ネタバレあります、注意!!
第28話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。
藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。
朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の妹:朝陽の家族。22話、28話に登場。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜
「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?
矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜も加わって……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その日、朝陽の姿は電車内にあった。
彼にはある任務が課せられていたのだ……。
朝陽に任務を課したのは彼の妹。
そして、その任務の内容とは「50個限定1個880円のBLTバーガーをゲットして来ること」であった。
なお、この際に「交通費は?」とか「何故、俺?」などといった反論が一切、許されなかったことだけは特記しておくべきだろう。
兄とは妹に弱い生き物なのだ。
そこまでして欲しい物だろうか―――妹からの任務に今更ながら疑問を覚える朝陽。
と、見知った顔が声をかけて来た。
葉子である。
思わぬ偶然の出会いに喜ぶ朝陽。
葉子もそれは同様のようで笑顔である。
いや、いつも以上に何故か上機嫌だ。
そんな葉子の様子に嬉しくなった朝陽は、話題がてらに妹からの任務について明かす。
すると……葉子の様子が一変。
なんだか、朝陽の本心を窺っているような……。
まさか!!
慌てて葉子の手許に目を落とせば、其処には例の「BLTバーガー」の広告が。
葉子もまた「限定品」の魔力に憑かれていたのだ。
く〜〜〜!!
響き渡る葉子の腹の音。
腹ペコ吸血鬼の本領発揮といったところか。
互いに目指すモノは同じであった。
つまりは競争相手である。
些か気まずくなるものの、50個限定である。
2人ならばまだまだ大丈夫な筈だと気を取り直すことに。
と、背後からまたも声をかけられる。
振り返ってみれば、其処には眼鏡を握りつぶそうとするみかんの姿が。
聞けば、みかんもまた「50個限定BLTバーガー」を目指しているようだ。
どうやら、弟たちに頼まれたらしい。
侮り難し「50個限定BLTバーガー」。
朝陽が認識を改めたところで、ふと気付く。
今日のみかんはやけに友好的であることに。
賢明なる読者の皆様はもうお気づきであろう。
これらの情報を伝えたのが「フクちゃん」であることに。
もともと、みかんは秘密裏に購入するつもりだったのだ。
朝陽と葉子に声をかけたこと自体が「フクちゃん」の行動だったのだ。
だからこそ、眼鏡が握りつぶされかけていたのである。
とはいえ、朝陽と葉子はそれを知らない。
不思議だなぁ……と首を傾げつつ新たなるライバルの登場に焦りを募らせていた。
「友情」と「50個限定BLTバーガー」、いずれが優先されるべきか?
葉子とみかんはいずれが勝ったとしても恨みっこなし、互いに健闘しようと語り合う。
流石に其処まではオーバーな……とツッコミを入れる朝陽。
だが、目的の駅に着くや否や状況は一変する。
降車した朝陽たちと入替るように乗車したグループ。
そのグループが「50個限定BLTバーガー」について口にしていたのだ。
彼らの話によればかなりの人数が行列を作っていたらしい。
「本気で食べたければ、朝一から並ぶべき」とまで熱く語っているが……。
これを耳にした葉子とみかんは危機感から激走を開始。
釣られて朝陽も走り出す。
それほどまでの物だったとは……。
手に入らなければ謝ればいいなどと軽く考えていたことを今更ながら後悔する朝陽。
こうして彼らは風となった。
目指すはただ1つ「50個限定BLTバーガー」のみ。
そんな3人に声をかける人影が。
そちらを目にした葉子が思わず叫ぶ。
「藍澤さんのお兄さん!!」
其処に居たのは、例の女性型の機体に搭乗した藍澤兄こと涼であった。
涼によれば、彼もまた「50個限定BLTバーガー」目当てらしい。
涼は語る。
「多目に買って、手に入らなかった人に1人でも多く手数料を上乗せして譲ってやるんだ」と。
要は転売目的である。
「藍澤さんに教えた方が……」
涼を制するには渚だ。
葉子は渚を呼ぼうとするが……。
「その必要はない」と断言する涼。
何故なら、既に渚に追跡されていたからである。
朝陽が背後を見れば鬼の形相で追って来る渚が居た。
「なんてこったい!!」と叫びたくなる状況。
其処へさらに拍車がかかる事態に。
何時の間にやら、獅穂までもが参戦していたのである。
「やっぱり限定でしょ!!」と断言する獅穂。
彼女までもが……と冷や汗をかく朝陽。
だが、よくよく聞くと獅穂の目指すモノは異なっている様子。
獅穂の欲している「限定品」の正体とは「10名限定の下着」であった。
流石にこれ以上、増える筈がないよな。
獅穂が競争相手ではないと知り、ほっと胸を撫で下ろすのも束の間。
周囲に異様な人数が膨れ上がった。
その数50、全員が角を生やした少女だ。
そう―――茜である。
「50個限定BLTバーガーはすべて私の物だ!!」
高笑いしつつ激走する茜。
どうやら、50個を独占し手に入れられなかった者たちの前で優越感に浸りながら食べたいらしい。
涼に対しては渚、茜に対しては明里である。
明里が茜を野放しにする筈がないのだが……。
すると、茜集団のさらに後方から怒声が!!
それと共に最後方の茜たちがぶわり、ぶわりと宙を舞う。
どうやら、明里もまた茜を追跡しているようだ。
茜は半分涙目になりながら「BLTバーガー」を追い求める。
こうして事態は思わぬ混迷の度合いを深めることとなった。
「50個限定BLTバーガー」を目指すのは朝陽、葉子、みかん、涼、茜×50(既に何人かが明里の手にかかっているが)。
それにしれっと混ざっているが「10名限定下着」が目的の獅穂。
この集団を追いかけている涼目的の渚、茜目的の明里との状況である。
図示するとこんな感じだ。
50個限定BLTバーガー←朝陽、葉子、みかん、涼、茜、獅穂(1人だけ目的違う)←渚(涼を追う)、明里(茜を追う)
さぁ、この中で何人が目的を達することが出来るのか!?
そんな中、体力的に葉子がじりじりと後方へ下がってしまう。
一方、争いに疲れたみかんは「フクちゃん」にこの状況を打開するよう依頼することに。
みかんの声に応えた「フクちゃん」は願いを叶えるべく光り始める。
「おわっ!!」
「閃光弾!?」
などと騒ぐ朝陽や涼。
光が収まったその先には―――特に何の変化も起こっていなかった。
憤るみかん、「フクちゃん」自身も首を傾げる(首は無いが)。
だが、確かに変化は起こっていたのである。
それに気付いたのは涼であった。
彼の視界の隅には5000円札が落ちていた。
周囲に気取られないようスピードを落とすと、足を止めてそれを拾い上げる。
何が目的かは一目瞭然である。
しかし、足を止めたのは致命的であった。
そう、彼は逃亡者であることを忘れていた。
「兄上〜〜〜」
こうして、涼は渚に捕まってしまった。
涼脱落、渚は目的達成!!
既に1人脱落者が出ているのだが、それとは知らない「フクちゃん」は続いての行動に。
再度、光始めたのだ。
「フクちゃん」の脳裏には、ある光景があった。
あれを実現すれば、みかんさんは喜んでくれるに違いない。
その光景とはお笑いなどにみられる滑り芸。
走っているときにズッコケる、いわゆる「オイシイ芸」である。
「フクちゃん」はみかんを「オイシイ」状態に持ち込もうとしているのだ。
こうして、走っていたみかんは虚空を蹴り宙を舞った。
サマーソルトキックのように縦に一回転すると着地する。
何が起こったのか唖然とする一同。
みかんを心配した朝陽、葉子、明里が駆け寄る。
そんな中、これ幸いと茜は目的地へGO!!
宙を一回転したみかんには怪我の恐れがある。
明里がこれを見守ることとなった。
みかんは朝陽と葉子に自身の果たせなかった「50個限定BLTバーガー」を託す。
何としても、茜の意のままにさせて良い筈がないのだ!!
こうして、「BLTバーガー」を目指して朝陽と葉子は再び走り出した。
一方、校長の責務を放棄し欲望を優先させた茜。
明里により相当数が減らされたが、それでもかなり残っている。
感慨を抱きつつ、遂に目的地に辿り着いたと喜ぶが……。
目の前にあったのは「ハンバーガーショップ」ではなく、何故か「下着ショップ」であった。
「「「「「へ?」」」」」
複数の茜が気の抜けた声を上げる。
「あっ、まだ残ってた!!」
そんな茜を残しつつ、意気揚々と「10名限定下着」を求め、店内に消えて行く獅穂。
そう、茜は先頭の獅穂について行ってしまったのだ……。
茜は脱落、獅穂は目的達成!!
数分後、みかんと明里のもとに朝陽と葉子が戻って来た。
手には目的の「BLTバーガー」が。
もちろん、みかんたちの分の「BLTバーガー」も抱えられている。
「なんか、すんなり買えちゃったんですけど」
呆気ない幕切れに拍子抜けした様子の朝陽。
特に茜の妨害も無く、特に混雑していたワケでも無いらしい。
これまでの騒ぎが嘘のように淡々と購入できたようだ。
朝陽、葉子、みかん目的達成!!
「お前らは大人だなぁ……それに引き替え」
茜のことを思い、怒りを募らせる明里。
そして、1人「うま〜〜〜」と「限定バーガー」を堪能する葉子―――29話に続く。
<感想>
「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻も重版出来とのことで、目出度い。
2巻も2013年8月8日に発売されました、表紙は委員長こと渚ですよ!!
そして、本作かなり面白い!!
その28話。
まさにオールキャストの豪華回でしたね。
朝陽の妹も登場してました。
そして、展開もキャラを活かした優れた物で、面白かった!!
それぞれの目的とキャラ特性を絡め、其処に結果が生じる。
これが自然で物凄く良かった!!
キャラ名→目的→成否の順でまとめると、それぞれ。
朝陽→「50個限定BLTバーガー」→達成!!
葉子→「50個限定BLTバーガー」→達成!!
みかん→「50個限定BLTバーガー」→達成!!
フクちゃん→「みかんの願いに応える」→(結果的に)達成!!
涼→「50個限定BLTバーガー」→失敗!!
渚→「涼捕獲」→達成!!
獅穂→「10名限定下着」→達成!!
茜→「50個限定BLTバーガー」→失敗!!
明里→「茜の目的阻止」→(結果的に)達成!!
こうして見ると、涼と茜を除いた全員が目的を達成していますね。
不埒な思惑を抱いた者のみ失敗ということで因果応報か。
それだけに、読後感も爽やかでした。
前回から一転、コメディ回となりましたが、この懐の広さこそが本作の魅力。
次回にも期待!!
そう言えば、コミックス2巻が発売されたそうです。
表紙は1巻の葉子に続き、渚です。
これだと3巻は獅穂、4巻は茜の順かな?
みかんは後半の切り札か。
ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。
もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
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