ネタバレあります、注意!!
第37話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。
藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の妹:朝陽の家族。22話、28話に登場。
葉子の父:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。当ブログでは「オトン」と呼ばれる。
葉子の母:人間。和服の美女。当ブログでは「オカン」と呼ばれる。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜
「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒崎朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?
矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛も加わって……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「吸血鬼に、宇宙人に、狼男に、未来人……ふはははははははは」
角の生えたシルエットが甲高い笑い声を上げていた。
その正体はもちろん……茜である。
彼女はこれから始まるイベントが待ち遠しくて堪らなかったのだ。
そのイベントの名は―――体育祭である!!
朝陽、葉子、獅穂が体操着に身を包み、運動場に集合していた。
他にもみかん、渚、岡、嶋、桜らも普段は見せない真剣な表情で立ち尽くしている。
体育祭に参加する為……の筈なのだがみかん、岡、嶋らの意気込みは異様だ。
一方、何処か緊張感に欠ける朝陽たちは和気藹々と体育祭に臨む。
日焼け止めを塗れば日中でも活動出来ることを知らなかった葉子にとって、実際に参加する体育祭はこれが初。
葉子が「パン食い競争では負けない!!」と意気込みを語れば「口を開けたら牙が見えるのでは……」とツッコミを入れる朝陽。
獅穂も初参加とあって、周囲の雰囲気に戸惑い気味のようだ。
そんな中、葉子や獅穂たちが体育祭に両親を呼んでいることが判明。
なるほど、葉子が意気込んでいる理由はこれにもあったか〜〜〜と納得しかける朝陽だが、はたと気付く。
オカンは良い。
だが、あのオトンはマズイのではないか……何と言っても巨大である以上、人目に着き過ぎる。
朝陽の危惧を察した獅穂は「流石にねぇ……」と笑いかけて、止まった。
釣られて朝陽もそちらを向く。
視線は空中に固定されていた。
其処には異様なほど大きな蝙蝠が飛んでいた。
遠近法……!?
いや、違う。
1羽だけ他の蝙蝠と比較にならないほどデカい。
しかも、蝙蝠の首にはビデオカメラがぶら下がっていた。
あれこそはオトンが変身した姿なのだ。
娘の雄姿を映像に収めようとの痛ましいほどの親心なのであろう。
「おい、あの蝙蝠デカくね……」
不審な蝙蝠を目にした生徒たちからはざわつく声が洩れる。
だが、当の娘は全く気付いていないようだ……。
それとは別にざわつく集団を見つける朝陽。
集団を構成するのは、何故か男子ばかりだ。
しかも、皆一様に興奮した様子でワイワイと何かを取り囲んでいる。
途端、凛が朝陽と集団との間に立ちはだかる。
凛は朝陽を背中に庇うように剣を抜いていた。
「ちょっと、凛ちゃん。危ないよ……」
慌てて落ち着かせようとする朝陽だが、凛は恐怖にぶるぶると震えながら呟く。
「恐ろしいまでの痴女力」と……。
まさか―――朝陽と獅穂の視線が触れ合う。
それと同時に、取り囲んでいたらしい男子から鼻血の血柱が噴き上がる。
朝陽は確信した……輪の中心に居るのは獅穂の母・カリスマ痴女なのだ。
さらに、よくよく周囲を見回せば渚の兄・涼も「ビール1本1500円」とぼったくり価格で屋台を営業しているではないか。
なんとなく波乱の予感を抱く朝陽。
そんな朝陽をよそに、遂に校長から体育祭開始の挨拶が行われることに。
校舎を覆うような垂れ幕が目の前に広がると、シルエットが映った。
「ようこそ諸君!!」
まるで、悪の組織のボスのような登場振りである。
もちろん、その正体は茜である。
「学園7不思議の1つ、校長の正体……いつか突き止めてやる」
みかんは何やら闘志を抱いている様子。
だが、くどいようだが校長の正体は茜である。
みかんは既に限定ハンバーガー騒動(28話参照)の際に茜と出会っているのだが……知らぬは本人ばかりなりなのだ。
垂れ幕を用いたスクリーン上では、シルエットの茜が体育祭の宣言を開催。
体育祭のルールはグループ分けはせず、個人参加の個人点数方式。
得意と思われる競技に参加し、点数をもっとも多く稼いだ者が優勝だ。
しかも、参加に制限はない。
生徒でもその父兄でもOKなのだ。
さらに、例年のお約束を今年も適用すると述べていた。
「おおおおおおおおっ!!」
途端、生徒の間から爆発的な歓声が湧き上がる。
(あっ、そうか……)
今の今まで特に興味を持っていなかった朝陽だが、去年も同じことがあったことを思い出した。
茜は宣言する。
「優勝者には何か1つだけ何でも望みを叶えてやる」と。
さらに茜は参加者の意欲を盛り上げる為だろうか、参考までとばかりに前年度の優勝者の様子を写真で発表する。
一目するや、朝陽は単に自慢したかっただけか……と気付いた。
写真に写っていたのはお菓子の海に戯れる茜の姿だったのである。
「ああっ、あの娘、この間の……」みかんは限定バーガー騒動の時の少女が優勝者だと気付いたようだ。
どうせ、優勝するために魔法や幻覚を使ったんだろうなぁ……と呆れる朝陽だが、それでも茜の力があれば本当に願いは叶うだろう。
とはいえ、朝陽の願いは葉子を振り向かせることなのだが。
その頃、校長室では茜が高笑いを浮かべていた。
そもそも茜は誰にも優勝を譲る気はない。
自分で賞品を設定し、自分で参加し優勝すると賞品を得る。
壮大な八百長、自作自演である。
どうせ、誰も勝てないだろうから今年もお菓子は頂きだぜ!!とばかりに意気揚々と校長室を出ようとする茜だが……其処に明里が現れる。
ワケも無くビクつく茜。
だが、問題ない筈だ。
「去年も認めたんだ。今年も私が参加しても良いだろう?」
同意を求める茜にあっさり頷く明里。
だが、続きがあった。
「ただし、今年は私も参加します」と。
えっ……茜が硬直する。
そんなことされちゃ、私の優勝がびみょうになるじゃんとばかりの表情を浮かべる茜。
そして、明里が怒っていることに気付く。
必死に理由を探す茜。
まさか……中古車のこと(30話、33話参照)がバレた?
いや、あれか冷蔵庫のビール缶すべてに穴を開けたことか?
それとも、明里のやんちゃ時代の写真を回覧したことか?
どれだ……一体、どれなんだ。
困惑する茜に、明里が近付く。
「いえ、なんでもないんですよ。中古車ではなく新車で弁償して貰おうと思いまして」
恐怖の表情に凍りつく茜。
それだけではない、その耳にビール缶と回覧のことも知ってるんだからなとの念押しが届く。
全部、バレてた〜〜〜泣きそうになる茜に、明里は「いやぁ、いいんですよ。優勝したら弁償して貰うだけだから」と繰り返す。
有無を言わせぬ威圧感に茜は抗しきれない。
せめて、経費で……との願いも「もちろん、自腹でですからね」と止めを刺されるのであった。
一方、茜の予想外はこちらでも起こっていた。
参加者受付会場―――其処に続々と思わぬ客が来訪していたのである。
オカンを筆頭に涼とカリスマ痴女。
そして……巨躯を隠そうともしないオトン。
それぞれがそれぞれの願いを胸に参加者が揃った。
此処に「実は私は」オールキャストにての一大イベントが開催されようとしていた―――38話に続く。
<感想>
「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、3巻も2013年10月発売。ちなみに表紙は獅穂ですよ!!
そして、本作かなり面白い!!
その37話。
まさに「祭」の名に相応しいオールキャストになりそうな「体育祭」。
さらに、個人種目での個人対決と言うことでキャラを活かすのにこれ以上の物はないね。
父兄も参加可能だし、各人が個性を発揮することになるのは明らか。
次回が楽しみで仕方がない!!
この面子で争うとすると優勝してオチがつけられそうなのは桜田、凛、オカン、明里くらいか。
凛だったら「朝陽の為に湿気たせんべい1万枚」とかだろうし。
オカンだったら「もっと出番を」か。
明里だと予告通り「新車」かな。
ただ、普通人が優勝した方が意外な感があって面白くなりそうなので、優勝候補である茜やオトンたちが足を引き合う結果になって、最終的に桜田が優勝との感じを予想する。
それとも案外、参加すら確認されていない朝陽の家族だったりするとサプライズだな。
ちなみに、展開的には28話の「限定バーガー」と似た形になるのではないでしょうか。
何人かを嵌める茜だが、明里に敗れる。
涼は渚に敗れそう、此の処罰で渚も離脱―――みたいな感じかな。
他に気になったのは。
腹ペコヒロインとして定着気味な葉子。
子煩悩ゆえに葉子を心配しこの1年陰ながら見守ってたつもりがバレバレだったとかで、既に学園7不思議の1つとして存在が生徒に認識されていそうなオトン。
そして、夫の行動を黙認するオカン。
白神家の面々が意外と濃い。
茜と明里のキャラが全面に出てくる中で、白神家はさりげなく自己主張してるな。
良い傾向。
でもって、その溢れんばかりの痴女力ゆえに少年誌では決してシルエットが外れないであろう獅穂ママ……恐るべし。
取り敢えず、これで今回の感想は締めさせて頂きましょう。
そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス3巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚に続き、獅穂のようです。
予想通り。
こうなると、4巻は茜の順かな?
みかんは後半の切り札か。
ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。
もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
・「実は私は」第1話から第30話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
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