2013年11月06日

「無関心探偵AGATHA」第7話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年12月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第7話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年12月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
唯井否:イスカリオテ学園の転入生。唯井教授の娘。
那多:イスカリオテ学園校長。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
京屋:又居と詩紋の幼馴染。
都成詩紋:又居の絵のモデルにして幼馴染。絶世の美男子と褒め称えられる。
阿嵩幹矢:故人。小杖の父。天才と呼ばれた探偵。
刃裏:阿嵩家に仕えるメイド。ツンデレ。
安藤令:故人。2年前に謎の死を遂げる。
畑中:那多の運転手。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

イスカリオテ学園にて発生した都成詩紋殺害事件。
その顔は潰され、十字架に張り付けにされるとの凄惨な死に様であった。

この事件解決に乗り出したのが、自称探偵・阿嵩小杖。
そして、その助手となった転校生・蓮出留津。
2人は体育倉庫にて、血溜の中、後ろ手に縛られ転がされた生徒を保護する。
その生徒の名は、留津と同じ転校生・唯井否。
高名な唯井教授の一人娘であった。
こうして、否も加えた3人は事件解決に向け進み始める。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

小杖により那多の関与が指摘された詩紋殺害事件。
那多はある生徒から「詩紋を助けて欲しい」との要請を受けたことを認める。

ある生徒とは又居であった。
しかも、「詩紋を助けて欲しい」の「詩紋」とは本人ではなく、又居が描いた絵のことであった。

那多は学園を代表する特別な生徒・又居の頼みを断れず、深夜にも関わらず学園へ向かった。
すると、絵は無事だったのだが、詩紋の惨殺死体を発見したらしい。
慌てた那多は騒動になることを怖れ、鞠吾を呼び出し詩紋の遺体を隠したらしい。

ところが、思わぬトラブルが重なることに。

まずは、否に嗅ぎ付けられたこと。
那多は慌てて否を気絶させ、体育倉庫に押込めることで時間を稼ぐ策に。
否については殺害ではなく、あくまで拘束が目的だったようだ。

ところが、秘密の部屋に隠した筈の詩紋の遺体が講堂で曝されてしまう。
これまた想定外の事態であった。

結局、事態隠蔽を諦めた那多は小杖と留津が体育倉庫に足を運ぶように仕向け、否を救出させたのであった。

この隠蔽工作に那多と鞠吾以外の人間が関与していることを重ねて指摘する小杖。
那多は「そこまで知られているのなら……」と夫と運転手の畑中の2人も関与していたことを明かす。

那多の自宅からは詩紋の遺体の一部と殺害現場の物と思われる土が見つかる。
こうして、那多は事情聴取の為に警察へ連行されることに。

去り際、那多はある人物から連絡があったことを小杖に告げる。
顔色を変える小杖を残し、那多は連行されて行く。

一方、残された小杖は衝撃を振り切るように事件の続きを語り出す。
次は講堂に詩紋の遺体を曝した人物だ。

これを小杖は又居と京屋であると断言する。
又居自身もこの推理を認める。

又居によれば、那多に詩紋の保護を依頼したものの、不安になり京屋を誘って学園を訪れたらしい。
其処で様子のおかしい鞠吾を発見。
尾行したところ、例の秘密の部屋を目撃し詩紋の遺体を発見したのだそうだ。
其処で告発する意味も含めて、講堂に詩紋の遺体を曝したのだそうだ。

「鞠吾が詩紋を奪ったから」と激情を表に顕す又居に、留津は何処か違和感を覚えるが―――8話に続く。

<感想>

「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その第7話です。
1話完結ではなく、続き物。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品です。

第7話は小杖による推理第3回目。
那多の隠蔽への関与が明らかに。
加えて、又居と京屋が詩紋の遺体を曝した犯人であることも判明。
ここらは前回予想した通り。

此処で気になるのは留津の違和感の正体。

留津の違和感の正体は又居が口にした「鞠吾が詩紋を奪った」との点でしょうね。
鞠吾が交際していたのは令の筈なのに……。
やはり、詩紋と令の入替りありそうですね。
だからこそ、詩紋の遺体は顔が破壊されていた。
詩紋の絵が破壊されたのもこれと同じ理由か。

理由として考えられるのは次の2つ。

1.又居が過去に詩紋として描いていたのが、実は令。
令が自殺後、容姿が瓜二つな詩紋をそのまま詩紋役に据えたのではないか?

ただ、管理人としては次の説を推したい。

2.令とされていた女子生徒こそが男性の詩紋であり鞠吾と禁断の恋を育んでいた。
実は、詩紋と令は時折入替っていて、令自身も鞠吾に恋心を抱いており、詩紋と争うように。
詩紋は誤って令を殺害してしまい罪の意識に悩んでいた。
結局、耐え切れずに自殺してしまった。

とりあえず、2の展開ではないかと予想してみる。

そして、もう1つ気になるのは亡くなったとされている小杖の父・幹矢について。
どうやら、小杖、留津、否のように、幹矢、那多、もう1人の3人で探偵活動を行っていた様子。
小杖と那多の態度から見ると、このもう1人こそが幹矢の命を奪った人物なのだろうか……。
そして、その人物と那多は未だに連絡を取り合っている!?

いや、違うな……このもう1人こそが小杖の母ではなかろうか?
小杖の母は未登場。小杖母説の方が可能性は高そうかな。

では、此処で管理人の推理のまとめ。

令の死は詩紋による他殺。
詩紋の死は自殺。
という感じで推理してみましたがどうでしょう。

果たして管理人の推理は的中しているのか!?
第8話に注目!!

さて、此処からは本作の特徴的な固有名詞に注目してみましょう。
既にお気付きの方も多いと思いますが、どうも聖書に関連する語句がもとにされているものと思われます。

まず「イスカリオテ学園」の「イスカリオテ」。
調べてみたところ、これはヘブライ語で「カリオテの人」ということでその出身である12使徒の1人「ユダ」その人を指し示すそうです。

次に「阿嵩小杖(あがさこずえ)」。
こちらはおそらく「聖アガサ(アガタとも)」から来ているものか。
守護聖人の1人だそうです。

唯井否。
彼女は12使徒の1人である「タダイ」からの命名の様子。

そして「担任教師・鞠吾(マリア)」。
「聖母マリア」でしょうか。

続いて「又居」。
12使徒の1人「マタイ」ですね。

そして「都成詩紋」。
同じく12使徒の1人「シモン」ですね。

安藤令は同じく12使徒の1人「アンデレ」。
刃裏は「パウロ」からかな。

ただ「蓮出留津(はすでるつ)」だけが分からない。
もしかして12使徒の1人「バルトロマイ」からかとも思ったが、余りに違い過ぎるか。
明らかに名前に意味がありそうなのですが、これが調べても出て来ない。
アナグラムも考えてみたけど、どうにも意味のある言葉にならないし……。
気になるところ。

これらの名前に出典同様の意味があるのか、あるいはモチーフのみに留まるのかが気になりますね。
以前から予想していた通り、アンデレも登場しました。
「与羽(よはね)」も出て来そうかな。

でもって、上記登場人物名に意味があるとして内容に触れると。
12使徒の「シモン」は2人居るので「又居」がモデルとした「都成詩紋」も2人存在する可能性がありますね。
顔が潰されているのは此処に由来するのか?

いろいろ気になりますね、次回にも期待!!

◆関連過去記事
「無関心探偵AGATHA」第1話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第2話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年7月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第5話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年10月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第6話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年11月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

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