2013年12月21日

「無関心探偵AGATHA」第8話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2014年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第8話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2014年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
唯井否:イスカリオテ学園の転入生。唯井教授の娘。
那多:イスカリオテ学園校長。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
京屋:又居と詩紋の幼馴染。
都成詩紋:又居の絵のモデルにして幼馴染。絶世の美男子と褒め称えられる。
阿嵩幹矢:故人。小杖の父。天才と呼ばれた探偵。
阿嵩波江:小杖の母。稀代の連続殺人鬼として収監中。
刃裏:阿嵩家に仕えるメイド。ツンデレ。
安藤令:故人。2年前に謎の死を遂げる。
畑中:那多の運転手。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

イスカリオテ学園にて発生した都成詩紋殺害事件。
その顔は潰され、十字架に張り付けにされるとの凄惨な死に様であった。

この事件解決に乗り出したのが、自称探偵・阿嵩小杖。
そして、その助手となった転校生・蓮出留津。
2人は体育倉庫にて、血溜の中、後ろ手に縛られ転がされた生徒を保護する。
その生徒の名は、留津と同じ転校生・唯井否。
高名な唯井教授の一人娘であった。
こうして、否も加えた3人は事件解決に向け進み始める。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

小杖による詩紋殺害についての推理が一定の結論を導き出した。
まず、鞠吾は犯人ではない。
そして、那多は死体遺棄に関与した。
さらに、又居と京屋のいずれか一方は犯人を知っており、もう一方が庇っているのだそうだ。

これを又居か京屋のどちらかが犯人であると理解する留津。
だが、小杖は否定も肯定もしない。
やがて、刃裏を伴いいずれかへと消えてしまう。

残された留津と否、そして鞠吾。
小杖からは不用意に動かないように言い含められていたのだが、彼らがそれで止まる筈がない。
独自の調査を開始することに。

其処にさらなる事件が!!
詩紋をモデルにした石膏像が破壊されたのだ。
どうやら、又居が壊したらしい。
さらに、又居は宥めようとした京屋へ絶交を宣言する。

又居を追う否と鞠吾。
京屋を追う留津。
こうして2手に分かれた彼らだが……。

同じ頃、小杖はある人物と面会していた。
その人物とは小杖の母・波江であった。

小杖は母と強化ガラス越しに面会を果たす。
何故なら、波江は稀代の連続殺人鬼として広く名前を知られる危険人物であり、幹矢の活躍で逮捕され収監中であったからだ。
小杖は名探偵と天才犯罪者との間の娘だったのである。

「本当なら小枝と名付けられるところを、私が小杖にしたのよ」
明るく小杖に話しかける波江に、苦々しい表情を浮かべる小杖。
小杖は波江が苦手らしい。
そんな中、小杖が波江に面会した理由は那多から彼女の存在を示唆された故であった。

ところが、波江はそれこそが真犯人の狙いかもしれないと指摘する。
つまり、学園から小杖不在の状況を作り出すことこそが犯人の計画だったことになるが……。

学園では、否と鞠吾が又居から「詩紋を壊したのは私」との告白を受けていた。
又居はずっと昔から詩紋を見詰め続けていた。
ただ、それだけで満足していたのだそうだ。
ところが、ある日から詩紋に見詰め返されるようになった。
又居は詩紋の視線に耐え切れず、遂には拒絶してしまったらしい。

これを聞いた鞠吾は「それは……」と絶句する。
鞠吾には詩紋の視線の意味に心当たりがあったのだ。

さらに、又居によれば鞠吾の秘密部屋にて詩紋の遺体を発見した際、その遺体を確認したのは京屋だけだそうだが……。

一方、留津は帰宅する京屋に連れられその自宅へ。
其処で大量に破壊された詩紋の胸像を目にする―――9話に続く。

<感想>

「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その第8話です。
1話完結ではなく、続き物。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品です。

第8話は小杖による推理第4回目。

小杖は父・幹矢の血を誇りつつ、母・波江の血を忌避している様子。
それは自身にも、天才犯罪者の素質があることを認めたくない故か。
もしかすると、波江が獄中から小杖を自身の後継者として導くべくすべてを仕組んだ可能性もありそうか。
だとすると、最終的には母娘対決に繋がるかも……。

ただ、本当に波江が天才犯罪者なのかは不明だなぁ。
正直、波江が行ったとされる犯行に真犯人が居ても不思議ではない。
あるいは、仮に波江が犯人だったとしても深い理由がありそうな気もする。

この辺りは展開次第といったところか。

そして、違和感の正体に迫る留津。
さらに、謎の行動を続ける京屋。
思わぬ告白を行った又居。

とはいえ、又居が詩紋殺害犯とは考えづらい。
にも関わらず、あの発言が出た以上は、やはり詩紋自体に秘密があるのか?
ただ、鞠吾が絶句したのは詩紋の又居への視線の正体が「愛」であったことを示すのであろうし、だとすると特に詩紋自身に秘密があるとは言えない!?

こうなると、気になるのは留津の違和感の正体。

留津の違和感の正体は又居が口にした「鞠吾が詩紋を奪った」との点でしょうね。
鞠吾が交際していたのは令の筈なのに……。
やはり、詩紋と令の入替りありそうですね。
だからこそ、詩紋の遺体は顔が破壊されていた。
詩紋の絵が破壊されたのもこれと同じ理由か。

理由として考えられるのは次の2つ。

1.又居が過去に詩紋として描いていたのが、実は令。
令が自殺後、容姿が瓜二つな詩紋をそのまま詩紋役に据えたのではないか?

ただ、管理人としては次の説を推したい。

2.令とされていた女子生徒こそが男性の詩紋であり鞠吾と禁断の恋を育んでいた。
実は、詩紋と令は時折入替っていて、令自身も鞠吾に恋心を抱いており、詩紋と争うように。
詩紋は誤って令を殺害してしまい罪の意識に悩んでいた。
結局、耐え切れずに自殺してしまった。

とりあえず、2の展開ではないかと予想してみる。
ただ、だとすると又居の告白に沿わない点が出て来るのか……。

では、此処で管理人の推理のまとめ。

令の死は詩紋による他殺。
詩紋の死は自殺。
という感じで推理してみましたがどうでしょう。

果たして管理人の推理は的中しているのか!?
第9話に注目!!

さて、此処からは本作の特徴的な固有名詞に注目してみましょう。
既にお気付きの方も多いと思いますが、どうも聖書に関連する語句がもとにされているものと思われます。

まず「イスカリオテ学園」の「イスカリオテ」。
調べてみたところ、これはヘブライ語で「カリオテの人」ということでその出身である12使徒の1人「ユダ」その人を指し示すそうです。

次に「阿嵩小杖(あがさこずえ)」。
こちらはおそらく「聖アガサ(アガタとも)」から来ているものか。
守護聖人の1人だそうです。

唯井否。
彼女は12使徒の1人である「タダイ」からの命名の様子。

そして「担任教師・鞠吾(マリア)」。
「聖母マリア」でしょうか。

続いて「又居」。
12使徒の1人「マタイ」ですね。

そして「都成詩紋」。
同じく12使徒の1人「シモン」ですね。

安藤令は同じく12使徒の1人「アンデレ」。
刃裏は「パウロ」からかな。

ただ「蓮出留津(はすでるつ)」だけが分からない。
もしかして12使徒の1人「バルトロマイ」からかとも思ったが、余りに違い過ぎるか。
明らかに名前に意味がありそうなのですが、これが調べても出て来ない。
アナグラムも考えてみたけど、どうにも意味のある言葉にならないし……。
気になるところ。

これらの名前に出典同様の意味があるのか、あるいはモチーフのみに留まるのかが気になりますね。
以前から予想していた通り、アンデレも登場しました。
「与羽(よはね)」も出て来そうかな。

でもって、上記登場人物名に意味があるとして内容に触れると。
12使徒の「シモン」は2人居るので「又居」がモデルとした「都成詩紋」も2人存在する可能性がありますね。
顔が潰されているのは此処に由来するのか?

いろいろ気になりますね、次回にも期待!!

◆関連過去記事
「無関心探偵AGATHA」第1話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第2話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年7月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第5話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年10月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第6話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年11月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「無関心探偵AGATHA」第7話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年12月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

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