2013年09月27日

「実は私は」第33話「いってきます!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第33話「いってきます!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第33話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の妹:朝陽の家族。22話、28話に登場。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。当ブログでは「オトン」と呼ばれる。
葉子の母:人間。和服の美女。当ブログでは「オカン」と呼ばれる。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

騒々しい一夜が明け、楽しかった(?)キャンプも終わりを告げようとしていた。

昨晩の状況を理解しているのかいないのか、葉子がニコニコとテントへと向かう。
これに同行する朝陽。

すると、奇妙な装束の少女と擦れ違う。
ゲームに登場する騎士服、腰には十字架をアレンジした剣が下がっている。
ちょっとしたコスプレチックな少女は、何故か葉子と朝陽に興味を抱く。

だが、朝陽と葉子は彼女を目にも留めない……。

川原では、テントを片づけ中の明里と渚が居た。
獅穂は実家に一時帰宅。
茜は何処かへ消えたらしい。

「楽しんだからには片づけも大事」と明里と渚を手伝う朝陽たち。
ふと、話題は渚の帰省話に。
渚の故郷と言えば……異星である。

「UFOとかで帰るの?」
興味津々といった様子の朝陽の問い。
だが、渚は機密を盾に明かそうとしない。
それだけ重要な物のようだ。

と、其処へ何やら円盤らしき浮遊物体(「機動戦士ガンダム」に登場した「アッザム」っぽい)が。
瞬間、渚の表情が変わる。

そんなこととは露知らず、円盤らしき浮遊物体から涼のものと思われる呑気な声が。
「帰省って今日だっけ。あっ、UFO何処に止めよう」

渚の表情が凍り付く中で、さらにトドメが……。
「あれ?やべっ、姿見えてる?」
同時に、浮遊物体が消えた。
どうやら、インビジブル化する装置のスイッチを入れ忘れていたようだ。

「見えなかった、見えなかったよ」
「うん、知らない」
などと周囲が気遣う中で、帰省から戻って来た獅穂が中空を指しながら興奮気味に叫ぶ。

「見た?見た?あれ、UFO!!」
獅穂は未だに渚の正体を知らないのだ。

渚はこめかみに青筋を立てながら散歩に出かけることに。
もちろん、怒気を発する渚の目的は涼へのお仕置きだ。
「お手柔らかに……」と告げる朝陽のとりなしも無意味であろう。
それから、数十分ほど渚は戻って来なかった……涼の悲鳴は聞こえなかった。

一方、残された朝陽たちは片付けの最終段階に。
そんな中、葉子の両親話から獅穂の両親話へと話題が移る。

なんでも、獅穂の父が狼男で母はカリスマ痴女なのだそうだ。
「カリスマ痴女!?」
あっけらかんと答えた獅穂の言葉に過剰反応する朝陽。
果たして如何なる存在なのだろうか……まったくもって想像出来ない。
だが、葉子と獅穂にとっては当然のことのようでまったく話が進まない。
それどころか、朝陽の両親について尋ねられてしまう。

「ごめん、普通の両親です」
涙ながらに告げる朝陽。
葉子と獅穂の両親と比較するのが酷なのだが、それは言っても仕方がないことだ。

この話題を横で聞いていた明里。
「実家のご両親に心配をかけない為にもきちんと帰省したらどうだ」と諭す。
「年頃なので」と返す獅穂に、「ええ、まあ」と曖昧に頷く葉子。

と、何時の間にやら朝陽の隣には茜が立っていた。
そっと茜から差し出された写真を手に取る朝陽。

其処には、十代を謳歌していたやんちゃ時代の明里が映っていた。
単車の前でヤンキー座りしつつ、カメラに向けメンチを切る明里。
今からは想像できない姿だ。
「こんなことをしていた奴が、ご両親に心配かけないとはなぁ」
小刻みに笑う茜。
朝陽が絶句していると、この様子に明里が気付いた。

まぁ、この後の惨劇は想像に難くないだろう。
そうこうしているうちに、出発の時刻が近付いて来た。

見送りに現れる葉子の両親―――オトンとオカン。
オカンはオトンに葉子に言葉をかけるよう促すが、オトンは強がって拒否している。

一方、明里は往路に用いた愛車が失われたことを気にしていた。
そんな明里に茜がある方向を指し示す。
そちらには、失われた筈の明里の愛車があった!!
大喜びする明里に「ふん、これくらいなんでもない」と豪語する茜。
そんな茜に「中古車代金と展示場巡りの手間賃は頂きますよ」と笑顔で囁くオカン。
どうやら、茜は片付け中にオカンと共に中古車展示場で同型車を用意したようだ。
きっと、真相は明里に伝えない方がよいだろう。

こうして帰路の手段も確保出来た。
明里の運転で意気揚々と朝陽たちは去って行く。

これに背中を向けているオトン。
心なしか一回り小さく見える。
オカンは一計を案じ、そんなオトンにあることを伝える。

車に揺られ行く朝陽たち。
その背後から怒声と共に足音が近付く。

「ごらぁぁぁぁぁぁぁ、きさま葉子の部屋に泊ったとはホンマかぁぁぁぁぁ」
怒声の正体はオトンだ。
どうやら、昨晩の出来事をオカンから聞かされたらしい。
大きく左手を振り上げ、激走している。

腹に響くほどの剣幕に恐れを為す朝陽だが……その様子を見ていてふと気付く。
「あれ、白神に手を振ってるんじゃないかな」
ぼそりと呟く朝陽。

良く見れば、オトンは上げた左手を開き左右に振っている。
そう、オトンなりの見送りだったのだ。

獅穂や渚に促され、葉子は恥ずかしがりながら一歩踏み出すことにした。

オトンに向け、応えるように手を振る葉子。
すると、あれほど猛追していたオトンのスピードががっくりと落ちた。
そして、その姿がみるみる小さくなって行く。
やがて、オトンの姿も完全に見えなくなった。

その様子を見詰めながら、朝陽は思う。
いつか自分もあんな風に娘に手を振る日が来るのだろうか……と。

一方、助手席の茜が奇妙な顔をしていた。
何やら得体の知れない気配を捉えたのだ。
だが、妖怪でも宇宙人でもないらしい。
これまでに感じたことのない気配だそうだが……。

その頃、朝陽たちが乗った車を見下ろす鉄塔の上にあの少女が立っていた。
少女は呟く。
「見つけたぞ、時空の歪み。そして、我が眷属よ」と。
その背後に龍を浮かべる彼女の名は「黄龍院 凛」。
嵐の予感である―――34話に続く。

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、3巻も2013年10月発売予定とか。ちなみに表紙は獅穂ですよ!!
そして、本作かなり面白い!!

その33話。
テーマは「親子関係」。
今回は巻頭カラーだけあって、注目ポイントが多いなぁ……。

謎の少女・黄龍院凛。
獅穂の母親であるカリスマ痴女。
明里のやんちゃな過去。
そして、UFOことアッザム(笑)!!

これで明里にも「実は……」な過去が判明。
そして、シルエットで表示された獅穂の母。
いずれ登場するのか、それともネタ的な扱いに終わるのか。
そして、アッザムは……猫的に改造されていましたね……。
アッザムに興味をお持ちの方は、本記事下部にアマゾンさんへのリンクを用意したのでチェック!!

とはいえ、33話最大のポイントは新キャラクターの登場。
その名も黄龍院凛。

彼女はどうやら朝陽と葉子に用がある様子。
その意味深長な台詞が真実だとするならば次の2つが導き出せます。

・時空の歪み=凛が時間旅行者、タイムトラベラーを示すモノか。
しかも「見つけた」としているところから、未来から過去へ訪れているものと思われる。
つまり、凛は未来人。

・我が眷属よ=親族、同族、従者、配下。
つまり、朝陽か葉子の親戚。あるいは、それを従える立場の人間。

この2点から考えれば、未来からやって来た朝陽か葉子の関係者と思われます。
もしも、葉子が狙いだとすれば吸血鬼を従者に出来る立場の人物の可能性もある。

ただ、個人的には朝陽が狙いの予感。
凛は帯剣している上に、相手を「時空の歪み」と断じているので、葉子、渚、獅穂、茜、みかん、フクちゃんらの中心にいる朝陽が特異点となっており、これを修正すべく過去を訪れているのでは……。
つまり、朝陽の存在が未来の凛に影響を与えており、未来から朝陽の排除に訪れたのではないか。
ただ、これだと眷属の説明がつかない。

そこで、さらに仮説を進めてみる。
そもそも朝陽あるいは葉子いずれか一方のみに関わりがあるとも限らない。
その両方と関わりがある可能性も残っている。

例えば、朝陽と葉子が結婚したことで吸血鬼一族に何らかの不具合が生じた。
其処で、凛が過去へと朝陽を修正すべくやって来た。
凛の出自は吸血鬼一族に連なるモノなので「眷属」は葉子のこと。
糺すべき「時空の歪」は朝陽のこととも解釈可能。

あるいは、これと逆に朝陽と葉子が結婚したことで朝陽の一族に何らかの不具合が生じた。
其処で、凛が過去へと葉子を修正すべくやって来た。
凛の出自は朝陽一族に連なるモノなので「眷属」は朝陽のこと。
糺すべき「時空の歪」は葉子のこととも解釈可能なのだ。

今回、親子関係がテーマでした。
此の中で、朝陽1人が普通の家庭であることをアピール。
また、オトンの行動を見て自分が父親になった場合について想像している。
そして、凛が未来人であると仮定すれば……朝陽自身は知らないが彼の出自にも秘密があるのかも。
朝陽を眷属として捉えれば、この仮説が成り立ちうるが……。

もしかして、凛は朝陽と誰かの間の娘的な存在の可能性もありうる?
いや、それならば「眷属」と表現しないか。

とはいえ、これだけ重要視させておいて「単なる意味深長に見えるだけのコスプレ好きな少女」である可能性も拭えないのが「実は私は」だと思う。
いずれにしろ、新たな「実は……」キャラが加わるようで嬉しい限り。
次回にも期待!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス3巻が発売決定とのこと。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚に続き、獅穂のようです。
予想通り。
こうなると、4巻は茜の順かな?
みかんは後半の切り札か。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第30話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第31話「白神家に泊ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第32話「白神家に泊ろう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

渚が帰省に使用!?「1/550 アッザム」です!!
1/550 アッザム





「実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)





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実は私は(1)





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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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