2013年09月29日

「無関心探偵AGATHA」第5話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年10月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第5話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年10月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
唯井否:イスカリオテ学園の転入生。唯井教授の娘。
那多:イスカリオテ学園校長。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
京屋:又居と詩紋の幼馴染。
都成詩紋:又居の絵のモデルにして幼馴染。絶世の美男子と褒め称えられる。
阿嵩幹矢:故人。小杖の父。天才と呼ばれた探偵。
刃裏:阿嵩家に仕えるメイド。ツンデレ。
安藤令:故人。2年前に謎の死を遂げる。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

イスカリオテ学園にて発生した都成詩紋殺害事件。
その顔は潰され、十字架に張り付けにされるとの凄惨な死に様であった。

この事件解決に乗り出したのが、自称探偵・阿嵩小杖。
そして、その助手となった転校生・蓮出留津。
2人は体育倉庫にて、血溜の中、後ろ手に縛られ転がされた生徒を保護する。
その生徒の名は、留津と同じ転校生・唯井否。
高名な唯井教授の一人娘であった。
こうして、否も加えた3人は事件解決に向け進み始める。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

小杖により、関係者が一同に集められた。
どうやら、事件の朝に起こった出来事を解明する為らしい。

学園長の那多、容疑者となっている鞠吾、詩紋をモデルにしていた又居、その幼馴染である京屋たちはそれぞれがそれぞれの感情を抱き、そのときを待っていた。

那多は「名探偵が此処に生まれるかもしれない……」と洩らす。
どうやら、小杖の父・幹矢についても知っている様子。

そんな中、小杖、留津、否の3人が到着。
小杖は早速、真相を明かし始める。

まず、那多が詩紋の携帯電話を隠していたことが判明。
どうやら、通話履歴やメール履歴を隠そうとしていたようだ。
しかし、この携帯は小杖の推理により既に押収されていた。

その履歴を調べたところ、死の直前に詩紋が又居とメールのやり取りを行っていたことが分かる。
又居によれば、詩紋はある決意を秘めていたそうだが……。

次いで、被害者・都成詩紋について。
詩紋に双子の姉が居ることが判明。
その姉こそ、過去に鞠吾と交際し謎の死を遂げていた安藤令であった。
詩紋と令はそれぞれ別の家庭に引き取られていたのだ。
この事実は鞠吾すら知らなかったらしく、鞠吾は激しく動揺する。

これを知った又居と京屋が「犯人は鞠吾だ!!」と断言する。
又居たちによれば、鞠吾には「綺麗な物を壊したい」との悪癖があり、過去に令を殺害したらしい。
今回も令と同じ顔をしていた詩紋を殺害したと主張する。
そもそも、詩紋がイスカリオテ学園に進学したのは姉を殺したと思われる鞠吾へ復讐する為であった。

だが、小杖はこれを否定。
鞠吾は詩紋殺害の犯人ではないと口にする。

確かに鞠吾は詩紋を発見した。
だが、そのとき既に詩紋は殺害されていたに違いないと言うのだ。

何故ならあの日、小杖が洗い場で溜めた水に沈んでいた際に、その姿を発見した鞠吾はこう呟いたのだ。
「今日はなんて日だ!!まさか、また……」と。

“また”なのである。
鞠吾は水に沈む小杖を死体と勘違いしていた。
つまり、この時点で鞠吾は既に死体を1度は目にしていたことになる。
そして、その死体こそ詩紋だったのだ。

これは鞠吾がその日、サスペンダーを着用していたことからも証明できる。
あの日は始業式である。
教師ならば正装が求められる。
だが、鞠吾はサスペンダーを着用していた。
つまり、何らかの事情が生じ着替えたのだ。

此の事情こそ、詩紋の遺体を発見し運んだ為に服が汚れたことであった。
血塗れの服で式に出席出来る筈がない。
鞠吾は着替えざるを得なかった。

そんな小杖の推理に「だからといって殺していないとは言い切れない」と反論する又居。
だが、そんな又居の言葉にも小杖は動じない。

鞠吾のアトリエで発見された奇怪な頭蓋骨の絵こそがそれを証明するらしいのだが―――6話に続く。

<感想>

「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その第5話です。
1話完結ではなく、続き物。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品です。

どうやら、那多は幹矢と顔見知りの様子。
割と親しい仲だったのか?

そして、遂に小杖による推理が開始。
「何故、頭蓋骨の絵で鞠吾が犯人ではないと断言できるか」ですか、あの頭蓋骨の絵は詩紋のものではなく令のものだったんだろうなぁと予想。

さらに、詩紋と令が双子とも判明。
そう言えば、名前のモチーフと思われるシモンとアンデレも兄弟でしたね。

さらに、詩紋と令が双子だったことでその入替り疑惑も浮上。
令の死体の頭部が確認出来ていないとのことから、おそらく令と詩紋が入替ったものか。
つまり、令として死亡していたのが詩紋。
詩紋として殺害されたのが令の可能性も出て来た。
令だったからこそ、詩紋として自身が描かれた又居の絵を切り裂いたのではないか。
ただ、だとすると令は女性、詩紋は男性で性別の問題が壁になる……。
此処を乗り越えない限り、この説は難しい。

この壁を乗り越えるべく、次の仮説。
ひょっとして以前から双子間で頻繁に入れ替わりを繰り返していたのではないか。
其処で、令を演じていた詩紋が鞠吾に恋する。
本来、同性同士であり禁断の恋であった。
令本人も鞠吾と恋人同士であり、悩んだ末に詩紋が令を殺害してしまう。
その後、詩紋として過ごしていたが鞠吾を忘れられず、イスカリオテ学園に進学。
美術部顧問の鞠吾に近付くべく、幼馴染の又居のモデルとなった。
そして、ある決意とは復讐ではなく、真相の告白では無かったか。
だが、嫌われることが怖く果たせなかった。

つまり、詩紋の死は罪に耐え兼ねた自殺。
これを発見した鞠吾が令の事件を思い出し、発作的にアトリエに運び込む。
此処で実は真相を察していた第三者が磔にしたものと思われる。
こうなると、疑わしいのは又居か京屋。
女性1人でこの犯行は難しいと思われるので京屋が犯人の可能性が高い!?

そして、又居と京屋犯人説でもう1つ仮説を立ててみた。
あの頭蓋骨の絵に意味があるとすれば、整形しても頭蓋骨の形までは変えられないとの意味もあるかも。
其処で、又居に令、京屋に詩紋がそれぞれ整形して入替った説。
当然、令として処理された女子は又居、詩紋として処理された男子は京屋。
いや、これは流石に無理があるか……。

となると、令殺害犯は詩紋。
詩紋自体は自殺。
その遺体を磔にしたのは京屋。
この説の方がスマートかなぁ……。

という感じで推理してみましたがどうでしょう。

果たして管理人の推理は的中しているのか!?
第6話に注目!!

さて、此処からは本作の特徴的な固有名詞に注目してみましょう。
既にお気付きの方も多いと思いますが、どうも聖書に関連する語句がもとにされているものと思われます。

まず「イスカリオテ学園」の「イスカリオテ」。
調べてみたところ、これはヘブライ語で「カリオテの人」ということでその出身である12使徒の1人「ユダ」その人を指し示すそうです。

次に「阿嵩小杖(あがさこずえ)」。
こちらはおそらく「聖アガサ(アガタとも)」から来ているものか。
守護聖人の1人だそうです。

唯井否。
彼女は12使徒の1人である「タダイ」からの命名の様子。

そして「担任教師・鞠吾(マリア)」。
「聖母マリア」でしょうか。

続いて「又居」。
12使徒の1人「マタイ」ですね。

そして「都成詩紋」。
同じく12使徒の1人「シモン」ですね。

安藤令は同じく12使徒の1人「アンデレ」。
刃裏は「パウロ」からかな。

ただ「蓮出留津(はすでるつ)」だけが分からない。
もしかして12使徒の1人「バルトロマイ」からかとも思ったが、余りに違い過ぎるか。
明らかに名前に意味がありそうなのですが、これが調べても出て来ない。
アナグラムも考えてみたけど、どうにも意味のある言葉にならないし……。
気になるところ。

これらの名前に出典同様の意味があるのか、あるいはモチーフのみに留まるのかが気になりますね。
以前から予想していた通り、アンデレも登場しました。
「与羽(よはね)」も出て来そうかな。

でもって、上記登場人物名に意味があるとして内容に触れると。
12使徒の「シモン」は2人居るので「又居」がモデルとした「都成詩紋」も2人存在する可能性がありますね。
顔が潰されているのは此処に由来するのか?

いろいろ気になりますね、次回にも期待!!

◆関連過去記事
「無関心探偵AGATHA」第1話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第2話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年7月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

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