2013年10月28日

「Q.E.D.証明終了 陽はまだ高い」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 陽はまだ高い」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
燈馬想:言わずと知れた主人公。
水原可奈:言わずと知れたヒロイン。

ギーデル:数理論理学の世界的権威。
ムティアラ:NSA職員。
カルロス:ギーデル博士の助手の1人。犯人
ウォルター:ギーデル博士の助手の1人。
ジュディス:ギーデル博士の助手の1人。
ロキ:燈馬想のライバルにして親友。
エバ:ロキの恋人。

<ネタバレあらすじ>

此処は南の島。
本来なら穏やかな土地柄だが……その夜に限っては勝手が違っていた。

深夜、暗闇の中を猛スピードで走り抜ける車。
その車を追跡する車が数台。
追跡する車からはサーチライトが照らし出され、前方の逃走車両を追い続ける。

少しずつ距離が縮まり始めた。
追い詰められた逃走車両はハンドルを切り損ね路肩に衝突、車両は炎上したもののドライバーは助かった……。

翌朝、研究所の責任者で数理論理学の世界的権威であるギーデル博士とNSA職員のムティアラが現場に立ち会っていた。
ムティアラによれば、逃走し事故を起こしたのはギーデル博士の研究資料を秘密裏に購入したブローカーらしい。
だからこそ、ムティアラの仲間が追跡したのだ。
ブローカーは逮捕され、漏洩資料も燃えてしまった。
これは良い。
だが、もっとも大きな問題が残されている。
研究資料がブローカーに渡ったということは、何者かが研究資料を漏洩したことになるのだ。
2度と同じことが起きないよう裏切り者を探さなければならないのだ……。

数日後、想と可奈が島でムティアラから状況説明を受けていた。
ムティアラはエバと親友であり、彼女を通じてロキから想へと事件解決を依頼したのだ。
ムティアラたちの調査も虚しく、犯人が特定出来なかったのだ。

ムティアラによれば、漏洩した資料は暗号解読のアルゴリズム「PN問題」の検討資料。
バインダーに挟まれギーデル博士が管理していた。
ギーデル博士は暗号解読にかかる膨大な時間を如何に短縮するかを研究課題としていたのである。
研究はギーデル博士の希望でこの南の島が選ばれた。
警護しづらいことこの上ないのだが、他ならぬギーデル博士の希望もあってどうしても変更できなかったらしい。

さて、此処で問題が1つ。
どう考えても研究室から屋外への持ち出しは不可能なのだそうだ。

研究室の周囲は多数の警備員におり監視。
出入りは選ばれた者のみがIDカードにより確認を経て行われる。
資料の持ち出しは厳禁、出入りの際に身体検査がある。

漏洩したと思われる当日は、2段式の黒板が据え付けられた会議室でミーティングが行われていた。
だが、この日も同様で用いられた資料はすべて破棄されている。
破棄の方法はメモをシュレッダーにかけた上で、研究所外に備え付けの焼却炉で燃やす。

なお、問題のバインダーは2段式の黒板の隅に置かれていたことをムティアラが目撃している。
さらに、ムティアラによれば「廊下に置かれたコーヒーメーカー」と「シュレッダー」でそれぞれトラブルが発生していたそうだ。

研究所の職員はギーデル博士とムティアラ以外にはウォルター、カルロス、ジュディスの3人のみ。
全員助手である。
それぞれに当日の行動について尋ねることに。

まず、ジュディス。
この日、ジュディスはミーティングが上手くいかないことに苛立っていた。
研究課題について発表したウォルターがどうにも変だったのだ。
ミーティングはグダグダになり、ギーデル博士も困惑していたと言う。
気分転換の為に部屋の外へ出て、廊下に置かれたコーヒーメーカーを使用したところ詰まっていたのか溢れ出してしまって大騒ぎになったらしい。
室内に居たムティアラも様子を見に飛んでくるほどのもので、本人は恥ずかしかったそうだ。
ちなみに、漏洩資料について覚えはない。

続いて、ウォルター。
ウォルターは前日に恋人と喧嘩し、IDカード入りの財布を橋から川に捨てられてしまった。
其処で研究室内に出入りすることが出来なくなり、事前の資料準備が出来なくなったのでグダグダになったのだそうだ。
本当だったらあそこまでグダグダにならずに済んだかもしれないのに……と恨み言を洩らすウォルター。
念の為、数時間ほど前に研究室へ赴いてみたらしい。
すると、カルロスと出会った。
カルロスに共に入室させてくれないかと頼み込んだのだが、カルロスは拒否。
結局、責任者であるギーデル博士とムティアラの到着を待つことになったのだそうだ。
そもそも、あいつにはギャンブルの借金があるらしいし……とカルロスを批判するウォルター。

最後に、カルロス。
研究室へ向かったところ、ウォルターに出会った。
ウォルターは一緒に入室させてくれと頼み込んだが、規則上カルロスはこれを拒否。
後はミーティングまで時間を潰していたそうだ。
ミーティングが始まってからは、ウォルターの準備不足を指摘し黒板に注意点を板書していた。
グダグダ過ぎた為に、2段すべて費やしてしまったそうだ。
その所為か、シュレッダーまでもが紙詰まりを起こしてしまうトラブルも発生したらしい。
さらに、カルロスはカルロスでウォルターは母親を島に呼び寄せる為に金が必要だったに違いないと主張する。

それぞれに犯行が可能である。
ギーデル博士は次のような犯行方法の可能性があると想に告げる。

ジュディスはコーヒーメーカー騒動に乗じて、排水口から資料を筒状に丸めて流すことが可能だった。
ウォルターはIDカードを紛失したと嘘を吐き、IDカードを使って出入りすれば犯行可能。
カルロスは板書するふりをしつつ、バインダーを隠すことが可能だった。

だが、想はそのどれもを否定する。

排水口からは途中で詰まってしまい不可能。
ウォルターのIDカードは川の底から実際に発見されたので不可能。
バインダーを隠しても身体検査で発見されてしまうから不可能。

果たして、誰が犯人なのか―――。
想は関係者全員を呼び出した。
その上で、ギーデル博士が犯人を知りつつ庇っていると指摘する。

ギーデル博士が容疑者として上げたのは助手3人。
では、犯人はムティアラなのか?

ムティアラならば、権限を用いれば何時でも資料を運び出せた。
だが、そもそも想に依頼する必要が無い。

つまり、犯人は別なのだ。
ギーデル博士は容疑者として上げた人物が犯行不可能であるを想に証明させることで容疑圏外に置こうとしたのだ。
犯人は助手3人の中に居る。

想が犯人として上げたのは―――カルロスであった。

あの日、カルロスはウォルターの事情を聞いて「これはイケる」と考えた。
其処でかねてからのトリックを実行に移した。

黒板は2段がすべて使われていた。
つまり、上下を入替えたのだ。
この際、事前に黒板の裏に偽物を用意しておき、本物のバインダーと入替えた。
本物は偽物と入替りに黒板の裏に移動してしまい見えない。
このトリックの為に、ウォルターの準備不足を注意し板書の内容を増やしたのである。

さらに、コーヒーメーカーとシュレッダーにも工作を施していた。
狙い通り、ウォルターのグダグダぶりに苛立ったジュディスがコーヒーメーカーを使用し騒ぎが起こった。
黒板の上下を移動させたのはこのときだ。

そして、シュレッダーの紙詰まりを利用して紙ゴミの中にバインダーを忍ばせた。
後は焼却場に持ち出されたソレを追いかけて、回収すれば良い。

その後、ブローカーに売却したのだがブローカーが逃げ切れず冒頭に繋がったのだ。
動機は借金返済の為であった。

こうして、カルロスが逮捕された。

夕刻、もうすぐ夜が近付くかといった頃―――ギーデルは「こんなこと望んでなかった」と語る。
ギーデルによれば、過去にも同じようなことが繰り返されてきたがすべて誤魔化し続けて来たらしい。
ギーデルはただ大好きな数学に取り組めればそれで良かったのだ。

ギーデルは砂浜で遊ぶ子供たちに語りかける。
「まだ、陽は高い。もっと遊べ」と―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン+(プラス)」2013年7号に掲載された「陽はまだ高い」です。

ちょっとギーデルが浮世離れし過ぎかなぁ……。
天才ならではの描写なんだろうけど。

組織の一員なのに、しがらみが嫌なら個人で研究に勤しむしかないだろうに。
もともと研究助手たちのメンタル面での管理もギーデルの仕事の筈で、単なる職務怠慢にしか見えなかったかな。

トリック面でも、かなり無理があるような印象。
焼却炉で警備員からシュレッダーゴミを回収した時点で、容疑者筆頭になってる筈だろうに。
正直、この話は合わなかった。

次回に期待!!

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