日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season12(twelve)」第1話「ビリーバー」(10月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
誰かに監視されている。
誰も信じるな。
もはや逃げ場はない。
まさか奴があんなことを……。
情報の海に踊り狂う文字列。
その中に浮かび上がる男性の後ろ姿、右京は彼を密かに追う。
右京は事の発端を思い出す―――。
その日は朝から雨だった。
憂鬱な表情を浮かべた笛吹悦子から右京は相談を受けていた。
なんでも甲斐が“ある人物”に嵌っているので真意を探って欲しいと言うのだ。
甲斐が嵌っている人物の名は「火の玉大王」(忍成修吾)。
もちろん、本名ではない。
ハンドルネームだ。
「火の玉大王」は「みんなの動画」という動画投稿サイトにて生放送を行っている人物。
「〜〜〜は〜〜〜の陰謀」や「〜〜〜は○年以内に〜〜〜することになる」など様々な諸説を配信している。
だが、どれも根拠がなくいわゆるトンデモ説だ。
しかも、宇宙人と遭遇したとも主張していた。
これを聞かされた右京は「陰謀論者でアブダクティですか……」と溜息を吐く。
どうやら、その右京が溜息を吐きたくなる人物に甲斐が傾倒しているようなのである。
右京は好奇心と甲斐への心配から居ても立っても居られなくなった。
そこで、こうして尾行していたのだが……右京の目に信じられない光景が。
なんと、当の甲斐が生配信に参加していたのだ。
甲斐はボンドを名乗り、火の玉大王や他のメンバーたちとにこやかに話し込んでいる。
遂には全員で手を繋ぎ、宇宙船を呼ぶ試みを始めた。
普段の甲斐を知る右京からは到底信じられない出来事である。
一体、どうしたのだろうか?
その翌日、捜査一課にて不貞腐れた伊丹(川原和久)の姿があった。
三浦(大谷亮介)が係長に昇進し伊丹の上司になったのだ。
どうやら、三浦の念願がかない警部補試験に合格した為らしい。
同じ頃、大東亜産業の専務・高山(大原康裕)の遺体がホテルで見つかる。
現場に到着した捜査担当者は遺書を目にするや眉を顰める。
1時間後、ニュースサイトでは「服毒自殺だが遺書は無く自殺理由は不明」と発表された。
右京は、甲斐がそのニュースに釘付けになっていることに興味を抱く。
右京は甲斐の狙いを探るため「火の玉大王」の生放送にネットから参加。
その日の放送は「富士山が世界遺産に認定された為に噴火する」とのもの。
東亜共和国の地質兵器により人為的に噴火が促されるとのシナリオらしい。
「初見」として参加した右京は甲斐の「ボンド」に対抗し「ジェームズ」とコテハンを名乗る。
「凸いいですか?」と許可を取るや、「火の玉大王」相手に「スカイパー(スカイプのこと?)」を用いて直接対話を挑む。
話題は前回放送された「月面着陸が嘘だ」について。
「火の玉大王」によれば「スタンリー・キューブリックが撮影した映像」らしい。
苦笑いしつつ、これに異を唱える「ジェームズ」こと右京。
だが、「火の玉大王」は自説を曲げない。
其処へ「ボンド」こと甲斐が乱入。
「大気の無い月で旗が揺れていた」と指摘する。
これに「たなびいて見えるようにワイヤーが入っていたんです」と応じる右京。
「それは後付に過ぎない」と一蹴する甲斐。
遂には「此処はあなたの来るところではない」と宣言するや去ってしまう。
翌朝、右京は甲斐に事情説明を求める。
甲斐は笑いながら「火の玉大王」のグループに参加していた理由を明かす。
甲斐はある放送について注目したのだ。
それは「10年ほど前にエルドビアで起きた日系人社長人質誘拐殺人事件に政府の陰謀が潜んでいた」との説。
人質を見殺しにしてしまったその黒幕は、当時エルドビア日本国大使館に勤務していた警察官僚だという。
この黒幕とされた人物こそが峯秋(石坂浩二)だったのだ。
甲斐にとっては父である、犬猿の仲とは言え捨て置けなかったようだ。
甲斐によれば「火の玉大王」のネタは大半が根拠もない与太話。
だが、エルドビアの件だけはリアリティが存在していた。
どうにも気にかかった甲斐は思い切って「火の玉大王」の仲間に加わったのだ。
この誘拐事件、被害者は大東亜メタル社長の猪瀬昌幸。
そして、今回死亡した高山は当時の副社長であった。
大東亜産業から出向していたのである―――。
その頃、峯秋のもとに大河内があるコピーを持ち込んでいた。
これを一瞥した峯秋は「その通りだ」と認めてしまう。
同じ頃、中園(小野了)から三浦に特命が下っていた。
高山に他殺の疑いが浮上しており、秘密裏に捜査するようとの命令である。
他殺の疑いが浮上した発端は、高山の遺体を解剖した結果、効き目の違う2種類の毒物が検出されたこと。
鑑識の米沢(六角精児)によると、高山の遺体から「シアン化カリウム(青酸カリ)」と「テトロドトキシン」が検出されたのだ。
これに右京と甲斐が興味を示す。
一方、三浦のもとで捜査を始めた伊丹たちは遺書の存在が隠されたことを掴む。
内容を明かすよう上に申し出てくれと三浦に迫るが、三浦はこれを拒否。
芹沢(山中崇史)を加え、長い間トリオを続けてきた伊丹と三浦に亀裂が……。
その夜、右京と甲斐は猪瀬昌幸の息子・猪瀬幸則(石田卓也)から事件当時の状況を聞く。
全てこの秋に亡くなった母親から聞いたことだがと前置きする幸則。
当時、エルドビア政府は誘拐ビジネスを根絶する為に強硬策に出ていた。
その関係上、身代金の支払いに反対。
結果、支払われることがなかった為に殺害されたのだそうだ。
だが、猪瀬たちは裏でネゴシエーターを使い、誘拐犯と交渉していたという。
ところが、要求額は法外な物で交渉は決裂。
それが原因で猪瀬の父は殺害されたらしい。
どうやら、当時幼かった幸則は詳しくは知らないらしい。
高山とも面識がないと語る。
甲斐と別れ、花の里で寛ぐ右京に三浦が接触する。
三浦は高山の遺書の存在を右京に明かす。
三浦自身も中身については知らないらしい。
「なんで、僕に―――?」尋ねる右京に。
「言っちゃいけないことなら、いっそ一番言っちゃいけない人にと思いまして」と述べる三浦。
その頃、甲斐は悦子に複雑な胸中を打ち明けていた。
猪瀬の言葉が事実ならば、峯秋の関与はあり得ない。
だが、甲斐の知る峯秋のイメージにはそぐわないのだそうだ。
「でも、妨害すれば人質が死ぬことは分かってたんでしょ」
「あいつならやりかねない」
悦子の言葉にも納得いかない様子の甲斐。
翌朝、三浦の情報を基に、高山の遺書を見せるよう内村に迫る右京。
何か狙いがあるのか、内村はあっさりと遺書を見せる。
それによれば、ネゴシエーターを介し身代金の準備をしていたところエルドビア側から圧力がかかったのだそうだ。
何者かがエルドビアに猪瀬昌幸誘拐についての情報を流したのだ。
この人物こそが峯秋であった。
この結果、昌幸は命を落とした。
高山は峯秋を許すことが出来ないと結ばれていた。
だが、遺書を目にした右京は疑惑を口にする。
ワープロ打ちされた内容の後に自筆のサインが添えられていたのだが、そのサインの姓名が不自然だったのだ。
姓は万年筆、名はボールペンで書かれていたのである。
どうにも歪な印象を受ける。
と、其処へ峯秋誘拐の第一報が飛び込んで来ることに!!
自宅を出た峯秋が運転手を名乗る人物に誘拐されてしまったのだ。
ヘリにNシステムなど一級の厳戒態勢が敷かれる中、峯秋の車が発見された。
通報者は釣り師、釣り場付近に置かれた車を不審に思い通報したそうだ。
そのトランクから本物の運転手が保護される。
この現場に右京と甲斐も到着。
本物の運転手に事情を問う。
運転手によれば、峯秋を迎えに行く途中のトンネルで前後を車に挟まれ身動き出来なくなったところをスタンガンで気絶させられたらしい。
犯人はTシャツに革ジャンを着用し、腕時計の文字盤が絵だったそうだ。
その時計は「火の玉大王」愛用の物と同じであった。
甲斐は「火の玉大王」の犯行を疑う。
一方、右京は米沢にボールペンについて捜査を依頼する。
同じ頃、とんでもない動画がネット各所でアップされ始めた。
それは犯行声明であった。
峯秋の姿を背景に、身代金の支払いを要求したのだ。
犯人は「新世代革命軍」を名乗り、支払いを拒否すれば峯秋を殺害すると宣言する。
こうして、公の知るところとなった峯秋誘拐事件。
だが、此処で1つ問題があった。
身代金を支払うべきか、支払わないべきか―――猪瀬昌幸と同じ難問に直面したのだ。
記者会見が行われ、取引については言外に匂わせる程度の内村。
これを帝都新聞記者であった幸則が追及する。
同じ頃、監禁された峯秋の前に「火の玉大王」が。
リアリストの峯秋と「火の玉大王」では会話が成立する筈もない。
峯秋はまったく理解できない「火の玉大王」に言い知れない恐怖を抱く。
「火の玉大王」への接触を目指す右京と甲斐。
「スカイパー」にメッセージを残し連絡手段を確保しつつ、「みんなの動画」メールアドレスから追おうとするが……開示請求が必要と拒否されてしまう。
そこで、中園の協力を仰ぐこととなるが中園は右京たちを外し別の人員を動かす。
だが、これで止まる右京と甲斐ではない。
メールアドレスはそちらに任せ捜査を継続することに。
米沢から右京のもとへ連絡が入った。
高山専務の万年筆はインク切れではなく、その所持品からボールペンも検出されなかったらしい。
矢先、「火の玉大王」のメールアドレスが判明。
だが、フリーメールであった。
こちらからの捜査は望めないらしい。
その頃、右京は犯人の狙いが遺書の内容を公開させることにあったと推測。
だが、高山専務の遺書を隠された為に誘拐事件に発展したと結論付ける。
新世代革命軍を名乗る人物から「3億円の身代金要求」が届く。
もちろん「火の玉大王」だ。
このまま「火の玉大王」優位に事が運ぶのか……。
此処で、スカイパーに残した連絡手段が奏功する。
甲斐が峯秋の息子と知らない「火の玉大王」が自ら連絡を取って来たのだ。
これに甲斐は「ボンド」として「火の玉大王」好みの話題を振り、興味を惹く。
こうして誘導しつつ、最終的に「火の玉大王」との直接対面の約束を取り付ける。
甲斐はオープンカフェに「火の玉大王」と密会する。
「10年前の峯秋の暗躍がデマだった」と揺さぶりをかける甲斐。
「身代金の金額が折合を付けられなかったことによる悲劇だった」と強調したのだ。
さらに、峯秋の誘拐すら虚報だと挑発する。
表面上は平静を装う「火の玉大王」だが、怒りは隠せない。
甲斐を置いて去ってしまう。
冷静さを欠いた「火の玉大王」は周囲を気にすることも無く自宅へ。
もちろん、右京がこれを尾行していたのは言うまでもない。
一方、高山殺害に関して「火の玉大王」が手を下していないことが防犯カメラの映像から明らかになった。
つまり、「火の玉大王」以外にもう1人居るのだ。
これを踏まえて右京は「火の玉大王」の自宅に出向く。
「火の玉大王」の本名は綾辻隆一。
右京は「亀山薫くん、居ますか?」とハッタリを仕掛けつつ、綾辻宅内を調べるが誰も居ない。
峯秋は別の場所に監禁されているようだ。
その頃、甲斐は「火の玉大王」の人柄から、このような計画的犯行は不可能ではないかとの結論に至っていた。
もちろん、その仲間たちも犯罪に加担するタイプではない。
そんな甲斐を驚かせる事態が!!
峯秋の次なる画像がアップされたのだ。
今回は静止画ではなく動画であった。
内容は10年前の猪瀬昌幸誘拐殺人事件についてであった。
どうやら、峯秋は犯人と対話しているようだ。
犯人側の音声には手を加えられており、性別年齢共に不明である。
「身代金交渉の邪魔をしたのは何故か?」
「人質が死亡しても良いと思っていたのではないか?」
「身代金さえ支払えば無事に解放されたのを何故、邪魔した?」
矢継ぎ早に問いかける犯人。
「それこそが同じ悲劇を繰り返さない為に必要だったからだ」と応じる峯秋。
最後に「そうして見殺しにしたワケだが、無事に帰りたいか」と問われた峯秋は「帰りたいね」と答える。
「交渉せず屈しないと口では言いながら、身代金交渉に乗っている。なんたることか。
だが、要求が認められ、このまま邪魔が入らなければ甲斐峯秋の身柄は解放されるだろう」
動画は、犯人によりそう締め括られていた。
右京が特命に戻って来た。
右京の調べによれば、綾辻は非常勤講師らしい。
そんな綾辻を張り込む伊丹と芹沢。
これを激励する三浦だが……。
直後に、怪しげな男性と目が合ってしまう。
逃げ出す男性、追う三浦と芹沢。
騒ぎを聞きつけた綾辻も逃走を図り、伊丹と対決するなどてんやわんやに。
そんな中、三浦が足を刺されてしまう。
逃げた男性は芹沢が、綾辻は伊丹がそれぞれ逮捕することに。
「火の玉大王」のネット上での交際関係を調べた甲斐。
すると、フェイスグッド上で猪瀬幸則を発見する。
2人は繋がっていたのだ―――。
内村は取引に応じる構えを見せる。
これを猪瀬幸則は直接追い縋って批判する。
三浦を刺した男の取り調べが始まった。
男の顔を目にした甲斐は驚きの声を洩らす。
なんと、相手は「火の玉大王」のオフ会で知り合った「タコツボ」であった。
到底、そんなことが出来るタイプには見えなかったのに……と甲斐は感想を口にする。
甲斐は峯秋の息子であることを明かし、タコツボを威圧する。
綾辻の所持品から、スタンガンが発見。
証拠が出たこと、さらに甲斐の正体に加え、右京もまた「ジェームズ」であることを打ち明ける。
思いも寄らぬ事実を立て続けに聞かされた綾辻は大混乱。
これに右京は「主犯は綾辻と猪瀬幸則の2人」と断言する。
だが、現に「タコツボ」も関与しているが……。
なんと、タコツボは真相を知らされておらず体良く操られていた。
綾辻たちが「峯秋が大きな勢力から命を狙われている」と嘘を吐き、護らなければと思い込まされているのだ。
タコツボの仲間たちは、誘拐ではなく保護していると信じているのだ。
同じ頃、峯秋は“彼らなりに本気で峯秋の身を守ろうとする人々”の扱いに困り果てていた。
何を言っても、聞く耳を持たないのだ。
「あんたは可愛そうな人だ。切り捨てられたんだから」
その一点張りである。
其処へ、綾辻から監禁場所を聞き出した右京たちの連絡を受けた機動隊が突入。
綾辻の仲間たちを取り押さえて行く。
「子供だ。手荒にするな」と叫ぶ峯秋。
こうして、峯秋は無事に保護された。
峯秋無事保護の報を知った猪瀬幸則は困惑していた。
逃げ出そうとする幸則の前に右京と甲斐が立ち塞がる。
綾辻と猪瀬は小学校からの同級生であった。
当初は猪瀬を庇っていた綾辻だが、高山が猪瀬に殺害されたことを知り真相を打ち明けたのだ。
綾辻の姿は防犯カメラに映っていなかったが、猪瀬の姿は残っていたのだ。
猪瀬は昌幸の息子であることを用い高山に近付いた。
隙を見てテトロドトキシンを盛り、痺れたところで遺書に署名させた。
解毒して欲しければ……と署名を強要したのだ。
だが、此処で1つ誤算が生じた。
仰向けに倒れた状態で万年筆を使うと筆先のインクが切れる。
其処で、部屋に備え付けのボールペンで署名を完了させたのだ。
その上で、楽になると青酸カリを服用させ死に至らしめたのであった。
猪瀬は峯秋の行いを世間に問う為に事件を起こしたらしい。
峯秋について「立派なクズ」と吐き捨てる。
これに「他人に父親をクズ呼ばわりされるのはいい気持ちがしませんね」と、そのまま猪瀬を殴り倒す甲斐。
「高山専務を殺害する必要があったのか」問う右京。
「人が死ななければ誰も注目しない」と叫ぶ幸則。
幸則によれば峯秋は取引如何に関わらず無事に解放するつもりだったそうだ。
「人は信じたいことだけを信じる。関係者が否定したところで、いや否定すればするほど取引を信じることだろう。真実なんて誰も気にしちゃいない!!」
「新聞記者が真実をどうでもいいと語るとは……恥知らずですね」
幸則を蔑む右京だが……。
「そうだよ、父親を見殺しにされたら誰でもこうなる」
「開き直るな!!」
自身を正当化する幸則に、右京は一喝を浴びせる。
こうして事件は解決。
だが、大きな傷が残された。
三浦は一生杖を手放せない身体になってしまったのだ。
「人間万事塞翁が馬か……」虚ろに呟く三浦。
これを聞いた伊丹は我が事のように涙する。
そんな伊丹を眺めやる芹沢。
失ったものの大きさを噛み締める三浦。
トリオそれぞれが痛みを抱えることとなった。
果たして、三浦は……。
一方、甲斐は留置中の幸則を訪ねていた。
動画で公開された幸則と峯秋の会話は編集されたものだったのだ。
オリジナルが見つからないらしい。
これに素直に応じる幸則。
オリジナルは処分済みだが、最後の質問と答えをカットしたそうだ。
其処には次のようなやり取りが存在していた。
「身代金と引換に助かろうなんて思っちゃいないよ。確かに僕だって無事に解放されたいさ。だから、正当な捜査による助けが来るのを待っている。命乞いは考えていない」
峯秋はそう主張したのだそうだ。
遣り取りを聞き「そんなことだろうと思った」呟く甲斐。
峯秋はどこまでも甲斐峯秋だったのだ。
「名誉を回復するにもオリジナルがありませんからねぇ」
「いいんですよ、世間の悪評なんか気にも留めない人ですから」
甲斐に配慮し峯秋を心配する右京。
だが、甲斐はその点親子であった。
峯秋のことを良く知っていた。
「構わんよ、人の噂も75日」
実際、峯秋はそう答えたのだ。
三浦が退職を願い出た。
内勤の誘いを蹴ってのことだそうだ。
三浦の病室を見舞いに訪れる右京と甲斐。
だが、右京は「じゃあ」と言うなりその場を去ってしまう。
これを静かに見送る三浦。
「どんな言葉を発しても空回りしてしまいそうな気がして……」
病院の廊下で、右京は甲斐に胸中を明かす。
その晩、特命係。
「花の里にでも行きますか」
「まだやってないでしょ」
「無理言って開けて貰いますよ」
自身から甲斐に語りかける右京には何処か人恋しさがあったのかもしれない―――1話了。
<感想>
シーズン12(twelve)1話。
脚本は輿水泰弘さん。
サブタイトルは「ビリーバー」。
「信ずる人」または「信じる人」かな。
主に「トンデモ化学などを信じる人」との意味で、揶揄される場合に用いる言葉。
「信じる者は救われる」とはよく言いますが、どちらかと言えば救われるのは「信じさせた側」のような気もします。
今回のテーマは2つあると思う。
まずは「自身で確認していない、根拠のない情報を信じることの危険性」を訴えたもの。
実際、「タコツボ」たちは「火の玉大王」こと綾辻に踊らされることになりました。
当の綾辻自身も高山の殺人を伏せられたことで幸則に利用されていたとも言えそうです。
つまり「鵜呑みにするなかれ」ですね。
確認の必要性―――管理人も他人事じゃないなぁ。
そして、もう1つ。
先述したことと異なるかもしれないけど、それが「信頼」。
例えば、甲斐と峯秋父子の関係もまたある種の信頼関係にありました。
「あの人はこんなことする人じゃない」と同時に「あの人だからそんなことだろうと思った」と語った甲斐。
とはいえ、父の行動が私利私欲に基づく物ではないことは一番理解している様子。
これまた「信じる人」と言えるのではないでしょうか。
また、人と人などさまざまな物を信じる物語でもありました。
右京を信じるからこそ、遺書についての情報を教えた三浦の行動。
右京を信じるからこそ、共に捜査に当たる伊丹と芹沢。
右京の正義を信じるからこそ、捜査に関与させない内村と中園。
そして、自身の属する組織を信じた峯秋。
でもって、花の里は右京の精神安定剤なんだなぁと再確認。
完璧……いや、完璧であろうとする右京にとって欠かせない場所なのでしょう。
つまり、信頼の置ける場所。
そして、甲斐に胸中を明かすまでになった右京……これまた信頼です。
つまり、2人は“相棒”ってことでしょう。
全体的な流れとして、映画「相棒1」の設定に「SNS」を加えた印象ですが、それにこの2つのテーマが絡んでいた点が良かったですね。
相棒と言えば、亀山薫の名前が此処で出ると思わなかった。
サプライズですね!!
サプライズと言えば、ジェームズとボンドの正体やボンドが峯秋の息子であるなどを綾辻たちに明かすシーンは「水戸黄門の印籠」的な爽快感がありましたね。
一方で、出世した直後に退職することとなった三浦。
そして、言葉もかけずに去る右京。
あそこまで決意を固めた三浦に、どんな言葉をかけたとしても三浦の誇りを汚すものにしかならないからでしょうね。
これもまた右京から三浦への信頼の形でしょう。
それにしても、三浦の離脱はショックでした。
でも、今回のサブタイは「ビリーバー」。
管理人的にテーマの1つは「信じる人」です。
「シーズン12」最終話に、杖をつきつつ笑顔で再登場する三浦を信じましょう。
これぐらいなら、「火の玉大王」の仲間たちのように無邪気に信じてもいいよね。
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御無沙汰しています。相棒新シリーズ始まりました。期待を込めて見ていました。感想を。
(感想)
1、SNS・動画の使用の仕方が上手でしたね。特に、前シリーズで登場した「Facegood」やみんなの動画の画面上のコメントの流し方及びそのコメント、細かいところまでよくいきとどいていた気がします。
2、管理人さんも書かれている今回のテーマである「信頼」、その表現方法は巧みでしたね。警視庁関係者だけではなく、例えば、冒頭で、右京さんに、カイトがおかしくなったのではと心配し相談する悦子、このシーンも、右京さんを信頼しているからこそ(悦子も右京さんを変人と思っていた前シリーズから、心境の変化があったかなとも感じましたが)、相談をしたわけですし、幸子と右京さんの信頼関係は言わずもがなですし(右京さんとイヤホンを共有するシーン、あれ良かったですね、過去作を知ってるだけに)。
3、三浦の離脱は、驚きでした。しかし、三浦が「人間万事…」を言うシーンからの一連の三人(トリオ)の演技・表情には、引き込まれました。セリフを過剰に使用しなかったのが、効果的でしたね。それにしても、三浦、辞めなくともよかったのにと思ってしまいました。例えば、陣川君と同じ部署への配属として、登場回数は少くなりますが、陣川回には必ず登場させるとか、ついつい考えてしまいます。再登場を期待していますが。
4、花の里一時閉店(シーズン10)の時、右京さん、スランプだった事を考えると、花の里の重要性は言うまでもありませんね。ただ、昔は、花の里=事件のヒントを得る場所(たまきさんの一言が多いいですが)と言う感じでしたが、今は、心のよりどころと言った感じでしょうか。時間をかけて上手に方向性を変えていった、そんな気がしています。
5、今シリーズの個人的な見どころは、右京さんとカイトの関係は、「教師と生徒」のままか、進化するのかという点ですね。あと、三浦がいない事で、伊丹・芹沢がどんな感じになっていくかも見どころな気がします。
いずれにしても、毎週見逃せそうにありません。
今回はかなりショックでした
まさかあの三浦さんが・・・
今シーズン伊丹と芹沢がどう乗り越えるのかもテーマにあるのかなと思ったり
三浦さんが後ろでどっしり構えて時には暴走しそうな二人の手綱を握ってくれてるからこそ伊丹も芹沢も好き勝手出来てたように思えます
いうなればトリオのお父さん的役割でしょうか
特に伊丹は後悔もしてそうな気がします
「ちゃんとおめでとうと言ってやればよかった」と
伊丹的にはこんな早くに三浦さんが辞めるなんて思ってなかったしずっと一緒に捜査出来るから後でいいやと思ってたのかなと思いました。
三浦さんのような刑事も必要なんですよね
組織のみんなが右京さんのような人でもダメだし伊丹のような人だけでもダメ、三浦さんのような人がいて機能出来る
と書くと三浦さんの評価高過ぎとか言われそうですがそう思います
昔の右京さんなら三浦さんが辞めると聞いても会いにも行かないし言葉が出てこないなんてこともなかったと思います。
亀山や神戸、官房長との別れを経て右京さんのなかで人間性が成長したのではないかと思ったり
猪瀬は多分峯秋を憎むことで生きてきたんだろうなと
それだけに最後の亨との会話は悔しいんじゃないかと「自分は父親が殺されてるのにその仇はのうのうと息子と仲良くやってる」とまた憎しみアップというようにも思えました
また最後の表情を見てるかぎり亨が峯秋を理解しているような態度も腹立たしいと思ってそうな気がします。
そういう意味ではもう解り合えない猪瀬親子と解り合うことができるかもしれない甲斐親子という対照的な関係だなと思ったりします
物語云々より三浦さん退職がやはり気になりましたね〜。
マンネリ打破のために警部補に昇進させたんだろうと思ったら、蛸壺なる少年に足を刺されて警察官生命を断たれる…
個人的には内勤でもいいのでたまに出て伊丹や右京たちに協力してもいいんじゃないかと思ったんですが現場をやってきた刑事だから内勤するぐらいなら…と思ったんでしょうか…
管理人さんが思うところのビリーバーの意味合い、勉強になります!
今シーズンもよろしくお願いいたします!
こちらにたどり着きました。
三浦さん卒業されたんですね!?
あのトリオが見れなくなるのが寂しいです・・
でも、これからも相棒を見守っていきたいと
思います。
ありがとうございました。
今回は本編も、カイト君、カイトパパのすたんが描かれたり、劇場版1のエルドビアを絡ませる等今シーズンの相棒に期待できるものでしたが、それ以上に三浦さん退場が衝撃でした。
たまきさん退場はニュースで予兆があり受け入れてましたが、ここにきてまた一人初期メンバーの退場があるとは思いませんてましたね。
ただ、花の里に二代目女将が出たように新しく捜査一課に人がくるかもしれませんね。まさか陣川君じゃないよな(笑)。
その衝撃でかき消され気味ですが、劇場版3は絶海の孤島が舞台みたいですね。楽しみではあります。
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:J-PETERさん
こちらこそ、ご無沙汰してます!!
「シーズン12」も衝撃的なスタートでした。
1.「相棒シリーズ」は時代を反映するモノをストーリーに組み込むのが上手いですよね。
「facegood」の再登場には驚きました。
2.確かに!!
悦子が右京に相談している点も「信頼」ですね。
そうか、あのシーンで悦子も右京を信じていることを表現していたのか。
3.三浦の離脱は衝撃でしたよね。
事前情報が無い状態での視聴だったので、退職には驚かされました。
結果を知った状態で振り返ると、伊丹の涙もあの時点で三浦の決意を見抜いていたことになるのでしょうね。
それだけにあのシーンは深く重い。
もちろん、再登場にも期待!!
4.確かに前の「花の里」はヒントを得る場所との意味合いが強かったですね。
個人的には今の「心の拠所」の方が好きです。
5.右京さんと甲斐の関係、注目ですね。
同様に三浦を欠いた伊丹と芹沢がどうなるのかも気になります。
Re:花さん
三浦の退職、管理人もかなり衝撃でした。
事前情報一切なしだったので「まさか、まさか……」と思いつつの視聴でした。
>トリオのお父さん〜〜〜
まさにそうです。
縁の下の力持ち的な存在で、伊丹と芹沢を支え守っていた三浦の退職……影響は大きそう。
組織に必要と言うのは決して過言ではないと思います。
>もう解り合えない猪瀬親子〜〜〜
甲斐親子は反目しつつも何処か通じ合っているところがありそうですね。
その点、昌幸と幸則はそれを育む時間自体が奪われてしまった。
ご指摘の通り、対照的な親子関係と言えそう。
ラストで編集部分について甲斐に教える幸則の表情には鬼気迫るモノがありました。
Re:青山さん
三浦の退職はやっぱり衝撃でした。
係長昇進にニヤニヤしながら視ていたらコレだったので本当に驚きました。
感想にもありますが、シーズン最終話でも良いので何とか再登場してくないものでしょうか……。
そして、こちらこそ今シーズンも宜しくお願い致します(^O^)/!!
Re:ゆあゆあさん
お役に立てたなら幸いです(^O^)/!!
それにしても……まさか、まさかの三浦の退職。
「花の里」での右京との対話もあったので驚きでした。
なんとか再登場してくれないものでしょうか。
Re:ヒカルさん
「シーズン12」初回からまさかのサプライズでしたね。
一夜明けた今でも、三浦退職の衝撃は冷めやりません。
「係長昇進」と「花の里での右京への情報提供」から、今後はコレで進めるのかなと思わせつつ、急展開のうちに退職でした。
「えっ、嘘。えっえっえっ……」と思っている間の出来事。
三浦を欠いた伊丹と芹沢がどうするのかも注目となりそう。
これこそが「シーズン12」の裏テーマになるのか。
そして、仰る通り「劇場版V」も見逃せない作品になりそう。
花の里は、右京さんがボケた話から急激に重要度が増していってる気がします。
控え目だったたまきさんと違って幸子さんは事件の話を聞くのが大好きな印象ですよね。
新女将の幸子さんは右京さんに恩義やら何やら色々な感情を持っていますし、この際だからくっつけちゃおうかとか考えてるんですかねぇ。
(; ̄^ ̄)
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:和泉さん
「日曜洋画劇場」で放送中の「劇場版1」こと「相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン」ですね。
実はこれも過去にネタバレ批評(レビュー)してたりします(^O^)/!!
そして確かに、たまきさんと比べて幸子と右京の関係はより恋人に近しい感じがしますね。
たまきさんと右京は元夫婦だったのに、それよりも近い印象。
個人的には着かず離れず現状維持こそが作品イメージを保つためにベストかと思いますが、この2人がどうなるのかも「シーズン12」の見所なのかもしれませんね(^O^)/!!
Re:シンジンさん
こちらこそ初めまして!!
三浦退職は衝撃でしたね……。
登場人物に感情移入していれば、なおさらの筈です。
昨日放送された「劇場版1」でも、三浦が「警部殿」と口にするシーンに「三浦さん……」と寂しくなってしまいました。
官房長のときと同じなのかも。
「相棒」はキャストにも視聴者にも、そして「相棒」という作品自身にも厳しいドラマだなとの印象です。
だからこそ、クオリティが保たれ視聴者の共感が得られる。
そして「社会派」であり「本格」である。
まさに1粒で2度美味しい、本当に“深い”ドラマなのです!!
思わず熱く語ってしまいました……。
ただ、それだけ懐の深いドラマだと言える筈です。
もちろん、「劇場版V」も楽しみです(^O^)/!!
そして「シーズン10」最終話「罪と罰」ですね。
実は過去にネタバレ批評(レビュー)してます。
感想を読み直すと、当時の心境を思い出しました。
あれも衝撃でした。
「罪と罰」での退場が衝撃的だっただけに、神戸君が再登場してくれる度に嬉しくなります。
「劇場版V」でも登場するらしいし。
三浦も同様に登場して欲しい!!
「罪と罰」は視て損のない作品だと思うので、是非、視てみてください(^O^)/!!