2013年08月07日

「激流〜私を憶えていますか?〜」第7話「悪女の告白」(8月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「激流〜私を憶えていますか?〜」第7話「悪女の告白」(8月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

修学旅行で冬葉(刈谷友衣子)が失踪したのは、あの女のせいだと言った音楽教師の毛利(賀来千香子)。
それ以上は聞き出せなかった美弥(ともさかりえ)たちは、冬葉かもしれないと気になっていた海外に住むフルート関係者の佐伯茉莉と接触。会うことができた佐伯は、圭子(田中麗奈)たちに宛てたある手紙を預かってきていた・・・。
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

鯖島は退院した。

その翌日、榎の死体が発見されたとの報が美弥に届く。
元恋人の死に悲嘆に暮れる美弥。
そんな美弥をそっと支える東萩。

一方、美弥が冬葉ではとの疑惑を抱いていたフルート関係者の佐伯が美弥たちの求めに応じて来日した。
彼女と直接面識を持った圭子たちは、佐伯が冬葉ではないことを確認する。
だが、佐伯はエドワードなる人物からの手紙を預かっていた。

エドワードの正体は圭子たちが良く知る人物―――ナガチこと長門悠樹であった。
冬葉失踪の後に彼の地に渡っていたらしい。
そして、長門の手紙には驚きの事実が記されていた。

なんと、冬葉はその母・裕子の不倫に悩んでいたのだそうだ。
しかも、裕子の不倫相手は当時の冬葉たちの担任教師・旭村だったのだ。
当時、旭村は佳奈子と婚約していた筈なのだが……。

旭村は精神疾患で入院中、事情を聞ける状況ではない。
こうして、事実を知るべく裕子と佳奈子から話を聞くことに。

裕子は旭村との不倫を認めるが、別れようとしていたことを明かす。
ところが、旭村は別れを認めず、あの冬葉の失踪日に修学旅行先にまで裕子を呼び出したのだと言う。
しかし、裕子はギリギリでこれを思い留まった。

一方、佳奈子。
旭村を裕子に盗られたことを恨んだ佳奈子は冬葉に不倫の事実を教えた。
しかし、これにより冬葉との師弟関係は悪化。
そんなある日、冬葉から裕子が旭村と修学旅行先で密会するかもしれないと聞かされ、修学旅行先へ急ぐ。

この姿を冬葉に目撃された。
冬葉は鬼気迫る佳奈子の姿に何かを察し、これを追った。
こうしてバスから姿を消したのだ。

裕子が思い直したことを知らない旭村は人里離れた山中の密会場所で待っていた。
其処へ佳奈子が現れた。
2人は言い争いを始めてしまう……。
此処に冬葉が駆け付けたのだ。

言い争う旭村と佳奈子を止めようとした冬葉は、誤ってバランスを崩し高所から転落死した。
思わぬ事態に呆気にとられる旭村と佳奈子。
逸早く自身を取り戻した旭村は「助けを呼びに行く」とその場を去ったが……戻らなかった。
佳奈子は冷たくなっていく冬葉を抱き、山中で一晩を過ごした。
そして、旭村を救うべく事態の隠蔽を画策した。
いや、自分自身を救おうとしたのかもしれない。

其処で、山中に冬葉の死体を埋めたのだ。

冬葉失踪事件は、20年前の佳奈子、旭村、裕子に原因があったのである。
だが……。

「旭村先生は、責任からあんな姿になってしまった!!」
精神を病み入院することとなった旭村。
そんな旭村を激情のままに庇う佳奈子。
裏を返せば、それは自身の行為をも正当化する言葉である。
そして……。

「メール!?笑わせないでよ。あんたたちに何が分かるのよ。20年も冬葉さんを忘れていた癖に!!」
どうやら、冬葉メールを送信したのは佳奈子ではないらしい。

同じ頃、貴子の娘が美弥の弟に連れ出されていた。
2人は何処へ向かうのか。

そんな時、圭子の携帯にメールが……其処には。
「はやく私をさがして 冬葉」と書かれていた―――最終話(第8話)に続く。

<感想>

ドラマ原作は柴田よしき先生『激流』。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。

『激流』(柴田よしき著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

遂に佳奈子へと辿り着いた圭子たち。
旭村、佳奈子、裕子……3者の過去がクローズアップされました。
7話にてほぼ原作のメインストーリーは描写し尽くされたか。

後は、原作だと圭子の原稿紛失事件の後始末、冬葉の遺体発見。
ドラマ版の流れだと、鯖島と圭子、東萩と美弥の恋の行方の筈でしたが……。
なんと、此処でさらに原作からの意外な改変点が姿を現したことで、新たな謎が!?

「冬葉メールは佳奈子ではない」とのこと。
もともと、圭子たちの身に起こった事件の黒幕が佳奈子ではないとの改変が行われていたので「まさか……」とは思っていましたが、これは大きな改変点ですね。

では、誰が冬葉メールの送信者なのか。

この話の流れだと、冬葉メールを送信したのは「心神喪失状態の旭村」かな。
さもないと、旭村の設定を「消息不明(たぶん自殺)」の原作から「心神喪失状態で入院中」に変更する必要が無いし。
おそらく「心神喪失状態でありながら20年前から冬葉をひと時も忘れたことは無かった」的な展開でまとめ上げるのかなぁ……と想像したり。

それにしても、裕子と佳奈子の台詞はほぼ原作通りでしたね。
目ではなく、改めて耳で聞いたことでより作品への理解が深まったような気がします。

結局、身勝手な大人たちの行動が、5人の10代の少年少女を狂わせたんだよなぁ……。
ところが、それにはフォローなしだもんなぁ……。

ある意味、湊かなえ先生『贖罪』に似たようなところがあるんだけど、あちらは最終的に「ある人物が責任を自覚した」として、まだ幾分フォローがあるからなぁ。
無意識であり、責任に無自覚(いや、自覚してなお逃げたか)なだけ『激流』の方が罪深いな。

『贖罪』(湊かなえ著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

特に、佳奈子の八つ当たり気味な発言が浮き彫りに。
「20年、冬葉を気にかけていた!!」って言っても埋めてちゃなぁ……そりゃ、気にかけるよ。
むしろ、それで気に留めていなかったら恐ろしいよ。

とはいえ、それでいて冬葉メールの主ではなくなってしまったので原作に比較すると存在意義が薄くなったなぁ。
原作からの改変で一番割を喰ったのは佳奈子だった気がします。
原作のあれはあれで憎悪と身勝手の権化的なキャラとして成立していたのになぁ……。

でもって、ドラマを視てて気付いたんだけど、『激流』って「イヤミス(人間の負の感情を取扱い、読後感の悪い嫌なミステリの略)」だったんだなぁ……。
ジェットコースターサスペンスとして認識していたから新鮮な気持ちになった。
同様の作品を探されている方は、湊かなえ先生や真梨幸子先生の作品がオススメです。
本ブログにも幾つかネタバレ書評(レビュー)している筈なので、良ければ肌に合うか目安にしてみては!?

さて、此処からドラマ版『激流』はほぼオリジナル展開。
果たして、どう決着されるのか次回も見逃せない!?

◆関連過去記事
『激流』(柴田よしき著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

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posted by 俺 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は弟さんが気になっています。
Posted by マスオ at 2013年08月07日 10:48
Re:マスオさん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

美弥の弟・研二ですね。
確かに、彼もかなり怪しいんだよなぁ……。
華ちゃんを連れて行くし、最終話の予告で、美弥に対するコンプレックスを吐露するようだし。

ドラマ「激流」、此処に来ていよいよ意外な展開を迎えつつありますね。
最終話が待ち遠しい……。
Posted by 俺 at 2013年08月07日 22:24
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