2013年10月15日

『<よろず相談室6> 運命の人に会わせてください!』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』連載)

『<よろず相談室6> 運命の人に会わせてください!』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』連載)ネタバレ書評(レビュー)です!!

今回から結末の展開について推理を開始!!
ネタバレあります!!注意!!


<あらすじ>

立退料百万円払えだなんて。どうかお知恵を分けて下さい―――
日常の裂け目から悪意が滲み出す!
(講談社公式HPより)


<感想>

遂に材料は出揃ったか。
其処で、今回より管理人は今後の展開について推理を開始します!!
此処から管理人の推理が始まります。
誤っている場合にも多分にネタバレを含むこととなると思われるので注意!!


まず、第6話の主要人物は「美穂」と「樋口義一」。

人(相談者)を笑う美穂は、その相談者と同様のタイプの人間によって命を落としました。
恐ろしい……。
そもそも、その美穂自身がネギをメグミにプレゼントしこれを死に至らしめている(2話参照)。
怖い……。
ただ、此処は本筋ではないと思われる。

本筋は主に5話で描かれた武蔵野寛治と1億円にあるのではないだろうか。

まず、1億円の横領事件に何らかの形で関わっていると思われた樋口義一ですが、過去の「よろず相談室」にも興味を持っていますね。
特に、5話で描かれた川口寿々子が注目した相談内容とも関わる様子。
そう言えば、川口寿々子が失踪したのもこれが原因だと思われますが……。
樋口の年齢が24歳ということからして川口寿々子の息子という可能性もあるのか?

注目は「同じく川口寿々子失踪を追う武蔵野寛治とどう関わって来るのか?」。

まず考えられる仮説は「この失踪事件の犯人こそ武蔵野寛治で樋口はその罪を告発しようとしている」のではないか。

なにしろ、武蔵野がこの時期に川口寿々子の事件をテーマに取り上げるのも不自然。
武蔵野は、自身の作風に行き詰まりを感じ、これを打開したいと考えていた。
其処で以前に寿々子から「リアリティーが必要」と助言されたことを思い出し、自身の犯行を作品にしようとしているのではないだろうか。

5話に武蔵野の思考を表現する描写も多く見受けられた。

例えば、武蔵野は母から虐待を受けており屈折した感情を抱いている。
裁判を傍聴し、殺人は些細な理由で起こることを知った。
過去の武蔵野は寿々子に苦手意識を抱いていた。
さらに、「よろず相談室」のゴーストをしていた立場上、1億円の件についても知っている。

もし、樋口が川口寿々子の息子ならば、寿々子が自身の母親と重なった武蔵野が苦手意識と組み合わさって犯行に繋がった可能性は高い。
これに1億円の在処が加われば尚更だ。

ただ、別の仮説も成立する。

5話で「よろず相談室」にて1億円を拾ったと相談した人物の名前は和子。
実は同様の人物が1話に登場している。
剛一家が乗っ取った原田家、その名義人が原田和子だったのだ。
つまり、1億円を拾得したのは原田和子となる。

此処で思い出して欲しいのは、1話の描写によると原田家は剛一家に惨殺されたらしいこと。
もし、それを知らずに投稿内容を確認すべく新聞記者の川口寿々子が取材に訪れたら……。
殺人の件を嗅ぎ付けられたと誤解され、剛一家の手で口封じに殺害された可能性も高い。

また、別の仮説も成り立つ。

本当に原田和子が殺害されているのかも未確認。
1話ラストでそれとなく匂わせてはいるが、それが事実かどうかは不明なのだ。
倉庫の中で剛が見た死体は川口寿々子1人の可能性もある。
だとすれば、原田家は当初の剛の記憶通り姿を消しただけではないのか。

例えば、和子は1億円を手に入れた。
家は剛一家に乗っ取られつつある。
其処で、1億円を持って家を出ることにした。
だが、取材に現れた川口寿々子とトラブルになり、これを殺害。
これを倉庫に隠し、そのまま逃走したとの筋書きだ。

剛一家としては立場上、原田家を告発出来ず倉庫番に甘んじたのではないか。
もし、現在までに和子らしい人物が登場しているとすれば、3話にて美里を殺害した実家の隣人くらいかなぁ。
罪の意識に恐れ戦いている為に、あれほど神経質だったのではないか。
そして、この説だとすればケンも生存していることになるが……。
ケンを名乗る人物は登場していただろうか……4話辺りが怪しいが。

うむむ……結局、1つには絞り切れそうにないなぁ。
とりあえず、現状ではこの3つの仮説を中心に次回以降の推移を窺うことにします。

<ネタバレあらすじ>

6話『運命の人に会わせてください!』登場人物一覧:

美穂:文藝編集者。樋口義一をヒットさせようと奮闘している。ネギが好き。2話に登場。
樋口義一:美穂が担当している作家。イケメン。2話に登場。
武蔵野寛治:人気作家。2話、5話に登場。
メグミ:美穂の担当をしていたエステティシャン。2話に登場。3話で語られていた事情で落命。
ミナコ:近頃独立し店を持ったエステティシャン。
キタガミ:ミナコの店で受付をしているパート従業員。

傷だらけのローラ:熱狂的な西城秀樹のファンだが、言動がかなり行き過ぎている。「よろず相談室」に相談していた。


「よろず相談室に投稿された記事:
私は西城秀樹さんの大ファンです。
といっても、一方的な物ではありません。
実はお互いに意志が通じ合っており、あちらもこちらに呼びかけをしてくれています。
それが傷だらけのローラ。
あの曲のローラとは実は私です。
あれだけ熱烈に呼びかけてくれているのに、私は彼に会えません。
どうか、彼に会う方法を伝授して下さらないでしょうか?   傷だらけのローラ」

この記事を目にするなり、美穂はぶほっと吹き出した。
どう考えてもアレな内容である。
これは本当に話通りだったわ……美穂は樋口の言葉を思い出していた。

此処は図書館。
文藝担当の編集者である美穂は、自身が担当する樋口に依頼され資料を求めるべく足を運んでいた。
そして、樋口が求めた資料こそ「よろず相談室」だったのである。
樋口によれば、その中に次の作品に用いる予定の1億円に関する相談が出ていたことがあったらしいのだ。
その資料はもちろん、他の相談それ自体もかなり突拍子のない興味深い内容なので是非コピーが欲しいとの要望であった。

本来ならば美穂がそれに応じることは無い。
あれこれ事情を述べて断っていた筈だ。
だが、相手は樋口であった―――正直、嫌われたくない。
何故なら、樋口は24歳と若く、またイケメンであった。
個人的にも好みだし、あの容姿ならば露出の機会を増やすだけで文壇の貴公子として好評を得られるだろう。
美穂としては、そんな樋口だからこそ個人的にも肩入れしていたのだ。

とはいえ、資料探しも疲れた。
美穂は帰りにエステに寄ることにした。
お試しチケットを手に入れたのだ。
使わない手は無い。
それに何と言っても久しぶりである、期待でワクワクしていた……。

美穂が訪れたエステは割と閑散としていた。
だが、担当者・ミナコの技術は美穂には満足行く物だった。
ミナコによれば、最近になって独立開業した店のようだ。
これなら、料金次第では次回からも足を運んでもいいかもしれない……美穂は思う。

なにしろ、以前に通い詰めてた店では担当のメグミが急死してしまった。
ネギアレルギーが原因らしいのだが……。
それ以来、美穂の足は自然とエステから遠退いていたのだ。

贔屓にするべきか考えながら、美穂はミナコに話題を振る。
内容は武蔵野寛治などだ。
もし、興味を持つことがあればサインなどで料金を割引にして貰おうとの目的である。

だが、ミナコは特に歓心するでも無い。
まさか、ベストセラー作家の武蔵野を知らないとは……失望しつつ、誰か好きな作家は居るのか訊いてみた。
すると……思わぬ返答が返って来た。

なんと、樋口義一のファンらしい。
著者近影で惚れ込んだのだそうだ。
思わぬ名前が出たことで意気上がる美穂。
美穂は先の作戦を武蔵野から樋口に変更しつつ持ちかけてみた。

ミナコは先程とは打って変わり、一も二も無くサインを求めて来た。
しかも「やった!!」と心の中で快哉を叫ぶ美穂に特別サービスを勧めて来たのだ。

それはミナコ特製のパラフィンパックであった。
サービスと聞いた美穂はこれに飛びつく。
全身にパックを施された美穂はやがて転寝を……。

数分後、美穂は熱さのあまり目を覚ました。
早くこれを除けて頂戴、でないと死んでしまう!!
叫ぶ美穂だが誰も現れない。
自分で除けようにも身体を動かすことも出来ないようだ。
そのうち、朦朧とする意識の中で、美穂はメグミの幻影を見た……。

その頃、ミナコは上機嫌で行きつけのラーメン屋に居た。
やっぱり、運命ってあるのね〜〜〜鼻歌まで繰り出すほどに気持ちがイイ。
あれだけ会いたかった樋口義一先生。
そんな樋口先生に関連する人物がお客としてやって来た。
最初はサインだけど、これを足掛かりに本人に会わせて貰わなきゃ。
なにしろ、運命なんだもの。

それに、あのお客さんならあわよくば店の宣伝もして貰えるかもしれないし。
実はミナコの店は客入りが良くなかった。
独立早々、閉店まで視野に入れていたのだ。
だが、これで打開出来るに違いない。

などと怖いくらいに楽観的に考えつつ、ミナコは店主にも喜びを打ち明ける。
「この間、おじさんに貰ったやつをね〜〜〜お客さんに使ったら喜ばれちゃって〜〜〜」
美穂に施したパラフィンパック、その正体はラーメン屋で捨てるラードと廃油であった。
「よ、よかったねぇ……」
これを聞いた店主の表情が凍りついたのだが、ミナコは気にも留めない。

そして、ラーメンに口をつけようとして……気付いた。
受付に居る筈のパート従業員・キタガミさんが食事に現れたのだ。

「あれ、キタガミさん。お客さんの対応は……?」
問うミナコにキタガミは面倒臭そうに答えた。
「えっ、お客さん居たんですか?知りませんよ。私、就業時間終わってますし」

これを聞いたミナコだが「まっ、いいか……どうせ、まだ終わらないだろうし」と流すことにした。
そう急ぐことはないのだ……。

ミナコは知らない。
このとき、お客である美穂がどのような状況下にあったかを。
そもそも、不適切な商品を提供したことにも問題があるのだが……。

「よろず相談室からの回答:
正直、あなたの相談は怖いです。
まず、それを自覚しましょう。
その上で、諦めるなり病院へ行くなり考えましょう。
それと、あなたは浮かれるあまり大事なことを見落としていませんか。
まずは、その大事なことに気を付けましょう。 回答者より」―――エンド。

◆関連過去記事
『<よろず相談室1>居候に悩んでいます』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『<よろず相談室2>しつこいお客に悩んでいます』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『<よろず相談室3>隣人に困っています』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『<よろず相談室4> これってセクハラですか?』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『<よろず相談室5> 私は、どうしたらいいのでしょうか?』(真梨幸子著、講談社刊『小説現代』連載)ネタバレ書評(レビュー)

第6話『運命の人に会わせてください!』が掲載された「小説現代 2013年 10月号 [雑誌]」です!!
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第5話『私は、どうしたらいいのでしょうか?』が掲載された「小説現代 2013年 09月号 [雑誌]」です!!
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