<あらすじ>
社員の升田善蔵(でんでん)、富永達彦(田中健)、西谷拓馬(西尾浩行)と共に下町で小さな葬儀屋を切り盛りする桶谷松子(名取裕子)。その傍ら、松子は三味線を教えているのだが、週に一度、大企業の吉河フーズ会長・吉河恭三(竜雷太)が稽古に訪れていた。それまで仕事一筋だったが、最近義理の息子・吉河秀輔(高橋和也)に社長業を引き継がせ暇を持て余していた恭三が、たまたま葬儀屋前を通りかかった時に聞こえた三味線の音に惹かれ、三味線を習うことにしたのだった。
ある日の稽古後、恭三は松子に一通の封筒を差し出す。そこには希望する葬儀の式次第が綴られ、自分の死後はこの通りに松子に執り行って欲しいと依頼。また松子にプライベートで借りている部屋を案内する。そこは金には不自由していない恭三には不似合いな古びた建物だった。 そして、自分に何かあったときは頼む、と松子に部屋の合鍵を渡すのだった。
数週間後、松子のもとに「相談したいことがある」と恭三から電話が入るが、「明日の稽古の時にでも」と答える。だが翌日、稽古の時間が来ても恭三は現れず、心配した松子は例のマンションを訪れるが不在。その時、向かいの部屋から漂う死臭が気になり、無施錠だった玄関を開けた松子の目に映ったのは女の死体だった!
女はこの部屋に住むスナック経営者の和田初栄(毬谷友子)。松子は刑事の河本(阿南健治)に、向かいの部屋に住む恭三の行方を探して欲しいと頼む。警察が会社に問い合わせたところ、恭三は四国にお遍路に行ったという。 一安心する松子のところへ初栄の娘・百々(福田沙紀)が訪れ、初栄の葬式を依頼。請け負うことを決めた松子は、富永を担当者として任命する。また松子は、霊安室で初栄の遺体を確認するが、初栄の薬指の一部だけ環状に死斑が出ていないことに気付く。それは、誰かが死後12時間以降に指輪を抜いたということを意味していた。
一方、松子のもとに恭三から絵葉書が届くが、どこか他人行儀な文面が気になり…。 そんなある日、百々が初栄の葬式代を払うため来社。さらにここで働きたいと頼み込まれた松子は、富永からの後押しもあり試用期間という条件で受諾する。
そんな中、恭三が四国で心不全のため亡くなったというニュースが飛び込んでくる!
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
松子は「吉川フーズ」の会長・吉川恭三と親しくなった。
恭三は「吉川フーズ」の会長としてではなく、個人として送って欲しいと松子に葬儀を依頼していたのだ。
そんなある日、相談事があるとの連絡以降、恭三と音信不通になってしまった。
心配になった松子は恭三が住むアパートを訪れる。
だが、恭三は留守であった。
帰ろうとする松子だが、ふと気になった死臭を追ったところ、向かいの部屋に住む和田初栄の遺体を発見する。
初栄は何者かに殺害されていた。
こうして事件に巻き込まれた松子。
初栄の娘・百々の依頼でその葬儀を執り行うことに。
そこから百々は松子の会社に勤めることとなった。
富永は初めて出来た後輩である百々をまるで娘のように可愛がる。
百々にとっても父親代わりのようだ。
一方で、連絡の取れない恭三の安否を気にかける松子。
そんな松子に「吉川フーズ」の専務・山野が恭三を差出人とする絵葉書を届けにやって来る。
なんでも、恭三は四国に八十八か所巡りの旅に出かけているらしいが……。
矢先、恭三が四国で心不全で死亡したとの記事が。
「吉川フーズ」の社長で恭三の養子である秀輔の指示で大々的に葬儀が行われることに。
生前の恭三の意志が叶わなかったことを苦く思いながらも参列する松子たち。
これに同道していた百々は何故か途中で逃げ出してしまう。
一方、松子は柩に入った恭三の首に索状痕を見つけるのであった。
百々が逃げたことに違和感を覚えた松子。
調べた結果、百々が恭三の娘と判明する。
恭三と初栄は過去に交際していたのだ。
恭三が初栄を捨てたらしい。
ところが、最近になって恭三は初栄と復縁するべく彼女の近所に引越ししたようである。
だが、百々は恭三ではなく初栄を悪しざまに罵る。
百々の知る初栄はあまりにルーズに生きていたようだ。
数日後、山野が何者かに撲殺されてしまう。
しかも、百々がストーカーらしき男に付きまとわれていることが分かる。
そんな中、松子は山野が持って来た絵葉書の筆跡が恭三のそれと異なっていることに気付く。
まさか、この絵葉書は恭三が出した物ではなく偽物なのではないか―――。
松子が調べたところ、殺害された山野が出張で愛媛に出向いていたことが判明。
山野ならば偽ハガキを用意することも容易かったに違いない。
では、そこまでしなければならなかったのは何故か?
そもそも、恭三はその時点で既に死んでいたのではないか……。
松子は恭三の葬儀を担当した会社に出向き、恭三の葬儀に用いた明細と請求に目を通す。
すると「棺運搬代(愛媛から東京まで)」との文字が!!
これを目にした松子はすべてを察する。
一方、富永は百々に付きまとうストーカーらしき男を捕まえることに成功。
男から黒幕の正体を聞き出すことに。
こうして、「吉川フーズ」に乗り込んだ松子と富永。
向かうは秀輔のもとだ。
松子は恭三が四国に行く前に既に死亡していたと指摘。
その証拠として「棺運搬代」を持ち出す。
もし、恭三が本当に愛媛から東京まで運ばれたのならば「棺」の字ではなく「柩」の字を当てていなければならない。
何故なら、遺体が有る物を「柩」、遺体が無い物を「棺」として区分しているからである。
つまり、恭三の遺体は愛媛から運ばれてなどいなかったのである。
秀輔は棺を運ぶことに気を取られた為に、表記にまで気が回らなかったのだ。
さらに、捕まったストーカー男が秀輔に雇われたことを認めていた。
秀輔は百々が恭三の娘であると知り、その動向を監視させていたのである。
これらの事実を突き付けられた秀輔はすべてを告白することに。
人生の最期を迎えるにあたり、初栄と復縁を希望した恭三。
其処で初栄宅の近くに引越しした。
それとなく初栄との交際を復活させたのだが……。
今の初栄は恭三の知る過去の初栄とは異なっていた。
「あんたの持っている物をすべてぶち壊してやる」
泣きながら叫ぶ初栄。
それを聞いた恭三は―――。
数時間後、恭三に呼び出された秀輔は恭三が初栄を殺害したことを知った。
その場はなんとか収めたつもりだったのだが……恭三は首吊り自殺してしまう。
こんな事実が明らかになれば、会社は終わりだ!!
秀輔は山野に協力を求め、この難局を乗り切ることにした。
社が保有する保冷庫に恭三の遺体を隠すと、恭三が生きていると見せかけるべく、山野を利用して松子宛ての絵葉書を用意したのだ。
その後、愛媛から恭三の遺体を運んだと偽装。
さらに、その自殺の痕跡である索状痕をファンデーションで覆い隠した。
これで何とか乗り切ったと思ったのだが……。
山野が野心を抱き、新規起業する新会社の社長に指名するよう脅迫して来た。
其処で秀輔が山野を殺害したのだ。
罪を認め逮捕された秀輔は百々を呼び出すと恭三の遺志を伝える。
恭三は初栄が憎くて殺害したのではなかった。
恭三に捨てられたショックから身を持ち崩しこれに苦しむ初栄を救うべく、彼女の希望に沿い殺害したのである。
これを知らされた百々は、恭三が望んだ形での葬儀を執り行うのであった。
もちろん、松子たちが協力したことは言うまでもない。
その数日後、百々は修行の旅に出た。
百々を失った富永は傷心の日々を送るのであった―――エンド。
<感想>
「葬儀屋・松子の事件簿」シリーズ第3弾。
原作はなし、オリジナルです。
前作は2012年1月23日に放送されており、実に7ヶ月ぶりの新作となりました。
過去記事ありますね、前作に興味のある方はどうぞ!!
では、ドラマ版の感想を!!
「あんたの持っている物をすべてぶち壊してやる」
そう述べた初栄、その望みは叶いましたね。
恭三を道連れに「吉川フーズ」の屋台骨を揺るがし、秀輔と山野をも破滅させました。
初栄の望みに応えた恭三、これもまた愛の形なのでしょうか……切ない。
それにしても、今回は身勝手な犯人ではありませんでしたね。
むしろ、被害者側の方が身勝手な印象。
そんな中、百々を娘のように可愛がった富永。
ですが、百々は父親代わりではなく、本物の父親を恭三に見出してしまいました。
結果、娘は父のもとから旅立ってしまうことに。
富永が肩を落とすのも無理はないなぁ。
このシリーズ、ラストで何処か哀切を漂わせるのですが、今回もそうでしたね。
それと、「棺」と「柩」の字の違いから真実に辿り着く流れは秀逸でした。
キャストの方も好演されており、見た価値はありました。
シリーズ次回にも期待!!
◆関連過去記事
・水曜ミステリー9「葬儀屋・松子の事件簿〜死化粧に謎の赤い肌下町人情葬儀屋が見た遺産相続と殺人連鎖の真実!人生のエピローグに安らぎの花束を(死者に悪人はなし!?真犯人の証拠はお棺に?跡目相続巡る黒い疑惑見破った死化粧師)」(5月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「葬儀屋・松子の事件簿2 遺灰は語る…町会長謎の死に2億円保険金疑惑の妻!孤独死老父遺された預金が明かす息子への切ない償い(孤独死老人の不審な死と老舗和菓子屋主人の自殺つなぐ疑惑の糸棺の金具が語る真実)」(1月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
桶谷松子:名取裕子
富永達彦:田中健
升田善蔵:でんでん
吉河恭三:竜雷太
吉河秀輔:高橋和也
和田百々:福田沙紀
河本太郎:阿南健治
和田初栄:毬谷友子
山野大樹:春田純一
牛久保匠:大高洋夫
小嶋歌子:竹内都子
南信太郎:吉見一豊
村田康成:石井智也
西谷拓馬:西尾浩行 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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会長と社長の自殺や殺人スキャンダルで
吉川フーズは倒産するかもしれませんが、
その負債を相殺してもあの規模なら億単位の遺産が残りそうですし。
むしろ遺産が入ると解ったら葬儀社を辞めた分、
同じく親と弟を殺され会社も地位も失った
達彦の悲惨さが浮き彫りになったと思います。
達彦には手に入る財産すらないのですから。
どんだけ酷い振り方をしたんだ恭三
と思わずつっこんでしまいました。
その上復縁したいとか初栄じゃなくてもぶちギレそうです。
それに松子に合鍵ですか、下心はないとはいえ初栄が知ったら松子に攻撃が行きそうですよね。
恭三も初栄も良く言えば自分に正直悪く言えば自分本位の生き方なんですよね。そのツケが吉川と百々に降りかかったと
それでも初栄は百々に恭三への恨み言とか言わなかった分まだ愛はあったのかなと思いました。
ドラマのキャストのせいで野々村係長代理の娘が美鈴ちゃんかぁと思ってたのは秘密です(笑)
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:翔さん
確かに百々は今回の事件で両親を失ったものの、得る物も大きかったですね。
遺産もそうだし、父が母を愛していたことが分かったのも大きい。
そして、達彦との比較という視点も納得です。
達彦、切ないなぁ……。
Re:花こさん
なるほど、恭三と初栄の負の遺産が秀輔と百々に負担を強いたと言えそうですね。
その点、ラストにて父が母を愛していたことが分かった百々は良かった。
こうなると、秀輔にも救いがあっても良かったな……。
そして、「SPEC」繋がりに初めて気付きました。
そうだ!!
確かに野々村係長と美鈴ちゃんだ。
そう思って視ると不可思議な気持ちになりますね。
こうなると、雅ちゃんも登場して欲しかったなぁ……。
すみません花です。どうやら名前いれた後にどこか変なところをタッチしてしまったみたいです。
すみません(土下座)
もうすぐSPECの映画も公開されますし良かったのかもしれませんね
そういえば津田(仮)のでんでんさんもいましたね(笑)
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
こちらこそ申し訳ないです。
薄々ですが、花さんのような気がするとは思っていたのです。
重ねてコメント貰ってお手数をおかけしましたが、確認出来て良かったです。
そして確かに!!
今、振り返ると3人も「SPEC」キャストが登場していたとは……。
早くこの視点に気付いていればもっと楽しめたか。
「SPEC」楽しみですよね!!
「SPEC零」と「SPEC天」がそれぞれ、10月23日と30日に地上波で放送されるらしいので、超楽しみにしてます(^O^)/!!
劇場版も連続公開だし、2013年の下半期は「SPEC」から目が離せない!!