ネタバレあります、注意!!
第6話登場人物一覧:
三好善美:主人公、善行ポイントを集めている。ループの中心……の筈。
九條:上司(大浦)に解雇通告を受けた男。善美と共に事件解決に挑む。ループを理解している。
大浦:九條を解雇した。何故か何度も「通行止め」の手で殺害されてしまう。
石名坂:九條の同僚。何かある?
佐藤:野球部のエース。1周目以降、善美からコンビニ強盗対策に使われている。
アイカ:善美の親友。
時雨:元・アイカの担任教師。ある事件がきっかけで現在は引き籠りになっている。
寄谷得人(ダニエル):委員長。名前の真ん中(谷得)を取って「ダニエル」と呼ばれている。
寄谷父:「ナカハシ」に勤務するサラリーマン。5周目で死亡してしまう。
矢田刑事:3話で九條を逮捕した刑事。
成田刑事:矢田の後輩だが……。
通行止め:街で噂の連続殺人鬼。
謎の少女:善美が助けた謎の少女、実は……。
<ネタバレあらすじ>
6周目も終盤が近付く。
石名坂と共に通行止めの大群を追った九條。
彼らは大浦建設地下に張り巡らされた地下道を通り、いずれかへと向かう。
その目的地は―――朝日河市上水道施設であった。
まさか……テロが目的なのか!?
此処で日を跨ぎ、7周目に突入。
九條から通行止めの狙いが上水道施設にあると知らされた善美。
ソレはソレとして、九條に丸投げしてしまう。
善美にとって大切なのは九條よりも、目先の10万善達成なのだ。
これまでに学習した経験を活かし、順調にスマイルノートに善行を書き連ねて行く善美。
さらに、前回のループで親友のアイカから、引き籠り気味の時雨先生の存在を知らされた善美はこれを助けることで、更なる善行ポイントに加えることを狙う。
一方、九條は通行止めと大浦に何らかの関わりがある筈と考え、策を弄さず大浦に真正面からぶつかることに。
だが、大浦は認めようとしないどころかまともに取り合おうともしない。
同じ頃、時雨宅へ向かう善美の姿があった。
行きがけの駄賃とばかりに、善美は街へと向かうバスを探していた老人にバス停を教える。
だが、教えたバス停は逆方向のものであった……。
サインを早々に貰ったことで結果を気にしない善美はそのまま立ち去ってしまう。
さて、時雨宅。
其処にはアイカが先に来ていた。
実は時雨には息子が居たが早くに亡くなっていた。
これにショックを受けて引き籠ってしまったのだ。
アイカは時雨を立ち直らせるべく、長期に渡り足繁く通い支え続けていたらしい。
そんな時雨に、善美は自分がスマイルノートを書くきっかけが亡くなった祖母にあったと語り出す。
人に親切にするよう常々諭していた祖母の遺志を継いで善行ポイントを集めていると訴えた善美。
同様に、時雨の息子が悲しまないよう前向きに生きるべきだと主張したのだ。
これを聞いた時雨は励まされ、引き籠り生活を脱することを約束する。
その帰路、アイカは自分が長きに渡り時雨を支えたつもりが何の役にも立っていなかったと洩らす。
あっさり時雨を翻意させた善美の手腕に感心したのだ。
さらに、善美のスマイルノートの悲しい謂れに共感を示すが……。
ところが、すべては善美の嘘であった。
きっかけは祖母でも何でもなく単なる趣味らしい。
これを聞いたアイカはぎゅっと自身の手を握り締めると俯いて押し黙ってしまう……。
一方、九條はと言えば大浦にぶつかってみたものの効果が上がらず困り果てていた。
そんな中、何を思ったのか大浦から奇妙なキーホルダーを貰う。
大浦によれば娘から貰った物だそうだが……それを何故、九條に譲るのか?
数時間後、善美のバイト先のコンビニでは、ダニエル父を助けるべく「ナカハシくん」人形を売り切っていた(5話参照)。
前回は人任せだったが、今回は参加してみた善美。
充実感に包まれ満足していた。
そう言えば、九條はどうなったのだろうか……。
噂をすれば影。
其処へ、九條が駆け込んで来る。
九條はあるSDメモリーカードの分析を善美に依頼する。
大浦にキーホルダーを貰った九條。
これまで変化があったことには必ず何らかの意味があった。
其処でキーホルダーを調べたところ、中からこのSDメモリーカードが出て来たらしい。
早速、事情を知るダニエルを加え店のPCで中身を調べたところ……表示されたのは通行止めのマークとカウントダウンのタイマー。
タイマーは明日丁度を指し示していた。
これはつまり……明日になった途端に何事かを決行するつもりなのか?
もし決行するとすれば上水道施設と関わりがあるのだろうか?
それにしても……と疑問を呈する九條。
これだけの為に大浦が狙われたのだろうか……。
「隠しファイルがあるのかも……」と呟くダニエル。
PCに表示されていないだけで隠しファイルが存在しているかもしれないらしい。
だが、善美、九條はともかくダニエルでさえもこの手の物は得意分野ではないようだ。
ダニエルは「この手の物が得意な人物に心当たりがある」と語る。
そして、8周目に突入。
定例の朝ミーティングが開始された。
善美、九條に加え、今回はダニエルも参加。
善美はある計画を立てた。
出来る限り早めに九條が大浦からSDメモリーカードを入手。
その後、善美がダニエルと共に心当たりの人物に解析を依頼するとの計画だ。
こうして計画は遂行された。
この間も善行ポイントを稼ぎ続ける善美。
その昼ごろ、善美とダニエルの空白時間を利用して九條からSDメモリーカードを受け取る。
九條によれば、相当に苦労したが何とか手に入れられたらしい。
九條の努力に無にしない為に、目的の人物宅へと辿り着いた善美とダニエル。
すると、此処に来て「協力してくれるかどうか分からない」とダニエルが弱気な発言を。
「何をいまさら……」と呆れる善美だが、ダニエルの心当たりの相手とは彼の祖母であった。
かなり、変わったタイプの女性のようだが……。
「大丈夫!!猫なら5匹は被れるから」と安請け合いする善美。
其処へ当の本人が外出から帰宅する。
ダニエルの祖母を目にした善美、そして当の祖母も互いに驚いた。
なんとダニエルの祖母こそ、善美がループ期間中に毎朝バスで席を譲り続けていた老女だったのだ―――6話に続く。
<感想>
「月刊コミックブレイド」にて連載が開始されたヤマモトマナブ先生の作品です。
「善行をポイント化することが生きがいの女子高生が、ひょんなことから同じ1日を10回繰り返す」ことになる作品。
その中で「如何にして皆をハッピーにするか」がポイントの模様。
2013年7月には1巻も発売されています!!
さ〜〜〜て、ループも8周目に突入ということで、折り返し地点を通過。
残るは当該周を加えてあと3周か。
1巻に5話収録と考えると本作は全10話、全2巻の予定と思われますね。
着地点までが丁寧に想定されているだけに、読者は伏線を拾いつつ楽しみたいですね〜〜〜。
そして、今回もかなり気になる展開になってますね。
6周目にて九條と石名坂が発見したのは「上水道施設」へと続く地下道でした。
さらに、7周目で発覚したカウントダウンタイマー。
どうやら、大きな陰謀が朝日河市に迫っている様子。
他にも今回でいろいろ気になる点を挙げて行くと……。
今のままだと、バス停のおじいちゃんは善行にカウントされないよね。
あれが最後の最後で10万善に届かない……なんてピンチに陥るフラグに見えたりもする。
とはいえ、ギリギリで回避される道が残されているんだろうけど。
それと、アイカには何かありそうな予感。
アイカは善意ではなくポイントの為だけに嘘を吐いてまで善行を積もうとする善美を許せないのか?
あるいは、自身の出来ないことを軽々とやってのけた善美への嫉妬か?
いずれにしろ、彼女の善美へのコンプレックスを解消することで1善に数え上げて、上記の危機回避に繋げるような気がします。
そして、大浦の娘が急に出て来たけど、姿を見せていませんね。
ひょっとして神様がそうなのかな?
でもって、ダニエル祖母が登場。
その正体は、善美がループ期間中に毎朝席を譲るおばあさんでした。
これならば、順当に協力して貰えそうですね。
さて、此処でまとめ。
現状のところ、九條が「通行止め」、善美が「善行ポイント」と一見別々と思わせつつ、実は根底が繋がっているとの説を取りたい。
前回も主張した通り、「通行止め」は「特定の誰か」ではなく「人の悪意の象徴とでも言うべき不特定の精神的な存在」だとすると、やはり「善行ポイント」と引き換えにこれを消すことが出来るとなるのか。
1話冒頭での善美の独白からも、この後(9周目あたり?)に壁が生じるのは間違いないだろうし。
ちなみに、5話時点からの「通行止め」の正体予想ですが、「誰それが通行止め」なのではなく「誰もが通行止めになりうる可能性がある」と見ています。
3話のコンビニ女性店員も「通行止めだった」のではなく「合コンに参加したことで通行止めになった」ものか。
石名坂も通行止めであったが、善美と九條が事象を変化させたことで通行止めの呪縛から逃れたと思われる。
だが、条件さえ揃えば再び「通行止め」になってしまうのだろうか。
つまり、「通行止め」は原因に対処しない限り、永遠に消えないことになる。
ただし、善美はもちろん九條や大浦、ダニエルや矢田刑事が「通行止め」化しないことから、何らかの条件があると考える方が自然だとも思われるが……!?
こうなってくると善美が同じ日を繰り返しているのは「通行止め」を解除させる為と考えるべきだろう。
そもそも「善美の周回」に対し「通行止め」だし「善美の善行」に対し「人の悪意の象徴」でもある。
初めから仕組まれていたことだったのかも。
10万善まで残り8ポイントとなった「善行ポイント」が鍵を握るのは間違いなさそう。
これと引き換えに「人の悪意の象徴」である「通行止め」を消すことが出来るのかな。
だからこそ、善美が「周回者」として選ばれた?
一方、大浦もまだまだ何かを知っているような……。
前述のとおり、その娘の正体も気になるし。
ちなみに、「ミステリ」で1日を繰り返すと云えば、西澤保彦先生『七回死んだ男』が思い浮かびますが、本作はどちらかと言えば「ひぐらしの鳴く頃に」に近いかもしれない。
・『七回死んだ男』(西澤保彦著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
おそらく結末としては「何度挑戦しても事態は改善されず1話冒頭の諦めシーンへ、其処からラスト10回目がスタートし善行10万ポイントと引き換えに神様が奇跡を起こしベストな形に繋がる」と言ったパターンが予想されますが……果たして!?
おそらく構成的に全10話と思われます。
その分、結末へ向けて綺麗に伏線を配している筈。
伏線好きな読者には堪らない本作、次回にも期待!!
◆関連過去記事
・「リピートアフターミー」第1話「今日という日は2度と来ない」(ヤマモトマナブ作、マッグガーデン刊「月刊コミックブレイド 3月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「リピートアフターミー」第3話「仰るとおりソイツです」(ヤマモトマナブ作、マッグガーデン刊「月刊コミックブレイド 5月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「リピートアフターミー」第4話「君は『今日』を繰り返している」(ヤマモトマナブ作、マッグガーデン刊「月刊コミックブレイド 6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「リピートアフターミー」第5話「勘違いしないでよね!」(ヤマモトマナブ作、マッグガーデン刊「月刊コミックブレイド 7月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
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