2013年08月06日

「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
唯井否:イスカリオテ学園の転入生。唯井教授の娘。
那多:イスカリオテ学園校長。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
都成詩紋:又居の絵のモデル。絶世の美男子と褒め称えられる。
阿嵩幹矢:故人。小杖の父。天才と呼ばれた探偵。
刃裏:阿嵩家に仕えるメイド。ツンデレ。
安藤令:故人。2年前に謎の死を遂げる。

<ネタバレあらすじ>

イスカリオテ学園にて発生した都成詩紋殺害事件。
その顔は潰され、十字架に張り付けにされるとの凄惨な死に様であった。

この事件解決に乗り出したのが、自称探偵・阿嵩小杖。
そして、その助手となった転校生・蓮出留津。
2人は体育倉庫にて、血溜の中、後ろ手に縛られ転がされた生徒を保護する。
その生徒の名は、留津と同じ転校生・唯井否。
高名な唯井教授の一人娘であった。

留津と否たちと共に調査を進めた小杖は、鞠吾の秘密のアトリエを発見する。
其処は血に塗れていた。

この現場を目にした小杖は突然、倒れてしまう。
否によれば、ある天才と称された名探偵にも同様の症状があったらしい。
どうやら、このアトリエで得られた情報量が脳の処理容量を一時的に上回ったのが理由らしいが……。
留津はそれだけの重要な情報がアトリエ内にあるのだろうか……と訝しむ。

意識を取り戻した小杖。
那多校長に報告に向かう一方で、留津と否に現場保全を依頼する。
どうやら、那多校長に証拠隠滅される恐れがあると考えているらしい。

その頃、当の那多は鞠吾と何やら相談していた。
鞠吾は2年前の女生徒の死について口にし、辞職の意向を伝える。
だが、何故か那多はこれを拒否。

其処へ現れた小杖は鞠吾の秘密のアトリエを発見したことを報告。
これを受けてなおさら辞職の意志を固める鞠吾だったが、小杖は「鞠吾は無実だ」と主張する。
だが、昨日の朝に起こったことを明らかにしたいとも告げる。

どうやら、小杖の中ではある程度真相を突き止めている様子である。
那多と鞠吾が詩紋の遺体から何かを隠したとまで指摘することに。
こうして、警察も呼ばれ鞠吾の秘密のアトリエは封鎖されることとなった。

一方、警察到着までの間に現場を保全する留津と否。
否はイスカリオテ学園の特別性について語り、留津が入学できたことにも理由があると述べる。

その放課後。
阿嵩家に招かれた留津と否。
阿嵩家は豪邸であった。
特に怯む様子の無い否に、留津は「自分だけ一般家庭の出身なんだなぁ」と実感し疎外感を抱く。

怪しげなメイド・刃裏に招かれ中へ入った留津と否。
阿嵩家内部は事件の資料で埋め尽くされていた。
全て小杖が関わった案件なのかと目を見張れる一同。
其処へ小杖本人が登場し、この疑問を否定する。

小杖が見遣る先には肖像画が飾られていた。
事件の資料は肖像画の人物が解決した物らしい。

そして、肖像画の人物こそは小杖の父・幹矢。
否が語ったある名探偵とは彼のことであった。
だが、小杖によれば探偵として実力を発揮した為に命を落としたそうだ。

しんみりとする中、刃裏が再登場。
「早く帰るか、ゆっくりして行くか選べ」とぶっきらぼうに告げつつ、ケーキの山を届けて来る。
どうやら、言葉とは裏腹に熱烈に歓迎されているようだ。

ケーキを頬張りつつ、事件のことを語り合う小杖たち。
小杖によれば、現場は4つ存在しているらしい。

まず、否がノミを発見し気絶させられ体育倉庫に運び込まれることとなった謎の場所。
次に、鞠吾の秘密のアトリエ。
そして、又居の絵が切り裂かれた美術室。
最後に、詩紋の死体が吊るされていた講堂。

これは単独犯では不可能だ。
つまり、小杖の推理では複数犯らしい。

さらに、小杖は捜査協力した礼として情報を幾つか得たそうである。
その中には鞠吾が2年前に殺害したとされる安藤令なる女子生徒の情報もあった。
「これで、何が起こったか分かった」と呟く小杖だが―――3話に続く。

<感想>

「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その第4話です。
1話完結ではなく、続き物。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品です。

小杖の父・幹矢について触れられました。
どうやら、その死にも秘密がある様子。

ちなみに、「アンデレ」こと「安藤令」出ましたね。
予測通り。

さて、小杖によれば「あの朝に何が起こったか分かった」とのこと。
ヒントは「鞠吾の秘密のアトリエ」、「講堂で隠された物は何か」、「安藤令の存在」、「犯人は複数」といったところか。
「さらに、何故、否は体育倉庫に移動させられなければならなかったのか?」も加えたい。
つまり、実際の犯行現場は何としても隠し通しておく必要が犯人にはあったことになる。
この理由こそがもっともポイントと言えそう。

これらから、安藤令の死が発端と言えるのかも。
この死に鞠吾が関わっていたらしいことは明白。
だからこそ、鞠吾を陥れるノミが用意されていたものか。
そして、鞠吾の秘密のアトリエ……。

那多も鞠吾の秘密を理解してる様子。
それに、又居も関わってそうだしなぁ……果たして!?

ただ、犯人は複数とのことで割と恣意的になりそうなところが気になるかな。
おそらく、詩紋を殺害した人物、死体を運んだ人物、又居の絵を引き裂いた人物とがそれぞれ別であることを示しているものだろうとは思うけど。

さて、此処からは本作の特徴的な固有名詞に注目してみましょう。
既にお気付きの方も多いと思いますが、どうも聖書に関連する語句がもとにされているものと思われます。

まず「イスカリオテ学園」の「イスカリオテ」。
調べてみたところ、これはヘブライ語で「カリオテの人」ということでその出身である12使徒の1人「ユダ」その人を指し示すそうです。

次に「阿嵩小杖(あがさこずえ)」。
こちらはおそらく「聖アガサ(アガタとも)」から来ているものか。
守護聖人の1人だそうです。

唯井否。
彼女は12使徒の1人である「タダイ」からの命名の様子。

そして「担任教師・鞠吾(マリア)」。
「聖母マリア」でしょうか。

続いて「又居」。
12使徒の1人「マタイ」ですね。

そして「都成詩紋」。
同じく12使徒の1人「シモン」ですね。

安藤令は同じく12使徒の1人「アンデレ」。
刃裏は「パウロ」からかな。

ただ「蓮出留津(はすでるつ)」だけが分からない。
もしかして12使徒の1人「バルトロマイ」からかとも思ったが、余りに違い過ぎるか。
明らかに名前に意味がありそうなのですが、これが調べても出て来ない。
アナグラムも考えてみたけど、どうにも意味のある言葉にならないし……。
気になるところ。

これらの名前に出典同様の意味があるのか、あるいはモチーフのみに留まるのかが気になりますね。
以前から予想していた通り、アンデレも登場しました。
「与羽(よはね)」も出て来そうかな。

でもって、上記登場人物名に意味があるとして内容に触れると。
12使徒の「シモン」は2人居るので「又居」がモデルとした「都成詩紋」も2人存在する可能性がありますね。
顔が潰されているのは此処に由来するのか?

いろいろ気になりますね、次回にも期待!!

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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