗、落命する。
しかし、理一もまたこの際の後遺症で病床に臥すことに。
実は理一は事あるを予期し、実弾入りの拳銃を用意していた。
ところが、これを見つけた詩織により実弾を摩り替えられており肝心な時に役に立たせることが出来なかったのである。
これに責任を感じた詩織は、理一の夢である日本を代表するジャーナリストを目指すようになったのだ。
そして、その夢実現まで迫りつつあったのだが……。
此処に来て、詩織の出生の秘密に辿り着く者が現れた。
谷口ハジメの先輩ジャーナリストの三隅である。
三隅はジャーナリストとして、詩織の過去を出版しようとする。
一方、詩織は理一が自身を守る為に犯した殺人を隠すべく、三隅の排除を決意する。
その手にはあの時、撃てなかった拳銃が握られていた。
密かに三隅との会談の場を設けた詩織。
遂に彼女自身の手で発砲し、三隅を殺害してしまう。
同時に、詩織は遂に自身の看板番組を持つに至る。
詩織は一国一城の主になったのだ。
理一との夢の実現も目前である。
詩織の朗報に喜びつつも、三隅の死に衝撃を受けた谷口。
そんな谷口を自身が三隅殺害犯であるにも関わらず慰める詩織。
しかし、当の詩織にも大きな衝撃が。
理一が死亡してしまったのである。
まるで、娘がキャスターとして電波の城の頂点に上り詰めたのを確認したかのようなタイミングであった。
さらに、詩織を衝撃が襲う。
一度は詩織に敗れたキャスター・角館ちず子が再起。
彼女が受け持った裏番組が詩織の報道番組を脅かし始めたのだ。
この裏には本城律子が居た。
本城は自身が表に出ることなく、角館を影から支援することで本格派のイメージを隠しながら本格的な報道番組を放送することに成功したのだ。
気軽に視聴出来ながら、独自の鋭い切り口を併せ持つ本格的な報道番組。
これは従来の報道番組の域を抜け出られない詩織にとっては未曾有の出来事であった。
さらにさらに、詩織は三隅殺害の証拠を産業廃棄物処分場に不法投棄する現場を、自身がアナウンサー生命を奪い、今は谷口を巡り三角関係にある児島君子にそれと知らず目撃されてしまうことに。
ところが、児島君子はその場で事故に遭い……。
一方で、詩織の裏の顔を知る仁科が窮地に陥ることになった。
奇しくも谷口が追っていた不正献金疑惑に関与していたのである。
追い詰められた仁科は殺人未遂まで引き起こすが、これにも失敗し逃げ出さざるを得なくなった。
仁科は詩織を頼るが、これを救う詩織ではない。
孤独になった仁科は、海外逃亡の手段と引き換えに詩織との仲を取り持つよう、詩織に興味を抱く若頭(12巻登場)に迫られる。
一度はこれに応じたかに見えた仁科であったが……裏で谷口にある手紙を送ると共に、若頭を刺殺してしまう。
その頃、当の詩織は自身の報道番組が持つ根本的な欠陥を角館を通じて本城から教えられることに―――225話に続く。
<感想>
詩織の限界が明かされ始めたかのような224話。
詩織は破壊者でありながら、根本的な破壊が出来ない―――どうしても既存ベースに頼る詩織の弱点が露呈することに。
基本、詩織は既存ベースを活かすことは得意なのですが、本城や谷口のように1から創めることが苦手な印象。
それが大きく響いた様子。
とはいえ、これが詩織個人の責だけではないこともまた確か。
立花から番組を受け継いだツケが此処に来たか……。
此処から如何に巻き返すのか?
一方、仁科は死を賭して詩織を護ったか。
いや、谷口に手紙を送ったところを見ると、愛する人の手で追い詰めさせる仁科なりの復讐なのかも……。
問題はあの手紙の内容だ……。
それにしても、12巻の伏線が此処で活きて来るとは思わなかったなぁ……。
やはり斜陽の感をひしひしと抱く展開。
児島君子の件もあるし、いずれ露見は免れ得ないか。
谷口による追及が少しずつ迫る詩織。
それは理想を追った父・理一の追及に等しい。
詩織も命を落としそうな予感がします。
遂に佳境に突入しつつある『電波の城』、今後の展開に要注目です!!
◆関連過去記事
・「電波の城」(細野不二彦作、小学館刊『週刊ビッグコミックスピリッツ』掲載)1話から214話「日はまた昇る」までネタバレ批評(レビュー)
・「ギャラリーフェイク 特別篇 前後篇」(細野不二彦作、小学館刊「週刊ビッグコミックスピリッツ」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「ダブル・フェイス」(細野不二彦著、小学館ビッグコミック連載)が遂に最終回&ネタバレ批評(レビュー)
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