日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season12(twelve)」第4話「別れのダンス」(11月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
「頑張って〜〜〜」
「頑張れ〜〜〜」
「……」
右京(水谷豊)、甲斐(成宮寛貴)、幸子が観覧席から何やら声を張り上げている。
声援の先には……ダンスに参加する悦子(真飛聖)の姿が。
此処はボールルームダンス競技会の会場。
なんと、悦子が競技会に参加していたのだ。
悦子は34番。
これを眺めていた右京は「悦子がリードし過ぎである」ことを指摘する。
結局、悦子は落選してしまう。
だが、悦子は落ち込むでもなく「芳川くんを見たいんです!!」と嬉しそうだ。
芳川とは新進気鋭の若手でナンバーワンと呼び声高いダンサーらしい。
その間にも、四葉電器産業の社長・湯沢からスポンサーとしての挨拶が行われている。
どうやら、ごく最近にスポンサーとなったそうだが……。
その後、プロによるデモンストレーションが開始。
まずは、芳川健一(廣瀬大介)と国東陽子のペア。
若手の有望株とあってか黄色い歓声が飛び交う。
悦子も熱狂的に応援している。
これに不満げな表情を浮かべる甲斐。
続いて、須永肇(大澄賢也)と今宮礼夏(陽月華)のペア。
国際大会でも好成績を残す、10年来の熟練ペアだ。
司会によれば、このペアの演技後にサプライズ発表が行われるそうだが……。
ベテランとして落ち着いた様子を見せる須永たち、ところが演技の途中で須永が転倒してしまう。
須永は足を抱えたまま動けない。
どうやら負傷したようだ。
こうして、デモンストレーションは中断されることに。
思わぬアクシデントが起こったものの、競技会は進む。
結局、競技会は遠藤弘樹と田上弘子ペアが優勝。
幸子が「花の里」の仕込みの為に一足先に帰宅する中、携帯を控室に忘れた悦子に付き合う右京と甲斐。
ところが、廊下で騒動に出くわす。
湯沢が部下の茂手木(若林久弥)を探していたのだ。
これに礼夏が「役員控室で仕事をすると聞きましたけど……」と答え、湯沢は控室へ。
湯沢は外から控室内へと繰り返し呼び掛ける。
施錠されている上に、どうも返事がないらしい。
見かねた右京たちは、携帯を鳴らしたらどうかと助言。
これに従った湯沢が携帯に電話を入れる。
「ああ、鳴ってます。鳴ってます」扉に耳をあて、胸を撫で下ろす湯沢。
支配人がスペアキーを持ってやって来た。
どうやら大丈夫そうだ……ほっとした右京たちが身体を翻す。
ところが、その背中に悲鳴が届いた。
何かあったのか!?
駆け付けた右京たちが目にしたモノは―――茂手木の死体であった。
茂手木は何者かに殺害されていたのである。
伊丹たち捜査一課の面々も駆け付け、捜査が開始。
もちろん、発見者の1人となった右京と甲斐も参加している。
茂手木の部屋からは、カード類は残っていたが紙幣が消えていた。
これに物盗りの犯行を疑う伊丹たち。
ノートPCも電源は落ちていたが、開いたままで放置されていた。
仮に伊丹たちの予想通り窃盗犯だとすれば、控室の扉の鍵はかかっていた以上、窓から脱出したと思われた。
さらに、米沢(六角精児)によれば茂手木の死因は鈍器による脳挫傷らしい。
死亡推定時刻は15時から17時30分の間と思われた。
礼夏によれば、茂手木から17時10分頃に電話を受けており、このとき「役員控室で仕事をしている」と聞かされたそうだ。
だとすれば、犯行は17時10分から17時30分の20分間となる。
それぞれのアリバイが検証されることに。
15時に会社を出た後、18時まで会場に居たと述べる湯沢。
礼夏はと言えば、15時過ぎにデモンストレーションの準備に入り、アクシデントでデモンストレーションが中断された後、17時10分に茂手木から電話を受けた。
それ以降は、廊下でスタッフと居たらしい。
さらに、須永については特に興味が無いので知らないらしいが……。
須永は足を怪我し、デモンストレーション以降は控室に居た。
17時10分以降も同様だ。
翌朝、角田がダンスポーズを取りつつ特命係に現れる。
早くも茂手木の事件の噂を聞きつけたようだ。
角田から、伊丹たちが居直り強盗説を取っていると知らされた右京と甲斐。
甲斐は「だとすると、奇妙なことが……」と洩らす。
これに右京も「実は、僕も……」と応じる。
甲斐は悦子に須永と礼夏について尋ねる。
芳川がナンバーワンと称されていたが、何故、須永たちがデモンストレーションを行う必要があったのかを気にかけたのだ。
悦子によれば、須永と礼夏は芳川の前の世代ではナンバーワンとされていたペア。
だが、最近では芳川たちが頭角を示し始め押されていたと言う。
湯沢を訪ねた右京。
競技会当日に司会が口にしてたサプライズの内容について「須永と礼夏のペア解消ではないか?」と問う。
これを認める湯沢。
どうやら、須永を引退させ芳川と礼夏をペアにする予定だったらしい。
礼夏の持つ経験は芳川を飛躍させるだろうし、芳川の若さも礼夏を躍進させる筈だと考えたのである。
これらはすべて茂手木が担当となり進めていたようだ。
一方、茂手木殺害の凶器が判明。
どうやら、四角い箱状の何からしい。
さらに、茂手木のPCからバッテリーが抜かれていたことが判明。
つまり、茂手木殺害時にはPCが使用できない状態だったのだ。
だとすれば「役員控室で仕事中だと聞かされた」との礼夏の証言は奇妙なことになるが……。
こうして、礼夏に右京、須永に甲斐がそれぞれ当たることに。
礼夏は、茂手木との電話の内容に間違いはないと断言。
さらに、須永とは以前からペア解消を考えていたことを明かす。
「だから、意に沿いこそすれ茂手木と揉める筈がない」とまで述べるが……。
須永は腱を痛め、自宅で療養していた。
さらにペア解消について、こちらも納得していると語る。
最近では肉体的な衰えを感じ始めており、須永にとっても丁度良い頃合いだったそうだ。
礼夏も同じ気持ちだろうと須永は苦く笑う。
甲斐は須永には口とは裏腹に動機があると見ていた。
だが、須永にはアリバイがあるのだ。
礼夏の証言通りならば、茂手木殺害の犯行時刻は15時10分から17時30分の間。
足を負傷した須永では、20分の間に控室に出向き殺害し戻って来ることは不可能だ。
芳川と陽子を訪ねる右京たち。
ペア解消が動機となるとすれば、礼夏と組む為にペアを解消する芳川と陽子にも動機が存在するのだ。
だが、陽子に不満は無いらしい。
なんと、陽子はラテンダンスに転向を計画していた。
これまた、丁度良い頃合いだと言う。
続いて、礼夏について陽子に問う右京。
陽子によれば、礼夏の髪飾りが普段と異なっていたらしい。
普段は青い髪飾りを愛用していた礼夏。
ところが、デモンストレーション当日だけは髪飾りが違っていた。
右京は競技会の会場に赴くと、あの日の須永の動きをトレースし始める。
複数が競技していればともかく、たった1組で転倒することはあり得ない。
転倒したことには理由がある筈だ。
須永が転倒した位置から、同じポーズで覗き込んだ右京はある部屋を見出す。
それはパーテーションに覆われた部屋であった。
担当者によれば、16時までトロフィーを保管していた部屋らしい。
これを受けて、トロフィーを調べた右京たち。
トロフィーに罅が入っていた上に、茂手木の血液反応も検出。
これこそが凶器だったのだ。
トロフィーは16時以降貴賓席横に飾り付けられ、衆人環視の下にあった。
凶器に使用など出来る筈がない。
だとすれば、犯行は16時以前となる。
つまり、実際の犯行時刻は15時30分から16時の間だったのだ。
トロフィーが凶器だったことから計画的ではなく咄嗟の犯行を疑う右京。
つまり、犯行現場もパーテーションで覆われた部屋だったに違いない。
凶器から須永の指紋が検出。
しかも、茂手木の携帯電話の履歴から調査会社への頻繁な通話記録が判明。
湯沢に確認したところ、茂手木はコンプライアンス担当でありある調査を行っていたそうだ。
さらに、湯沢はボールダンスへの支援を始めた途端に不審なメールが届くようになったと洩らす。
伊丹たちにより、須永が取り調べを受けることに。
須永はあっさりと犯行を認める。
茂手木にペア解消を強要されたことが動機らしいが……。
パーテーションの床から血痕が検出された。
殺害現場がステージ脇だったのだ。
さらに、装飾品の1部らしいものも発見された。
これを見た右京と甲斐は顔を見合わせる―――礼夏愛用の髪飾りの一部であった。
須永が礼夏を庇っていると察した右京は真相を明かすよう迫る。
あの日、須永がフロアの様子を見に行ったところ、茂手木が殺害されていたらしい。
茂手木の手には礼夏の髪飾りが握りしめられており、凶器のトロフィーも転がっていた。
礼夏の犯行だと考えた須永は、茂手木の死体を「とりあえず、役員控室に隠した」らしい。
茂手木はコンプライアンス担当として、芳川と礼夏の調査を行っていた。
すると、意外な事実が判明。
十数年前、礼夏の父が出資法違反で逮捕されていたのである。
捉え方によっては、礼夏の新スタートの道は閉ざされてしまう可能性もあるかもしれない。
これを右京から教えられた伊丹たちは「これが動機ではないか」と礼夏を疑う。
一躍、礼夏に疑惑が向かう中、礼夏は真実を語ろうとしない。
ただ、17時10分に電話を受けたと繰り返すのみであった。
甲斐は「礼夏がどうやって須永が茂手木の死体を役員控室に運んだことを知ったのか」と疑問を呈す。
一方、右京は「礼夏が執拗に茂手木から電話を受けたと主張する目的が分からない」と悩んでいた。
今や、主張すればするほど礼夏の疑いは深まるばかりなのだ。
右京はデモンストレーション中の転倒にこそ、意味があると考え映像を確認する。
すると……。
関係者全員を競技会場に集める右京。
此処から事態解明に向けての推理が始まる!!
「とりあえず、役員控室に死体を隠した」と供述した須永。
このとき、彼は「物盗りの犯行に偽装した」とは口にしなかった。
そう、須永は足を怪我していた為に偽装工作を知らなかったのだ。
犯行後の偽装工作は礼夏だったのだ。
自身が不利になるにも関わらず、17時過ぎに茂手木から電話があったと主張し続けた礼夏。
礼夏の供述にメリットがあるとすれば、須永には犯行が不可能になることしかない。
芳川と陽子にあの日の須永と礼夏の演技の再現を求める右京。
これに応じた芳川と陽子は踊り出す。
ところが、ある場所で陽子が停まってしまう。
不思議がる芳川。
陽子の視線の先にはパーテーションの奥……転がるトロフィーがあった。
この結果を受けて、右京は真相を明かす。
あの日、須永がデモンストレーション中に目にしたモノは茂手木のノートPCであった。
須永の様子を疑問に思った礼夏は、ノートPCを発見。
須永と茂手木に何かあったと考えた礼夏は茂手木を捜し役員控室へ。
其処で死体を発見してしまう。
須永の犯行を疑った礼夏は、須永を庇う為に物盗りの偽装と電話トリックを実行した。
須永が礼夏を庇う。
礼夏が須永を庇う。
2人は犯人でもないにも関わらず互いを庇い合っていたのだ。
ちなみに、礼夏の父の件はコンプライアンス上問題ないらしい。
むしろ問題とされたのは、礼夏の父の過去を告発した匿名メールの方であった。
それはそれは執拗に湯沢のもとへ送り付けられたらしい。
この執念から、メールの送り主は芳川と礼夏のペア結成を阻む必要があった人物である。
2人のペア結成を阻んで得をするのは……芳川を取り戻せる陽子だ。
何故、陽子はトロフィーを目にし動揺したのか?
トロフィーが凶器だと知っていたからだ。
犯人は陽子だったのである。
あの日、陽子は茂手木に礼夏の過去を問い質し、礼夏を貶めようとした。
これを茂手木は拒否。
逆に密告や脅迫メールを行った陽子を告発すると伝えた。
思わぬ展開に逆上した陽子は茂手木を殺害してしまう。
すべて礼夏が悪い!!
そう考えた陽子は、礼夏に罪を着せる為に礼夏の髪飾りを盗み出し現場に置いた。
さらに礼夏に容疑が向かうように誘導するような証言まで行ったのだ。
「ダンスが……ダンスが……」
呟きながら連行されて行く陽子。
残された右京たち。
此処で、礼夏は右京が1つだけ間違ったと指摘する。
礼夏が事態に気付いたのは事故の遥か前、デモンストレーション直後。
礼夏は須永と組んだその瞬間、何かが起こったことに気付いた。
須永の魂が傷付いていることを悟った礼夏は何かしたいと考えた。
後は自然に体が動いていたらしい、須永を守ろうと工作を行っていたそうだ。
「偽装だとしても罪に問われるのに……どうせ別れるのに……どうして?」
困惑し、感情のままに問いかける須永。
「手と手が離れるまではパートナーだからよ」
はっきりと……そして力強く礼夏は口にした。
「パートナー失格だ。礼夏のことを何も分かってなかった……」
「ひょっとすると、礼夏さんはあなたに引き止めて貰いたかったのかもしれませんねぇ」
後悔する須永に、そっと退室を促す右京―――3話了。
<感想>
シーズン12(twelve)4話。
脚本は戸田山雅司さん。
サブタイトルは「別れのダンス」。
今回のテーマはまさに「相棒」。
「実験刑事トトリ」シーズン1でもあったアレです。
須永と礼夏、芳川と陽子、2組の「相棒」を軸に「相棒」の意味を描きましたね。
須永と礼夏は本当のパートナーだったんでしょうね。
互いが互いの為に献身した。
だが、互いに犯人では無かったことで互いの献身は無駄に終わってしまった。
でも……2人は互いにパートナーとして思いやる心を贈り合ったのでしょう。
『賢者の贈り物』を思い出しました。
それに比べて、陽子は芳川の飛躍よりも先に自身の保身に走った点が特徴的でした。
これは自身の可能性に賭けたいと強く願ったゆえかもしれませんが。
犯人的には、該当し得る人物が限られており「陽子犯人説」に辿り着いた方も多かった筈。
ただ、本作内の眼目はそれではなく、明らかに上記のテーマでしょう。
須永と陽子の立場が同じであることを利用した構成もそれを示しています。
劇中、甲斐が須永に動機があるとして「口とは裏腹にペア解消を望んでいない」と語りましたが、これは当然同じ立場の陽子のことも示しています。
現に、陽子も表向きは「ラテンダンスに転向するので丁度良かった」と須永に似たことを口にしています。
ただ、陽子の場合は動機から疑われない為の工作の色合いも強かったようですが。
ただ1点気にかかる点があるなぁ。
礼夏は髪飾りが盗まれた件から、須永以外に犯人が居ることに気付いても不思議ではないと思うんだけど。
須永の犯行を疑ったのが、代用の髪飾りを用いたダンス後だったとは言え、須永以外の第3者の存在を思いつかなかったのはちょっと不自然かなぁ。
それとも、須永が髪飾りを使い礼夏に罪を着せようとしていると思っていた上で庇ったのか。
あるいは、髪飾りの盗難はまったくの別件だと考えたのか。
此処が気になるなぁ……。
とはいえ、右京と甲斐が共に活躍し、キャラも活きていたので大満足です。
印象的に今回は2サス時代の初期「相棒」っぽいプロットだった気もしますね。
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