2013年10月16日

「無関心探偵AGATHA」第6話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年11月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第6話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年11月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
唯井否:イスカリオテ学園の転入生。唯井教授の娘。
那多:イスカリオテ学園校長。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
京屋:又居と詩紋の幼馴染。
都成詩紋:又居の絵のモデルにして幼馴染。絶世の美男子と褒め称えられる。
阿嵩幹矢:故人。小杖の父。天才と呼ばれた探偵。
刃裏:阿嵩家に仕えるメイド。ツンデレ。
安藤令:故人。2年前に謎の死を遂げる。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

イスカリオテ学園にて発生した都成詩紋殺害事件。
その顔は潰され、十字架に張り付けにされるとの凄惨な死に様であった。

この事件解決に乗り出したのが、自称探偵・阿嵩小杖。
そして、その助手となった転校生・蓮出留津。
2人は体育倉庫にて、血溜の中、後ろ手に縛られ転がされた生徒を保護する。
その生徒の名は、留津と同じ転校生・唯井否。
高名な唯井教授の一人娘であった。
こうして、否も加えた3人は事件解決に向け進み始める。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

鞠吾が犯人ではないと主張する小杖。
その理由は頭蓋骨の絵にあるらしい。

小杖は鞠吾の描いた絵と同期することで、彼の心情が理解できたのだそうだ。
安藤令の死に強いショックを受けていた鞠吾。
それ以来、令の死骸のイメージを引き摺っているのだそうだ。
つまり、トラウマと化していたのだ。
そんな人間が新たなトラウマの種となりかねない殺人を犯すだろうか?

鞠吾が詩紋の死体を秘密の部屋に隠したのも、死体を守る意識が働いていたからだそうだ。

さらに、小杖は続ける。
今回の犯人は殺害現場を隠している。
どうやら、血の浸透した砂を回収するほどの念の入れようである。

このとき、鞠吾は死体を移動しており、それだけの大掛かりな工作を行う余裕はない。
他に関与した人間が居るのだ。

その人物とは―――那多校長であった。
なんと、那多宅から現場の砂と思われる血塗れの砂が発見されたのだ。

さらに、那多が否を一目で転校生と理解していた点にも言及。
否が転校生だと分かる人物は、その当日に否を体育倉庫に監禁した人物しかいないと結論付ける。
何故なら、否は写真など自身の姿を一切公開していなかったのだ。
那多でさえ転校初日に挨拶を交わすまでは否が当人であるとは知らない筈であった。
だが、那多はあっさりと否が転校生であると認めていた。

つまり、詩紋殺害現場に工作を施したのは……那多だ。

那多は不祥事を避ける為と弁明。
もともとイスカリオテ学園は経営が苦しくなっており、鞠吾を雇ったのも容姿に優れた教師により人気を高める為だったそうだ。
さらに、又居を特待生として迎え入れたのもその一環。
ある意味、又居の絵には学園の存亡がかかっているらしい。

小杖は続けて、那多を呼び出した人物について尋ねる。
那多は当日早朝に、ある人物から電話連絡があったことを打ち明ける―――6話に続く。

<感想>

「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その第6話です。
1話完結ではなく、続き物。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品です。

第6話は小杖による推理第2回目。
詩紋殺害が鞠吾によるものではないことが明らかにされました。
ただ、詩紋の遺体を移動させたのは鞠吾によるもの。
同時に那多が殺害場所の隠蔽に一役買っていたことも判明。

これらにより殺害それ自体に教師陣は関与していない模様。
こうなると、又居と京屋が俄然怪しくなるなぁ。
ただ、詩紋の死は自殺ではないかと思うのですが……。

その理由は、前回でも主張した詩紋と令の入替りが行われていたのでは……との疑惑から。

令の死体の頭部が確認出来ていないとのことから、令と詩紋が入替ったのではないか。
つまり、令として死亡していたのが詩紋。
詩紋として殺害されたのが令の可能性も出て来た。
令だったからこそ、詩紋として自身が描かれた又居の絵を切り裂いたのではないか。
ただ、だとすると令は女性、詩紋は男性で性別の問題が壁になる……。
此処を乗り越えない限り、この説は難しい。

この壁を乗り越えるべく、次の仮説。
ひょっとして以前から双子間で頻繁に入れ替わりを繰り返していたのではないか。
其処で、令を演じていた詩紋が鞠吾に恋する。
本来、同性同士であり禁断の恋であった。
令本人も鞠吾と恋人同士であり、悩んだ末に詩紋が令を殺害してしまう。
その後、詩紋として過ごしていたが鞠吾を忘れられず、イスカリオテ学園に進学。
美術部顧問の鞠吾に近付くべく、幼馴染の又居のモデルとなった。
そして、ある決意とは復讐ではなく、真相の告白では無かったか。
だが、嫌われることが怖く果たせなかった。

つまり、詩紋の死は罪に耐え兼ねた自殺。
これを発見した鞠吾が令の事件を思い出し、発作的にアトリエに運び込む。
此処で実は真相を察していた第三者が磔にしたものと思われる。
こうなると、疑わしいのは又居か京屋。
女性1人でこの犯行は難しいと思われるので京屋が犯人の可能性が高い!?

令殺害犯は詩紋。
詩紋自体は自殺。
その遺体を磔にしたのは京屋。
という感じで推理してみましたがどうでしょう。

果たして管理人の推理は的中しているのか!?
第7話に注目!!

さて、此処からは本作の特徴的な固有名詞に注目してみましょう。
既にお気付きの方も多いと思いますが、どうも聖書に関連する語句がもとにされているものと思われます。

まず「イスカリオテ学園」の「イスカリオテ」。
調べてみたところ、これはヘブライ語で「カリオテの人」ということでその出身である12使徒の1人「ユダ」その人を指し示すそうです。

次に「阿嵩小杖(あがさこずえ)」。
こちらはおそらく「聖アガサ(アガタとも)」から来ているものか。
守護聖人の1人だそうです。

唯井否。
彼女は12使徒の1人である「タダイ」からの命名の様子。

そして「担任教師・鞠吾(マリア)」。
「聖母マリア」でしょうか。

続いて「又居」。
12使徒の1人「マタイ」ですね。

そして「都成詩紋」。
同じく12使徒の1人「シモン」ですね。

安藤令は同じく12使徒の1人「アンデレ」。
刃裏は「パウロ」からかな。

ただ「蓮出留津(はすでるつ)」だけが分からない。
もしかして12使徒の1人「バルトロマイ」からかとも思ったが、余りに違い過ぎるか。
明らかに名前に意味がありそうなのですが、これが調べても出て来ない。
アナグラムも考えてみたけど、どうにも意味のある言葉にならないし……。
気になるところ。

これらの名前に出典同様の意味があるのか、あるいはモチーフのみに留まるのかが気になりますね。
以前から予想していた通り、アンデレも登場しました。
「与羽(よはね)」も出て来そうかな。

でもって、上記登場人物名に意味があるとして内容に触れると。
12使徒の「シモン」は2人居るので「又居」がモデルとした「都成詩紋」も2人存在する可能性がありますね。
顔が潰されているのは此処に由来するのか?

いろいろ気になりますね、次回にも期待!!

◆関連過去記事
「無関心探偵AGATHA」第1話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第2話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年7月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第5話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年10月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

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