2013年08月10日

「サイレーン」第15話「第二の作戦A」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「サイレーン」第15話「第二の作戦A」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺?)の犯人?猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きている。
千歳:生活安全課所属。

・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第14話「第二の作戦」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

里見と猪熊の管轄で殺人事件が発生。
第一発見者は被害者の夫。
夫によれば妻は資産家の娘で、自分用のマンションを所持しており夜は其処で過ごしていたそうだ。
いつもならば朝には自宅に戻る筈なのだが、戻って来ないので様子を見に来たところ死体を発見したと言う。
夫の証言で「妻が複数の男性と交際していた」ことが分かり、その交際相手に殺害されたものと思われたが……。

話は数時間前に遡る。

被害者のマンション前に、乃花とカラが居た。
カラはウィッグを着用し変装しているようだ。

「とりあえず、2、3発殴っちゃえば分かって貰えるよ」
当初、殺害するよう乃花に促していたカラ。
だが、乃花がこれを拒否すると別の方法に切り替えた。
それが、乃花に不倫相手の妻を殴らせるとのものであった。
ともかく、暴力で要求を押し通すとのシナリオらしい。

こうして、被害者宅を訪問した2人。
室内に押し込むと、カラは率先して被害者の首を絞め気絶させる。

さらに乃花に殴るよう促す。
怯える乃花はペチペチと2発ほど申し訳程度に頬を張る。

「こ……これで、いいよね」
未だに怯え続ける乃花はそのまま逃げ帰ってしまう。
残されたカラはほくそ笑む。
乃花の指紋があちこちに残されているからだ……。

再び現在。
帰宅しようとする猪熊に、カラが近付く。

「事件が起こったんでしょう?怖いですよね」
カラは事件の話題を振りつつ、猪熊の心に忍び寄る―――16話に続く。

<感想>

「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。
それだけに新連載への期待も高まります。

そんな「サイレーン」、内容は刑事もの……しかも男女バディもので、「警視庁機動捜査隊(キソウ)」を取り上げた作品となりました。
設定に「キソウ」を採用している点が珍しいですね。
ドラマでも「キソウ」がメインになった作品は「警視庁機動捜査隊216」くらいか。

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その第15話。

今回、アガサ・クリスティー著『カーテン』の内容について触れています。
ネタバレになる恐れがあるので、未読の方は注意!!


サブタイトルは「第二の作戦A」。
これは「第二の作戦B」として次回も続きそうですね。

「橘カラの欲しいもの」は「猪熊の正義感」。
これを狙うべく、渡宅に潜り込んだ「第一の作戦」に続き「第二の作戦」か。

それにしても驚きました。
カラの狙いは犯罪をコーディネートすることと考えられていましたが、自ら犯行に及ぶとは。

てっきり、カラは名探偵エルキュール・ポアロで言う『カーテン』でのX氏のように「環境を整え、相手を唆し犯行に及ばさせる」方法を採用すると思ったのですが……。

自ら犯行に及びつつ別の人物の犯行に偽装するとは。
そう言えば、カラのマネージャー殺害も殺人に見えないように偽装する方法でしたね。

『カーテン』(アガサ・クリスティー著・中村能三訳 、ハヤカワ書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

これはかなり直接的ですね。
思わぬ武闘派の側面を見せたカラ、恐るべし。

それにしても、これにより乃花はカラの手で犯人に偽装されました。
ということは、カラは真相を隠す為に乃花も殺害するつもりとなりそうですね。
乃花を犯人として偽装しつつ、猪熊に接近する用を為せば、自殺に見せかけ殺害するつもりか。
乃花、ピ〜〜〜ンチ。

そう言えば前回、カラは人に信頼される要素として2つを上げています。

1.弱味を見せること。
2.役に立つこと。

どうやら、乃花の友人として犯行を知ってしまったと猪熊に相談を持ちかけることで1と2の条件を一挙にクリアするつもりか。
まさに、マッチポンプの犯罪ですね。

カラはその名の通り、中身の無い虚ろな「空」。
それゆえに、自身に欠ける物を補おうと求めている。
以前から予測している通り「カラは自身に無い物を持っている対象を特定すると、これに近付き相手を殺害することで、自身に欠けた物を相手から奪う」で正しいようです。

キャバクラの女性マネージャーを殺害し「その垢抜けた佇まい」を奪い、綺麗になった。
タクシー運転手は「自身は選ばれた」と語っていたが「その選ばれた存在であること」を彼を殺害することで奪ったものと思われます。
だとすると、これまでにも同様の犯行を重ねているのが当然。
里見が過去に遭遇した「薬局店息子殺人事件」を皮切りに変貌したものと思われますね。
カラの闇は想像以上に深そうだ。

止められるのは里見と猪熊のカップルのみかも。
これに渡が意外な活躍を示しそうな予感。
果たして、如何なる結末を迎えるのか……16話に期待!!

ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。

「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

◆関連過去記事
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「レンアイ漫画家(5)<完> (モーニング KC)」です!!
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