2013年10月02日

「人間電子レンジ」(竹本友二作、小学館刊「8 はち 1巻」収録)ネタバレ批評(レビュー)

「人間電子レンジ」(竹本友二作、小学館刊「8 はち 1巻」収録)ネタバレ批評(レビュー)です。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
父:母の夫。
母:父の妻。
朋美:父と母の間に生まれた娘、長女。
吉岡:父の勤める会社の女子社員。


自宅の居間にて、何やら興奮した様子の朋美とその母。
2人の目の前には大きな電子レンジが横たわっている。
この大きな電子レンジ、「人間電子レンジ」と言って「人間の心を温める為のレンジ」らしい。

其処へ、疲れ果てた父が会社から帰宅する。
日々の仕事に擦り切れ果てた父は何事にも無関心で、特に家族との会話も弾まない。
そんな父を朋美と母は「人間電子レンジ」でチンすることに。

すると、出て来た父はこれまでの無表情から一転。
涙すら流し、妻と出会えた奇跡、娘・朋子を授かった幸運に感謝するのであった。
この様子を目にした母と朋美は感激し、家族は盛り上がる。

翌朝、食卓に俯せの父は「会社潰れないかなぁ〜〜〜」と呻く。
どうやら、時間が経つと「冷めてしまう」らしい。

「人間電子レンジ」の出番だ!!

チンされた父は意気揚々と出社する。
会社でもバリバリと仕事をこなし、普段の父を知る部下の吉岡らは困惑するほどだ。

そして帰宅。
冷めたのか、父は肩を落としている。

またも、「人間電子レンジ」の出番だ!!

すると、父は夕食を頬張りつつ感動の涙を流し始める。
さらに、興奮のあまり自身の首を絞め出す始末。

翌朝、朋子と母は「人間電子レンジ」で無理に父を温めることに罪悪感を抱いていた。
流石にやり過ぎではないか……しかも、まるでこれまでの父を否定するようではないか。
今後は控えようと決める朋子たちだが……。

なんと、今度は父が「人間電子レンジ」を求めて来るではないか。
「人間電子レンジ」内に籠る父は「温められなければ、家族の笑顔を見ることすら出来なかった」と叫ぶ。
これに、母は「ありのままで居て」と訴える。
互いの心中を伝え合った夫婦は「人間電子レンジ」内で抱き合うのだが……。

そんな2人を眺めつつ、そっと「人間電子レンジ」の戸を閉める朋子。
「えっ!?」と驚く2人を尻目に、電子レンジのスイッチオン!!

翌年、この家庭に次女が生まれた―――エンド。

<感想>

「8」は、小学館刊『月刊ビッグコミックスピリッツ』にて連載中の竹本友二先生の作品。
「世にも奇妙な物語」で1話「人間電子レンジ」がドラマ化されるとのことで興味を持ち読んでみました。
コミック版を目にした限り、タイトル通り1話8ページの中で「起承転結」の物語を展開する作品かな。

一読して、「団地ともお」以降の小田扉先生を思い出しました。
小田先生のファンなら、本作を読んでみるのもアリかなとは思う。
ただ、本作とどちらかと問われれば小田先生の作品の方が個人的には完成度が高くて好き。
そう言えば小田扉先生の作品も「世にも奇妙な物語」でドラマ化されてたなぁ……。

おっと、話が逸れた。

そんな「8」は、全体としてキャラよりは特異な設定と展開で魅せる作風。
評すれば「淡々とした中に、キラリと光る印象」。
このキラリと光る部分を読み手が感じられるかどうかによって評価はガラリと変わりそう。
つまり、人を選ぶ作品。

また、「8」の1巻では1冊中に20話近くのエピソードが収録されているが、面白く感じる作品とそうでない作品との差が激しい。
なので、人によっては抵抗を感じる方も居るかも。
管理人的に全体の比率では「面白い」が「3」に対し「そうでない」が「7」だった。
此処は個人の主観の問題なので仕方がないと思うが、なかなか難しいなぁ……。
もっとも、2巻は未読なのでソチラを読めばこの比率は変わるかもしれないけど。

そんな中、冒頭第1話である「人間電子レンジ」を取り上げてみた。
ドラマ化されるのはもちろんのこと、この1話はネットで公式HPからお試し可能なので。
実際に目にして貰えれば、本作の雰囲気や管理人の感想の意味がお分かりになる筈。

この「人間電子レンジ」。
本作全体に流れる雰囲気(少なくとも1巻全体)を掴むには、適した作品だと思う。
これが肌に合えば、他の作品も合う。
合わなければ、他の作品も合わないだろう。
ある意味、本作と自身の感覚が合致するかどうかを確かめるリトマス紙的な作品とも言えると思うのでご一読あれ。

◆「世にも奇妙な物語」ドラマ化原作作品関連過去記事
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