2013年10月23日

『明智小五郎対金田一耕助ふたたび(後篇)』(芦辺拓著、角川書店刊『小説野性時代』掲載)

『明智小五郎対金田一耕助ふたたび(後篇)』(芦辺拓著、角川書店刊『小説野性時代』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<感想>

「明智小五郎対金田一耕助」シリーズの正統なる続編です。
シリーズはこれまでに短編が2作品発表されていますね。
それぞれ『明智小五郎対金田一耕助』と『金田一耕助対明智小五郎』となっています。
2作品とも過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。

『明智小五郎対金田一耕助』(芦辺拓著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『金田一耕助VS明智小五郎』(芦辺拓著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

うむむ……なかなかに紛らわしいタイトル。
それもその筈、作者である芦辺拓先生も意識してつけているとあとがきに語られているほど。

そんな2作ですが、時系列は『明智小五郎対金田一耕助』→『金田一耕助対明智小五郎』の順。
この『明智小五郎対金田一耕助ふたたび』は『明智小五郎対金田一耕助』の続編であり、既発表2作品の間の出来事となります。
ちなみに『金田一耕助対明智小五郎』はかなり後年の出来事と言えそうですが。

そして『明智小五郎対金田一耕助ふたたび』は前後篇。

『明智小五郎対金田一耕助ふたたび(前篇)』(芦辺拓著、角川書店刊『小説野性時代』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

今回はその後篇です。
早速、読みました。

事件の内容について詳しくはネタバレあらすじをご覧頂きたく思いますが、「華族・柳條家で起こった連続殺人事件の真相」となります。

メインのパスティーシュ元は「金田一シリーズ」よりは「明智シリーズ」側になるのかなぁ。
意外な犯人の正体も「明智シリーズ」ならではの物だった気がします。
その分、金田一は割を喰った印象かな。

そして、前篇を読んで本ブログでいろいろと推理を巡らせましたが、思いっきり外してしまいましたね……無念。
まさか、名前にあんな意味があるなんて……確かに柳條家の登場人物の名前が明らかに凝ってたもんなぁ。
「雪月花」で「花陽、月光、雪夜」と数は合ってたし、星野夏彦、冬彦とか他にもそれっぽい名前が上がっていたことがミスリードになって「そんなものなんだろう」で納得していたのが罠だったか。

さらに、ラッパ銃のくだりも上書きであることの意味合いの方が強かったことに気付くべきだったな。
木を隠すには森の中、銃創を隠すにはより大きな銃創の中―――基本と言えば基本だったのに。
金田一視点で「依頼に来た時の月光とはまるで別人」との描写と上記名前で「宝塚」が念頭にあって「男装」の推理にすぐに飛び付いてしまったけど、あれもミスリードだったんだなぁ。

でもって、ありもしないロジックを組み立ててしまったと。
う〜〜〜ん、上手く騙されてしまった印象です。
これこそミステリの醍醐味とは言え、く、悔しい〜〜〜。

それにしても、月光の当初の予定では「段倉殺害後、明智に調査を依頼。その陰で金田一を殺害。金田一を自身に偽装し連続殺人事件の被害者に成り済ます」筈だったんでしょうね。
これに明智と金田一がそれぞれの立場から気付いたラスト……なかなかでした。

<ネタバレあらすじ>

華族の柳條家には5人の兄妹がいる。
長男・一鳥、長女・花陽、次男・月光、次女・雪夜、三女・星子である。
一鳥は戦地で没し、星子は養女であったが……。

その次男・柳條月光が自宅で何者かに殺害され無惨な姿で発見された。
至近距離からラッパ銃で被弾しており、腹部が喪失していた……。

以前に月光から姉妹を守るよう依頼を受けていた金田一は事件解決に臨む。
一方、死の間際と思われる月光から助けを求められた明智も捜査に乗り出すことに。
こうして、2人の名探偵が出馬。

ところが、此処で意外な事実が判明。
金田一が月光から聞いていた話が一部異なっていたのだ。
柳條家を狙っていたのは星野夏彦、冬彦兄弟ではなく、段倉兄弟だったのである。
まったくの出鱈目であった。
思わぬところで恥をかいた金田一はなおさら後には退けなくなった。

だが、事件は続く。
次いで、花陽までもが自宅の噴水で死体で発見されたのだ。

明智と金田一は互いに競いつつ、推理を進める。

一方、段倉兄弟は自身の罪に慄いていた。
月光と花陽を手にかけたのは彼らだったのだ。

そんな中、新たな犯行が起きようとしていた……。

犯人は哀れな被害者を襲おうとして……現行犯逮捕された。
犯人の正体は―――雪夜、被害者は段倉兄弟であった。

実は、これまでの段倉兄弟の犯行はすべて正当防衛だったのだ。
段倉兄弟は望まぬ主家殺しを強制されていたのだ。

月光に襲われ月光を返り討ちに、花陽に襲われ花陽もまた返り討ちにした段倉兄弟。
月光殺害時に目撃されたカエル男の正体は段倉兄弟を殺害するべく変装した月光自身だったのだ。
月光は返り討ちにされた際に被弾しながらも自宅に戻った。
其処を別の人物に止めを刺されたのだ。
腹部を消し去ったラッパ銃を使用したのは、それ以前に被弾した事実を覆い隠す為であった。

月光に止めを刺した人物こそ黒幕である。
この黒幕を金田一は追い詰める……金田一の目の前に居るのは星子であった。
金田一は星子こそが兄弟を唆し、犯行に走らせたと弾劾する。

だが、金田一は甘かった。
星子は遂に本性を表す。
星子の正体は柳條家の真の長女・風音だったのである。
風音は身体が弱く過去に両親に捨てられたが、星子として戻って来ていたのだ。
風音は捨てられたことを恨みに思い、兄弟を操り敢えて返り討ちに遭わせていたのだ。

そう―――柳條家の兄妹は当初「花鳥風月」をモチーフに名付けられていた。
一鳥、花陽、風音、月光の4兄妹である。
次いで、5人目が生まれたことで「雪月花」をモチーフに花陽、月光、雪夜と名付けられたのである。
いずれにしても星子は含まれない。

風音にナイフを突きつけられた金田一は死を覚悟する。
だが、危機一髪。
すべてを推理していた明智が登場し、風音を撃ち、金田一を助けるのであった。

後日、金田一は気付いた。
自分が月光に危く殺されかけたことに。
月光は背格好が似た金田一を自身の身代わりに殺害しようと事件に巻き込んだのである。

一方、明智もまた気付いていた。
自分が月光に体良く利用されかけたことに。
月光は死の間際に明智に助けを求めた。
何故、明智の連絡先を知っていたか……段倉兄弟殺害後に明智に依頼することで依頼人として容疑圏外に逃れようとしていたに違いない。

明智も金田一も、今回の事件は到底自身の手柄にはならないと溜息を吐くのであった。
そんな2人の想いは1つ。
同じ名探偵として再度、競い合いたいとの物であった―――エンド。

・本作のドラマ版はこちら。
「金田一耕助VS明智小五郎ふたたび 名探偵金田一と明智の推理対決再び!村の入り口に垂れ下がる首つり死体…柳條家に隠された宝と謎…それを狙う怪人二十面相!名家を襲った怪事件!驚愕の結末とは!?」(9月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【ドラマ化情報】
【至急報】謎の推理ドラマ情報が!!果たして「KvsA」とは!?

「KvsA」の正体判明!!土曜プレミアムSPドラマ「金田一耕助vs明智小五郎」だった!!

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『明智小五郎対金田一耕助ふたたび(後篇)』が掲載された「小説 野性時代 第120号」です!!
小説 野性時代 第120号





『明智小五郎対金田一耕助ふたたび(前篇)』が掲載された「小説 野性時代 第119号 (KADOKAWA文芸MOOK 121)」です!!
小説 野性時代 第119号 (KADOKAWA文芸MOOK 121)





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