2013年09月13日

「実は私は」第31話「白神家に泊ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第31話「白神家に泊ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第31話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。
朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の妹:朝陽の家族。22話、28話に登場。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。当ブログでは「オトン」と呼ばれる。
葉子の母:人間。和服の美女。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

キャンプの目的地は、葉子の実家・白神家前の河川敷!?
さらに、葉子父(以下、葉子に倣いオトンと表記)に葉子母が登場。
さらにさらに、朝陽の白神家へのお泊りサプライズで幕を閉じた前回(30話)。

「実は私は」第30話「親父さんを知ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

続く今回は……。

というワケで、白神家へ強制お泊りとなった朝陽。
本当なら、今頃は白神と……と妄想する朝陽。
だが、現実は非情である。

何処をどう間違えたのか?
朝陽の隣には巨人の背中が見え隠れ……いや、見えっ放しであった。
つまり、朝陽はオトンと同じ部屋で就寝を余儀なくされたのだ。
其処には、夢見ていた葉子とのラブラブキャンプなど跡形もない。

枕を涙で濡らす朝陽。
しかも、理想に裏切られただけではない。
オトンは朝陽に敵意を剥き出しなのだ。
今も、朝陽が葉子の恋人ではないかと執拗に絡んで来ていた。

どうやら、強かに酔っているようだ。
娘の彼氏(オトンはそう思っている)の登場に動揺した為だろうか。
油断すれば、葉子の退学はおろか自身の命すら危ういのだ。

管を巻くオトンから逃げるべく、トイレに向かう朝陽。
白神家はすべてがオトンと人間大の併用であった。
すなわち、廊下は遠く長く。1部屋1部屋が大きい。
トイレにはオトン用と葉子母や来客用のトイレがそれぞれ並んでいる。

まるで巨人の世界に迷い込んだようで、渚の気持ちを体感しつつ用を足す朝陽。
戻ればオトンの口撃が待っている……考えれば考えるほど憂鬱が朝陽を襲う。

そんな朝陽の前に夢か現か、望む人物が現れる。
なんと、葉子本人であった。
この展開になった責任を感じ様子を見に来たらしい。
しかも、手には葉子母直伝のオトン対策用グッズが。
ニンニクに十字架、銀食器に杭まで揃っている。
中でも酒瓶が目立つ。

葉子によれば、オトンは酒を飲むと早く眠り、一晩経過すると前日のことを忘れるらしい。
まさに朝陽が欲したアイテムだ……が、既にオトンは飲酒済みなのであった。
しかも、ヤケ酒気味で絡み酒となっている。
性質が悪い。

だが、そんな葉子の気遣いが嬉しくなった朝陽はオトンと戦い抜くことを決意する。
葉子を退学させるワケにはいかないのだ。

朝陽の姿に胸を高鳴らせる葉子。
まさに、朝陽が先程思い描いた展開が其処にはあった。

……が、2人はオトンへの警戒を怠っていた。

「霧?」
「何これ、酒くさっ」

朝陽と葉子が気付いたときにはオトンが其処に立っていた。
吸血鬼は霧状になれるのだ。
どうやら、朝陽を監視していたらしい。

オトンは2人の密会現場を押さえたと激怒。
朝陽を捕まえようとする。

捕まってしまえば万事休す。
葉子に「いい場所がある」と連れられて朝陽は駆け出す。
これを追うオトン。

朝陽は早速、差し入れアイテムを使用することに。
まずはニンニクだ。
葉子が目の前にすれば目がシバシバする玉ねぎ程度の効果だが……。

「ぎゃ〜〜〜っ!!」
純粋種のオトンには効果絶大、痛みに涙を流している。

続いて、十字架を取り出す朝陽。
だが、葉子がこれを止める。
えっ、なんで―――朝陽が思う間もなく、後方で咆哮が上がる。

「こぉらぁ、ガキぃぃぃぃぃぃぃ。なめとんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
葉子がイラッとする十字架は、オトンにとっては苛立たせるだけの物のようだ。
挑発にしか使えないらしい。

「え〜〜〜っ」と戸惑いつつも、逃げ続ける朝陽。
だが、十字架の効果によりオトンの追跡速度はアップしている。
このままでは追い付かれる!!

焦る朝陽は葉子にアイテムの効果を問う。
「銀の食器(ナイフ)」は「手を切ると痛い」。
「杭」に至っては「刺されば死ぬよ」と殺人犯呼ばわりだ。

そうこうしている内に、オトンに追いつかれた。
もう駄目だ―――覚悟を決めた朝陽に「横に思いっきり跳んで」との葉子の指示が飛ぶ。

これに従った朝陽は何処かの小部屋へ。
中にはベッドと本棚、りんごと書かれた段ボールが並ぶ。
どうやら、誰かの部屋のようだ。
葉子もこの部屋に逃げ込む。

だが、オトンは部屋の前で立ち往生だ。
「おらぁ〜〜〜出て来んかい!!」
戸口で叫び続けている。
サイズ的な問題だけではないようだ。

まさか……朝陽の推測を葉子が認める。
此処は葉子の部屋だったのだ。
吸血鬼は部屋の主に招待されない限り、部屋の中には入れない。
当然、オトンには絶大な効果を持つ。
つまり、オトンは葉子の許可が無いと入室出来ないのだ。

これで大丈夫。一晩も過ごせば諦めるだろうから……と葉子。
そうかぁ〜〜〜と胸を撫で下ろす朝陽。

いや、待てよ。
此処で朝陽と葉子が硬直した。

そう、男女が同じ部屋で一晩を過ごすことになったのだ。
奇しくも朝陽が望んだ通りの展開である。
こうしてドッキドッキの一夜が始まろうとしていた―――32話に続く。

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、3巻も2013年10月発売予定とか。ちなみに表紙は獅穂ですよ!!
そして、本作かなり面白い!!

その31話。
某番組「田舎に泊ろう!」的なタイトル「白神家に泊ろう!」。
その名の通り、前回に続き今回も白神家メイン回。

内容的には「実は私は」版「三枚のお札」。

「三枚のお札」と言えば、こんな物語。
山中で泊めて貰った山姥に食べられそうになり、命からがら逃げ出した小坊主。
和尚さんの居る寺までは距離がある。
其処で和尚さんから貰っていた「三枚のお札」を1枚ずつ使用して時間を稼ぎ、寺へ逃げ込む。
追って来る山姥だが、和尚さんの知恵により豆より小さくなってしまったところを食べられてしまうとのストーリー。

今回、山姥がオトン、小坊主が朝陽、和尚さんが葉子のポジション。
泊めて貰ったオトンに狙われ、朝陽は逃亡。
葉子から貰ったアイテム(ニンニク、十字架、銀食器、杭)などを用い(実際は用いない物もあったが)、逃亡時間を稼ぐ。
最終的に葉子の知恵で小部屋に逃げ込み、オトンは自身の特性により手詰まりに。

これが、なかなか面白かった。
さらに、これまで読者に伝えられて来た葉子の弱点がオトン(葉子父)と比較されていたのは良かった。

本作を追い続けていれば、あそこで必ず笑う筈。
なお、遂に銀食器と杭の2大アイテムが登場。
とはいえ、いずれも効果は……いや、絶大だからこそ使えないのか。

そして、よくよく考えればあのオトンが巨人な時点で葉子が常人な筈もなく。
オトンが登場したことが既に葉子の正体バレに繋がっているのだが……それに気付かないオトン。
いや、気付いていて試しているのか!?

一方、葉子母は今回のこの展開を見越して葉子にアイテムを届けさせたような印象。
葉子母は策士説、当たりか。

そして、自身の理想の状態となった朝陽。
葉子との関係を友達以上恋人未満から進めることが出来るのか!?
次回にも期待!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス3巻が発売決定とのこと。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚に続き、獅穂のようです。
予想通り。
こうなると、4巻は茜の順かな?
みかんは後半の切り札か。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第30話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)





こちらはキンドル版「実は私は(1)」です!!
実は私は(1)





「実は私は(2) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(2) (少年チャンピオン・コミックス)





「実は私は(3)」です!!
実は私は(3)





「さくらDISCORD 1 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
さくらDISCORD 1 (少年チャンピオン・コミックス)





「さくらDISCORD 2 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
さくらDISCORD 2 (少年チャンピオン・コミックス)





「さくらDISCORD 3 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
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「さくらDISCORD 4 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
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「さくらDISCORD 5 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
さくらDISCORD 5 (少年チャンピオン・コミックス)



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