2013年11月13日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第80話「香木」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第80話「香木」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

松岡:芳枝の香道の生徒の1人。七瀬湯の常連。
杉越:芳枝の香道の生徒の1人。幽霊を目撃したと騒ぐが……。
梅沢:芳枝の香道の生徒の1人。眼鏡の会社員。
椿芳枝:松岡たちが香道の師と仰ぐ人物。若い女性。
謎の女性:梅沢が目撃した長髪の女性。

<ネタバレあらすじ>

森羅博物館を七瀬湯の常連客・松岡が相談に訪れた。
松岡には同じく独身貴族を貫き香道を学ぶ杉越と梅沢という仲間が居る。
今回の相談の内容は、その仲間の1人・杉越についてだ。

ある夜、帰宅した杉越。
すると、家に見知らぬ美女が上がり込んでいた。
見れば、美女の前のテーブルには料理が並んでいる。
勧められるままに、料理を食べた杉越。
すると、周囲が何時の間にか水に浸かっていたと言う。
そして、次の瞬間―――女性も水も消えたのだそうだ。

あれは幽霊ではないか?
杉越は自身の体験を不思議がる。

後日、杉越からこの話を聞いた梅沢は「ひょっとして、あれじゃないか……」と思い当たる節について述べた。
それが彼らの香道の師匠・椿芳枝。

先日、芳枝から「祖父から伝えられた正体不明の香木」が披露されたのだ。
香木に鼻を近付けるなり「樟脳のような匂い」と口にする松岡たち。
だが、樟脳は結晶の為に香木ではあり得ない。
結局、謎のままとされたのだ。
もしかして、この香木の香りが妙な副作用をもたらしたのではないか……。

これを聞いた杉越は我が意を得たりとばかりに膝を打つ。
早速、芳枝に責任を取るよう迫るが……香木の正体が分からない芳枝にどうにか出来る筈がない。
松岡の見立てによれば、杉越は芳枝に恋愛感情を抱いているらしく強引に迫ろうとしているようだ。
これを見かねた松岡が芳枝を救うべく森羅に助けを求めたのである。

こうして、森羅も正体不明の香木をその目で確認することに。
いや、この場合は香道だけに「聞く」と表現する方が正しいか。
森羅は「樟脳ではなく龍脳である」と断言。
だが、龍脳もまた結晶の筈なのだが……。
森羅は既に真相を突き止めている様子だが、詳しく語ろうとしない。

と、突然、杉越が頭を押さえて苦しみ始める。
だが、救急車などの治療は拒否する。
どうやら、杉越は芳枝宅に一泊するのが狙いのようだ。
下心が見え見えであった。

家には芳枝が1人で生活している。
2人きりになるのは怖い。
困惑する芳枝に、これを阻止するべく松岡と梅沢が「自分たちも一泊する」と主張する。
こうして森羅を先に帰し、松岡たちが芳枝宅に宿泊することとなったのだが……。

松岡たちは杉越の行動を仮病と考え、彼を布団で簀巻きにする。
一方で、見せつけるように芳枝の手料理を堪能することに。
杉越は布団の中から恨み言を叫ぶだけだ。

その夜、上機嫌の松岡たちは早めに就寝。
杉越はその隙を突き、布団を脱出すると芳枝の部屋へ夜這いに向かう。
しめしめ……と内心で舌を出す杉越。

ところが、廊下の様子がおかしい。
ピチョ〜〜〜ン、ピチョ〜〜〜ンと水が滴り落ちる音と共に足元に冷たい感触が……。

廊下が水浸しになっている?
疑問を抱く杉越の前に、俯いた和服の女性が現れる。
芳枝だ!!と喜び近付く杉越だが……。

女性が顔を上げた。
すると、その顔には般若の面が!!

「ぎゃ〜〜〜っ!!」
杉越は狼狽し大きな叫び声を上げるや、部屋へと戻り松岡たちに助けを求める。

杉越の悲鳴を聞きつけ目を覚ました松岡たち。
未だに取り乱す杉越を伴い、現場の廊下へ。

そのとき、梅沢は庭に奇妙な長髪の女性の後ろ姿を見かける。
ふと消える人影、気の所為かと首を傾げる梅沢。

松岡たちが廊下に到着。
騒ぎを聞きつけた芳枝も合流し、様子を確認する。
だが、廊下は水に濡れた形跡はなく般若面の女性も居ない。

「夢でも見たんじゃないか?」
嘲る松岡に「今度ばかりは嘘じゃないんだ」と必死に訴える杉越。
遂には「こんな目に遭うなんて、香道辞めてやる」と去ってしまう。

「良かったじゃないですか。じゃあ、騒動は解決したんですね」
その翌日、森羅博物館にて松岡に対し立樹が口にする。
だが、松岡は浮かない表情のままだ。
杉越が辞めたことで芳枝は救われたが、肝心の杉越が目にした幽霊の正体が分からないからである。

こうして、森羅が立樹を伴い芳枝、松岡、梅沢の前で真相を教えることとなった。
「驚異の部屋を案内します」
決め台詞と共に森羅が語った内容とは―――。

まず、最初の杉越の幽霊騒動は嘘であった。
もともと、芳枝に好意を抱いていた杉越は振り向いて貰おうと嘘を吐いた。
所詮は法螺話であったが……梅沢の言葉がこの嘘に力を与えてしまった。

「芳枝が頭を悩ませる謎の香木が原因ではないか」とのあの発言だ。
これにより、法螺は芳枝と具体的に結びついた。
杉越は法螺を利用し、芳枝に迫ろうとする。

ところが、松岡により森羅が介入することに。
このままでは香木の正体が暴かれてしまう。
そうなると、杉越の嘘も効果を失う。
其処で、杉越は暴かれる前に病気を訴え強引な夜這いに持ち込むことにした。
あれは仮病だったのだ。

さて、此処で困った人物が居る。
他ならぬ芳枝だ。
芳枝にとって、杉越は生徒の1人に過ぎず恋愛対象ではない。
とはいえ、迂闊な対処は出来ない。

其処で、杉越の法螺を利用しお灸を据えることにした。
般若面の女性の正体こそ、芳枝だったのだ。

芳枝は予め廊下に保冷剤を敷き詰めた。
暗闇の中、水滴の音と保冷剤の感覚により、杉越は水浸しの感覚を味わう。
其処へ芳枝扮する般若面の登場である。
芳枝の狙い通り、杉越は腰を抜かすこととなった。
最終的には辞めることにまで発展したのだが、これは灸が効き過ぎたのだろう。
とはいえ、芳枝にとっては問題ではない。

この事実を認める芳枝。
さらに、森羅は謎の香木の正体を明かす。
それは人骨であった。
身分ある人が埋葬される際、龍脳も共に埋められる。
その匂いが人骨に染みついた物だったのだ。

あの夜、見覚えのない女性の後ろ姿を庭に見た梅沢は寒気を覚えるのであった。

結局、人骨は森羅により弔われることとなった。

そして、芳枝宅からの帰路。
並んで歩く森羅と立樹。
ふと、立樹の隣を長髪の女性が擦れ違う。
「ありがとう……」
女性の呟きに、振り返る立樹だが其処にはもう誰も居ない。
立樹は思わず首を傾げる―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2013年12月号掲載「80話 香木」です。

今回は名前が「松岡、杉越、梅沢、椿」と「樹木括り」に「椿芳枝」で「椿に芳香に枝」と香道繋がりだったりしてますね。
でも、なんで「松岡、梅沢」と来て「竹越」ではなかったんだろう……やっぱり、香木だから樹木に限定したのか。

それにしても、嘘から出た真。
芳枝を手に入れる為に杉越が利用した幽霊話が、最後に現実となりふっと登場する展開は面白かった。
また、杉越のキャラが濃い。
此の点でも面白かったですね。

トリック的には、次の3点が気になりました。

1.本トリックは待ち構える必要がある。簀巻きにされた杉越が夜這いを行うことを何故、芳枝が事前に知ることが出来たのか?

2.また、杉越ではなく松岡なり梅沢がトイレの為に廊下にやって来る恐れや、保冷剤は長く放置すると溶けてしまうワケだが、杉越が廊下に現れるタイミングをどうやって知ったのか?

3.杉越が驚いて部屋に戻ったから良かったが、現場に居座られ松岡たちが悲鳴を聞いて駆け付けた場合にどう対処するつもりだったのか?
この場合、保冷剤は回収できないし、皆の手前、変装を解き芳枝にも戻れない……すなわち手詰まりになるのだが。

などなど、気になりました。
とはいえ、本作のメインは「香木に纏わる意外な正体」だと思うのでアリです。
なかなか良いエピソードでした。

次回にも期待!!

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