2013年10月09日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第78話「バッグ ストーリー」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第78話「バッグ ストーリー」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年11月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

近山登:輸入雑貨店の店員。
社長:近山が勤める輸入雑貨店の社長。
エリオ:森羅が認める鞄職人。
メグミ:近山が故郷に残した元恋人。
タカオ:近山とメグミ共通の友人。

<ネタバレあらすじ>

近山登は輸入雑貨店の新入社員。
都会で一旗揚げるべく故郷に残して来た恋人・メグミが、近く結婚することを知り傷心気味である。
恋人と別れ仕事を選んでまで自分は何をしたかったのだろうか……今の近山はいろいろと思い悩んでいた。

そんな近山が社長のお供でイタリアのフィレンツェにやって来た。
先輩や同僚社員からは「気の毒に」と同情されたが、同行してみてその理由が分かった。
割と横暴なのは普段からだが、いびきが酷いのだ。
一緒の部屋で寝ることとなった近山にとってはメグミの結婚に続き、泣きっ面に蜂である。

そんな折、近山はフィレンツェで面白そうな2人組を見かける。
どうやら何かの品を鑑定し感謝されているようだ。
面白いのは、2人共子供だったことである。
そう、この2人こそ森羅と立樹であった。

森羅たちに興味を持った近山は、仕事そっちのけで彼らの後を追うことに。
森羅たちは一軒の工房へ。

其処は鞄職人の店であった。
森羅は主のエリオに棚に並ぶ鞄のうちから1つを指さし譲ってくれるよう頼み込んでいた。
なんでも、その鞄はエリオが職人となるべく恋人と別れたときに相手に贈ろうとして断られた品らしい。
かなり強い思い入れがあるらしく、森羅はいいようにあしらわれている。

これを見ていた近山は自分もその鞄が欲しいと割り込むことに。
そもそも売り物でないならば、売り物の棚に並べた店側に非があると主張した近山。
エリオはそんな近山の主張を認めつつ、良い詩を作れたら譲ってやると条件を出す。

これに森羅たちは困惑。
様子を見ていたエリオは続いて、ロダンの考える人が何について考えているか当ててみろと挑戦する。
当てることが出来れば譲ってくれるらしい。

森羅は勝利を確信。
一方の近山は分からないと首を捻る。

1日の猶予が与えられた近山は森羅にヒントと求める。
渋る森羅だが、立樹に促されヒントを教えることに。

ロダンの考える人はダンテの神曲をモチーフにしているらしい。
神曲とは「地獄に迷い込んだダンテが美女・ベアトリーチェに導かれ天国へと至る物語」である。
この神曲を著す前、ダンテはベアトリーチェを実際に失っていた。
果たして、考える人は何について考えているのか!?

その夜、頭を悩ませる近山にメールが届く。
メールの主はメグミ。
結婚することとなった彼女だが既に妊娠しているらしい。
メグミの結婚を祝福すると共に涙する近山。

翌日、エリオの店で答えを尋ねられた近山は「分からない」と述べる。
一方、森羅は意気揚々と「考える人は神曲を著すダンテ自身を表現している。すなわち神曲について考えている」と答えを言い当てる。

ところが、傍で聞いていた近山はこれを否定する。

近山にとってのメグミのように、大切な人を失い他のことなど考えられる筈がない。
ならば、ダンテが考えていたのはベアトリーチェのことしか有り得ない、と。

これを聞いたエリオは「それこそが詩だ」と近山を勝者に認定する。

こうして、鞄は近山の手に。
森羅は完全に不貞腐れてしまうが……。

そんな森羅に近山は「この商品は大切にお預かりしておきますので、是非、当店へいらっしゃってください」と伝えるのであった―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2013年10月号掲載「78話 バッグ ストーリー」です。

名前が近山登で、ついつい遠い山からは逃げ(大きな目標を避ける)、近い山に上ろうとする(手近な目標しか挑まない)その性質を表現していたように思います。
そんな近山も、今回のエピソードで変わりましたね。

メグミを失い、仕事にも情熱を失いかけていた近山。
ですが、エリオの問いを通じて、ダンテと己を重ね合わせ、ダンテがベアトリーチェを失いながらも神曲を著したように、自身も仕事に遣り甲斐を見出しました。
近山にとって今回のエピソードは大きかった。

森羅たちはそれと知らず近山を救った。
そのご褒美こそが件の鞄になりそうかな。
結局、森羅の手に入りそうだし。
そもそも、近山が居なければエリオも手放さなかっただろうことを考えれば森羅にとっても良い出会いだったのでしょう。

なかなか良いエピソードでした。

でもって、ファンに朗報。
2013年10月発売の「マガジン+ 07号」にて「QED」と「CMB」が両方掲載されるのだそうです。
前回、「QED」が「月刊マガジン」に出張したので、今度は「CMB」の出番だな!!

『月刊少年マガジン』掲載予定の次回と併せて、こちらも期待!!

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